ムーゲ島

なゆか

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人助け…いや、ドキドキの夏休み?
タスク君の前情報のせいで、二日目にして
気が気でならなかった。

何がドキドキの夏休みだよ、
まぁ確かにドキドキだわと、
なんかもうぶち壊しである。

波希「うわっ⁈」

来る来ると思って、案の定来ると
やっぱ来るんかーいとなり、今に至る。

田形「ラッキースケベなんて、
そうそう起こんないからね!」

先程、波希君が木から降って来て、
床ドンではなく、お腹に足が突き刺さった。

波希「ごめん!」

田形「なんで木から落ちてくんの?」

波希「お前の事、驚かそうと思ってよ」

へへっと笑う波希君。

田形「いや、へへじゃ無いよ。
本当驚いたよ、突然お腹蹴られたし」

波希「そんな事より、海行こうぜ」

そんな事で済ますんかいと、
波希君は私の手を握る。

田形「ほぼ初対面だよ」

こんなグイグイ来る理由を知ってる
こっちの身からすると、すっごいキツい。

そりゃ、島から出れないまま
一生ここで孤独死は嫌だろうけど、
私、ゲロ女よ?と、そんな私相手とか
選ぶ相手が設けられてない時点で、
可哀想になって来たなと口を紡ぎ、
後をついて行く。

波希「俺、波希って言うんだけど
お前は?」

波希君は私の顔を覗いてくる。

田形「そう言えば、名乗ってなかったね」

大層なお顔立ちしてますわと、
こんな近距離にイケメン居た事が
今までの人生で一度も無かった。

まぁ、でもこうやって顔を近づけて来るのも
そういう事なのかと、本当ネタバレ止めてよと
胸ドキとかクソ喰らえ状態だ。

田形「田形」

波希「名前は?」

田形「…」

波希「なんだよ?
名前は?」

田形「…久和」

私は、「タガタクワ」という
自分の名前があまり好きじゃなかった。

波希「クワガタ」

田形「はぁ」

波希君は、すぐに私が
今まで付けられて来たあだ名を言った。

愛矢「こらこら、波希。
彼女を困らせたら駄目だよ」

愛矢君が茂みから出て来た。

波希「おぉ!愛矢も海行こうぜ」

波希君は1人なのにワイワイしながら、
私の手を引き続けた。

愛矢「それなら、僕はこっちの手を」

逆の手を愛矢君に握られ、しかも恋人繋ぎである。

愛矢「僕は、久和ちゃんって
可愛らしい名前だと思うよ」

そう言ってウインクされるが、
もうグイグイの理由知ってるから、
きっちーなと思う。



私は、この後も2人による
胸ドキな事をされるも、
プロローグと起で、ネタバレされている為
ただ胃が痛い夏休みを送っている。

本当、ちょっとくらいドキドキな夏休み
送らせてくれよと私は炎天下で笑いかけて来る
イケメン2人に苦笑いをした。
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