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天邪鬼
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ピンポンピンポンピンポンピンポン
異常にインターホンを鳴らされ、
私は階段を駆け降りる。
ガチャッ
作野「やばいでしょ」
玄関を開けると、
本当に鞠君が来た。
作野「そ…それ」
鞠君の手にはバットが握られている。
作野「嘘でしょ」
鞠君は何も言わずに、
バットを振り上げた。
作野「ひッ」
カランッ
鞠「殴られると思った?」
床にバットが転がる。
作野「…な…何考えてんの」
鞠「報復に行くって言ったよね」
ガチャン
鞠君は中に入って来た。
作野「報復って…」
あんなバット持って来るからには、
これから暴力を振られるんじゃないかと
一歩後ろに下がる。
鞠「どんな報復しようかな」
私は階段を駆け上がるが、
足を掴まれ転んだ。
作野「い”ッ…」
鞠「東守の部屋はここだったね」
そして、腕を掴まれ
部屋まで引き摺られる。
作野「痛いッ…」
このまま殺されるかと思ったが、
私の想定外の事をされた。
チュ…
作野「んッ!?」
どさっ
作野「なっ…何考えてんだ!」
私は鞠君を押し返す。
鞠「菊乃が入学式に言った事忘れた?」
作野「はぁ?」
月明かりに照らされた鞠君の表情は
学校や、今まで向けられて来た嫌そうな顔と
打って変わっていた。
鞠「普段、僕が東守に対して
嫌いなフリしてるのに、
全く気づかないよね」
鞠君は私の頬を撫でる。
鞠「1ヶ月間もフリしてたのに、
ずっと僕の一方通行。
結局煽られて傷付いちゃって別れるって…
本当、東守は馬鹿だよね」
作野「は?何言ってんの」
鞠「嫉妬して欲しくて、
あの女と付き合ってるけどさ…
全く効果無し」
鞠君は顔を近づけて来るが押し返す。
鞠「参っちゃうな」
作野「まじで意味分からない…」
鞠「本当に理解出来ないの?」
報復されると思ってたのに、
キスされた時点で冷静さなんて
保っていなかった。
鞠「仕方ないな…」
鞠君は私の両手を掴むと
再び口を塞がれた。
作野「…んぐッ」
鞠「分かってくれた?
僕が天邪鬼だって」
天邪鬼なんて…
作野「ふ…ふざけんな」
鞠「その顔が見たかった、
東守には、こういうのが効果的みたい」
普段ニコリともしないくせに、
ここぞとばかりに笑みを浮かべられる。
鞠「好きだよ」
作野「は?」
鞠「僕は東守の事、好きだよ」
再び鞠君の顔が近づいて来る。
作野「…は…はぁ!!?」
~
しばらく、キスされ続け
服を剥がされそうになったところに、
多分菊乃ちゃんが来たのだろう
階段を駆け上がって来る音がする。
鞠「菊乃かな」
鞠君は私の上から退いた。
作野「はッ…はぁッ…ふざけんな…まじでッ」
鞠「キスくらいで、そんな怒るなよ。
東守が抵抗するから
それ以上出来なかっただろ」
それ以上しようとしてたのかよと、
鞠君から距離を取る。
鞠「キスでもしないと信じないだろ」
作野「うっさい」
鞠「僕の事嫌いになった?」
作野「嫌いに決まってんだろ…」
鞠「嫌いなのに、顔真っ赤」
何ニヤニヤしてんだよと、鞠君は立ち上がると
部屋から出て行った。
作野「まじ、頭どうかしてんじゃないの」
菊乃「東守ちゃんッ!」
ゴッ
作野「うわッ」
部屋に飛び込んで来た菊乃ちゃんに
タックルをされ、再び床に倒れ込む。
作野「はぁ、菊乃ちゃん…あのさ、鞠君
まじでやばいでしょ」
菊乃「ごめんなさい…東守ちゃん」
作野「いや、菊乃ちゃんが謝る事じゃ無いでしょ」
菊乃「鞠は本気で東守ちゃんの事、
好きなんです。
嫌いと言葉や態度に出していても
好きなんです」
作野「ややこし過ぎる」
菊乃「天邪鬼だって、
ちゃんと説明すれば、別の女と付き合って、
東守ちゃんを傷付ける事なんてありませんでした」
菊乃ちゃんはまた泣いてるが、
その後ろで鞠君は、にやついている。
鞠「少しくらい報復したっていいだろ。
僕ばっかり一方通行なのは癪だし」
作野「菊乃ちゃんを泣かせてるの
お前じゃん」
鞠「お前なんて名前じゃないから、
ほら、愛情込めて今まで通りに
鞠君って呼んで」
作野「嫌だ」
菊乃「逆転しちゃいましたね」
菊乃ちゃんが言う通り、確かに今の
鞠君への対応はツンケンしている。
今までの鞠君のようだと自分でも思う。
鞠「不公平」
作野「は?何が不公平なんだよ」
鞠「だって、この1ヶ月間僕だけ
無神経にドキドキさせられてたのに、
今後はその態度になるって事だろ?」
菊乃「…あ、これは」
鞠「僕の事、好きなくせに」
作野「は?」
菊乃「東守ちゃんも、天邪鬼ですね」
菊乃ちゃんは笑い、鞠君に頬を突かれ
私はそれを手で振り払った。
➖ ➖ ➖ ➖ ➖ ➖ ➖ ➖ ➖ ➖
~
~
遡る事、30分前。
箭久野「…え、なんでこんな時間に?」
東守ちゃんの家に入ろうとした時、
箭久野君が気付いたのか家から出て来た。
菊乃「こんばんは、箭久野君」
箭久野「なんか遭ったのか?」
菊乃「ただ、鞠が東守ちゃんと
よりを戻しに来たので着いてきただけです」
箭久野「は?より戻すって」
菊乃「なので、邪魔だけはしないでくださいね」
箭久野「邪魔ってなんだよ」
箭久野君は、普段楽しそうにしているが
初めてこんな怒った顔を見た。
菊乃「そんなに怒っても無駄ですよ。
幼馴染は、所詮幼馴染止まりですから、
スポーツ推薦蹴ってまで、
東守ちゃんと同じ高校に入学していますが
箭久野君と東守ちゃんが結ばれる
未来はないです」
箭久野「…別に俺はッ
つか、そもそも鞠から別れたんだろ!
なのに、より戻すってなんだよ」
菊乃「だから、怒っても何も変わりませんよ」
箭久野「…お前らが何考えてんのか
分からねーけど、なんでサクなんだよ」
箭久野君は、幼馴染の事が
心配で仕方ないようだ。
心配したところで、東守ちゃんには
その想いは届かないのに…
菊乃「言ったじゃないですか、
体育祭で手当てして貰ったと」
私はなんで東守ちゃんなのかを
箭久野君に話す事にした。
異常にインターホンを鳴らされ、
私は階段を駆け降りる。
ガチャッ
作野「やばいでしょ」
玄関を開けると、
本当に鞠君が来た。
作野「そ…それ」
鞠君の手にはバットが握られている。
作野「嘘でしょ」
鞠君は何も言わずに、
バットを振り上げた。
作野「ひッ」
カランッ
鞠「殴られると思った?」
床にバットが転がる。
作野「…な…何考えてんの」
鞠「報復に行くって言ったよね」
ガチャン
鞠君は中に入って来た。
作野「報復って…」
あんなバット持って来るからには、
これから暴力を振られるんじゃないかと
一歩後ろに下がる。
鞠「どんな報復しようかな」
私は階段を駆け上がるが、
足を掴まれ転んだ。
作野「い”ッ…」
鞠「東守の部屋はここだったね」
そして、腕を掴まれ
部屋まで引き摺られる。
作野「痛いッ…」
このまま殺されるかと思ったが、
私の想定外の事をされた。
チュ…
作野「んッ!?」
どさっ
作野「なっ…何考えてんだ!」
私は鞠君を押し返す。
鞠「菊乃が入学式に言った事忘れた?」
作野「はぁ?」
月明かりに照らされた鞠君の表情は
学校や、今まで向けられて来た嫌そうな顔と
打って変わっていた。
鞠「普段、僕が東守に対して
嫌いなフリしてるのに、
全く気づかないよね」
鞠君は私の頬を撫でる。
鞠「1ヶ月間もフリしてたのに、
ずっと僕の一方通行。
結局煽られて傷付いちゃって別れるって…
本当、東守は馬鹿だよね」
作野「は?何言ってんの」
鞠「嫉妬して欲しくて、
あの女と付き合ってるけどさ…
全く効果無し」
鞠君は顔を近づけて来るが押し返す。
鞠「参っちゃうな」
作野「まじで意味分からない…」
鞠「本当に理解出来ないの?」
報復されると思ってたのに、
キスされた時点で冷静さなんて
保っていなかった。
鞠「仕方ないな…」
鞠君は私の両手を掴むと
再び口を塞がれた。
作野「…んぐッ」
鞠「分かってくれた?
僕が天邪鬼だって」
天邪鬼なんて…
作野「ふ…ふざけんな」
鞠「その顔が見たかった、
東守には、こういうのが効果的みたい」
普段ニコリともしないくせに、
ここぞとばかりに笑みを浮かべられる。
鞠「好きだよ」
作野「は?」
鞠「僕は東守の事、好きだよ」
再び鞠君の顔が近づいて来る。
作野「…は…はぁ!!?」
~
しばらく、キスされ続け
服を剥がされそうになったところに、
多分菊乃ちゃんが来たのだろう
階段を駆け上がって来る音がする。
鞠「菊乃かな」
鞠君は私の上から退いた。
作野「はッ…はぁッ…ふざけんな…まじでッ」
鞠「キスくらいで、そんな怒るなよ。
東守が抵抗するから
それ以上出来なかっただろ」
それ以上しようとしてたのかよと、
鞠君から距離を取る。
鞠「キスでもしないと信じないだろ」
作野「うっさい」
鞠「僕の事嫌いになった?」
作野「嫌いに決まってんだろ…」
鞠「嫌いなのに、顔真っ赤」
何ニヤニヤしてんだよと、鞠君は立ち上がると
部屋から出て行った。
作野「まじ、頭どうかしてんじゃないの」
菊乃「東守ちゃんッ!」
ゴッ
作野「うわッ」
部屋に飛び込んで来た菊乃ちゃんに
タックルをされ、再び床に倒れ込む。
作野「はぁ、菊乃ちゃん…あのさ、鞠君
まじでやばいでしょ」
菊乃「ごめんなさい…東守ちゃん」
作野「いや、菊乃ちゃんが謝る事じゃ無いでしょ」
菊乃「鞠は本気で東守ちゃんの事、
好きなんです。
嫌いと言葉や態度に出していても
好きなんです」
作野「ややこし過ぎる」
菊乃「天邪鬼だって、
ちゃんと説明すれば、別の女と付き合って、
東守ちゃんを傷付ける事なんてありませんでした」
菊乃ちゃんはまた泣いてるが、
その後ろで鞠君は、にやついている。
鞠「少しくらい報復したっていいだろ。
僕ばっかり一方通行なのは癪だし」
作野「菊乃ちゃんを泣かせてるの
お前じゃん」
鞠「お前なんて名前じゃないから、
ほら、愛情込めて今まで通りに
鞠君って呼んで」
作野「嫌だ」
菊乃「逆転しちゃいましたね」
菊乃ちゃんが言う通り、確かに今の
鞠君への対応はツンケンしている。
今までの鞠君のようだと自分でも思う。
鞠「不公平」
作野「は?何が不公平なんだよ」
鞠「だって、この1ヶ月間僕だけ
無神経にドキドキさせられてたのに、
今後はその態度になるって事だろ?」
菊乃「…あ、これは」
鞠「僕の事、好きなくせに」
作野「は?」
菊乃「東守ちゃんも、天邪鬼ですね」
菊乃ちゃんは笑い、鞠君に頬を突かれ
私はそれを手で振り払った。
➖ ➖ ➖ ➖ ➖ ➖ ➖ ➖ ➖ ➖
~
~
遡る事、30分前。
箭久野「…え、なんでこんな時間に?」
東守ちゃんの家に入ろうとした時、
箭久野君が気付いたのか家から出て来た。
菊乃「こんばんは、箭久野君」
箭久野「なんか遭ったのか?」
菊乃「ただ、鞠が東守ちゃんと
よりを戻しに来たので着いてきただけです」
箭久野「は?より戻すって」
菊乃「なので、邪魔だけはしないでくださいね」
箭久野「邪魔ってなんだよ」
箭久野君は、普段楽しそうにしているが
初めてこんな怒った顔を見た。
菊乃「そんなに怒っても無駄ですよ。
幼馴染は、所詮幼馴染止まりですから、
スポーツ推薦蹴ってまで、
東守ちゃんと同じ高校に入学していますが
箭久野君と東守ちゃんが結ばれる
未来はないです」
箭久野「…別に俺はッ
つか、そもそも鞠から別れたんだろ!
なのに、より戻すってなんだよ」
菊乃「だから、怒っても何も変わりませんよ」
箭久野「…お前らが何考えてんのか
分からねーけど、なんでサクなんだよ」
箭久野君は、幼馴染の事が
心配で仕方ないようだ。
心配したところで、東守ちゃんには
その想いは届かないのに…
菊乃「言ったじゃないですか、
体育祭で手当てして貰ったと」
私はなんで東守ちゃんなのかを
箭久野君に話す事にした。
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