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第4話 押し問答/援軍の到着/誠の目覚め
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誠は数人の騎士兵達に剣先を向けられ、周囲を囲まれていた。
「まったく…しぶとい野郎どもだな。」
(こいつらの総攻撃をくらえば、俺に勝機はないだろうな…せっかくボスキャラ感で周囲を圧倒してここまで敵の戦意を削り取って来たのに…)
誠は、騎士団長であるアレクの方を見る。
(低下していた兵士達の戦意を持ち直させるとは…腐っても、ちゃんとした騎士兵団長ってわけか。なかなかやるじゃないか。だが、この押し問答…負けてはいられない。何としても、総攻撃だけは回避しなければ…)
誠はアレクに感心しつつ、さらに言葉でたたみ掛ける。
「お前らさぁ、少しは冷静に考えてみろ。俺様に総当たりしたところで勝てると思うのか?お前らの団長様の奥義を受けてさえ、擦り傷ひとつない俺様だぞ?その下っ端である、取るに足らないお前ら兵士達に何ができる?」
騎士兵達「「「うぅ…」」」
誠は、その反応を見てさらに追い込む。
「…それとも、お前らの団長様が単なる雑魚なだけで、その部下であるお前らの方が腕が立つのか?
はっはっは、それなら滑稽だね。とんだ笑い話だな。」
(騎士団長は立場的にプライドが高く、自分は部下より強いと思っているはず…こういうやつは常に自尊心が高く、ありもしない名誉に固執する。つまり、部下の兵士達を威圧しつつ、団長を挑発してコケにすれば、騎士団長以外は下手に手を出してこれないはずだ…)
「生まれたての子鹿のように、プルプル震えてどうした?バンビボーイ。俺が怖いのか?」
誠はなおも騎士団長を言葉で攻めつ続ける。
(こういう〔自分は強い〕と思っているやつは、弱いとバカにされるのが大っ嫌いのはずだ。必ず、それを否定するために何がなんでも反抗して自分が強いことを証明したがるはず…
仮にもし、自分以外の手で敵を倒したとすると、それはもはや〔自分は弱い〕と自ら認めるようなもの…すなわちそれは、彼にとっては大きな恥だ。だから、必ず自らの手で制裁しようとする。)
「無礼者が!ぐぬぬ…」
騎士団長のアレクが噛み付くように言う。
しかし、威勢がいいだけで、すぐに斬りかかって来ようとはしない。
騎士A「…冷静に考えると、確かに俺らだけじゃ勝てないんじゃないか…?」
騎士B「そう言えばこいつ、異世界人だったな…何か裏があっても、おかしくはない。」
騎士C「この人の戦闘力は未知数だし、スキルも不明…確かに勝因がないわ。」
???「誠、伏せて!」
その時、敵である騎士兵達の声に混ざって、聴き慣れた少女の声がした。
「え?リーナ??」
その瞬間、目の前からいきなりリーナが現れ、そのまま抱きつかれる形で、背中から地面に押し倒された。
?????「まったく人狩りどもが好き勝手に暴れやがって。おらおら騎士ども、こっちを見ろ!はい、ちゅうもーく!!」
次は見知らぬ男の声が聞こえた。
そして、軽い破裂音と強い光…
誠はリーナに押し倒され、彼女に馬乗りにされていたが、小柄な彼女の脇腹から外の様子が見えていた。
「誠!外を見ちゃダメ!」
リーナはそのまま自身の体で押し潰すように体を密着させ、誠の視界を無理矢理奪った。
そして、最後に見知らぬ男の声が一言。
『眠れ!!』
次の瞬間、視界の外でバタバタと多くの何かが地面に崩れ落ちる音がした。
(何が起きたんだ…?この音の数、騎士達と同じ数だ。ということは…そうか、やっと終わったんだ…あれ?そう言えば、なぜか息が苦しい。リーナ、早く体を起こして… ん?この柔らかい感触……まさか…)
リーナは、体を起こして周囲を見渡し、安全であることを確認した。
騎士兵達は、団長のアレクも含めて全員地面に倒れ込んでいる。外傷や出血などはなく、呼吸もしている。
気絶したかのように眠っているだけなのだ。
「流石ですね。ジェイドさん。ありがとうございました。」
「こんな単純思考な野郎どもの一掃など、お安い御用よ。姫の頼みなら、なおさら断れんしな。それより、こいつらの後始末はどうしましょうか??」
茶髪の筋骨隆々の赤い鎧を身に纏った男が、リーナへ問いかける。
「ん~、この色と服装から察するに…おそらくこいつらは、グリルム王国の兵士達ですね。どうやら、その国自体が人狩りに一枚噛んでるみたいね…
下手にこちらの国で処分すると外交問題に発展しかねないので、そのままこの場に放置して行きましょう。
こいつらから危害を加えてきたので、後々向こうからイチャモン付けてきたりはしないでしょうし…
それよりも…やっと再会できましたね!誠さん。」
リーナは自分の下敷きになって地面に倒れている誠へ目を向けて声をかけた。
「遅くなってごめんなさい。あなたが森のどこに居るのか、わからなかったもので……って、あれ?何で鼻から大量に血が出てるんですか?ちょっと、誠さん!?誠さんってば!!」
リーナは、誠の身体を強く揺さぶる。
しかし、誠は一向に返事も何の反応もしない。
「ダメだ…起きない。ジェイド、誠さんが何故か気絶してる!村まで運ぶの手伝って!!」
誠はというと、今日死ぬかもしれないという命の駆け引きからの解放と、リーナの意図せぬ密着により、極限まで張り詰めていた緊張の糸がプツンッと完全に途切れてしまっていた。
その精神的な疲労とリーナが助けを呼んで戻って来てくれた安心感から意識を失っていた。
それから、しばらくの時が流れ…
誠は、ようやく目を覚ました。
「ん…ここはどこだ?」
目の前は明るく、天井が見える…
(どうやら、どこかの部屋の中のようだ。)
視界の端に見える部屋の窓からは日が差し込み、爽やかな風が吹いている。鳥のさえずりも聞こえる…
(この感じは…おそらく朝頃かな。)
ふかふかとした物に乗っている感触…
(どうやら、俺はベッドで眠っていたらしい。)
頬のあたりがヒリヒリする…
(あれ?人狩り達と闘った時に、顔を殴られたことなんてあったっけ…??)
太ももの辺りのやや重たく生温かい感覚……
(ん?この感覚は……いったいなんだ??)
自身の体をゆっくりと起こすと、自分の太もも辺りで頭を突っ伏して眠っているリーナがいた。
スースーと寝息を立てている。
(え!??リーナ?まさか…俺が目覚めるまで間、夜通しで看病をしてくれていたのか?)
リーナはまるで小動物かのように、腕組みした中へ自身の頭を埋め、ベッドに身を預けるようにして眠っていた。
(それにしても……寝顔が可愛いな…)
誠は可愛いさのあまり、思わずリーナの頭をゆっくりと2~3回ほど撫でた。
「ん…」
すると、眠っていた彼女を眠りから覚ましてしまった。目覚める直前、一瞬だけ彼女が微笑んでるかのように見えた。
「あ…誠さん、やっと起きましたね。」
誠は反射的にビクッと反応し、何事もなかったかのように手をそっと引っ込める。
「あ、あぁ…おはよう。」
「ようやく目覚めましたね、まったく3日間も眠ってたんですよ。」
「え、3日間!?俺、そんなに眠っていたのか?」
「はい。なかなか起きないので、軽く頬をつねったり、ビンタしてみましたが全く起きませんでした。」
「お前、何やってんだよ…通りで頬がヒリヒリ痛いわけだ。」
「それでも全然起きないので、お伽話のように口付けしようかと思いましたよ…」
リーナが目を横に逸らし、照れながら言う。
「え…??」
誠は、目を丸くして頬をピンク色に染めた。
「うふふ…いま期待しました?」
リーナが自身の柔らかい唇に手を当て、悪戯気味に聞いてくる。
「・・・。」
誠は頬をピンク色に染めたまま、目を逸らした。
チュッ…
次の瞬間、リーナが軽く唇を重ねてきた。
「私を先に村へ逃して、守ってくれたお礼です…」
冷静な口調で言ってるものの、リーナの顔は真っ赤になっている。
誠は、しばらく呆然とし…リーナにつられて顔がピンク色からだんだん真っ赤になっていった。
2人はしばらく見つめ合っていた。
それが3秒だったのか、5秒だったのかはわからない。だが、2人にはとても長く感じた。
すると、ガチャ…っと部屋の扉が開く音が聞こえる。
2人は慌てて目を逸らした。
部屋に入って来たのは…
「まったく…しぶとい野郎どもだな。」
(こいつらの総攻撃をくらえば、俺に勝機はないだろうな…せっかくボスキャラ感で周囲を圧倒してここまで敵の戦意を削り取って来たのに…)
誠は、騎士団長であるアレクの方を見る。
(低下していた兵士達の戦意を持ち直させるとは…腐っても、ちゃんとした騎士兵団長ってわけか。なかなかやるじゃないか。だが、この押し問答…負けてはいられない。何としても、総攻撃だけは回避しなければ…)
誠はアレクに感心しつつ、さらに言葉でたたみ掛ける。
「お前らさぁ、少しは冷静に考えてみろ。俺様に総当たりしたところで勝てると思うのか?お前らの団長様の奥義を受けてさえ、擦り傷ひとつない俺様だぞ?その下っ端である、取るに足らないお前ら兵士達に何ができる?」
騎士兵達「「「うぅ…」」」
誠は、その反応を見てさらに追い込む。
「…それとも、お前らの団長様が単なる雑魚なだけで、その部下であるお前らの方が腕が立つのか?
はっはっは、それなら滑稽だね。とんだ笑い話だな。」
(騎士団長は立場的にプライドが高く、自分は部下より強いと思っているはず…こういうやつは常に自尊心が高く、ありもしない名誉に固執する。つまり、部下の兵士達を威圧しつつ、団長を挑発してコケにすれば、騎士団長以外は下手に手を出してこれないはずだ…)
「生まれたての子鹿のように、プルプル震えてどうした?バンビボーイ。俺が怖いのか?」
誠はなおも騎士団長を言葉で攻めつ続ける。
(こういう〔自分は強い〕と思っているやつは、弱いとバカにされるのが大っ嫌いのはずだ。必ず、それを否定するために何がなんでも反抗して自分が強いことを証明したがるはず…
仮にもし、自分以外の手で敵を倒したとすると、それはもはや〔自分は弱い〕と自ら認めるようなもの…すなわちそれは、彼にとっては大きな恥だ。だから、必ず自らの手で制裁しようとする。)
「無礼者が!ぐぬぬ…」
騎士団長のアレクが噛み付くように言う。
しかし、威勢がいいだけで、すぐに斬りかかって来ようとはしない。
騎士A「…冷静に考えると、確かに俺らだけじゃ勝てないんじゃないか…?」
騎士B「そう言えばこいつ、異世界人だったな…何か裏があっても、おかしくはない。」
騎士C「この人の戦闘力は未知数だし、スキルも不明…確かに勝因がないわ。」
???「誠、伏せて!」
その時、敵である騎士兵達の声に混ざって、聴き慣れた少女の声がした。
「え?リーナ??」
その瞬間、目の前からいきなりリーナが現れ、そのまま抱きつかれる形で、背中から地面に押し倒された。
?????「まったく人狩りどもが好き勝手に暴れやがって。おらおら騎士ども、こっちを見ろ!はい、ちゅうもーく!!」
次は見知らぬ男の声が聞こえた。
そして、軽い破裂音と強い光…
誠はリーナに押し倒され、彼女に馬乗りにされていたが、小柄な彼女の脇腹から外の様子が見えていた。
「誠!外を見ちゃダメ!」
リーナはそのまま自身の体で押し潰すように体を密着させ、誠の視界を無理矢理奪った。
そして、最後に見知らぬ男の声が一言。
『眠れ!!』
次の瞬間、視界の外でバタバタと多くの何かが地面に崩れ落ちる音がした。
(何が起きたんだ…?この音の数、騎士達と同じ数だ。ということは…そうか、やっと終わったんだ…あれ?そう言えば、なぜか息が苦しい。リーナ、早く体を起こして… ん?この柔らかい感触……まさか…)
リーナは、体を起こして周囲を見渡し、安全であることを確認した。
騎士兵達は、団長のアレクも含めて全員地面に倒れ込んでいる。外傷や出血などはなく、呼吸もしている。
気絶したかのように眠っているだけなのだ。
「流石ですね。ジェイドさん。ありがとうございました。」
「こんな単純思考な野郎どもの一掃など、お安い御用よ。姫の頼みなら、なおさら断れんしな。それより、こいつらの後始末はどうしましょうか??」
茶髪の筋骨隆々の赤い鎧を身に纏った男が、リーナへ問いかける。
「ん~、この色と服装から察するに…おそらくこいつらは、グリルム王国の兵士達ですね。どうやら、その国自体が人狩りに一枚噛んでるみたいね…
下手にこちらの国で処分すると外交問題に発展しかねないので、そのままこの場に放置して行きましょう。
こいつらから危害を加えてきたので、後々向こうからイチャモン付けてきたりはしないでしょうし…
それよりも…やっと再会できましたね!誠さん。」
リーナは自分の下敷きになって地面に倒れている誠へ目を向けて声をかけた。
「遅くなってごめんなさい。あなたが森のどこに居るのか、わからなかったもので……って、あれ?何で鼻から大量に血が出てるんですか?ちょっと、誠さん!?誠さんってば!!」
リーナは、誠の身体を強く揺さぶる。
しかし、誠は一向に返事も何の反応もしない。
「ダメだ…起きない。ジェイド、誠さんが何故か気絶してる!村まで運ぶの手伝って!!」
誠はというと、今日死ぬかもしれないという命の駆け引きからの解放と、リーナの意図せぬ密着により、極限まで張り詰めていた緊張の糸がプツンッと完全に途切れてしまっていた。
その精神的な疲労とリーナが助けを呼んで戻って来てくれた安心感から意識を失っていた。
それから、しばらくの時が流れ…
誠は、ようやく目を覚ました。
「ん…ここはどこだ?」
目の前は明るく、天井が見える…
(どうやら、どこかの部屋の中のようだ。)
視界の端に見える部屋の窓からは日が差し込み、爽やかな風が吹いている。鳥のさえずりも聞こえる…
(この感じは…おそらく朝頃かな。)
ふかふかとした物に乗っている感触…
(どうやら、俺はベッドで眠っていたらしい。)
頬のあたりがヒリヒリする…
(あれ?人狩り達と闘った時に、顔を殴られたことなんてあったっけ…??)
太ももの辺りのやや重たく生温かい感覚……
(ん?この感覚は……いったいなんだ??)
自身の体をゆっくりと起こすと、自分の太もも辺りで頭を突っ伏して眠っているリーナがいた。
スースーと寝息を立てている。
(え!??リーナ?まさか…俺が目覚めるまで間、夜通しで看病をしてくれていたのか?)
リーナはまるで小動物かのように、腕組みした中へ自身の頭を埋め、ベッドに身を預けるようにして眠っていた。
(それにしても……寝顔が可愛いな…)
誠は可愛いさのあまり、思わずリーナの頭をゆっくりと2~3回ほど撫でた。
「ん…」
すると、眠っていた彼女を眠りから覚ましてしまった。目覚める直前、一瞬だけ彼女が微笑んでるかのように見えた。
「あ…誠さん、やっと起きましたね。」
誠は反射的にビクッと反応し、何事もなかったかのように手をそっと引っ込める。
「あ、あぁ…おはよう。」
「ようやく目覚めましたね、まったく3日間も眠ってたんですよ。」
「え、3日間!?俺、そんなに眠っていたのか?」
「はい。なかなか起きないので、軽く頬をつねったり、ビンタしてみましたが全く起きませんでした。」
「お前、何やってんだよ…通りで頬がヒリヒリ痛いわけだ。」
「それでも全然起きないので、お伽話のように口付けしようかと思いましたよ…」
リーナが目を横に逸らし、照れながら言う。
「え…??」
誠は、目を丸くして頬をピンク色に染めた。
「うふふ…いま期待しました?」
リーナが自身の柔らかい唇に手を当て、悪戯気味に聞いてくる。
「・・・。」
誠は頬をピンク色に染めたまま、目を逸らした。
チュッ…
次の瞬間、リーナが軽く唇を重ねてきた。
「私を先に村へ逃して、守ってくれたお礼です…」
冷静な口調で言ってるものの、リーナの顔は真っ赤になっている。
誠は、しばらく呆然とし…リーナにつられて顔がピンク色からだんだん真っ赤になっていった。
2人はしばらく見つめ合っていた。
それが3秒だったのか、5秒だったのかはわからない。だが、2人にはとても長く感じた。
すると、ガチャ…っと部屋の扉が開く音が聞こえる。
2人は慌てて目を逸らした。
部屋に入って来たのは…
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