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救われた夜
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「お疲れ様ー!」
「本当きつかったよな、この二ヶ月。とりあえず乾杯。」
「本当、とりあえずだけどな。」
12月中旬、静流に少し早めの冬季休暇がやって来た。
大学二年の後期は実習や講義にテストと多忙だった。
ようやく解放された束の間を喜び、大学の友人である寺内桃矢と佐々木楼と居酒屋で飲んでいたのである。
二人は私立大学医学部の中では珍しく地方のサラリーマン家系育ちであった。
アメリカから留学してきたとはいえ近くに頼れる身寄りがおらず、アルバイトをしながら謙虚に過ごしている静流と二人は気が合った。
「また冬休みはバイトなの?静流は。」
「忘年会シーズンだし、サークルにも入ってない俺はもはや強制だよ。」
「勤労学生だなー。麗ちゃんには会ってないんでしょ?最近。」
「そうだな。一ヶ月は会ってない。」
静流は明るく呆気な二人に、よくバイト先でのことを話していた。
だから勿論、麗のことも話題にしていた。
すっかり不定期だったシフトで麗とはなかなか会えず、だんだん麗も店に訪れなくなっていた。
しかし麗がホスト通いを続けている事実だけは、バイト仲間や麗を知っている客からの情報で耳に入っていた。
静流はホスト狂いする麗を想像しては深くため息をついた。
三人は終電近くまで何軒かハシゴし、静流は出来上がった二人を両腕に抱えるようにして最寄駅に向かっていた。
酒が強く冷静を保てている静流はついこんな夜遅くに繁華街を歩いていると、今頃麗は何をしているんだろうとふと考えた。
しかしすぐ我に返りしばらく会っていない客のことを考える自分を不思議がっていると、静流は一組のカップルの姿が目に入っま。
「おーい、静流?どこ行くんだよー。」
「ん?あれってまさか…?」
静流がいきなり両腕を放して走って行ったため、仰け反り転びそうになった二人は互いを支え合い、静流の行動に目を見合わせた。
「麗、何してるんだよ。」
「誰?」
「…静流!」
普段は穏便な静流が、一組のカップルを前に怒声を上げて立ち尽くしていた。
金色の長髪をワックスで固めて黒いスーツを纏ういかにもホストである男の肩を組んで一緒にいたのは、麗だった。
そして静流が戸惑うことなく二人の前に行ったのは、そこがラブホテルの前だったからだ。
「麗、行こう。」
「え!あ、うん…。」
「楼、桃矢。本当にごめん!なんとか帰って!」
静流は呆気にとられていたホストから麗の手を取って、楼や桃矢を置いて走り去って行った。
俯き無言のまま走る静流に、麗は包み込まれた手の温もりを感じ肩に寄り添うようにただ着いていっていた。
そして繁華街を抜け閑静な住宅地まで来ると、公園に入り静流は立ち止まった。
静流から手を離された麗は、ベンチに座り息を整えていた。
同じく息を荒げていた静流が落ち着くと、麗の前に仁王立ちし見下ろして言った。
「あのさ…あいつホストだろ?あんなところで遊んじゃだめだよ。」
静流は自分でも何故か分からないくらい、気持ちが苛ついていた。
それを言動に移してしまったのは自分らしくないと分かっていたが、酒に酔っていたからとの理由で自分を正当化した。
そんな静流の真っ直ぐな言葉に、麗は上目遣いをし口元を綻ばせて言った。
「じゃあ今から静流の家に連れて行ってくれたら、ホスト遊びはもうやめる。」
ーまたもや自分は弄ばれている。
そう理解できるほどやはり冷静であった静流だが、もう自分の気持ちに嘘はつけなかった。
「…分かった。」
そう言うと少し乱暴に麗の手を取ると、静流は前を向き歩き出した。
静流はもう麗がこれ以上自分の知らないところで他の男と触れ合い、傷付くのは耐えられなかった。
本当は前に誘われたときに何故自分は麗に言ってやめさせなかったのか、後悔していた。
静流の中には、麗のためなら弄ばれても構わないと思ってしまう愚かで認めたくない自分がいたのだった。
静流の住む郊外の古いアパートまで歩くのはそんなに時間がかからなかった。
物が少なく片付いたワンルームの部屋に麗を案内したが、麗の反応は静流の想定外だった。
それはお嬢様の麗には普通の大学生らしい庶民的な部屋が新鮮だったのだろう。
陽気に部屋中を見渡して、静流に向かって笑顔で言った。
「シャワー先に入ってくるね。部屋着も貸してくれない?」
「用意しとくよ。」
まるで慣れたような口調に静流は苛立ちながらも、ため息をついて服を用意した。
そしてシャワーから戻り明らかに大きい自分のスゥエットを着た麗はとても愛らしく、まだ半乾きの髪を触る横顔に色気を感じてしまう。
静流は必死に私欲を抑えながら、自分もシャワーを浴び寝る支度を済ませるとソファーに横になり厚めの毛布のブランケットを一枚被った。
暖房をつけていたが、それだけで一晩眠るには体が冷えてしまうのは明らかだった。
しかし何事もなく一晩を過ごしたかった静流はすぐに電気の灯りを消した。
そんな静流の紳士的な計らいを、麗はもちろん理解していた。
ベッドに寝るよう促されていた麗は、暗闇の中で微かに感じる光を辿り静流の正面に座ると肩を揺すって言った。
「静流、おいでよ。一緒に寝よーよ。」
「駄目。俺はここで寝るの。」
「じゃあ私もここで寝る。寂しいの。」
そう技と猫撫で声のように甘える麗に、静流は顔を背けて無視したが胸の鼓動は高鳴っていた。
しかしなかなか離れようとしない麗に、静流は深いため息をついてソファーから体を起こすと彼女と向き合い聞いた。
「いつもそうやってさ、あのホストとか他の男たちと遊んでるの?」
「んー。」
「俺さ、彼女じゃない人とこーういうこと…ほとんどしたことないわけ。だから安心して、大人しくベッドで寝てくれないかな?」
普通誘うのは男で、これは女の台詞だろーと静流は心の中で麗に突っ込んでいた。
しかし麗は大胆にもそのまま静流の膝に座り、前から抱きしめて言った。
「分かってる。静流はそういう人だって。でも私も一緒だよ。あのホストとだってヤってない。可愛くてお金貢いでただけ。彼氏とはヤるけど、ワンナイトとかさえしたことないよ私。あれ、言ってなかったっけ?」
「じゃあなんで今日はこういう状況になってるわけ?」
静流は自分の緊張や欲情が麗に伝わることを恐れ、麗が自分を抱く手を遠ざけ向き合った。
麗の話が事実であれば、今すぐにでも何か間違いが起こる前に解放してほしかった。
しかし麗は拒絶されてもなお静流の胸の中に顔を埋めた。
「…嬉しかったの。静流が止めてくれて。だから離れたくなかった。私、誰かに怒られたりとかってしたことなかったから。私の話だけでも、聞いてもらえないかな。」
行動は強引なくせに弱々しくそう言う麗に、静流は折れた。
自分はただ話を聞くだけだーと、彼女を受け入れ頭を撫でた。
そして麗は自分の身の上話を静流に聞かせた。
「私ね、小さい時に父を亡くして母は祖父母に預けて外国に行ってしまった。そして祖父母はたった一人の孫の私を何一つ不自由なく可愛がってくれた。だけどそれはいなくなったお母さんの代わりだって分かってた。今までちゃんと私を見てくれる人、誰もいないからー。静流、ありがとうね。」
「泣くなよ。今日は俺がいるんだからー。」
静流は麗の話を最後まで聞くと、か弱い体を強く抱きしめてそう言った。
麗は堪えていた溢れる涙を流して、幼い子供のように泣いた。
そしてしばらくして麗は静流の胸の中で泣き疲れて寝てしまった。
その小さな体をお姫様抱っこすると、自分のベッドの上に寝かせて布団をかけた。
さんざん自分の心をかき乱した不器用な麗の安心して眠る寝顔を見つめて囁いた。
「麗はいつ思い出してくれるんだ?俺が昔一緒にいたことを。辛いから忘れてるのかもしれないな。」
二人が初めて会ったのは今年の夏よりずっと昔、麗にとっては辛い幼少時代だった。
「今度は俺、麗を救えるのかな。」
そして麗の寝顔を哀しそうに見つめながら、静流はそのままベッドサイドに項垂れて眠りについた。
翌日、麗が目を覚ましたのは、日が真上に昇る頃であった。
もちろん大学の講義はとうに遅刻だろう。
しかしそんなことよりもここまで熟睡してから朝ーいや昼を迎えられたことに麗は感動していた。
「超、気持ち良い。」
麗は昔から不眠症で、酒や薬に頼らないとなかなか眠りにつくこともゆっくり眠ることもできていなかった。
もうとっくに消えている静流に抱きしめられていた温もりを思い出し、自然と溢れてくる幸福感に心から微笑んだ。
そしてゆったりと起き上がると、ベッドのサイドテーブルに置き手紙と鍵が置いてあった。
『大学に行ってくる。もしよかったら朝ご飯食べてって。鍵は週末とかバイト先に持ってきてくれればいいから。』
「…バイト先に鍵を持ってくのはちょっと怪しいよね。」
手紙を読んだ麗はそう言って無邪気に笑うと、手紙の下に返事として自分の連絡先を書いた。
やっと静流と繋がる理由ができたことに嬉しく感じた。
それからの麗は静流に会いにバイト先に行くことはなくなり、その合鍵を静流が大学を卒業して引っ越す日まで返すことはなかったー。
「本当きつかったよな、この二ヶ月。とりあえず乾杯。」
「本当、とりあえずだけどな。」
12月中旬、静流に少し早めの冬季休暇がやって来た。
大学二年の後期は実習や講義にテストと多忙だった。
ようやく解放された束の間を喜び、大学の友人である寺内桃矢と佐々木楼と居酒屋で飲んでいたのである。
二人は私立大学医学部の中では珍しく地方のサラリーマン家系育ちであった。
アメリカから留学してきたとはいえ近くに頼れる身寄りがおらず、アルバイトをしながら謙虚に過ごしている静流と二人は気が合った。
「また冬休みはバイトなの?静流は。」
「忘年会シーズンだし、サークルにも入ってない俺はもはや強制だよ。」
「勤労学生だなー。麗ちゃんには会ってないんでしょ?最近。」
「そうだな。一ヶ月は会ってない。」
静流は明るく呆気な二人に、よくバイト先でのことを話していた。
だから勿論、麗のことも話題にしていた。
すっかり不定期だったシフトで麗とはなかなか会えず、だんだん麗も店に訪れなくなっていた。
しかし麗がホスト通いを続けている事実だけは、バイト仲間や麗を知っている客からの情報で耳に入っていた。
静流はホスト狂いする麗を想像しては深くため息をついた。
三人は終電近くまで何軒かハシゴし、静流は出来上がった二人を両腕に抱えるようにして最寄駅に向かっていた。
酒が強く冷静を保てている静流はついこんな夜遅くに繁華街を歩いていると、今頃麗は何をしているんだろうとふと考えた。
しかしすぐ我に返りしばらく会っていない客のことを考える自分を不思議がっていると、静流は一組のカップルの姿が目に入っま。
「おーい、静流?どこ行くんだよー。」
「ん?あれってまさか…?」
静流がいきなり両腕を放して走って行ったため、仰け反り転びそうになった二人は互いを支え合い、静流の行動に目を見合わせた。
「麗、何してるんだよ。」
「誰?」
「…静流!」
普段は穏便な静流が、一組のカップルを前に怒声を上げて立ち尽くしていた。
金色の長髪をワックスで固めて黒いスーツを纏ういかにもホストである男の肩を組んで一緒にいたのは、麗だった。
そして静流が戸惑うことなく二人の前に行ったのは、そこがラブホテルの前だったからだ。
「麗、行こう。」
「え!あ、うん…。」
「楼、桃矢。本当にごめん!なんとか帰って!」
静流は呆気にとられていたホストから麗の手を取って、楼や桃矢を置いて走り去って行った。
俯き無言のまま走る静流に、麗は包み込まれた手の温もりを感じ肩に寄り添うようにただ着いていっていた。
そして繁華街を抜け閑静な住宅地まで来ると、公園に入り静流は立ち止まった。
静流から手を離された麗は、ベンチに座り息を整えていた。
同じく息を荒げていた静流が落ち着くと、麗の前に仁王立ちし見下ろして言った。
「あのさ…あいつホストだろ?あんなところで遊んじゃだめだよ。」
静流は自分でも何故か分からないくらい、気持ちが苛ついていた。
それを言動に移してしまったのは自分らしくないと分かっていたが、酒に酔っていたからとの理由で自分を正当化した。
そんな静流の真っ直ぐな言葉に、麗は上目遣いをし口元を綻ばせて言った。
「じゃあ今から静流の家に連れて行ってくれたら、ホスト遊びはもうやめる。」
ーまたもや自分は弄ばれている。
そう理解できるほどやはり冷静であった静流だが、もう自分の気持ちに嘘はつけなかった。
「…分かった。」
そう言うと少し乱暴に麗の手を取ると、静流は前を向き歩き出した。
静流はもう麗がこれ以上自分の知らないところで他の男と触れ合い、傷付くのは耐えられなかった。
本当は前に誘われたときに何故自分は麗に言ってやめさせなかったのか、後悔していた。
静流の中には、麗のためなら弄ばれても構わないと思ってしまう愚かで認めたくない自分がいたのだった。
静流の住む郊外の古いアパートまで歩くのはそんなに時間がかからなかった。
物が少なく片付いたワンルームの部屋に麗を案内したが、麗の反応は静流の想定外だった。
それはお嬢様の麗には普通の大学生らしい庶民的な部屋が新鮮だったのだろう。
陽気に部屋中を見渡して、静流に向かって笑顔で言った。
「シャワー先に入ってくるね。部屋着も貸してくれない?」
「用意しとくよ。」
まるで慣れたような口調に静流は苛立ちながらも、ため息をついて服を用意した。
そしてシャワーから戻り明らかに大きい自分のスゥエットを着た麗はとても愛らしく、まだ半乾きの髪を触る横顔に色気を感じてしまう。
静流は必死に私欲を抑えながら、自分もシャワーを浴び寝る支度を済ませるとソファーに横になり厚めの毛布のブランケットを一枚被った。
暖房をつけていたが、それだけで一晩眠るには体が冷えてしまうのは明らかだった。
しかし何事もなく一晩を過ごしたかった静流はすぐに電気の灯りを消した。
そんな静流の紳士的な計らいを、麗はもちろん理解していた。
ベッドに寝るよう促されていた麗は、暗闇の中で微かに感じる光を辿り静流の正面に座ると肩を揺すって言った。
「静流、おいでよ。一緒に寝よーよ。」
「駄目。俺はここで寝るの。」
「じゃあ私もここで寝る。寂しいの。」
そう技と猫撫で声のように甘える麗に、静流は顔を背けて無視したが胸の鼓動は高鳴っていた。
しかしなかなか離れようとしない麗に、静流は深いため息をついてソファーから体を起こすと彼女と向き合い聞いた。
「いつもそうやってさ、あのホストとか他の男たちと遊んでるの?」
「んー。」
「俺さ、彼女じゃない人とこーういうこと…ほとんどしたことないわけ。だから安心して、大人しくベッドで寝てくれないかな?」
普通誘うのは男で、これは女の台詞だろーと静流は心の中で麗に突っ込んでいた。
しかし麗は大胆にもそのまま静流の膝に座り、前から抱きしめて言った。
「分かってる。静流はそういう人だって。でも私も一緒だよ。あのホストとだってヤってない。可愛くてお金貢いでただけ。彼氏とはヤるけど、ワンナイトとかさえしたことないよ私。あれ、言ってなかったっけ?」
「じゃあなんで今日はこういう状況になってるわけ?」
静流は自分の緊張や欲情が麗に伝わることを恐れ、麗が自分を抱く手を遠ざけ向き合った。
麗の話が事実であれば、今すぐにでも何か間違いが起こる前に解放してほしかった。
しかし麗は拒絶されてもなお静流の胸の中に顔を埋めた。
「…嬉しかったの。静流が止めてくれて。だから離れたくなかった。私、誰かに怒られたりとかってしたことなかったから。私の話だけでも、聞いてもらえないかな。」
行動は強引なくせに弱々しくそう言う麗に、静流は折れた。
自分はただ話を聞くだけだーと、彼女を受け入れ頭を撫でた。
そして麗は自分の身の上話を静流に聞かせた。
「私ね、小さい時に父を亡くして母は祖父母に預けて外国に行ってしまった。そして祖父母はたった一人の孫の私を何一つ不自由なく可愛がってくれた。だけどそれはいなくなったお母さんの代わりだって分かってた。今までちゃんと私を見てくれる人、誰もいないからー。静流、ありがとうね。」
「泣くなよ。今日は俺がいるんだからー。」
静流は麗の話を最後まで聞くと、か弱い体を強く抱きしめてそう言った。
麗は堪えていた溢れる涙を流して、幼い子供のように泣いた。
そしてしばらくして麗は静流の胸の中で泣き疲れて寝てしまった。
その小さな体をお姫様抱っこすると、自分のベッドの上に寝かせて布団をかけた。
さんざん自分の心をかき乱した不器用な麗の安心して眠る寝顔を見つめて囁いた。
「麗はいつ思い出してくれるんだ?俺が昔一緒にいたことを。辛いから忘れてるのかもしれないな。」
二人が初めて会ったのは今年の夏よりずっと昔、麗にとっては辛い幼少時代だった。
「今度は俺、麗を救えるのかな。」
そして麗の寝顔を哀しそうに見つめながら、静流はそのままベッドサイドに項垂れて眠りについた。
翌日、麗が目を覚ましたのは、日が真上に昇る頃であった。
もちろん大学の講義はとうに遅刻だろう。
しかしそんなことよりもここまで熟睡してから朝ーいや昼を迎えられたことに麗は感動していた。
「超、気持ち良い。」
麗は昔から不眠症で、酒や薬に頼らないとなかなか眠りにつくこともゆっくり眠ることもできていなかった。
もうとっくに消えている静流に抱きしめられていた温もりを思い出し、自然と溢れてくる幸福感に心から微笑んだ。
そしてゆったりと起き上がると、ベッドのサイドテーブルに置き手紙と鍵が置いてあった。
『大学に行ってくる。もしよかったら朝ご飯食べてって。鍵は週末とかバイト先に持ってきてくれればいいから。』
「…バイト先に鍵を持ってくのはちょっと怪しいよね。」
手紙を読んだ麗はそう言って無邪気に笑うと、手紙の下に返事として自分の連絡先を書いた。
やっと静流と繋がる理由ができたことに嬉しく感じた。
それからの麗は静流に会いにバイト先に行くことはなくなり、その合鍵を静流が大学を卒業して引っ越す日まで返すことはなかったー。
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