361 / 373
永禄の改革
三好義継vs芝田剣城
しおりを挟む
「ぬぅぁ~にぃ~!?料理ご意見番だ!?貴様、舐めているのか!?者共ッ!!単騎だ!討ち取れぃ!」
「叔父上!お待ち下さい!この方が、剣城殿本人です!」
クッ・・・。本当に裏切ってやがる。ってか、単騎・・・単騎!?後ろは!?うわ・・・。ノアがジャンプして来たせいか、マジでオレ1人じゃん。まっ、いいか。
「三好義継。三好長逸とお見受け致す」
確か、三好三人衆の筆頭が三好長逸だったよな。で、先の上洛戦で岩成何某って人は大砲か、鉄砲か何かで死んでたような・・・。うん。そう記憶がある。
義継の横で差配しているという事は、此奴が三好三人衆筆頭・・・。実質の大将か。それにしても、戦国時代風な言葉で相手に問い掛ける・・・。決まった。これは思いっきり決まったな。ゆきさんがこの場に居たら、オレの勇姿に惚れ直すだろうな。
「ふはははは!このワシが長逸だと!?ふんっ!笑わせるな!我こそは阿波三好宗家 三好宗渭であるッ!!」
クッソ!!ドヤ顔で『三好長逸とお見受け致す」とか言ったけど、間違えたじゃねーか!!恥ずかしいだろうが!!
「ぷっはっはっはっ!!貴様は殿と大殿の違いも分からんのか!!」
「黙れぇ~~ッッ!!!一之太刀ッ!!!」
ボッボッボッ ズシャッ
恐らく馬廻りだろうと思う兵の1人が、馬鹿にしたような口調で笑ってきた為、オレは恥ずかしさの限界となり斬った。笑い事じゃねーんだよ!折角、威圧言葉や戦国時代風の言葉を勉強してるというのに・・・。笑いやがって!此奴は後で農業神様に言って、来世では犬の糞に生まれ変わるようにお願いしてやろうか!?
"あぁ~・・・。堪らないねぇ~!もっと!もっと!血を!血を・・・"
プロミさんまで可笑しくなってきやがる。
「貴様ッ!!妖術使いか!?刀に炎だと!?小癪な!ワシ自らが・・・」
「叔父上!侮ってはいけません!剣城殿は見えない場所から武器や、片手銃を取り出す技が御座います!今は片手銃が見えません!ですが、あの刀は炎を纏わせる事のできる南蛮の刀です!」
おいおい。義継よ。よく先の戦でオレを分析しているな。関心するよ。だが、残念だな!トマホークMK-2は今は、ゆきさんの物だぜ?オレには数々の戦神様から、おやつと交換した武器や、サブスクしている武器が山程あるんだぜ!?
まぁ、オレには宝の持ち腐れだし、トゲトゲがある鎧とか使い道が無い装備もあるけどよ!それにプロミさんの本気はこんなもんじゃないぞ!
オレが『一之太刀!』と言うだけで、繰り出す技を勝手にプロミさんが、変化させてくれるんだぞ!
「ふん。所詮は単騎。馬鹿もここまで極めるとはな。流石、うつけの家臣よのう。まぁ、よくも左馬助を斬ってくれたな」
宗渭がそう言うと、一斉に馬廻りの兵がオレに槍を突き出してきた。
「覚悟ッ!!!」「その首、俺が貰い受ける!!」
ブゥンッ ブゥンッ ブゥンッ ブゥンッ
ガキンッ ガキンッ ガキンッ ガキンッ
「がははは!!芝田家 筆頭家老 小川三左衛門!只今参上ッ!!!三好のボンクラが!甘いわ!2度も我が君を負傷なぞさせるか!!!」
「信じてましたよ。小川さん!」
「がははは!ノア嬢が飛び上がった時は流石に驚きましたぞ!」
「チッ。新手か。皆の者──」「鉄砲隊に告ぐ!」
いつものような小川さんのバカ笑いの中、宗渭と義継の言葉が重なる。そして、義継が恐ろしい事を命令した。
「鉄砲隊に告ぐッ!!!急いでこの者達を撃てッ!!味方も気にせずに今すぐに撃てッ!!!大砲も俺達に気にせず撃てッ!!」
「で、ですが・・・」
「命令だ!撃てッ!!!!」
パンッ パンッ パンッ パンッ パンッ
「剣城様!屈んで下さい!!」「我が君の盾!この筆頭家老の前に鉄砲なぞ!無駄無駄無駄!!!」
小川さんは良いとして、後ろから聞き覚えのある声・・・。大野さんだ。
『ごっつぁんです』
ガキンッ ガキンッ ガキンッ ガキンッ
プスッ プスッ プスッ プスッ
「グハッ」 「グフッ」 「グヘッ」
「大野さん!?え!?それは・・・」
鉄砲は、小川さんに任せた例の成長する盾で防いでくれた。またお相撲さんのような声が聞こえたけど。だが、大野さんの武器・・・あれは明らかに・・・。
「え?これですか?これは先日、剣城様から頂いたトンベリ包丁なる武器ですよ?中々に斬れ味が良くてですな!それに刺すのにも程良いですからな!あのように兜だろうが、首当てだろうが貫けますよ」
いや、オレが聞きたいのはそこじゃない。トンベリ包丁は確かに渡したよ。オレの行きつけの飯屋を運営してくれているし、戦神様のサブスク武器の中に包丁があったから、特別に大野さんにだけ下賜したんだけど、それを武器で使うか!?違うだろ!?
いや、考えてはダメだ。感じるんだ!
「まぁ、ありがとうございます。助かりました」
「剣城様ッ!!遅れて申し訳ありません!寄る年波には勝てませんな!」
ボトッ ボトッ ボトッ ボトッ ボトッ
「はぁ!?野田お爺ちゃん!?」
「あぁ!!勘違いしねーで下さい!これはこの三好の阿保で糞で馬鹿で鼻糞目糞に、格の違いを見せつけようとですな・・・」
野田お爺ちゃんが放り投げた物・・・。首だ。しかも5人分・・・プラス、腰に紐で3人分の首がまだある。
「まさか・・・香西、有持、海部、一宮、中村・・・」
「ほぅほぅ。名前は知らぬが現場を纏めようとしていた者だったから、思わず討ち取ってしもうたわい!」
「クッ・・・。剣城殿。虫の良い話とは思いますが、一騎討ちを願いたい」
「貴様!何が一騎討ちだ!」
「望月さん、静かに。三好義継・・・。オレより若いから畿内の友達くらいには、と思っていたんだけどな。お前が三好家の中でどんな立ち位置かは知らないが、信長様の話を受け、こちら側に着いた時は中々先見の明があるな、と思っていたんだよね」
「・・・・・・・」
「オレは襲われても、刺されても、敵対していた人でも大概は許してきているんだよ。まぁ例外も居るには居るけどな。けど、裏切りは許すつもりはない。お前は確実に殺すぞ。義継!三好はお前の代で終わりだ。阿波か摂津か知らないけれど、魔境になろうがどうなろうが知ったこっちゃない。一騎討ち・・・受けてやるよ」
「「「剣城様!?」」」「我が君!?」
「ふふ。流石ですね」
「おい!義継!数の利はこちらにあるのだ!何を一騎討ちなぞと言っている!おい!今すぐ此奴等を討て!」
ブォンッ ブォンッ ブォンッ ブォンッ
ズシャッ ズシャッ ズシャッ ズシャッ
「叔父上!お辞め下さい!兵が無駄に死ぬだけです!剣城殿の家臣に数は関係ありません。剣城殿の兵は、1人で1000人分の力があると言われています」
「だが・・・」
パンッ ガキンッ ズシャッ
「小川三左衛門・・・剣城殿の横に常に居る者。死角から鉄砲で狙おうが、自らを盾にしてでも剣城殿を守る。そして、大野次郎左衛門・・・どんな距離に居ようが、瞬時に間合いを詰めて首を斬る。例え怪我をしても、あの後ろに居る白装束の女が忽ちに治してしまう。今回は見えないが、子飼いの剛力、金剛、隼人、大膳、鈴、鞠なんかも、先の戦では無類の活躍を見せた。それともう一人、今回は連れて来ていないように見えるが、大砲を運用する部隊の小泉伝七郎が居れば、既に我等は木っ端微塵となっている」
「本当に良く分析してるんだな。元から裏切るつもりだったのか?」
「どうでしょうね。某は養父とは違い凡庸ですからね。自分より能力が高い方の事はそれなりに分析して、物にしようと努力しているのですよ。さて・・・負けるつもりはありませんよ。剣城殿。貴方が負ければ貴方の家臣の人・・・甲賀隊は根斬りにします」
「ぬぁ!?貴様ッ!それでも三好家当主か!?一騎討ちで負ければ皆殺すだと!?我が君!我等も三好の兵は根斬りとしましょうぞ!いや、なーに!ワシの方天戟で屠りましょう!」
「小川さん、黙って」
此奴は何なんだ?オレをイラつかせたいのか?あまり喋らなかったけど、こんな奴なんかを、よく信長さんは味方に迎え入れたな。一刀で斬ってやる。
ザザ……ザザ……
急に周りが静かになった。自然とオレ達を中心に丸く皆が広がる。負ける道理は無い。プロミさんも絶好調。
「やぁぁぁぁ~~ッッ!!!!」
義継は、構えると同時にオレに突進してきた。それがオレにはやけに、スローモーションのように見えた。
「我が君ッ!!!」
~本圀寺正門~
「剛力と申したな?この土嚢袋なる物だけでこうも変わるものか?」
「えぇ。相手も数丁鉄砲は見えますが、まぁ、余程の名手じゃない限り当てられないでしょう。そもそも弾も真っ直ぐ飛ばないですしね」
「そうか」
「それにしても某達からすれば、明智様と細川様の殺し間でしたか?あれは物凄く脅威に思います。剣城様の隊で隼人という、鉄砲隊を率いている者が居るのですが・・・。あっ、あそこの櫓に居る奴です。奴もこれを見れば驚くかと。杉谷という名手も居るのですが、その者からもこのような戦術は、聞いた事がありません」
「私は凡庸でな。美濃でも、越前でも、ここ京でも鳴かず飛ばずでな。ただ、勉強は嫌いではないのでな。明の書物や鉄砲の可能性を信じ学んで来た。それで考え出した戦術だ。だが、理論では高低差のある所で敵を誘き出し、運用するつもりだったのだ。だが土嚢袋の影に潜み、あの美濃の坂井家に連なる若人が上手く隘路を使い、敵を誘い出す。それを利用させてもらっているだけだ」
「そうですか。もし、貴方が本気で織田家へと仕官されるならば、最新の鉄砲を融通しますよ。剣城様は何故か、貴方様の事をよく言っていました」
「最初にもそれを聞いたな。何故、数える程しか面識の無い私をそのように思うのか、不思議で仕方がない」
「某も何故かは聞いておりませんが、剣城様が言うには『信長様の無理難題を簡単に熟す人。織田家に必要な人』と、聞いております」
「何だ?予言のような物言いなのだな」
「偶に剣城様は、先の事が分かっているような口調の時があります。その時は我等も独自に動くのではなく、詳しく指示を受けるようにしております」
「一度、ゆるりと語ってみたいものだ。確実に言える事は、其方等を元草だと馬鹿になぞできぬという事だ。奉行衆や、そこら辺の武者、将なんかより、よっぽど凄まじい活躍をしている」
「お褒めの言葉と捉えます」
「やーい!見かけ倒しの三好のカッペ共が!まーだ我等を討ち取れぬのかー!?ほーら!ここまで来い!俺の首を取ってみよやー!!」
「明智様。また、敵が凝りもせず来ました。よろしくお願いします」
「ふん。あの坂井という若人も敵を怒らせるのが上手いな。ようこそ。明智が妙技、殺し間へ」
パンッ パンッ パンッ パンッ パンッ
「お見事です。あっ、明智様。間違っても坂井様を若人だと、侮らないようにして下さい。織田の大殿も剣城様も、一目も二目も置いている方ですし、坂井様と知り合ってから、我等の戦に全て参戦して頂いております。作戦成功率は100パーセントですよ」
「ひゃ、ひゃくぱあ!?何じゃそれは!?」
「あぁ。すいません。作戦の失敗が今まで一度も無いのですよ。あの坂井様は。そして、美濃に居たならば知っているでしょうが、あの美濃の御三方を手足の如く指揮し、戦の前の言葉闘いとくれば、凄まじい物があるお方ですよ」
「そ、そう・・・なのか?いや・・・剛力殿がそこまで言うくらいならば・・・。うむ。私の知っている美濃坂井家とは些か違うようだ。これは認識を改めねばなるまい。進言に感謝する。うむ。兵を指揮する者が居なければ、誠、烏合の衆とはこの事だな」
「出られますか?」
「そうだな。だが、我等は飽くまで防衛の任だ。攻めは其方等の殿の仕事であろう?」
「そうですね。そろそろ勝ち鬨が聞こえる頃合いかと。うん?」
「将軍の~御成~り~」
「ご、剛力殿!頭を下げよ!あの方が将軍だ!それにしても何故、今更出て来られたのか!?」
「・・・・・」
奥の菴で女を抱いて、蹴鞠をしていると聞いていたが、今更何故出て来たのだろうか?剣城様から『へっぽこ将軍』『ボンクラ将軍』と聞いては居たが、これは・・・。
「苦しゅうない!予は征夷大将軍 武家の頭領 足利義昭ぞ。この予が賊を打ち滅ぼしてくれよう!あれだけ多く居た敵兵は、我が威光にて攻めあぐねておる!」
「将軍様!流石で御座いまする!さぁさぁ。こちらへ。これで末端の兵まで士気が上がります!」
「明智か。なんぞ、こそこそと細川と作戦を立てているようだな。無用ぞ。我等こそが正道ぞ。真正面から敵を倒せ。今しがた、この横に居るのは、兄者も認めた上泉信綱公ぞ。この予の苦難の時に駆け付けて来てくれた勇士ぞ」
「まさか・・・本物・・・ですか!?」
「某が本物かどうかはさて置き。このような寡兵で衆兵を打ち破るには将軍が前に出て、末端の兵の士気を上げる事が肝要、と伝えただけ」
「うむ。流石、上泉信綱公よのう。じゃが、正義の我等が変な作戦を立てる事は好かん。うん?兵が少ないように見えるが、予の兵はどこぞ?」
「織田軍の芝田殿が率いて、打って出ております」
「打って出ただと!?馬鹿か!予を助けに来たというのに、その予に挨拶もせず打って出たと!?ここの守りが薄くなるというのが、その者は分からぬのか!?」
「恐れながら・・・。守るだけではいつか落ちます。ですが、その芝田殿は『勝てる』と言っておられました!」
「ふん。明智よ。学ばぬ奴だな。このような大軍相手に、生きて帰って来れる訳なかろう?ましてや、勝てるという事は三好を討ち倒すという事ぞ。信綱公はどう思うか?」
「勇ましい士であり、優秀な臣下を持っている士であり、無謀に見えるようでも、何かしてくれると思う将であります。某は芝田剣城という男は信用に足るかと」
「ふん。剣豪と名高い其方も、軍略に関してはまだまだだな。だが・・・もし、その芝田何某という馬鹿が見事、三好を打ち倒したとしても予の軍を勝手に使い、あまつさえ、予を無視して打って出た事は許せん」
バタンッ
「おい!そこの黒い服の者!頭が高いぞ!どこの誰だ?所属は?家は?」
「クッ・・・」「剛力殿。堪えろ」
「ったく・・・。剛力。これは貸しよ」
「ま、鞠!?何を!?」
「将軍様!!あんな下々の事なぞ、気にしなくてもよろしいではありませんか!敵は足利様の威光で、ここへは攻め立てられないようです!さぁさぁ。奥の間に・・・。私もそろそろ・・・お手付きに・・・」
「むほっ!ムホホッ!よ、良い!良いぞ!鞠!其方もようやっと触らせてくれるか!皆の者ッ!案ずるな!予が着いておるぞ!ははは!」
「「「はぁ~」」」
「明智様・・・あれが・・・」
「言うな。皆まで言うな。私も同じ事を考えている。だが、征夷大将軍はあの方だ。それより、あの鞠という女は構わないのか?其方の殿の配下なのだろう?」
「あぁ。あの鞠なら気にしなくて構わないですよ。ペタんこですが、将軍はそれなりに気に入っているみたいです」
「そ、そうか・・・」「鞠ちゃん・・・」
「おぉ。すまぬ。お主は清と申したな。後ろに下がって良い。ここは大丈夫だ。明智様が居る限り落ちる事はない。それより帰り支度の荷物でも纏めておけば良い。そろそろ剣城様が戻ってくるだろう」
「もし・・・そこの黒い装束の者よ。少しよろしいか」
「・・・・何でしょう?」
「さっき、裏手を指揮している金剛殿から聞いたが、其方が剛力殿か」
「えぇ。手前が剛力です」
「某が、将軍を焚き付け兵の士気を上げようとしたのだが、どうやら今代の将軍は・・・その・・・あれだ。兎に角・・・其方の殿を貶すような事を言わせてしまった。謝る。すまぬ」
「いえ。貴方様が、悪い訳ではございませぬ。寧ろ、剣城様を褒めていただきありがとうございます」
「礼を言われる事ではない。あの言葉は本音だ。部下にも慕われ、良い将だ。だが、流石に某も本当に打って出るとは思わなかったな。勝算はあったのか?」
「剣城様がよく言っている言葉ですが、『オレは石橋を叩いて歩く男だ。寧ろ壊れるぐらい叩いて歩く男だ』と。要は、剣城様は危ない橋は渡らないという事です。此度は剣城様は、『三好を殺す。裏切りは許さない』とおっしゃっておられました。断言される事の珍しい方がです」
「うむ」
「ですから、我等は静かに剣城様を見送りました。いつもは我等も着いて行くのですが、ここが落とされれば戻る陣が無くなりますから。それと・・・貴方様や明智様は卑怯と申されるやもしれませぬが、実は手前の配下も居ます故に」
「うん?其方の与力か?」
「与力というか・・・。まぁ武衛陣は某に任せていただいた訳ですが、その防衛隊が数名ですが手が空いています。これは剣城様にも知らせておりませぬ。万が一にも剣城様が死ぬ事は御座いませぬ」
「何か他にも作戦があるのか?」
「夢幻兵器・・・というのをお聞きした事は?」
「さっき知った」
「それは全て剣城様が齎した武器にございます。恐らくそろそろ、勝ち鬨が聞こえる頃ではないかと」
ドォォォ────ンッ!!
「ぬぁ!?」
「今の音は何だ!?敵の本陣の方から聞こえたぞ!?」
「剣城様!?まさか!?明智様!ここをお願いします!金剛!!」
「分かっている!御免ッ!!」
「叔父上!お待ち下さい!この方が、剣城殿本人です!」
クッ・・・。本当に裏切ってやがる。ってか、単騎・・・単騎!?後ろは!?うわ・・・。ノアがジャンプして来たせいか、マジでオレ1人じゃん。まっ、いいか。
「三好義継。三好長逸とお見受け致す」
確か、三好三人衆の筆頭が三好長逸だったよな。で、先の上洛戦で岩成何某って人は大砲か、鉄砲か何かで死んでたような・・・。うん。そう記憶がある。
義継の横で差配しているという事は、此奴が三好三人衆筆頭・・・。実質の大将か。それにしても、戦国時代風な言葉で相手に問い掛ける・・・。決まった。これは思いっきり決まったな。ゆきさんがこの場に居たら、オレの勇姿に惚れ直すだろうな。
「ふはははは!このワシが長逸だと!?ふんっ!笑わせるな!我こそは阿波三好宗家 三好宗渭であるッ!!」
クッソ!!ドヤ顔で『三好長逸とお見受け致す」とか言ったけど、間違えたじゃねーか!!恥ずかしいだろうが!!
「ぷっはっはっはっ!!貴様は殿と大殿の違いも分からんのか!!」
「黙れぇ~~ッッ!!!一之太刀ッ!!!」
ボッボッボッ ズシャッ
恐らく馬廻りだろうと思う兵の1人が、馬鹿にしたような口調で笑ってきた為、オレは恥ずかしさの限界となり斬った。笑い事じゃねーんだよ!折角、威圧言葉や戦国時代風の言葉を勉強してるというのに・・・。笑いやがって!此奴は後で農業神様に言って、来世では犬の糞に生まれ変わるようにお願いしてやろうか!?
"あぁ~・・・。堪らないねぇ~!もっと!もっと!血を!血を・・・"
プロミさんまで可笑しくなってきやがる。
「貴様ッ!!妖術使いか!?刀に炎だと!?小癪な!ワシ自らが・・・」
「叔父上!侮ってはいけません!剣城殿は見えない場所から武器や、片手銃を取り出す技が御座います!今は片手銃が見えません!ですが、あの刀は炎を纏わせる事のできる南蛮の刀です!」
おいおい。義継よ。よく先の戦でオレを分析しているな。関心するよ。だが、残念だな!トマホークMK-2は今は、ゆきさんの物だぜ?オレには数々の戦神様から、おやつと交換した武器や、サブスクしている武器が山程あるんだぜ!?
まぁ、オレには宝の持ち腐れだし、トゲトゲがある鎧とか使い道が無い装備もあるけどよ!それにプロミさんの本気はこんなもんじゃないぞ!
オレが『一之太刀!』と言うだけで、繰り出す技を勝手にプロミさんが、変化させてくれるんだぞ!
「ふん。所詮は単騎。馬鹿もここまで極めるとはな。流石、うつけの家臣よのう。まぁ、よくも左馬助を斬ってくれたな」
宗渭がそう言うと、一斉に馬廻りの兵がオレに槍を突き出してきた。
「覚悟ッ!!!」「その首、俺が貰い受ける!!」
ブゥンッ ブゥンッ ブゥンッ ブゥンッ
ガキンッ ガキンッ ガキンッ ガキンッ
「がははは!!芝田家 筆頭家老 小川三左衛門!只今参上ッ!!!三好のボンクラが!甘いわ!2度も我が君を負傷なぞさせるか!!!」
「信じてましたよ。小川さん!」
「がははは!ノア嬢が飛び上がった時は流石に驚きましたぞ!」
「チッ。新手か。皆の者──」「鉄砲隊に告ぐ!」
いつものような小川さんのバカ笑いの中、宗渭と義継の言葉が重なる。そして、義継が恐ろしい事を命令した。
「鉄砲隊に告ぐッ!!!急いでこの者達を撃てッ!!味方も気にせずに今すぐに撃てッ!!!大砲も俺達に気にせず撃てッ!!」
「で、ですが・・・」
「命令だ!撃てッ!!!!」
パンッ パンッ パンッ パンッ パンッ
「剣城様!屈んで下さい!!」「我が君の盾!この筆頭家老の前に鉄砲なぞ!無駄無駄無駄!!!」
小川さんは良いとして、後ろから聞き覚えのある声・・・。大野さんだ。
『ごっつぁんです』
ガキンッ ガキンッ ガキンッ ガキンッ
プスッ プスッ プスッ プスッ
「グハッ」 「グフッ」 「グヘッ」
「大野さん!?え!?それは・・・」
鉄砲は、小川さんに任せた例の成長する盾で防いでくれた。またお相撲さんのような声が聞こえたけど。だが、大野さんの武器・・・あれは明らかに・・・。
「え?これですか?これは先日、剣城様から頂いたトンベリ包丁なる武器ですよ?中々に斬れ味が良くてですな!それに刺すのにも程良いですからな!あのように兜だろうが、首当てだろうが貫けますよ」
いや、オレが聞きたいのはそこじゃない。トンベリ包丁は確かに渡したよ。オレの行きつけの飯屋を運営してくれているし、戦神様のサブスク武器の中に包丁があったから、特別に大野さんにだけ下賜したんだけど、それを武器で使うか!?違うだろ!?
いや、考えてはダメだ。感じるんだ!
「まぁ、ありがとうございます。助かりました」
「剣城様ッ!!遅れて申し訳ありません!寄る年波には勝てませんな!」
ボトッ ボトッ ボトッ ボトッ ボトッ
「はぁ!?野田お爺ちゃん!?」
「あぁ!!勘違いしねーで下さい!これはこの三好の阿保で糞で馬鹿で鼻糞目糞に、格の違いを見せつけようとですな・・・」
野田お爺ちゃんが放り投げた物・・・。首だ。しかも5人分・・・プラス、腰に紐で3人分の首がまだある。
「まさか・・・香西、有持、海部、一宮、中村・・・」
「ほぅほぅ。名前は知らぬが現場を纏めようとしていた者だったから、思わず討ち取ってしもうたわい!」
「クッ・・・。剣城殿。虫の良い話とは思いますが、一騎討ちを願いたい」
「貴様!何が一騎討ちだ!」
「望月さん、静かに。三好義継・・・。オレより若いから畿内の友達くらいには、と思っていたんだけどな。お前が三好家の中でどんな立ち位置かは知らないが、信長様の話を受け、こちら側に着いた時は中々先見の明があるな、と思っていたんだよね」
「・・・・・・・」
「オレは襲われても、刺されても、敵対していた人でも大概は許してきているんだよ。まぁ例外も居るには居るけどな。けど、裏切りは許すつもりはない。お前は確実に殺すぞ。義継!三好はお前の代で終わりだ。阿波か摂津か知らないけれど、魔境になろうがどうなろうが知ったこっちゃない。一騎討ち・・・受けてやるよ」
「「「剣城様!?」」」「我が君!?」
「ふふ。流石ですね」
「おい!義継!数の利はこちらにあるのだ!何を一騎討ちなぞと言っている!おい!今すぐ此奴等を討て!」
ブォンッ ブォンッ ブォンッ ブォンッ
ズシャッ ズシャッ ズシャッ ズシャッ
「叔父上!お辞め下さい!兵が無駄に死ぬだけです!剣城殿の家臣に数は関係ありません。剣城殿の兵は、1人で1000人分の力があると言われています」
「だが・・・」
パンッ ガキンッ ズシャッ
「小川三左衛門・・・剣城殿の横に常に居る者。死角から鉄砲で狙おうが、自らを盾にしてでも剣城殿を守る。そして、大野次郎左衛門・・・どんな距離に居ようが、瞬時に間合いを詰めて首を斬る。例え怪我をしても、あの後ろに居る白装束の女が忽ちに治してしまう。今回は見えないが、子飼いの剛力、金剛、隼人、大膳、鈴、鞠なんかも、先の戦では無類の活躍を見せた。それともう一人、今回は連れて来ていないように見えるが、大砲を運用する部隊の小泉伝七郎が居れば、既に我等は木っ端微塵となっている」
「本当に良く分析してるんだな。元から裏切るつもりだったのか?」
「どうでしょうね。某は養父とは違い凡庸ですからね。自分より能力が高い方の事はそれなりに分析して、物にしようと努力しているのですよ。さて・・・負けるつもりはありませんよ。剣城殿。貴方が負ければ貴方の家臣の人・・・甲賀隊は根斬りにします」
「ぬぁ!?貴様ッ!それでも三好家当主か!?一騎討ちで負ければ皆殺すだと!?我が君!我等も三好の兵は根斬りとしましょうぞ!いや、なーに!ワシの方天戟で屠りましょう!」
「小川さん、黙って」
此奴は何なんだ?オレをイラつかせたいのか?あまり喋らなかったけど、こんな奴なんかを、よく信長さんは味方に迎え入れたな。一刀で斬ってやる。
ザザ……ザザ……
急に周りが静かになった。自然とオレ達を中心に丸く皆が広がる。負ける道理は無い。プロミさんも絶好調。
「やぁぁぁぁ~~ッッ!!!!」
義継は、構えると同時にオレに突進してきた。それがオレにはやけに、スローモーションのように見えた。
「我が君ッ!!!」
~本圀寺正門~
「剛力と申したな?この土嚢袋なる物だけでこうも変わるものか?」
「えぇ。相手も数丁鉄砲は見えますが、まぁ、余程の名手じゃない限り当てられないでしょう。そもそも弾も真っ直ぐ飛ばないですしね」
「そうか」
「それにしても某達からすれば、明智様と細川様の殺し間でしたか?あれは物凄く脅威に思います。剣城様の隊で隼人という、鉄砲隊を率いている者が居るのですが・・・。あっ、あそこの櫓に居る奴です。奴もこれを見れば驚くかと。杉谷という名手も居るのですが、その者からもこのような戦術は、聞いた事がありません」
「私は凡庸でな。美濃でも、越前でも、ここ京でも鳴かず飛ばずでな。ただ、勉強は嫌いではないのでな。明の書物や鉄砲の可能性を信じ学んで来た。それで考え出した戦術だ。だが、理論では高低差のある所で敵を誘き出し、運用するつもりだったのだ。だが土嚢袋の影に潜み、あの美濃の坂井家に連なる若人が上手く隘路を使い、敵を誘い出す。それを利用させてもらっているだけだ」
「そうですか。もし、貴方が本気で織田家へと仕官されるならば、最新の鉄砲を融通しますよ。剣城様は何故か、貴方様の事をよく言っていました」
「最初にもそれを聞いたな。何故、数える程しか面識の無い私をそのように思うのか、不思議で仕方がない」
「某も何故かは聞いておりませんが、剣城様が言うには『信長様の無理難題を簡単に熟す人。織田家に必要な人』と、聞いております」
「何だ?予言のような物言いなのだな」
「偶に剣城様は、先の事が分かっているような口調の時があります。その時は我等も独自に動くのではなく、詳しく指示を受けるようにしております」
「一度、ゆるりと語ってみたいものだ。確実に言える事は、其方等を元草だと馬鹿になぞできぬという事だ。奉行衆や、そこら辺の武者、将なんかより、よっぽど凄まじい活躍をしている」
「お褒めの言葉と捉えます」
「やーい!見かけ倒しの三好のカッペ共が!まーだ我等を討ち取れぬのかー!?ほーら!ここまで来い!俺の首を取ってみよやー!!」
「明智様。また、敵が凝りもせず来ました。よろしくお願いします」
「ふん。あの坂井という若人も敵を怒らせるのが上手いな。ようこそ。明智が妙技、殺し間へ」
パンッ パンッ パンッ パンッ パンッ
「お見事です。あっ、明智様。間違っても坂井様を若人だと、侮らないようにして下さい。織田の大殿も剣城様も、一目も二目も置いている方ですし、坂井様と知り合ってから、我等の戦に全て参戦して頂いております。作戦成功率は100パーセントですよ」
「ひゃ、ひゃくぱあ!?何じゃそれは!?」
「あぁ。すいません。作戦の失敗が今まで一度も無いのですよ。あの坂井様は。そして、美濃に居たならば知っているでしょうが、あの美濃の御三方を手足の如く指揮し、戦の前の言葉闘いとくれば、凄まじい物があるお方ですよ」
「そ、そう・・・なのか?いや・・・剛力殿がそこまで言うくらいならば・・・。うむ。私の知っている美濃坂井家とは些か違うようだ。これは認識を改めねばなるまい。進言に感謝する。うむ。兵を指揮する者が居なければ、誠、烏合の衆とはこの事だな」
「出られますか?」
「そうだな。だが、我等は飽くまで防衛の任だ。攻めは其方等の殿の仕事であろう?」
「そうですね。そろそろ勝ち鬨が聞こえる頃合いかと。うん?」
「将軍の~御成~り~」
「ご、剛力殿!頭を下げよ!あの方が将軍だ!それにしても何故、今更出て来られたのか!?」
「・・・・・」
奥の菴で女を抱いて、蹴鞠をしていると聞いていたが、今更何故出て来たのだろうか?剣城様から『へっぽこ将軍』『ボンクラ将軍』と聞いては居たが、これは・・・。
「苦しゅうない!予は征夷大将軍 武家の頭領 足利義昭ぞ。この予が賊を打ち滅ぼしてくれよう!あれだけ多く居た敵兵は、我が威光にて攻めあぐねておる!」
「将軍様!流石で御座いまする!さぁさぁ。こちらへ。これで末端の兵まで士気が上がります!」
「明智か。なんぞ、こそこそと細川と作戦を立てているようだな。無用ぞ。我等こそが正道ぞ。真正面から敵を倒せ。今しがた、この横に居るのは、兄者も認めた上泉信綱公ぞ。この予の苦難の時に駆け付けて来てくれた勇士ぞ」
「まさか・・・本物・・・ですか!?」
「某が本物かどうかはさて置き。このような寡兵で衆兵を打ち破るには将軍が前に出て、末端の兵の士気を上げる事が肝要、と伝えただけ」
「うむ。流石、上泉信綱公よのう。じゃが、正義の我等が変な作戦を立てる事は好かん。うん?兵が少ないように見えるが、予の兵はどこぞ?」
「織田軍の芝田殿が率いて、打って出ております」
「打って出ただと!?馬鹿か!予を助けに来たというのに、その予に挨拶もせず打って出たと!?ここの守りが薄くなるというのが、その者は分からぬのか!?」
「恐れながら・・・。守るだけではいつか落ちます。ですが、その芝田殿は『勝てる』と言っておられました!」
「ふん。明智よ。学ばぬ奴だな。このような大軍相手に、生きて帰って来れる訳なかろう?ましてや、勝てるという事は三好を討ち倒すという事ぞ。信綱公はどう思うか?」
「勇ましい士であり、優秀な臣下を持っている士であり、無謀に見えるようでも、何かしてくれると思う将であります。某は芝田剣城という男は信用に足るかと」
「ふん。剣豪と名高い其方も、軍略に関してはまだまだだな。だが・・・もし、その芝田何某という馬鹿が見事、三好を打ち倒したとしても予の軍を勝手に使い、あまつさえ、予を無視して打って出た事は許せん」
バタンッ
「おい!そこの黒い服の者!頭が高いぞ!どこの誰だ?所属は?家は?」
「クッ・・・」「剛力殿。堪えろ」
「ったく・・・。剛力。これは貸しよ」
「ま、鞠!?何を!?」
「将軍様!!あんな下々の事なぞ、気にしなくてもよろしいではありませんか!敵は足利様の威光で、ここへは攻め立てられないようです!さぁさぁ。奥の間に・・・。私もそろそろ・・・お手付きに・・・」
「むほっ!ムホホッ!よ、良い!良いぞ!鞠!其方もようやっと触らせてくれるか!皆の者ッ!案ずるな!予が着いておるぞ!ははは!」
「「「はぁ~」」」
「明智様・・・あれが・・・」
「言うな。皆まで言うな。私も同じ事を考えている。だが、征夷大将軍はあの方だ。それより、あの鞠という女は構わないのか?其方の殿の配下なのだろう?」
「あぁ。あの鞠なら気にしなくて構わないですよ。ペタんこですが、将軍はそれなりに気に入っているみたいです」
「そ、そうか・・・」「鞠ちゃん・・・」
「おぉ。すまぬ。お主は清と申したな。後ろに下がって良い。ここは大丈夫だ。明智様が居る限り落ちる事はない。それより帰り支度の荷物でも纏めておけば良い。そろそろ剣城様が戻ってくるだろう」
「もし・・・そこの黒い装束の者よ。少しよろしいか」
「・・・・何でしょう?」
「さっき、裏手を指揮している金剛殿から聞いたが、其方が剛力殿か」
「えぇ。手前が剛力です」
「某が、将軍を焚き付け兵の士気を上げようとしたのだが、どうやら今代の将軍は・・・その・・・あれだ。兎に角・・・其方の殿を貶すような事を言わせてしまった。謝る。すまぬ」
「いえ。貴方様が、悪い訳ではございませぬ。寧ろ、剣城様を褒めていただきありがとうございます」
「礼を言われる事ではない。あの言葉は本音だ。部下にも慕われ、良い将だ。だが、流石に某も本当に打って出るとは思わなかったな。勝算はあったのか?」
「剣城様がよく言っている言葉ですが、『オレは石橋を叩いて歩く男だ。寧ろ壊れるぐらい叩いて歩く男だ』と。要は、剣城様は危ない橋は渡らないという事です。此度は剣城様は、『三好を殺す。裏切りは許さない』とおっしゃっておられました。断言される事の珍しい方がです」
「うむ」
「ですから、我等は静かに剣城様を見送りました。いつもは我等も着いて行くのですが、ここが落とされれば戻る陣が無くなりますから。それと・・・貴方様や明智様は卑怯と申されるやもしれませぬが、実は手前の配下も居ます故に」
「うん?其方の与力か?」
「与力というか・・・。まぁ武衛陣は某に任せていただいた訳ですが、その防衛隊が数名ですが手が空いています。これは剣城様にも知らせておりませぬ。万が一にも剣城様が死ぬ事は御座いませぬ」
「何か他にも作戦があるのか?」
「夢幻兵器・・・というのをお聞きした事は?」
「さっき知った」
「それは全て剣城様が齎した武器にございます。恐らくそろそろ、勝ち鬨が聞こえる頃ではないかと」
ドォォォ────ンッ!!
「ぬぁ!?」
「今の音は何だ!?敵の本陣の方から聞こえたぞ!?」
「剣城様!?まさか!?明智様!ここをお願いします!金剛!!」
「分かっている!御免ッ!!」
28
お気に入りに追加
597
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
執着系男子のオムニバス【R18】
栗原さとみ
恋愛
執着・溺愛・一途・強引愛の男子に、流されやすく快楽に弱い女子がいいようにされてしまうお話を集めました。1頁1話完結。1頁ごと単体で読めます。
それぞれのお話につながりはありません。
※頁の差し替えと、最新話の追加更新があります
①story.1とstory.3を入れ替えました。
②story.4は以前、短編で発表したお話ですので、ご了承下さいませ。
(R5.6月連載中に戻しました。)
③story.5を追加する予定は延期
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる