上 下
319 / 373
永禄の改革

即日落城

しおりを挟む
 「続けぇぇぇ~~!!え!?あっ!?え!?」

 「芝田様!?これは!?」

 「おーい!剣城!これはどういう事だ!?」

 颯爽とオレが先頭で観音寺城に突撃したわけだが・・・。うん。城兵はブルブル震えている。

 「ど、どうした!早く此奴を討ち取れ!!」

 「おい!剣城!あの後ろで1人士気が高い奴は昨日、一昨日とお前に弓を射った奴だぞ?討ち取るか?」

 「まぁあの人だけやる気ありそうですし、1人くらい討ち取らないと後で信長様に怒られそうだしね」

 慶次さんはこの圧倒的な戦には既に興味が失せているようだ。馬上にてこの時代の人では珍しいブラックコーヒーを飲んでいる。だいたいの人は甘々にして砂糖ドバドバミルクコーヒーを飲む人が多いのにだ。

 「池田勝三郎恒興只今参上ッ!!六角の兵めッ!!そこにおったか!!死ねいッ!!」

 ズドンッ

 「「「「「・・・・・・・・」」」」」

 オレ達第一陣が城門突破して間も無く・・・いや寧ろ2分と経っていないし、なんなら号令掛けてもないのに第二陣の池田さんの突撃だった。オレも含め、慶次さん、オレの側近として残った甲賀隊の黒川さん率いる300名、信長さんが与えてくれた兵の人達みんな呆気に取られた。明らかにオーバーキルだ。

 「グッ・・・な、なんのこれしき・・」

 「チッ。ワシとした事が抜かったか。まだまだ鉄砲は慣れぬな。誰ぞ!ワシの刀を!うむ!これだ!誰かは知らぬがその旗印は重臣だろう!首はいただくぞ!死ねい!」

 グサッ  ポトッ

 「おい!剣城!勝ち鬨だ!勝ち鬨をあげよ!」

 「え!?あ、はい!えいえいおー!えいえいおー!」

 「「「えいえい!!オーーッ!!」」」

 とりあえずオレが勝ち鬨を上げるとみんなも続いてくれる。オレもやる気になったところで美味しい所を池田さんが掻っ攫っていったわけだが・・・

 「遅い!突破してからいつまで待たせるつもりだったのだ!ちったぁ~いい激を飛ばしたかと思いきやすぐにこれだ!なんのためにワシがお前の下に着いたか分からんじゃないか?ん?まさかワシを手ぶらで帰すつもりだったのか!?ん?」

 池田さん的には2分にも満たない時間は長いらしい。この辺が信長さんとそっくりだ。

 「すいません!助かりました!さすが池田様です!誰かは分かりませんがこの討った者は慶次さんが言うには先日オレに弓を射った奴だそうです!」

 「ふん。他愛ない。この期に及んで言葉闘いの相手なんぞ興味もない。箕作城も既に落ちたらしい。他の者より手柄がないと舐められてしまうからな。久々に前戦を張ったが大した事のない六角兵よのう。おい!剣城!後は任せる!お館様をお呼びする準備をせい!」

 「あ!残りの兵の人達はどうしましょうか!?」

 「うん?そんなのワシの知った事か!大将はお前だろうが!好きにせい!」

 めんどくさい事だけオレにさせるのかよ!?もう勝ち確定ぽくなってるけど、まだ城の中掌握してないんだぞ!?

 
 「クッ・・・最後の一兵となろうとも少しでもお前達を道連れにーー」

 「あ、外の足軽の人達はみんな投降しましたよ?今頃、味噌汁とか飲んでるんじゃないかな?誰かは知りませんが城詰めだったのでしょう?それなりに有名な人じゃないんです?」

 「おーい!剣城!このおっさんも口で『最後の一兵まで』って言ってるんだからあの世に送ってやれよ?しっかし、観音寺城とは何もないところなんだな」

 「いや慶次さん!それは失礼だから!で、あなたはどうします?最後まで戦うと言うならオレが相手になりますが?あ、ちなみに昨日だったかな?偉そうに弓を射った人・・・足軽の人が言うには吉田重政って人なんでしょう?あの人が先に待ってますよ」

 「な、な、なんと!?吉田を討ったというのか!?」

 「だから言ったじゃないすか。オレは早く城を綺麗にしないといけないんです。将軍が待っているんです!やるのかやらないのかどっちですか!?」

 オレはこの誰なのか名前すら聞いていないおっさんに、戦神様のサブスクリプションで貰った蛇剣という蛇のようにうねってる剣を片手に持ち問いかける。

 「いや、ここはワシが六角家を裏切ればーーだが殿はワシに後を任して甲賀にーーこのまま待っていてもなにもーー」

 長い!長すぎる!この人は剣を突きつけられてる事が分かっているのか!?大概疲れてきたぞ!?

 「あぁ~もう無理!この剣重いんだよ!黒川さん!この人連れてって!反抗するようなら殺して、従うようなら他の人と同じように!切腹するというなら端の方でさせてあげて!残りの甲賀隊の人達は全力で掃除!拭き掃除!バフ掛け、ワックスも!後、芳香剤も忘れないように!」

 「「「「はっ!」」」」

 斯くして、戦闘開始即日に観音寺城は落ちた。こちらの損害は0。これは数字だけの意味でもなく、本当の意味で0。怪我人すらいない。
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

獅子の末裔

卯花月影
歴史・時代
未だ戦乱続く近江の国に生まれた蒲生氏郷。主家・六角氏を揺るがした六角家騒動がようやく落ち着いてきたころ、目の前に現れたのは天下を狙う織田信長だった。 和歌をこよなく愛する温厚で無力な少年は、信長にその非凡な才を見いだされ、戦国武将として成長し、開花していく。 前作「滝川家の人びと」の続編です。途中、エピソードの被りがありますが、蒲生氏郷視点で描かれます。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

剣客逓信 ―明治剣戟郵便録―

三條すずしろ
歴史・時代
【第9回歴史・時代小説大賞:痛快! エンタメ剣客賞受賞】 明治6年、警察より早くピストルを装備したのは郵便配達員だった――。 維新の動乱で届くことのなかった手紙や小包。そんな残された思いを配達する「御留郵便御用」の若者と老剣士が、時に不穏な明治の初めをひた走る。 密書や金品を狙う賊を退け大切なものを届ける特命郵便配達人、通称「剣客逓信(けんかくていしん)」。 武装する必要があるほど危険にさらされた初期の郵便時代、二人はやがてさらに大きな動乱に巻き込まれ――。 ※エブリスタでも連載中

処理中です...