戦国時代に迷子!?

デンデンムシ

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如月編

尾張の虎パン

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 「今日は尾張の虎パンだっけ!?変な名前だけど楽しみだなぁ~!」

 「おはようございます。朝食のご用意はできておりますよ?お一人様、5個までは宿泊代に入っております。それ以上は別途銭がかかります」

 「女将さんありがとうございます。分かりました!」

 食堂には、言葉は悪いがこの時代の人からすればかなり小綺麗な人達が居た。

 「あっ、もしや如月様ではございませんか?」

 「あ、はい。そうですけど?」

 「良かった!ここの女将様から聞いていたのです!女性のお客様が1組居るって!大橋小雪様は口癖のように『女性にはサービス!』と言われておりますので、本来なら1人5個までですが7個までどうぞ!」

 「えぇ!?そんなの悪いですよ!?」

 「大丈夫です!小雪様にキツく言われていますので!ただ・・・3人と聞いていたのですが・・・」

 「後の2人はまだ寝ています」

 「そうですか・・・」

 少し考え込んでいるみたいだから理由を聞くと、今日に関してはこの宿の客優先だが、パンだけ買いに来る人がいるらしい。だから先に宿泊してる人が好きなパンを取ってほしいとの事で、私は2人を起こしに行く。

 「リディア!てるちゃん!起きて!早くしないとパンなくなるよ!?私さっき見たけど本当に美味しそうだったよ!」

 「うにゃ・・・もう少し寝ましょ・・・パン!?そうだ!!パンだ!!てる嬢!!早く起きよう!!今日も食べよう!!」

 あぁ~あ。いつからこんな食いしん坊にリディアはなったんだろう?

 パンは現代パン屋にあるようなパンだ。この時代にこんな柔らかい上質なパンなんかない。それらが全て100円で売ってるということは小麦もここじゃないどこかで育てている。
 
 且つ、安定して生産できるって事だろう。羨ましい。私もこんな経営してみたい。出雲辺りと言ったけど、越前くらいくれないかな!?あそこなら暁君と近いから色々貰えそうよね!?

 それにこんなに発展してるなら海産物ならまだ期待できるけど黒曜石とか欲しいと思わないよね。どうしようか・・・作戦変更するべきか・・・。

 「美幸ちゃん!!ハムハムハム・・・このウィンナーパン美味しいですよ!!」

 「もう!リディア!ゆっくり味わって食べなさい!!」

 「いや言うだけの事ありますよ!このパンも隠岐で作りましょう!」

 「そうだね。帰って真似してみよっか!」




 「うわ!でっかい!!!」

 「美幸ちゃんの家とそっくりじゃん!!」

 「やっぱ出してたんだ。けど【誠のホーム】じゃないんだね」

 カンッ カンッ カンッ カンッ カンッ

 トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ

 私は暁君の家だと思うところに・・・思うのではなく確実に暁君の家に来ている。家の横にセバスチャンの工房が見える。やっと・・・やっとリズ以外の知り合いに会える・・・。

 「こんにちわ!」

 「う~ん?だ~れ?おや!?前右府ちゃんじゃないの!?」

 「セバスチャン・・・セバスチャン!!!会いたかった!!!」

 「どうしたのよ!?来たなら来たって教えてくれれば迎えに行くのに!!どうやって来たの!?」

 「うん?セバスチャン?暁様が帰って・・・如月じゃないか!?いやそれにしてはなんか女っぽい声のような・・・」

 「佐助君!!私よ!!私は女なの!ゲーム世界のあなた達は私の変声した声しか知らないけどこれが私の地声なの!佐助も会いたかったよ!!」

 「確かにゲームキャラだったと認識はあったけど今は暁様や他のみんなと変わらない者だと思っている。ところでどつやって来たんだ?」

 聞いて聞いて!!私達は・・・

 それから長い長い今までの旅の事を語った。この世界に落ちた時、日向に落ちた事。島津さん達と捨て奸を敢行した事、薩摩で少し過ごした事、リズは今は居ないけどリズと変わらずゲームのように暮らしている事、新しくできた仲間の事、隠岐での生活の事を包み隠さず全部を言った。

 「まぁまぁ!?前右府ちゃんは今、隠岐に居るのね!?こっちに引っ越してきなさい!佐助!喜助!ツェッペリンを出して引っ越しの手伝いをしてあげなさい!」

 「それなんだけど・・・セバスチャン?それに佐助君も喜助君も私の本名は美幸!これからは美幸で呼んでくれると助かるんだけど・・・」

 「そうだったのねぇ?分かったわよぉ?美幸ちゃん!」

 この粘っこい話し方・・・やっぱりセバスチャンだ!

 「セバスチャンありがとう。それと・・・私は隠岐が好きなの。引っ越すつもりはないよ。なんなら暁君達もこんなに好きにしてるなら私も下剋上して自分で領土を切り取ろうかしら?」

 「ちょ!私利私欲で国崩しをするつもりか!?」

 「そうだよ?だってここは、戦国時代でしょ?なら戦国しなきゃ!見た感じ武田と戦はまだなんでしょ?手伝うからその代わりーー」

 「終わったわよぉ?木っ端微塵にして倒したわよ?とりああず今は休戦中よぉ?上杉が味方になり武田を説得、殲滅戦までするのは暁ちゃんが許さなかったのよ。実入りも少ない地域だし、黒川金山とかあるけど金なんて今更だしね?」

 「え!?今更!?」

 「そうそう。物資として使えるのは使えるけど、暁ちゃんは今は下々の領民の生活の質を上げる事を頑張ってるわよ?そんな事より中に入りなさい!みんなを紹介するわ!」

 思ってた以上に良い岐阜や尾張はいい場所のようだ。
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