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 船の旅は非常に怖いものだった。オレが想像していた船とは程遠い小さな船で、横揺れが凄く沈没しそうで何回も魔馬と一緒に陸路で行けば良かったと思った。

 30分くらいだろうか。琵琶湖を東北の方角に進めると見えた。現在も長浜城は残っているだろう。残念ながら見物した事はなかったが、この城は一際凄い。何が凄いかっていうと・・・

 「明智様!?城の中にこの船が入るのですか!?」

 「あぁ。羽柴が初めて築城した城だ。張り切ってありったけの銭を使い築城したと聞いている。まったく小賢しい。石垣に淡海の水を入れて船で出入りできると聞いた時は馬鹿者と笑ったものだが水運が盛んな近江では理に叶っている」

 この明智さんが言った通り、城に近付くと小舟というのだろうか。その小舟がかなり行き交っている。城下の方も新しい家や堺や京ほどではないにしてもそこそこ人の往来が見える。

 城が眼前に見えるくらいになると、少し大き目の船が2隻現れた。

 「お待ちしておりました」

 「うむ。明智十兵衛、堺より客人を連れて参った」

 「畏まりました。これより羽柴藤吉郎がその任を引き継ぎ致します」

 これが普通の事なのだろうか、津田さん、千さん、今井さんは軽く頷いき平気な顔して船を乗り移った。オレはというと・・・

 「ちょ!津田様!揺らさないでください!落ちる!落ちる!」

 「なーにを言っておるか!?普通に乗り移れば良いではないか?」

 「カッカッカッカッ!山岡のあんさんは船に弱いようでんな!」

 「・・・・ふっ」

 いやいや千さんの鼻で笑うのだけはやめてくれよ!?

 「明智殿?この者が?うっ・・・なんか少し臭いますな」

 「臭う・・・か?私はそう思わないが?それとこの山岡殿は南蛮被れだと思っていたが侮る事なかれ。私の恩人でもある」

 「恩人?」

 そう明智さんと問答するこの人が後の豊臣秀吉なのかと思う。猿顔とはよく言われたのだろうがオレはそうは思わない。普通の中年のような人だ。

 「山岡尊と申します。よろしくお願いします。横はイシュ。私の長年の相棒であり伴侶でもあります」

 「ふむふむ。女連れとは・・・いや何でもない。日の本の言葉は話せるのか?」

 「イシュと申します。よろしくお願いします」

 「んほっ!!そうかそうか!まぁ我が長浜城まで来てくれ!明智殿!後はアッシが引き受けましょう!さぁさぁこちらへお乗りください!山岡殿!?少し話がある!」

 一通りの社交辞令挨拶が終わると羽柴さんはニタッと笑いオレの肩に手を組む。

 「では・・・山岡殿、また明日にな」

 明智さんはそう言うと違う方へと船を進めた。それと同時に羽柴さんがオレに耳打ちをしてきた。

 (他には南蛮の知り合いの'女'は居ないのか!?是非ともお近付きになりたいのだ!)

 普通の中年の人というのは撤回。女ったらしの中年の人だ。


 長浜城・・・豪華絢爛。活気に溢れている。誰もかれもが・・・

 「羽柴様!」「羽柴様!」「羽柴殿!」

 と、みんながみんなこの羽柴さんを慕っているように思う。なんなら、ボロに近い服を着てる人も普通に登城したりしている。いったいなんの人なのかが気になる。特に城下で目立っていたのが、恐らく鍛治師達だろう。至る所で煙が出て、カンカン音が聞こえる。

 石垣に囲まれている所に入り、そこに小舟を着けてもらう。

 「さぁさぁ堺茶衆の皆々様方!本日は長浜城にてゆっくり休んでくだされ!ほれ!」

 パン パン

 羽柴さんが手を叩くと、これまた若くて綺麗な女性と同じ人数の若い男も一緒に現れた。

 「アッシは若衆道は好かんが、皆々様も好みがありましょうや。選んでくだされ」

 ブッ!!男かよ!?オレは女が良いぞ!?


 長浜城の木札に大鶴の間と書かれた部屋へと案内される。さすが城とだけあって大津宿の上段の間なんかより数倍大きい。

 登城の時、大津宿のようにオレに充てがわれた可愛らしい女性に足を洗ってもらったが、言葉悪いがこの娘は残念だ。嘘でも愛想良くしてもらいたいものだがそんな事は一切ない。ムスッとして洗い方も雑だ。その点、男の子・・・年来は10歳くらいの子だろうか。
 本当はアイテムボックスに入れているから出す理由はないけど、信長への献上品として木箱に入れて、右手に持っていた荷物を大切に持ち運んでいるのだが、この男の子は率先して荷物持ちをしてくれる。しかもよく和服だが、その下の方の裾を捲ってオレに近付いてくる。まったくやめてもらいたい。少年愛はオレは持ち合わせていない。


 「いや~遠路はるばるよくぞ来てくれた!」

 「なんのなんの!羽柴はんと会うのもワテも楽しみにしてたさかい」

 「今井殿には世話になっているからアッシも張り切っておもてなししましょう!」

 「カッカッカッカッ!結構!結構!明智殿にも中々世話になったですからな!羽柴殿はどんな事をしていただけるのやら」

 「楽しみにしてくださら。千殿も津田殿も楽にしてください。ここを我が家と思うてもらって結構!まずは茶を飲みましょうぞ!唐物の茶道具を新調したのだ!是非見ていただきたい!さぁさぁこちらへ」

 忙(せわ)しい人だ。やっと座ったと思えばすぐに茶室にと案内される。が・・・オレは茶の作法を知らないため正直に伝える。

 「そうかそうか。山岡殿には今度アッシが教えてやろう!そこの!山岡殿を部屋へ案内してさしあげろ!」

 「はっ!」「はい!」

 先の男の子と女の子が同時に返事をする。女の子の方は・・・まぁないな。やっぱ愛想が良い子がオレは好きだ。

 「山岡様・・・」

 「はいはい。どうした?」

 「殿に山岡様の御荷物は大殿へと渡す物と聞いております。手前が明日まで命に代えてもお守り致す所存にございますれば」

 話し方が子供といえど武家のあれだ。それに命張るほどでもないんだけど。

 「いや、そこらへんに置いておいてくれていいよ?腐る物でもないし、オレの目が届く所ならいいから」

 「いえ!そういうわけには・・・」

 「そう。じゃあまた明日にでも渡してよ。オレは休むから君も自分のことしてていいよ」 

 オレがそう言うと、男の子はごく普通に褌になり始めた。いやいやマジでそんなつもりないんだけど!?いや・・・この時代ではBLもありえるのか!?


 
 パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン

 「竹さん・・・・」

 「・・・・・・」

 結局する事はする。オレは何でも味見するタイプだ。この前に起こった事を言おう。まず男の子の方は次郎君というらしい。オレの相手を命じられているそうだ。だがオレは若衆道は本当に遠慮願いたい。

 オレはイシュを伴侶と言っているが気にせず他の女性も抱いている。本物の皇女様やかつての仲間が今のオレを見たら幻滅するだろう。いや、そんな事は今はいい。イシュにもオレは既に確認している。だが、向こうの世界では強い男には何人も妻が居るのは当たり前の世界だった。それは人間に限らず、エルフ、ドワーフ、魔物とどの種族も強い雄に雌は群がる。

 だからイシュはオレが誰を抱こうが気にしないらしい。寧ろオレを知ってもらいたいらしくもっと抱いてもいいとまでいう始末だ。それなんてエロゲ!?状態である。だからといって、イシュを一人にさせるのは申し訳ないから、イシュも身体を交わせるのが好きみたいだからこの次郎君とかどう?とオレが聞いたのだが・・・

 「私はタケルだけでいいよ。タケルじゃないと身体は満足できても心は満たされないと思うの」

 と、かなり嬉しな事を言ってくれた。その時に、本当にオレが他の女を抱いても嫌じゃないのかと聞いたのだが即答・・・

 「嫌じゃない。もっと色々な女とヤッて。そしてその技を私がタケルにしてあげる」

 と、男としてかなり嬉しい事を言われている。どんどんオレが闇堕ちドクズになってきてるような・・・。

 それと、イシュも戦国時代を勉強してるせいか難しい言葉を覚えている。というか、進行形で色々勉強している。

 「タケルの世界のこの時代は武将という位になれば正室、側室と何人も女を囲うんでしょう?タケルもなりなよ!武将に!強いんだから!」

 と、少し勘違いしてるところはあるがぶったまげた事も勉強している。誰が好き好んで武将になるものか。

 パンパンパンパンパンパンパンパンパンパン

 「・・・・・・・・・うっ」

 そして竹さんだ。年齢も16歳前後だろうと思う。顔良し、身体良しだが・・・theマグロだ。紛う事なきマグロだ。時折り声は出ているが物足りない。本当に大きいかは分からないが桃源郷のみんなに大きいと言われているオレの愚息を持ってしても喘ぎ声を出してくれない。ちなみに前戯も何もしてくれなかったからオレも殆どしていない。

 かつて、とあるダンジョンのS級魔物のカイザーワームという魔物を討伐した時にその魔物が掘った穴に入ったのだが、見事討伐した折にその穴が崩落しオレはその穴に閉じ込められたのだが、その時に作った究極創造魔法 《ぺぺ》で脱出したのだ。

 このペペとは身体を粘液で覆う魔法だ。そしてオレはその究極魔法ペペで身体を滑らせて穴から這い出たのだが、まさか今も使うとは思わなかったぜ。何に使ったかって?そりゃ、竹さんの正規の穴にだ。パッサパサだったから究極魔法のペペを使い城門突破したのだ。

 「竹さん・・・パンパンパン・・気持ち良い?パンパン・・・ねぇ?パンパン・・・気持ち良い?」

 「・・・・・・・・う・・・はぁ・・・はん・・・」

 少し吐息のような声が聞こえるがやはりマグロだ。

 「イク・・・・」

 オレは静かに果てた。興奮のクソもなにもないただ動いてただけだ。この子はもういいや。最悪な男に聞こえるだろうがこれが本音だ。演技でもしてくれたり愛想良ければ何かお礼くらい渡したのに。

 (イシュ?この子は違ってた。イシュの方が10000倍良い女だよ)

 (そう・・・。今日は久しぶり夜は私とする?)

 (そうだな。この子が夜に来ても帰るように言うよ。それにせっかくだからフライで夜に少し空を飛ぶか?)

 (いいよ!)

 っぱ、これだよ。イシュの性格が分かりやすくて1番だな。
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