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 「あっ、いや・・・正吉君!?正吉さん!?ご、ごめん!!」

 「タケル様!俺は知らないすよ!」

 湯船に浸かり早々と俺を裏切る発言をする小太郎君。小太郎君は知っていたような発言だ。

 「なにごと!?タケル!?いま悲鳴が聞こえたわよ・・・タケル?」

 イシュが慌ててやってきた。服を持ってるオレ。正吉君?さん?は裸だ。しかも小太郎君は15歳くらいだろう。正吉君は中学生くらいのまだ子供の・・・女の子だ。

 「タケル・・・見損なったわよ!」

 「違う!イシュ!違うんだ!!」

 「タケルの旦那~?イシュの姐御~?なにやっ・・・タケルの旦那・・・さすがにアチキもこれは・・・」

 「いや違う!違うんだ!!」

 「タケル!覚悟しなさい!ヴァースクエイク!」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 「いや待て!待て!みんなを殺す気かよ!?」

 「ごめんなさい!!私のせいなんです!!!」

 




 「ったく!!酷い目にあったぜ」

 「それならそうとタケルの旦那も早く言えばよかったのに!」
 
 「いや何回も言ったよ!?」

 「まぁ、正吉君は実は女だったんでしょう?まぁ私は仕草や肌艶で分かっていたけどね」

 「アタイも!」「アチキも!」「ワッチもよ!」

 「嘘だろ!?オレはまったく分からなかったんだけど!?」

 「こんなに女に囲まれてるのに気付かなかったんだ?」

 いや、確かにサラシで胸は巻いていて、髪の毛もベリーショートだ。だが、坪内さんも何も言わなかったし、小太郎君も・・・

 「あぁ~!小太郎ちゃんのマラが大きくなってる~!」

 「うわぁ~!本当だ!あら?どうしたのかな?小太郎ちゃん?」

 「あ、い・・・いや・・・俺は・・・」

 「まぁこんな色気のある女性に囲まれたら男ならそうなるよな。小太郎君。アキさんにこの前渡した給金の半分渡したら相手してくれるかもしれないぞ?」

 「え・・・いや・・・」

 「アチキじゃ嫌なのかぃ?そりゃこんな形(なり)だけど優しくするよ?」

 「失礼しますッッ!!!」

 「あちゃ~。刺激が強すぎたか~」

 「年頃だからな。まぁもし本当にその気があるなら筆下ろししてあげてよ。小太郎君も悶々とするのは辛いだろうしね。早く大人の階段を登ってもらわないとな」

 「あのう・・・・」

 「あぁ~。ごめんごめん。それでなんで性別隠してたの?」

 聞けば、坪内さんが京に居る時に戦乱に巻き込まれ、家もなくなり、親も居なくなり途方にくれてたところ坪内さんに粥を貰ったそうな。それで頼み込んで何でも雑用すると言って拾ってもらったんだそうな。

 だが坪内さんは権力者にも料理を出すようになり、女の身分なら何かと不便だろうという事で男の格好をして男のように生きてきたと。小太郎君は事情を知っていたが誰にも言わないと約束してたそうでそれを守ってたんだそうだ。

 「ただ・・・」

 「ただ?」

 「小太郎は『タケル様は分かっている。俺たち二人を何も言わずに見た事もない銭までくれた方だ。言われないのは優しさだ』と言っていました」

 クッ・・・買い被り過ぎだ。マジで分からなかったぞ。

 「そうか・・・オレは分からなかったよ」

 「お願いします!!何でも致します!!ここに置いてください!!!」

 「へ?何言ってんの?それくらいで追い出したりしないし、むしろ良かったくらいだよ。ここは女性が働く所だからやっぱ同性の方がいい事もあるだろうしね」

 「そうさ!遊んでる途中に殿方がお腹空かすかもしれないからその時はあんたが運んで来てくれたら助かるよ!熊のおじさんはイヤらしい目付きするからね」

 「百合!ワテはそんな目でーー」

 「分かる~!この前の津田のとっつぁんが来た時なんて『寒くないですか?』なんて言って入ってきたじゃないさ!」

 熊五郎さん・・・覗きはよくないぞ!?

 「いやあれは・・・」

 「熊五郎さん・・・さすがのオレも引くよ・・・」

 「タケル殿・・・」

 「まっ、これから客が居るところは緊急時以外は入らないように。後、本当の名前はなんていうの?」

 「ミヤといいます・・・」

 「了解!これから正吉君はミヤちゃんになったからそのつもりで!ミヤちゃん?ここでは性別は隠さなくていいよ。女だからって差別しないから。なんなら女の方が得する事もあるかもしれないよ」

 「得ですか?」

 「うん。可愛い女の子が飯作ってるなんて知ればお小遣い貰えるかもね。ね?熊五郎さん!!この前、助五郎さんは貰ったよね!」

 「えぇ~!?熊のおじさんだけ狡い!!」

 「アタイ達は貰ってないんだけど!!」

 「タケル殿!?言わない約束では!?」

 「覗きをした罰だ!なんてうらやまけしからん!!」





 ~ミヤ目線~

 私はどなってしまうのだろう・・・。坪内様に拾ってもらい必死に料理を学ばせてもらった。その御恩に報いるため言われた事は必ずしてきたのに・・・。

 ここへ来る前・・・

 「ミヤ?山岡殿は差別される方じゃない。ましてや武家でもない。あそこで奉公しなさい。俺のところなんかよりよっぽど良い」

 「私は要らないのでしょうか!?」

 「そうじゃない。ずっと俺がお前を育てるにはいかない。お前は腕が良い。山岡殿は料理人を探していると聞いたけんな。津田さん覚えているやろ?あの方は人を見るのが上手い」

 「でも私はまだ・・・」

 「そんな事ない。京料理はまだかもしれんけんどまだ若いんだ。あそこで奉公するのがいい。女が多い場所だ。俺の所は男しかおらん。あそこで一人前になり俺がまだ見ぬ飯をいつか作ってくれ」

 
 いつか坪内様にお出しできるか・・・

 「へ?何言ってんの?それくらいで追い出したりしないし、むしろ良かったくらいだよ。ここは女性が働く所だからやっぱ同性の方がいい事もあるだろうしね」

 驚いた。坪内様に謝りに行かなければと思っていたのに、気にする素振りも見せず、むしろ喜んでくれているように見える。

 これからいつか私はここ桃源郷で堺1の料理人になってみせる!そして胸張って坪内様の弟子!と言いたい!

 それにしても・・・小太郎の珍宝は以前何回か立ち小便するとかって言ってチラッと見えた事あったけど・・・

 「あぁ~!タケルのマラも勃ってきてる~!」

 「おま・・・そりゃ横から触られたら勃つだろう!!イシュ!イシュは脱がなくていいから!」

 「タケル殿!羨ましいですぞ!」

 「熊のおじさん気色悪い。お金払われてもアタイはイヤだよ」

 「ゆ、百合・・・そこまで言わなくても・・・」

 クスッ。ここは面白いところだ。タケル様の珍宝があんなに大きいのは驚くけど。私にはまだ早い世界だ。
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