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ここへ来て特別遊撃隊の意味
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徳川軍を追いかけ出撃した。オレは佐久間隊の背中を見ている。どうやって行軍してるかって?もちろん今回は非常に大人しい黒王号に乗っている。
ワックス事件があってからも、オレは何度もプレミアムチモシーやリンゴを食べさせている。馬は賢い生き物だ。賢いから我(が)が強い一面もあるが、心通わす事ができれば犬と同じでかなり相性の良い相棒になるとオレは思っている。
ちなみに、馬場鞍だがネットショップで買おうとしたら50万近くしたためオレは驚いた。だが、フリマサイトで検索かけると、15万円代で売っていたため、オレ、あやめさん、慶次さん、竹中さんの分を購入した。非常に痛い出費だ。
だが、ビーチューブがかなり調子が良く、オレも何度か見たけど非常に上手く編集できてると思う。有沙さんが編集してるだろうと思うが、登録者も既に4万人はいっている。
里志君達が東京に戻りすぐの事だ。
「広告審査通ったからこれから毎月3等分した金額振り込みするよ」
と、言ってくれた。まぁだが今はまだ雀の涙程度の1万円だった。動画のネタとなる映像が然程撮れていないってのもある。まぁこれはこの戦の後に追々だな。
オレが黒王の頭を摩りながら乗馬していると、先駆けとして出て行った徳川軍の人達と合流した。なんでも、武田軍を捕捉したらしい。
だからバレないように静かに距離を詰めているところにオレ達が現れたのだ。場所は小豆餅と呼ばれる場所らしい。
オレからすれば雑草から木、森とどこ見ても同じに見える。
パカ パカ パカ パカ
家康さんが黒王より少し大きい白馬に跨りこちらへやってきた。
「徳川殿!!この武田軍相手にまさか仕掛けるおつもりか!?」
その後に及んで佐久間さんはまだ籠城作戦か!?
「殿・・・某も浜松に戻り籠城を進めます」
酒井さんも籠城を進めている。
だがオレは何を勘違いしてるのか、はたまた少し前に馬場信春を運良く討てたからだろうか、以前のような緊張や恐れが湧かない。まず後世にも名が残る御歴々の人達と肩を並べられている事こそ奇跡なのに。
「酒井や佐久間殿の言う事も分かる。だが、今背中に見えるは間違いなく信玄公の旗印。武田本隊は鳳来寺街道を北上していると報告を受けた。今ならば勝つる!」
「甘い!甘いですぞ!それこそ武田の罠やもしれませぬ!」
「佐久間殿のいう通り・・・万全を期すならば籠城一択だろう。だが、自分の国を踏み破って進む敵を見て大軍だからといって見過ごす事はできぬ。戦は兵の多寡だけで決まるものではない。天運次第だ!」
「若いですな。我が殿が言っていた事をお忘れか?」
「佐久間殿、先にも言ったとおりここは徳川軍だけで構わない。其方等織田軍は浜松にお帰りいただきたく」
「チッ。織田軍として援軍の責務は果たさねばならぬ。だが無駄死にだけは勘弁だ。無謀な突撃だけはご遠慮願いたい」
「分かっている。信玄公は浅井、朝倉、本願寺などと同盟し、その要請で三河から東美濃に出て京に向かうだろう。三方ヶ原から井伊谷に入り長篠から三河に向かうだろう。三方ヶ原の北に祝田坂がある。その坂を武田軍が半分降ったところで仕掛ける」
「ふむふむ。確かに武田軍がいくら精強だろうがその数が半分ならばまだ勝機がでてきますな」
「竹中殿はなにか他に作戦がお有りか?」
「いえいえ。我が織田軍 特別遊撃隊ですからね?ほら?ここに大殿からの書状がありますよ」
あ、確かそんな肩書きがあったような・・・
「確かにこの書状は織田殿の字だ・・・」
「合田殿はとある事で叱責されるため、もっと大きな手柄が必要なのですよ。ですから状況を見て、我等70名は好きに動きますよ」
「は!?竹中様!?聞いてないすよ!?」
「ほほほ。今しがた聞いたではありませんか?馬場何某の首だけで喜ぶようではまだまだですよ?」
「おい!竹中!いくらお館様の書状があるからといって好き勝手はーー」
「許す!ワシは合田殿の特別遊撃隊とやらを信ずる!好きに動いてよい!」
この軍事行動全体の総大将は家康さんだ。オレ達、援軍の総大将は佐久間さんだが、総責任者、総大将である家康さんが許可を出せばいくら佐久間さんでも口を挟めなくなる。
「チッ。好きにしろ!ワシは知らん!」
佐久間さんは不貞腐れてオレ達を無視し始めた。平手さんと水野さんは軽くオレの肩を叩いて頷いた。
「いいな。俺も特別遊撃隊とやらになりたいな」
「いやいやそんないいもんではないですよ?ほとんど竹中様が立案してくれているだけですし」
「いやその竹中殿が与力に居る事自体があり得ないのですがね」
オレは当たり前のように色々竹中さんに聞いているが、その昔まだ信長さんが稲葉山城・・・今の岐阜城だが、斎藤氏と戦っている時にその手腕を見込んで木下藤吉郎・・・今は改名して羽柴秀吉だが、その羽柴さんを使い三国志の諸葛孔明のように三顧の礼を以って迎えた将の1人だ。
その竹中半兵衛を与力につけるという事はそうそうない事らしい。むしろ初めてらしい。信長さんは好きな物、お気に入りな人は自分の手の届く範囲に置いておく人だ。
その信長さんが遣わせたこの竹中半兵衛・・・
「ほほほ。堅物殿も私なんかより優れた武勇をお持ちではありませんか?」
「いやいや、武勇を持っていたところでです。では、俺も配置につきます。何をされるか分かりませんが御武運を」
相変わらずのらりくらり会話をする竹中さんだが、意外にも武闘派なのだ。先の長篠でも一言坂でもかなりオレも助けられている。そして、乗馬も射撃演習も刀も嫌な顔せず色々教えてくれる、この時代の頼れる人だ。
「さて・・・私達は後方に下がりましょうかね。あそこの台地にちょうどいい草が生えています。あそこに行きましょうか」
ちょうど人間の背の高さくらいの草が覆い茂っている台地があり、そこへ向かった。
「竹中様?なにか勝手に話し進めていましたが?」
「ほほほ。これぞ千載一遇の好機。どさくさに紛れて武田信玄が首・・・合田殿が討ち取りましょう」
「は!?」
「お聞きなさい。これより私は武田軍の軍師として話をしましょう」
竹中さんはオレの未来知識を既に伝えてはいたが、それを差し引いても見事武田軍の術中にハマっていると言い切れるらしい。
まずオレ達の軍は武田軍を捕捉している。だが向こうも間違いなく捕捉しているだろうとの事。だが敢えて武田軍は気付いていない振りをしている。
「その証拠に見てみなさい。あの一際大きい旗印の軍を」
竹中さんが言ったのは、ついさっきまで武田菱の旗が固まりとなっていたが、今は少し散り散りになっている。つまり・・・
「どこかで陣を敷いているという合田殿の未来と同じですね。私が武田軍の軍師ならばあの祝田坂を降りるのではなく、それより更に西に進路を変えて大谷の地に向かいますな」
「なんでですか!?」
「武田1万の兵が展開できる場所がそこしかないからですよ」
「え!?なら早く徳川様に伝えないと!」
「無理でしょう。あの徳川殿は本気で気取られていないと思っているようです。それに伝えたところで感情で動いて居る者には言葉は通じないでしょう。ひと当てして浜松へ退くかそのまま野戦を仕掛けるかは徳川殿の腕の見せ所。恥を恥と思わず浜松へ退くのが正解」
「退かなければ!?」
「武田軍の機動戦に翻弄され、最悪は徳川殿は討ち取られるやもしれませんな。そこで・・・ここから織田軍の竹中半兵衛に戻りますね。徳川軍、我が織田軍の佐久間殿や堅物殿、水野殿が奮戦している中、70名程の我等が武田本陣に出現すれば?」
「マジすか!?」
「ほほほ。それは確か本当という意味の未来の言葉でしたね?未来の言葉を借りるなら・・・マジです」
急に竹中さんが真顔になった。
「うわ・・・」
「武蔵様!大丈夫です!私はどんな時もお側に居ます!」
「ふん。女に守られてるなら世話ないぜ?おい!武蔵!ここが勝負所だ!中々面白い作戦だ!これが成功すれば間違いなく第一功だ!」
「ほほほ。ですがこれは織田軍の皆さんの力も必要です。誰か1人でも欠ける事になると武田軍に余力が生まれます。つまり本陣が厚くなります。だから我等も最初は佐久間隊や平手隊に混じり矢弾を撃ち、存分に足軽を減らします。第二陣、後詰めまで動きだせば・・・後は本坂道を我らが降り・・・」
「オレが信玄を撃つ。そして討ち取る!ですか?」
「ほほほ。未来の言葉でこういう時はおうけい!でしたね?」
「オーケーですよ。分かりました!頑張りましょう!」
ワックス事件があってからも、オレは何度もプレミアムチモシーやリンゴを食べさせている。馬は賢い生き物だ。賢いから我(が)が強い一面もあるが、心通わす事ができれば犬と同じでかなり相性の良い相棒になるとオレは思っている。
ちなみに、馬場鞍だがネットショップで買おうとしたら50万近くしたためオレは驚いた。だが、フリマサイトで検索かけると、15万円代で売っていたため、オレ、あやめさん、慶次さん、竹中さんの分を購入した。非常に痛い出費だ。
だが、ビーチューブがかなり調子が良く、オレも何度か見たけど非常に上手く編集できてると思う。有沙さんが編集してるだろうと思うが、登録者も既に4万人はいっている。
里志君達が東京に戻りすぐの事だ。
「広告審査通ったからこれから毎月3等分した金額振り込みするよ」
と、言ってくれた。まぁだが今はまだ雀の涙程度の1万円だった。動画のネタとなる映像が然程撮れていないってのもある。まぁこれはこの戦の後に追々だな。
オレが黒王の頭を摩りながら乗馬していると、先駆けとして出て行った徳川軍の人達と合流した。なんでも、武田軍を捕捉したらしい。
だからバレないように静かに距離を詰めているところにオレ達が現れたのだ。場所は小豆餅と呼ばれる場所らしい。
オレからすれば雑草から木、森とどこ見ても同じに見える。
パカ パカ パカ パカ
家康さんが黒王より少し大きい白馬に跨りこちらへやってきた。
「徳川殿!!この武田軍相手にまさか仕掛けるおつもりか!?」
その後に及んで佐久間さんはまだ籠城作戦か!?
「殿・・・某も浜松に戻り籠城を進めます」
酒井さんも籠城を進めている。
だがオレは何を勘違いしてるのか、はたまた少し前に馬場信春を運良く討てたからだろうか、以前のような緊張や恐れが湧かない。まず後世にも名が残る御歴々の人達と肩を並べられている事こそ奇跡なのに。
「酒井や佐久間殿の言う事も分かる。だが、今背中に見えるは間違いなく信玄公の旗印。武田本隊は鳳来寺街道を北上していると報告を受けた。今ならば勝つる!」
「甘い!甘いですぞ!それこそ武田の罠やもしれませぬ!」
「佐久間殿のいう通り・・・万全を期すならば籠城一択だろう。だが、自分の国を踏み破って進む敵を見て大軍だからといって見過ごす事はできぬ。戦は兵の多寡だけで決まるものではない。天運次第だ!」
「若いですな。我が殿が言っていた事をお忘れか?」
「佐久間殿、先にも言ったとおりここは徳川軍だけで構わない。其方等織田軍は浜松にお帰りいただきたく」
「チッ。織田軍として援軍の責務は果たさねばならぬ。だが無駄死にだけは勘弁だ。無謀な突撃だけはご遠慮願いたい」
「分かっている。信玄公は浅井、朝倉、本願寺などと同盟し、その要請で三河から東美濃に出て京に向かうだろう。三方ヶ原から井伊谷に入り長篠から三河に向かうだろう。三方ヶ原の北に祝田坂がある。その坂を武田軍が半分降ったところで仕掛ける」
「ふむふむ。確かに武田軍がいくら精強だろうがその数が半分ならばまだ勝機がでてきますな」
「竹中殿はなにか他に作戦がお有りか?」
「いえいえ。我が織田軍 特別遊撃隊ですからね?ほら?ここに大殿からの書状がありますよ」
あ、確かそんな肩書きがあったような・・・
「確かにこの書状は織田殿の字だ・・・」
「合田殿はとある事で叱責されるため、もっと大きな手柄が必要なのですよ。ですから状況を見て、我等70名は好きに動きますよ」
「は!?竹中様!?聞いてないすよ!?」
「ほほほ。今しがた聞いたではありませんか?馬場何某の首だけで喜ぶようではまだまだですよ?」
「おい!竹中!いくらお館様の書状があるからといって好き勝手はーー」
「許す!ワシは合田殿の特別遊撃隊とやらを信ずる!好きに動いてよい!」
この軍事行動全体の総大将は家康さんだ。オレ達、援軍の総大将は佐久間さんだが、総責任者、総大将である家康さんが許可を出せばいくら佐久間さんでも口を挟めなくなる。
「チッ。好きにしろ!ワシは知らん!」
佐久間さんは不貞腐れてオレ達を無視し始めた。平手さんと水野さんは軽くオレの肩を叩いて頷いた。
「いいな。俺も特別遊撃隊とやらになりたいな」
「いやいやそんないいもんではないですよ?ほとんど竹中様が立案してくれているだけですし」
「いやその竹中殿が与力に居る事自体があり得ないのですがね」
オレは当たり前のように色々竹中さんに聞いているが、その昔まだ信長さんが稲葉山城・・・今の岐阜城だが、斎藤氏と戦っている時にその手腕を見込んで木下藤吉郎・・・今は改名して羽柴秀吉だが、その羽柴さんを使い三国志の諸葛孔明のように三顧の礼を以って迎えた将の1人だ。
その竹中半兵衛を与力につけるという事はそうそうない事らしい。むしろ初めてらしい。信長さんは好きな物、お気に入りな人は自分の手の届く範囲に置いておく人だ。
その信長さんが遣わせたこの竹中半兵衛・・・
「ほほほ。堅物殿も私なんかより優れた武勇をお持ちではありませんか?」
「いやいや、武勇を持っていたところでです。では、俺も配置につきます。何をされるか分かりませんが御武運を」
相変わらずのらりくらり会話をする竹中さんだが、意外にも武闘派なのだ。先の長篠でも一言坂でもかなりオレも助けられている。そして、乗馬も射撃演習も刀も嫌な顔せず色々教えてくれる、この時代の頼れる人だ。
「さて・・・私達は後方に下がりましょうかね。あそこの台地にちょうどいい草が生えています。あそこに行きましょうか」
ちょうど人間の背の高さくらいの草が覆い茂っている台地があり、そこへ向かった。
「竹中様?なにか勝手に話し進めていましたが?」
「ほほほ。これぞ千載一遇の好機。どさくさに紛れて武田信玄が首・・・合田殿が討ち取りましょう」
「は!?」
「お聞きなさい。これより私は武田軍の軍師として話をしましょう」
竹中さんはオレの未来知識を既に伝えてはいたが、それを差し引いても見事武田軍の術中にハマっていると言い切れるらしい。
まずオレ達の軍は武田軍を捕捉している。だが向こうも間違いなく捕捉しているだろうとの事。だが敢えて武田軍は気付いていない振りをしている。
「その証拠に見てみなさい。あの一際大きい旗印の軍を」
竹中さんが言ったのは、ついさっきまで武田菱の旗が固まりとなっていたが、今は少し散り散りになっている。つまり・・・
「どこかで陣を敷いているという合田殿の未来と同じですね。私が武田軍の軍師ならばあの祝田坂を降りるのではなく、それより更に西に進路を変えて大谷の地に向かいますな」
「なんでですか!?」
「武田1万の兵が展開できる場所がそこしかないからですよ」
「え!?なら早く徳川様に伝えないと!」
「無理でしょう。あの徳川殿は本気で気取られていないと思っているようです。それに伝えたところで感情で動いて居る者には言葉は通じないでしょう。ひと当てして浜松へ退くかそのまま野戦を仕掛けるかは徳川殿の腕の見せ所。恥を恥と思わず浜松へ退くのが正解」
「退かなければ!?」
「武田軍の機動戦に翻弄され、最悪は徳川殿は討ち取られるやもしれませんな。そこで・・・ここから織田軍の竹中半兵衛に戻りますね。徳川軍、我が織田軍の佐久間殿や堅物殿、水野殿が奮戦している中、70名程の我等が武田本陣に出現すれば?」
「マジすか!?」
「ほほほ。それは確か本当という意味の未来の言葉でしたね?未来の言葉を借りるなら・・・マジです」
急に竹中さんが真顔になった。
「うわ・・・」
「武蔵様!大丈夫です!私はどんな時もお側に居ます!」
「ふん。女に守られてるなら世話ないぜ?おい!武蔵!ここが勝負所だ!中々面白い作戦だ!これが成功すれば間違いなく第一功だ!」
「ほほほ。ですがこれは織田軍の皆さんの力も必要です。誰か1人でも欠ける事になると武田軍に余力が生まれます。つまり本陣が厚くなります。だから我等も最初は佐久間隊や平手隊に混じり矢弾を撃ち、存分に足軽を減らします。第二陣、後詰めまで動きだせば・・・後は本坂道を我らが降り・・・」
「オレが信玄を撃つ。そして討ち取る!ですか?」
「ほほほ。未来の言葉でこういう時はおうけい!でしたね?」
「オーケーですよ。分かりました!頑張りましょう!」
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