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陰陽の力
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本多さんに続いてオレ達の隊も秋葉街道まで後退したわけだが・・・前に見えるのは真っ黒な出立ちの武田軍だ。
そしてその中に何も着ていない、おっさんが居る。
だが、このおっさん・・・
「あれに見えるが馬場美濃守ぞ。合田殿よ?ハズレたな。だが、敵の回り込みを予見したのは素晴らしい」
「え!?小杉って人じゃなく馬場信春本人!?」
ここで少し焦る。史実では回り込みしてきた人は小杉なんとかさんって人だったはずだ。だがどうだろう?馬場信春が居るなんて・・・
「ほほほ。では取るべき道が決まりましたな」
「ははは!そうだな!武蔵!気合いを入れろ!1当てで敵の大将を狩るぞ!間違いなく大将首だ!あれを討つ事ができれば間違いなくーー」
「お館様に褒められますよ」
「あやめさんまで・・・。よっしゃ!やってやるぞ!!」
馬場信春・・・甲冑もなにも着ていないし、この回り込みの武田軍は500くらいは居るだろうか・・・だがその500人程の中で1番大きく見える。
ここが正念場だ。
「徳川軍のヒヨッ子どもッ!!!ここは通さぬ!通りたくばワシを倒してから通れぃッ!!不死身の鬼美濃とはワシぞ!」
拡声器を使ってるかのような声だ。しかも異名がこれまた不死身の鬼美濃と厨二病臭くカッコイイ。
「馬場美濃守殿とお見受け致す。どうしてもここを通してはくれぬか?」
「事ここに至ってそんな事を言うとは見損なったぞ?本多平八郎よ」
2人が向かい合うくらいまで近付いて言い合いをしている・・・。
この世界に来て意外な事実の一つだ。合戦とはいきなり始まるかと思いきや、意外にも示し合わせて始める事が多い。先触れや書状などで日にちを決めたりもする。
まぁ何もなしに始まる事もあるにはあるが・・・。今回がまさにそれだ。だが、この恐らく一言坂の戦いと後世で呼ばれる戦は行き当たりばったりな戦だけど。
そしてこの秋葉街道にて行われる一連の戦・・・なんとなく・・・本当になんとなくだがこの馬場信春を倒さないと帰れない気がする。
「え!?武蔵が死ぬのですか!?」
「えぇ。私の陰陽の術を使い見たのです。あの合田武蔵殿が亡くなれば色々不都合が多いのですよ」
「不都合ですか!?」
「はい。世界とは枝分かれしているものです。今この時あなたは私の話を信じず何もしない世界があるとします。でも、私の話を信じ合田武蔵殿を助ける世界があります。そうすれば二つの世界ができますね?」
「パラレルワールドですか!?」
「ほぅほぅ。今世ではぱられるわあるどと申すのですか。これまた一つ勉強になりました。まぁその捉え方で間違いないですよ」
「ちょ、ちょっと里志と安倍晴明様だけで話進めないでよ!そもそも何でこんな事が起こったのですか!?」
「あの合田武蔵殿の家にーー」
「違うわい!あれはワシの家じゃ!」
「・・・失礼。合田殿の家にある札・・・あれは本当にあの当時の私の力を最大限入れた札なのです。その札をあなたが触った事であなたにも刻渡りの力が備わってしまったと言えばいいですか」
「何で私にその力が備わるのですか!?」
「あなたの先祖は私の臣下の1人でしてね。陰陽道は今世では志す者も少なくなりましたがその血筋は本物でしてね。だからあの札を触った事をきっかけになったのかと推測します」
「あ!確かお婆ちゃんに聞いた事があったような・・・」
「ふふふ。その通りですよ。まあ話を戻します。その枝分かれした世界を管理するのが私です。ただ、これ以上世界を増やすのをなんとかしないと大変な事になるのですよ」
「大変な事!?」
「えぇ。世界は歴史の修正力と申しますか・・・元の本流に戻ろうとする力があります。それがどんどん世界が増え、戻ろう戻ろうとする力が大きくなると、違う世界が混ざり合い、捻り合う世界になったりします。そうなると同じ人物が2人居たりとおかしな世界になるのです」
「そんな・・・」
「だから私は事前にこうやって枝分かれした世界を増やす可能性のある者に道を示しています。合田武蔵殿を助けてくれませんか?」
「待ってください!もう一つ!俺達が武蔵を助けるのは当たり前として、なんでそんなに武蔵を助けるように仕向けるのですか!?」
「合田武蔵殿が亡くなればその捻り合う世界になるからですよ。あの合田武蔵殿が亡くなればこの今の世界は閉じます。そのくらいあの子には力が備わっているのですよ。まぁそれは武蔵殿のお爺さんのせいで後天的に力が備わったのですがね?」
「煩い!ヘボ陰陽師めが!おい!漆原!お前は小さい時よく武蔵と遊んでいただろう!その武蔵が危ないのだ!」
「分かってます!必ず俺と有沙が助けます!だからお爺さんは安心してください!」
「ふん!どうじゃ!ヘボ陰陽師!武蔵の友達は優秀なのだ!武蔵と同じで優しい奴ばかりじゃ!」
「ふふふ。分かりました。漆原殿?一ノ瀬殿?感謝しますよ」
「ってか、安倍晴明様!?助けるってこのドアがどうなるのですか!?」
「それは合田殿の家の入り口と同じですよ。行き先は同じ、ただ入り口が増えただけですよ。男女が交わるしがらみもありません。ただ・・・誰でもは通さないように。数人くらいならば問題ないでしょう。ですが、100名単位になると入り口が閉じる可能性があります。その辺は一ノ瀬殿にお任せしますよ」
「いや任せるって・・・」
「おい!ツベの大きい姉ちゃん!武蔵を頼むぞ!あいつはワシの大事な大事な孫だ!助けてやってくれ」
パチンッ
「また女の人を見たらすぐにお尻ばっかり・・・」
「ははは。刻渡りの術は中々に力の消費が激しい。二度と会う事はないでしょう。では御二人共に・・・十二分に頼みますよ。みんなに幸在らん事を・・・薩婆訶(そわか)!」
ピカーーーーーーーーーーーンッ
「「うわっ!!」」
「あ、有沙!大丈夫か!?」
「だ、大丈夫!それより・・・さっきのは夢!?現実!?」
「いや間違いなく現実だ。それより、早く準備しよう!安倍晴明が言った事が本当なら岐阜城に通じているはずだ!」
そしてその中に何も着ていない、おっさんが居る。
だが、このおっさん・・・
「あれに見えるが馬場美濃守ぞ。合田殿よ?ハズレたな。だが、敵の回り込みを予見したのは素晴らしい」
「え!?小杉って人じゃなく馬場信春本人!?」
ここで少し焦る。史実では回り込みしてきた人は小杉なんとかさんって人だったはずだ。だがどうだろう?馬場信春が居るなんて・・・
「ほほほ。では取るべき道が決まりましたな」
「ははは!そうだな!武蔵!気合いを入れろ!1当てで敵の大将を狩るぞ!間違いなく大将首だ!あれを討つ事ができれば間違いなくーー」
「お館様に褒められますよ」
「あやめさんまで・・・。よっしゃ!やってやるぞ!!」
馬場信春・・・甲冑もなにも着ていないし、この回り込みの武田軍は500くらいは居るだろうか・・・だがその500人程の中で1番大きく見える。
ここが正念場だ。
「徳川軍のヒヨッ子どもッ!!!ここは通さぬ!通りたくばワシを倒してから通れぃッ!!不死身の鬼美濃とはワシぞ!」
拡声器を使ってるかのような声だ。しかも異名がこれまた不死身の鬼美濃と厨二病臭くカッコイイ。
「馬場美濃守殿とお見受け致す。どうしてもここを通してはくれぬか?」
「事ここに至ってそんな事を言うとは見損なったぞ?本多平八郎よ」
2人が向かい合うくらいまで近付いて言い合いをしている・・・。
この世界に来て意外な事実の一つだ。合戦とはいきなり始まるかと思いきや、意外にも示し合わせて始める事が多い。先触れや書状などで日にちを決めたりもする。
まぁ何もなしに始まる事もあるにはあるが・・・。今回がまさにそれだ。だが、この恐らく一言坂の戦いと後世で呼ばれる戦は行き当たりばったりな戦だけど。
そしてこの秋葉街道にて行われる一連の戦・・・なんとなく・・・本当になんとなくだがこの馬場信春を倒さないと帰れない気がする。
「え!?武蔵が死ぬのですか!?」
「えぇ。私の陰陽の術を使い見たのです。あの合田武蔵殿が亡くなれば色々不都合が多いのですよ」
「不都合ですか!?」
「はい。世界とは枝分かれしているものです。今この時あなたは私の話を信じず何もしない世界があるとします。でも、私の話を信じ合田武蔵殿を助ける世界があります。そうすれば二つの世界ができますね?」
「パラレルワールドですか!?」
「ほぅほぅ。今世ではぱられるわあるどと申すのですか。これまた一つ勉強になりました。まぁその捉え方で間違いないですよ」
「ちょ、ちょっと里志と安倍晴明様だけで話進めないでよ!そもそも何でこんな事が起こったのですか!?」
「あの合田武蔵殿の家にーー」
「違うわい!あれはワシの家じゃ!」
「・・・失礼。合田殿の家にある札・・・あれは本当にあの当時の私の力を最大限入れた札なのです。その札をあなたが触った事であなたにも刻渡りの力が備わってしまったと言えばいいですか」
「何で私にその力が備わるのですか!?」
「あなたの先祖は私の臣下の1人でしてね。陰陽道は今世では志す者も少なくなりましたがその血筋は本物でしてね。だからあの札を触った事をきっかけになったのかと推測します」
「あ!確かお婆ちゃんに聞いた事があったような・・・」
「ふふふ。その通りですよ。まあ話を戻します。その枝分かれした世界を管理するのが私です。ただ、これ以上世界を増やすのをなんとかしないと大変な事になるのですよ」
「大変な事!?」
「えぇ。世界は歴史の修正力と申しますか・・・元の本流に戻ろうとする力があります。それがどんどん世界が増え、戻ろう戻ろうとする力が大きくなると、違う世界が混ざり合い、捻り合う世界になったりします。そうなると同じ人物が2人居たりとおかしな世界になるのです」
「そんな・・・」
「だから私は事前にこうやって枝分かれした世界を増やす可能性のある者に道を示しています。合田武蔵殿を助けてくれませんか?」
「待ってください!もう一つ!俺達が武蔵を助けるのは当たり前として、なんでそんなに武蔵を助けるように仕向けるのですか!?」
「合田武蔵殿が亡くなればその捻り合う世界になるからですよ。あの合田武蔵殿が亡くなればこの今の世界は閉じます。そのくらいあの子には力が備わっているのですよ。まぁそれは武蔵殿のお爺さんのせいで後天的に力が備わったのですがね?」
「煩い!ヘボ陰陽師めが!おい!漆原!お前は小さい時よく武蔵と遊んでいただろう!その武蔵が危ないのだ!」
「分かってます!必ず俺と有沙が助けます!だからお爺さんは安心してください!」
「ふん!どうじゃ!ヘボ陰陽師!武蔵の友達は優秀なのだ!武蔵と同じで優しい奴ばかりじゃ!」
「ふふふ。分かりました。漆原殿?一ノ瀬殿?感謝しますよ」
「ってか、安倍晴明様!?助けるってこのドアがどうなるのですか!?」
「それは合田殿の家の入り口と同じですよ。行き先は同じ、ただ入り口が増えただけですよ。男女が交わるしがらみもありません。ただ・・・誰でもは通さないように。数人くらいならば問題ないでしょう。ですが、100名単位になると入り口が閉じる可能性があります。その辺は一ノ瀬殿にお任せしますよ」
「いや任せるって・・・」
「おい!ツベの大きい姉ちゃん!武蔵を頼むぞ!あいつはワシの大事な大事な孫だ!助けてやってくれ」
パチンッ
「また女の人を見たらすぐにお尻ばっかり・・・」
「ははは。刻渡りの術は中々に力の消費が激しい。二度と会う事はないでしょう。では御二人共に・・・十二分に頼みますよ。みんなに幸在らん事を・・・薩婆訶(そわか)!」
ピカーーーーーーーーーーーンッ
「「うわっ!!」」
「あ、有沙!大丈夫か!?」
「だ、大丈夫!それより・・・さっきのは夢!?現実!?」
「いや間違いなく現実だ。それより、早く準備しよう!安倍晴明が言った事が本当なら岐阜城に通じているはずだ!」
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