ドア開けたら戦国時代!?

デンデンムシ

文字の大きさ
上 下
96 / 132

内乱の兆し

しおりを挟む
 9月29日・・・オレはこの日に到着するものかと思ったが勘違いしていた。この日に出発したということだ。

 しかも9月29日は金曜日・・・土曜日、日曜日と休みのオレは週末戦に参加となる。これまた凄いタイミングだ。

 どうやら、竹中さん含め佐久間さん、平手さん、オレ、水野さん。オレ以外はみんな後世に名前が残る人達が揃っている。

 現状、長篠城に居るのは竹中さんとオレ。ちなに当初は羽柴さん、森さんなんかもこちらに来る予定だったが、ファッキンサノバ浅井とファッキンサノバ朝倉が近江で軍事行動を始めたらしくそちらの対応になったのだ。

 佐久間さん、平手さんは浜松城詰め。特に信長さんは佐久間さんに家康さんが野戦を仕掛けないように見張るような役目も言われているらしい。

 そして水野さんは水野信元という人で、どうも尾張から三河にかけてそこそこの勢力を持つ総領らしくその一族総出で東美濃の岩村城を防衛しているとの事。

 やはり未来に伝わる説が本当のように思うが・・・だが・・・

 「報告します。武田本隊は昨日甲府を出発。総兵力8000は超えているかと・・・」

 「ふむ。どちらに向かっておるのか?」

 「はっ。青崩れ峠を越えるかと思われます」

 「う~む。巧妙な陽動か。念入りに3年も掛けて準備した武田信玄公がよもや8000の兵で進軍はせんだろう。やはり駿河から遠江に入るか」

 竹中さんはその説の方も分かっているような口振りだが・・・

 「し、失礼します!」

 「はいはい。どうぞ」

 「山県昌景の旗印、約3000がここ長篠に向かっております。明朝に相対するかと・・・」

 「うむ。よろしい!私の思惑通りだ。お前は休んでおけ!長篠の伝令兵はいつでも発てるように言っておけ!下がれ!そして、其方は小休止した後、再び浜松に出向いてもらう」

 「はっ。伝える事はなんでございましょう?」

 「我等も浜松に向かいます」

 テキパキと竹中さんが2人の伝令役の人に指示を出していたが耳を疑った。オレは長篠を守るかと思ったんだけど!?

 「竹中様!?オレ達はここを死守するのではなかったですか!?」

 「ほほほ。昨日も申したでしょう?あなたは小荷駄隊ですよ?それが大殿に任務報告もせず一度は帰宅・・・おっと失礼。なにか大きな手柄を立てなければ叱責だけでは済みませぬよ?それに事ここに至ってはあの軍神と言われるお方と何度も死闘を演じておられる武田・・・大きな作戦を立てなければ遠江は武田に取られてしまいます。そうなれば大殿と武田は向かい合う形になります」

 いや確かに長篠には奥平さんを残してオレ達は別働隊とかなんとか竹中さんが黒い笑顔で言ってたけどマジで浜松に向かうのか!?

 「まぁ武蔵もそう言うな!相手にとって不足なしだ!間違えて武田の首でも取ってみろ!特大な褒美が貰えるぞ!あっ、俺は山先30年物を5本で良いぞ!がははは!」

 「いやいや慶次さん・・・」

 「ふっ。安心しろ!俺が必ずお前を守ってやる!こう見えて俺は約束は守る男だ」

 「ワシも同じです。暫く同じ釜の飯を食べさせていただきました。まだその御恩に報いていない。この小川三左衛門!合田武蔵様の盾となりましょう」

 「右に・・・俺、小泉伝七郎も同じです」

 「野田一蔵も」「黒川吉之助も同じです」

 「みんな・・・」

 「私も妻として武蔵様をお守り致します」

 「あやめさん・・・」

 「ほほほ。役者は揃いましたね。まずは明朝現れると思われる山県隊を少しでも減らします。1当ての時にありったけの一ノ瀬嬢特製のてるみっと爆弾なるものをお見舞いしてあげましょう。奥平殿にはくれぐれも背後を気をつけておくように進言しておきます」

 「後もう一つ・・・・大殿からの援軍は一切来ないものとお考えを」

 いやまぁそこはなんとなく分かってはいたけど。

 「がははは!血が滾るな!小が大に勝つところを見せてやるか!」

 うん。オレも腹を括るか。


 9月30日土曜日・・・昨日の昼は普通に未来で仕事していたわけだが・・・これから戦が始まる。

 城内は明らかに二つの勢力があるように思う。一つは奥平さんを旗印とした徹底抗戦派。もう一つは菅沼さん達内通派だ。

 本丸の大広間にてみんなが集まっている中その人は現れた。

 「武田方、山県昌景の先触れが来たようです」

 「来たか。通せ」

 え!?普通使者とかそういう人ってその場で追い返したりするもんじゃないの!?

 すると竹中さんが耳打ちしてきた。

 「これから先はいつでもこの長篠から移動できるように。1当てした後、菅沼は動きますよ」

 「武蔵様。必ず私がお守り致します。存分に」

 「ほほほ。さて・・・我等は援軍ですからな。持ち場に先に着いておきますよ」

 竹中さんがそう言って部屋を退出しようとした時、奥平さんと目が合い、軽く頷かれた。

 不覚にもハリウッド俳優かのようにカッコよく見えた。いつかオレも誰かにしてみようと思う。

 以前甲賀村の有名な鍛治の人に仕立ててもらった甲冑を着て、右手にはレミントンm870、弾は100発、弾薬ポケットに入れてある。更にあやめさんには今一度、田中さんから借りているベレットm686を渡している。

 オレの右に慶次さん、左にあやめさん、伊織さん達だ。

 外に出て木柵の前に並んだが・・・

 「ヤバッ・・・マジで3000人くらい居るんじゃない!?」

 「なーにを呑気な事言ってんだ?あいつ等を減らすのが俺達の仕事だろう?まぁ、先触れの使者が帰ってからだ。菅沼殿はもう決まっているだろうがな」

 「ほほほ。そういう事ですよ。合田殿?存分にてるみっと爆弾を頼みますよ」

 ダンボールに入れられた空き缶爆弾・・・通称テルミット爆弾。有沙さん特製だがその数、長篠だけで100個はある。ちなみに、例のダンダンダン♪ダンキー♪でお馴染みのお店で購入したスマホの三脚にてネット通話をしている。

 もちろん、里志君とだ。時代を越える2.4GHz。バンザイだな!

 『うわ!本当に敵が居るじゃん!』

 「そうだって!今から有沙さんが作った爆弾使うんだよ!?」

 『威力は申し分ないよ!ってか、長篠城ってそんな風になってたんだ?初めて見た!』

 そりゃあ初めてネットテレビ電話してるからな。

 「がははは!てれふぉんだったか?これは本当に凄いな!城と城で繋がるなら伝令が要らなくなる代物だな!」

 『慶次さん!これはドアから近いところしか繋がらないですよ!』

 「分かってるって!おい!漆原!刮目しておけ!武蔵の初陣だ!ちゃんと録画っちゅうもんもしてるんだろう?動画だったか?の配信して銭稼ぐんだろう?上手くいけば山先30年を送ってくれ!」

 『はいはい!分かりましたよ!』

 いやいや慶次さんは電話に慣れすぎだろ!?しかもなんでテレフォンなんだよ!?しかも録画までする気なのか!?オレが映ってしまうのか!?

 『武蔵!編集は上手くやるから派手に頼むぜ!』

 クッソ!他人事だと思いやがって!

 オレ達が束の間の談笑をしていると先触れ役の人がオレ達の方を見てかなり驚いた顔しながら戻っていった。そして間も無く・・・

 「開門!馬防柵を除けろ!長篠城開門致す!」

 「はぁ~。やはりですか。合田殿?予想通りになりました。私達は私達で敵を1当てで減らしますよ?合図お願いします」

 「はい!?もう始まるのですか!?いいんですか!?」

 「先手必勝。さぁ!今です!」

 不覚にも竹中さんがグーゼを前に振った姿が某三国志ゲームの諸葛亮かのように見えた。後ろの城も騒がしくなっている。もし開城するようなら菅沼さんを斬るような手筈となっていたからだ。

 『武蔵・・・』『合田君・・・』

 後ろでは里志君と有沙さんで時代を超えた2.4GHz帯で見てくれている。

 「すぅ~~~~・・・・はじめます!まずは横一列から斉射を始める!構えッ!!!」

 甲賀村の人達と竹中さんの私兵、総勢70人。歴史にない戦が今始まる。

 「撃てッッ!!!」

 パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~

橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。 記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。 これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語 ※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

織田信長 -尾州払暁-

藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。 守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。 織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。 そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。 毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。 スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。 (2022.04.04) ※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。 ※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。

銀河戦国記ノヴァルナ 第3章:銀河布武

潮崎 晶
SF
最大の宿敵であるスルガルム/トーミ宙域星大名、ギィゲルト・ジヴ=イマーガラを討ち果たしたノヴァルナ・ダン=ウォーダは、いよいよシグシーマ銀河系の覇権獲得へ動き出す。だがその先に待ち受けるは数々の敵対勢力。果たしてノヴァルナの運命は?

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

処理中です...