ドア開けたら戦国時代!?

デンデンムシ

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社長の秘密

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 「そういう事だから来週はちょうど1週間お休みになるから、そのつもりでね?店舗がお休みの間に合田君が提案した農業プロジェクトも進めていこうと思っているの」

 「はい。分かりました」

 「それにしても顔が疲れているわね?休みの時なにかしたの?」

 「いえ、特にはしていません」

 オレは今社長と話している。結局昨日はあやめさんにアレコレ体を触られ採寸され愚息が反応していたがなんとか我慢した。

 甲冑を作ってくれるという梅吉おじさんという人は甲賀の人達の戦闘服とか装備品などを作る、その稼業の人達にはかなり有名な人らしい。

 挨拶くらいしておこうかと思いお願いしてみたが、基本客には顔を合わせず特定の人物と会うだけで、お金だけのやり取りに徹しているそうだ。

 「そう。まあ暫くは休んでちょうだいね?2週間後にはあなたも農業を学んで貰うからね?池田さん覚えているでしょ?池田さんの知り合いを通して農地の話を進める事ができたのよ」

 「そうなんですか?池田さんって凄い方ですよね!」

 「顔が広い人よね~。それよりあなたは私のお店から色々購入してくれてるじゃない?」

 「台車の事ですか?」

 「そうそう。発注書みたけどあなたの名前でビックリしちゃったわ」

 「はい。荷物を運ぶのに便利かなと思いまして。友達も購入しましたので一緒に自分の名前で注文しました」

 「なにを運ぶのか分からないけどありがとうね。そうね・・・あなた明後日、仕事の後とか空いてる?」

 「明後日ですか!?予定はないですが・・・」

 「よかったわ!じゃあ決起集会でもしない?遠藤君も呼ぶからそのつもりでね?」


 大変な事になってしまったな。ただの思いつきを言っただけなのにとんとん拍子に話が進む・・・しかも決起集会って・・・もう逃げられないじゃないか・・・。

 7月2日水曜日、夏日に近くなったこの日の夜オレは人生初の友達以外との会食に向かう事になる。

 ちなみに田中さんはバイトだから有給を消費しなければならないのだが、長年の功績のためか来週まで普段シフトで入っている分の給与は払って貰えるらしい。

 もちろん田中さんは戦国時代に行っている。戦国時代でキャッキャッしているだろう。戦国でも現代でもオレの家を使っていいと伝えてはいる。

 そして、動画撮影に関してはあやめさんにお願いしている。ちなみに里志君達はまだ夢の国から帰っていない。思わぬ大金を手にしたせいか遊び惚けているのだろうか。

 ただ、メールで『もっと凄い事考えているんだ』とオレに送ってきたくらいだからまた何かしようとしているんだろう。

 「ここよ!ここ!私がお世話になっているところなの」

 連れて来てくれた場所はオレなら一生行く事のできないであろう回らないお寿司屋さんだった。ちなみに移動はタクシーだ。メンバーは社長、店長、オレだ。本当は田中さんも呼ぶ予定だったらしい。アドバイザーに就任してもらうつもりだったらしいが休んでいるため呼ばなかったそうだ。

 田中さん!残念だったな!また出世できなくなったぞ!!

 店の中は雰囲気で言えば・・・オレが来るような場所ではない。それしか言いようがない。まず、ほぼほぼカウンター席。奥に仕切られた場所に座敷があるが、オレ達はそこに通された。

 「大将!お任せでよろしく!」

 「由佳ちゃん!いつもありがとうな!任せな!」

 初めて社長の名前聞いたよ。名前だけで言えば若いな。ってか今思えばオレ社長の事あまり知らないや。


 決起集会とはなんぞや?と思う。オレはてっきり業務の事を詳しく言うのかと思ったが・・・・

 「キャハッ♪もう遠藤君!飲ませすぎよ!?あなた奥さん居るんでしょ?私をどうにかす・る・気?キャハッ♪」

 オレは悪魔を見ているのか・・・。最初はビールを注文してオレもチビリチビリ飲んでいたのだが、社長が日本酒を飲み出してから変わった。

 店長も店長で社長にお酌をして、オレもお酌をして・・・こうなった。社長は酒が入るとキャピキャピ系になるみたいだ。オレは少し引いている。

 「2人とも!!これからもあのお店を頼むわよぉ~♪」

 「社長!?飲み過ぎでは!?」

 オレは本当に心配した気持ちで言ったわけだがこれが社長の何かのスイッチを入れたらしい。

 「合田君は優しいのね?こんなおばさんの心配してくれるなんて・・・よぉ~し!合田君!もう1件付き合ってもらうわよ!遠藤君は奥さんが待ってるんだから帰りなさいよ!」

 はい。夜中帰り確定となりました。今日は戦国は無理だな・・・。

 このお寿司屋さんは凄かった。何が凄いかとは言えないがとりあえず凄かった。味は一流。最早芸術に近い寿司だった。だが、オレは回転寿司の方が気兼ねなく食べれるからそっちの方が好きという事が分かった。

 「合田君?社長を頼むよ?ちなみに僕も若い時朝まで付き合わされた事があるから頑張ってね?僕は帰るよ!」

 「マジすか・・・」

 朝までとか勘弁してほしい・・・明日もオレ仕事なんだけど・・・。

 そのまま店長と別れ寿司屋を出る。ちなみにお会計は社長のセンチュリオンマークのカードでのお支払いだった。オレは出さなくていいそうだ。一応、オレが持ってる現金200万はリュックに入れては来ていたのだが・・・。

 2件目はバーだった。ここも知り合いのところらしく、マスターが1人でしてる小さなバーだけどおしゃれなお店だ。

 「由佳ちゃん久しぶりだね~!いらっしゃい!」

 「マスター!お店の若い子よ!中々新鮮な子なのよぉ~」

 「だいぶ酔っているんじゃないですか?こちらへどうぞ」

 そこからは色々な話を聞いた。店を立ち上げた経緯や色々な他の仕事の事なんかもだ。車販売、ホームセンター、マンション経営など聞けば聞く程、この人は凄い人だという事が分かった。

 「ゴホッ ゴホッ・・・」

 「社長!?大丈夫ですか!?」

 「あら?合田君優しいのね?咽せただけよ?マスター!カクテルが飲みたい!」

 「由佳ちゃん?そろそろやめておいた方がいいんじゃない?今日は相当ペースが早いよ?」

 「いいじゃない!久々なんだから!」

 朝までではないがバーでかなり飲んでいた。オレは見送りがあるからマスターに途中から酒ではなく炭酸水を入れてもらっていた。ちなみにここのお会計もセンチュリオン輝くカードだった。

 「合田君・・・無理・・・歩けない・・・」

 勘弁してくれよ・・・いくら社長といっても50も過ぎてる女性だぞ!?

 「社長!タクシー捕まえますのでお一人でーー」

 「グスン・・・」

 は!?なんで泣いてんの!?なにこの人!?

 「そうやって男は私をお金だけでしか見てくれないのよ・・・」
  
 「社長!?酔い過ぎです!じゃあオレが送ります!住所言ってください!」

 オレはタクシーを捕まえ乗る事にした。

 「お客さん?どちらへ?」

 「社長!家はどこですか?」

 「もう!合田君ったら!私の家を聞いてどうするのよ?抱きたいの?」

 は!?無理!無理!戦国時代へ行けなくなるじゃないか!

 「お客さん!冷やかしですか!?」

 「す、すいません!社長!笑いなしで住所は!?」

 「エクスパタワーの805号室・・・」

 は!?エクスパタワーってあのクソでかいタワーマンションか!?あんなところに住んでんの!?

 「運転手さんそこにお願いします。社長?今日はごちそうさまでした!後は大丈夫ですね!?」

 「大丈夫よぉ~キャハッ♪」

 信長さんも大概怖いがオレは違う恐怖を感じてしまった。
 
 とりあえず社長と飲みに出掛けるのは気をつけよう。

 オレもタクシーで家に帰った。そして家に到着すると田中さんがなにやら工具を持ち出して色々作っていた。

 「おや?遅かったんだね?おかえり!」

 「ただいまです。田中さんなにしてるんですか?もう日付け変わってますよ!?」

 「うん?これが小型水力発電だよ。用水路の流れに設置してこの羽が回るんだよ。羽の中にコイルが入っているからそれで電気が発生するんだよ」

 オレは思った。バイトリーダーじゃなく理科の先生にでもなればいいのにと・・・。
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