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爺ちゃんと婆ちゃんの出会いそして秘密2

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 「なんだ!?おめーは誰だ!?」

 ブゥォーーーー!!!

 「おい!熊撃ち!そいつに話は通じん!人里に降りて人間を喰らう妖怪だ!!!」

 「あん?人間を喰らうだと!?鬼みてーなツラしやがって偉そうに!ミロクの餌としてやろうか!」

 パンッ パンッ

 「な、なんの音だ!?」

 「渡辺と言ったな?ワシのミロクの音だ!気にするな!」

 グゥォォォォォーーーー!!ガシャンッ!ドガンッッ!

 「チッ。肉は貫通するが痛がる素振りはせんか。化け物か・・・」

 オレは食い入るように見ている。これは爺ちゃんの昔の映像だろう。現にオレの横に爺ちゃんが居て、鬼と戦ってる爺ちゃんも居る。

 そして再び場面が変わり、数件あった家は木っ端微塵となっていた。鬼は3体居たが2体は倒れている。そして残りの一体を安倍晴明?が変なお札を投げ付け倒したところで、さっき聞いた鳴き声の100倍くらい禍々しい音が聞こえた。

 グヌゥォォォォォォ!!!!!!

 「出やがったか!あれが親玉だ!皆の者!今一度奮戦せよ!もう一度呪文を唱える!」

 バギャァン!!

 そこに現れたのはさっき居た鬼達より数倍体の大きい鬼だ。しかも角まで生えている。まんま鬼だ。

 「おい!卜部!民家の者は避難させてあるのだろう!?」

 「はい!抜かりなく!」

 「キャァーーー!!!」

 「なんだと!?人が居るぞ!!卜部!どういう事だ!?」

 「ワシが助けてくる!卜部!渡辺!注意を引いてくれ!」

 「お、おい!?熊撃ち!?」

 グヌゥォォォォォォ!!!

 バァァァァンッ

 「おい!デカブツ!お前の相手は後でワシとこのミロクでしてやる!少し待ちやがれ!!」

 「おい!鬼!お前の相手は俺だ!!熊撃ち!俺のせいだ!すまん!民を助けてやってくれ!」

 そこでまた場面が変わった。

 「おい!女大丈夫か!?」

 あっ!婆ちゃんだ。オレは見た瞬間に分かった。今も爺ちゃんの横に静かに婆ちゃんが居るが少し涙ぐんでいるのが分かる。

 映像?の婆ちゃんは恐怖でガタガタ震えているようだ。

 「おい!聞いているか!?おい!ここに居れば死ぬぞ!歩けるか!?」

 「ヒッ・・・ヒィ~~~!!!」

 「しょうがねぇ~!さぁ掴まれ!ワシが連れ出してやる!」

 ヒュ~!爺ちゃんカッコいいな!お姫様抱っこを普通にしてるじゃん!!

 そしてまた場面が変わる。

 どうやら爺ちゃん含め6人は怪我をしているがあの大きい鬼を倒したようだ。明らかに銃痕が無数にある。

 「おい!安倍!相棒の弾切れだ!もう撃てんぞ!」

 「ハァー ハァー いやもう大丈夫でしょう。間違いなく親玉だ。慰労をしたい。私の邸宅に参られよ」

 「安倍殿!この女子はどうすれば!?恐怖で気を失っておるようです」

 「う~ん・・・後に何もなければよいが・・・」

 「ワシが面倒見る!どうやらここはワシの知ってる世界とは違うようだ。帰り方が分からん!」

 またここで場面が変わる。

 「友蔵様!!未来とやらに帰られるのですか!?」

 「松子。本来ワシはこの世界に居てはならぬ者なのだ。許せ。ワシがこの世界に来た時に大きい木があった。そこに行けば帰れる気がする」

 「そんな・・・私は何も恩を返しておりません!」

 「許せ。会うべき場所が違えばワシはお前を好いていたであろう。ワシも辛い。だがワシなんか忘れてもっといい男を見つけて暮らせ。変な頭と服を着ているが安倍は性格のいい男だ。面倒は見てくれよう」

 「おい!熊撃ち!帰るのか?」

 「あぁ。確信はないが戻れる自信がある」

 「そうか・・・世話になったな。明日は満月・・・明日の夜に経つとよい。礼には足りぬが明日は私の霊力の力を発揮できる。喜ぶか分からぬが贈り物を致そう」

 「ふん。何をくれるか分からないがワシはミロクの弾が嬉しいぞ!ははは!」

 なんだか切ないな。

 「武蔵、これが最後じゃ。飛ぶぞ」

 爺ちゃんがそう言うとまた場面が変わり最初に現れた大きな木が一本だけ生えてる場所だった。

 「みんなも来てくれたのか。すまんな」

 「なんのなんの!友蔵!達者でな!」

 「そうだな。お前がここに残れば俺の唯一無二の親友になれると思ったのだがな」

 「うむ。生活や身分もアッシが面倒見てやるが今一度考え直さぬか?」

 「渡辺、坂田、碓井、卜部!お前達の事は忘れない」

 「いやぁ~遅れました!すみませんな」

 「おい!安倍!お前が遅刻とはどう・・・し・・た・・・何故、松子が居るのだ!?」

 「ほほほ。この者は先の鬼に家族を喰われたみたいでしてね。身内が居ないようで死にたかったそうであの家に隠れていましたが怖くなり声を荒げてしまったそうでしてね」

 「馬鹿野郎!命は投げ捨てるものじゃねぇ~!おい!安倍!何回も言うがくれぐれも不自由な生活をさせるんじゃねぇ~ぞ!」

 「ほほほ。それはあなた次第でしょう。さて・・・ちょうど今、月が真上にきている。私の霊力は最大限発揮できるでしょう」

 「うん?何を言ってやがる!?」

 「白状しましょう。あなたがこの世界に来たのは私のせいです。私の霊力を使い、あの鬼を倒せる力のある者を呼び寄せました」

 「あん!?」

 「私の陰陽の力は誠になったみたいですね」

 安倍晴明は満足した顔になり呪文を唱え出した。

 「元柱固具、八隅八気、五陽五神、陽動二衝厳神、害気を攘払し、四柱神を鎮護し、五神開衢、悪鬼を逐い、奇動霊光四隅に衝徹し、元柱固具、安鎮を得んことを、慎みて五陽霊神に願い奉る」

 「おい!何をする気だ!?うっ・・・身体が・・・吸い寄せられる・・・」

 「熊撃ち・・・いや・・・合田友蔵!勝手に呼び寄せすまなかった。許してくれ。大した礼もできず申し訳ない。だが私も他のみんなと同様、あなたを友と思い過ごしていく・・・さぁ!松子!行きなさい!」

 「な・・・何を言ってやがる・・・ま、松子!!来てはだめだ・・・」

 「私の生は一度終わりました。これからの生は友蔵様と共に・・・ご一緒させてください・・・」

 「ふふふ。お似合いですよ?願わくば二人の人生に幸在らん事を・・・合田友蔵・・・松子の二人によりよい生を!」

 「ま、待て!安倍ぇぇぇ!!!」

 「蘇婆訶(そわか)!!」

 ブシューーーーン

 「ハァー ハァー ハァー ハァー・・・・」

 「安倍殿!?大丈夫でしょうか!?」

 「渡辺殿、相すまない。私は大丈夫です。少し霊力を使い過ぎました。刻渡りとは斯くもこう危ないな術だったとは・・・。このまま鬼門封じを行います!補助をよろしくお願いします」

 「「「「はっ!!!」」」」


 すると場面が昭和初期のような場所に切り替わった。

 「馬鹿野郎!何で着いてくるんだ!くそ!安倍が!!」

 「迷惑・・・だったでしょうか・・・」

 「いやそりゃぁーー」

 「グスンッ・・・・すいません。自害致します・・・何か刃物をーー」

 「あぁ!!もう分かった!分かった!ワシが面倒見てやる!まずはこの世界に慣れろ!棟梁に頭は下げて家を建てる材料も金も工面してもらう!」

 バァァァァァン!!!

 「うを!?なんだ!?ビックリしたじゃねーか!うん?なんだ?紙切れと・・・この木はなんだ!?」

 「武蔵?ここから私が言うからね。私は安倍様からとある力を授けられたの」

 「力?」

 ここで、映像が終わり二人はオレの方に向いた。

 婆ちゃんが言ったのは思いっきりSFチックな事だった。安倍晴明がこじ開けた陰陽師の術の刻渡りという術とは穴を開けてしまう事らしい。だからか、人が落ちてしまう事があるそうだ。

 だから蓋をしないといけないと。その蓋が・・・

 「トイレの横にある神木。そして、上の柱の中に見えないように入れてあるのが最後の映像に映ったあの紙切れ・・・」

 「そうじゃ。安倍の力が備わっているらしくあのお札を神木に貼り付けるか何かしておけと言われたが貼り付けると劣化したり剥がれ落ちたりするから家を建てた時に柱に入れ込んだのだ」

 「そうなんだ・・・。じゃあなんでオレが戦国時代に来たりしてるの!?」

 「安倍様はこうも言ったの」

 『私の力も不滅ではない。いずれ術が弱まる事がある。全て私の招いた事。だが私にもどうしようもできない。穴が開けば広がる事はないし増える事もない。その開いた時、刻渡りの術がどうなっているかも分からない』

 いやいや無責任すぎるだろ!?童貞しか通れないとかマジで意味分からないよな!?安倍晴明さんもビックリだろ!?

 「正直ワシも意味が分からんかった。なんせ安倍は『まぁそう言っても私の術は500年は効力がありますからね?陰陽師の中でこれ程の力を発揮できるのは私くらいでしょうね?ほほほほほほ!!!!』と言ってたからな。いつもにも増してムカつく笑い方じゃった。だが見てみろ!何が500年だ!100年と保ってないじゃないか!」

 「爺さん?歴史書を見れば安倍様が亡くなってからは確かに1000年以上経っていますよ」

 500年・・・確か平安時代は700年後半から1200年手前くらいだったと思う。それが500年・・・。だからか!だから戦国時代に通じてしまったのか!?

 「ぬぁ!?あの馬鹿が!平安からなら確かに経ってはいるがなんちゅうガバガバな術なのだ!ヘボ陰陽師が!」

 「それで・・・安倍様がもしもの時のために教えてくれた事があるの。けどそれをするとまた500年は閉じられると思う。けど見たところ武蔵も思い人ができたようで閉じるのは嫌よね?」

 「いややめてよ!せっかく良い人が現れたのに・・・」

 「そうよね。じゃあこのままにしておくわ」

 いやえらい軽いな!?なんかかなり危ない事かと思ってたんだが!?

 「そもそも何でその大事な神木をトイレの木なんかにしたの!?」

 「そうよ。爺さんが本当に馬鹿な事したわよね」

 「うるさい!あの時はワシも大工の丁稚だったんだ!この家を建てる時棟梁に『自分の家なんだ。自分が建てた場所がなくてはいかんだろう』と言ってくれたから便所をワシが作ったのだ!ワシが作った便所を500年持たせたいと思ってあそこに使ったのだ!悪いか!?」

 いや悪いか!?ってそりゃあ悪いに決まってるだろうが!つい先日まで糞すら家で行けなかったんだぞ!?

 「まぁそれでね?武蔵?扉を閉じたいのならあの神木を切ればドアは閉じるよ?」

 「は!?」
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