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田中さんの強がり
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次の日仕事に向かうと田中さんがスタンバっていた。
「おはよう!武蔵君!」
「おはようございます。凄く張り切っているみたいですが今日は新設する場所を見に行くだけですよね!?」
「そうだけど、今日は客注があっても他の子も働いているから僕たちは外回りの仕事だよ。っていうか、合田君の家の事で午前は終わりかな?状況を見て今日で終わらせられるといいかなと思っている」
田中さんは今日でオレに教えながら終わらせる予定らしい。
一応これも仕事の事との事で店長にはちゃんと伝えて・・・というか、これも店長からの提案だ。オレがトイレの調子が悪いと言ったもんだから『即座にトイレを直すか新しくしないと不便でしょう?』とオレが普段思ってる事を心配してくれたのだ。
まぁ兎にも角にも購入した温水便座器と工具を軽トラに乗せて出発だ。
ちなみに田中さんが何でこんなに張り切っているかというと、実は外回りの仕事の時は給料に加算されるらしくそれでかなり張り切っているそうだ。
「昔、忙しかった時なんかは外回りだけで給料の4割を占めた事もあるんだよ?けど最近では減ったからね・・・」
「そうなんですね。けどオレは普通に便利な店だと思いますよ」
「う~ん。まぁホームセンターだからね。色々な器具や部品なんかだけじゃこの先しんどいかもしれないよね。社長は色々多角的に仕事してるみたいだけど僕のバイト歴から見て、今は15年前の半分くらいじゃないかな?」
「え!?そんなにですか!?」
「そうだね。あの当時は独自ブランドなんて珍しかったから色々な所からお客さんが来たりしてたんだけど最近ではネット通販で安く仕入れられるようになったしね」
「けどオレは見て買う方が安心します!」
「個人的にはホームセンターの乱立で今やホームセンターは戦国時代の様相のように思うよね。独自ブランドは早く手掛けたけど大規模資本なホームセンターに一気に飲み込まれつつ有るよね」
「ではこのままではみんなのABCが潰れてしまうかもってことですか!?」
「まぁ、みんなのABCは中京圏では確固たる地位があるから大丈夫だけど、首都圏など他の地域では相当苦戦を強いられてるのじゃないかな?個人向け配送サービスもネット通販などの台頭で減ったしね」
昨日社長が顔が浮かなかったのって経営の事なのか!?なんで経営の事!?と思うか分からないが直感的にそういう風に思ってしまう・・・。それにさすがバイトリーダーってだけある。バイトって雇用形態だけど洞察力半端ねぇわ。田中さん。
普通に走り、30分もしない内に家に到着する。
「へぇ~!一軒家なんだ?お父さんやお母さんは御在宅かな?」
「あ!いえ、ここに一人暮らししてるのですが今は同級生が泊まりに来てるのですが気にしないでください!ちなみに父親は居ません」
「武蔵君!!!僕はつまらない事を聞いてしまったようだね。ごめんね」
なんか父親が居ないと言ったら気を使わせてしまったみたいだ。オレもあまり気にはしないけど。
「あれ?武蔵?もうトイレの新設に来たの?あっ!!すいません。失礼しました。居候の者です。邪魔はしませんのでよろしくお願いします」
「みんなのABCのバイト"リーダー"の田中と申します。失礼するね」
いや田中さん・・・なんでバイトは小声でリーダーが大声になるんだよ!?別に肩書き言わなくてもいいじゃん!?
「漆原と申します。こちらは一ノ瀬と申します」
「チッ」
舌打ち!?今田中さん有沙さんを見て舌打ちしたよね!?
「武蔵君!女の子と遊んでばかりではいけないぞ!?」
「はい!?いやいやあの2人はカップルですよ!?」
「あっ!そうだったのか!ごめんごめん!てっきり武蔵君が女の子連れ込んでいるのかと思ったよ!いやぁ~!はやとちりだったようだ!」
なんだ!?田中さんも拗らせているのか!?
まずはどこにトイレを新設するかだが、今のトイレを見ておきたいとの事だったが、田中さんは自分で『バレンタインデーは山程貰った』とか『彼女を切らしたことがない』や『女にこの歳にもなって言い寄られて困ってるんだよ』とか言ってはいたが、確信が持てないため例の場所は見せないようにしようとしている。
「古いトイレとはまったく違うところにお願いしたいのです!」
「え!?けど、排水管なんかを元のトイレから繋げないと、床を切って作業するから1日ではとても無理だよ!?それにお金もかなり掛かってしまうよ!?」
「構いません!」
とにかく今のトイレに見せたくないが為に新しく場所を見つけてもらう。だが、床を切っての作業とは正直想定していなかった。
さすがにそんな工事をすると母ちゃんの許可を得ないといけないため、不恰好ではあるが外に箱を作ってもらいそこに新設してもらうことにした。
そもそもボットン便所だからやりかえるなら総入れ替えしないといけないと途中で気付き、外に工事用トイレみたいにはなってしまうがその方が早くて助かる。
外にトイレを作るとなれば話しが早い。田中さんは何で外に作るのかや今のトイレを取り外して付け直すだけの方がいいとか言っていたがだめなもんはだめだ。
というか、何でトイレだけ古いままなのか気になる。風呂もキッチンも今風で家には浄化槽なんかも設置してあるのにトイレだけ汲み取り式なんだろうか。
トレイの部屋横にある外にトイレを置くという意味の分からない事をお願いしているわけだが、トイレの柱なんかも初めてまじまじと見たがこの家で1番大きい柱が入っている事に気付く。
婆ちゃん、爺ちゃんの写真を見ると婆ちゃんは心なしか困った顔してるように見える。爺ちゃんは対照的にニヤニヤしてるように見える。
「武蔵君!ごめん!今日で終わらせるつもりだったが側もないし何もできそうにない。側を購入できるなら夕方にでもできるけどどうしようか?」
「どこで購入すればいいですか?」
「そりゃもちろんみんなのABCで売ってあるよ!見た事ないかな?まあまあいい値段はしてしまうけど」
聞けば70万も出せばかなりおしゃれなトイレがあるらしい。仮説トイレと見えないようなトイレだそうだ。お金はある。里志君も有沙さんもボットンでは不便だろう。
オレは購入する事を決めて一度店に戻り精算を済ませて店長にリフト運んでもらい、車に乗せる。
意外にも組み立て式らしく一つ一つの荷物の重さは大した事はない。お店では組み立て売られていたけどてっきりオレは小さなプレハブなのかと思っていた。本当にトイレとは思えない側だ。
そこからまたまた道中田中さんにお金持ってるねぇ~!とか何でそんなに拘るの?とか聞かれたが適当に濁す。
取り付けは簡単だ。田中さんに教えてもらいながら組み立て、便器を設置するにも穴に入れるだけの構造なので教えてもらう予定だったが正直1人ででもできそうな構造だった。
給水に関しては外の井戸水から引いてくる事にした。オーバーフロー管やフロート弁の事なんかの説明をして実際に自分で取り付けながらの作業だ。
後は給水タンクの固定させるところで田中さんから聞きたくない事を聞かされた。
「武蔵君!ごめん!トイレ借りたいんだけど!ずっと我慢してたけどもう無理だ・・・」
「え!?この新しいトイレでは!?」
「無理に決まってるじゃないか!?まだ仕上がってないし、なにより1番を僕が使うわけにはいかないよ!古い方のトイレ貸してほしい!」
さすがに、ここで他所のコンビニのトイレとか言えないし・・・あぁ!!もうどうにでもなれ!田中さんは魔法使いじゃないって言ってたし大丈夫だろ!!?
あたふたしていると里志君と有沙さんが手を繋いで帰ってきた。凄くニコニコ顔だ。
「あら?まだ作業してたんだ?そろそろ終わりそう?例の物売って来たんだ!」
例の物って金か!?いくらだったんだ!?いやいやそんな事は後からでもいい!今は田中さんだ!
オレは恐る恐る田中さんをボットン便所に案内した。一瞬、爺ちゃんに肩を叩かれたような気がして後ろを振り向き、前に目をやると・・・
「「「消えた・・・・」」」
オレ、里志君、有沙さん3人がハモってしまった。
「おはよう!武蔵君!」
「おはようございます。凄く張り切っているみたいですが今日は新設する場所を見に行くだけですよね!?」
「そうだけど、今日は客注があっても他の子も働いているから僕たちは外回りの仕事だよ。っていうか、合田君の家の事で午前は終わりかな?状況を見て今日で終わらせられるといいかなと思っている」
田中さんは今日でオレに教えながら終わらせる予定らしい。
一応これも仕事の事との事で店長にはちゃんと伝えて・・・というか、これも店長からの提案だ。オレがトイレの調子が悪いと言ったもんだから『即座にトイレを直すか新しくしないと不便でしょう?』とオレが普段思ってる事を心配してくれたのだ。
まぁ兎にも角にも購入した温水便座器と工具を軽トラに乗せて出発だ。
ちなみに田中さんが何でこんなに張り切っているかというと、実は外回りの仕事の時は給料に加算されるらしくそれでかなり張り切っているそうだ。
「昔、忙しかった時なんかは外回りだけで給料の4割を占めた事もあるんだよ?けど最近では減ったからね・・・」
「そうなんですね。けどオレは普通に便利な店だと思いますよ」
「う~ん。まぁホームセンターだからね。色々な器具や部品なんかだけじゃこの先しんどいかもしれないよね。社長は色々多角的に仕事してるみたいだけど僕のバイト歴から見て、今は15年前の半分くらいじゃないかな?」
「え!?そんなにですか!?」
「そうだね。あの当時は独自ブランドなんて珍しかったから色々な所からお客さんが来たりしてたんだけど最近ではネット通販で安く仕入れられるようになったしね」
「けどオレは見て買う方が安心します!」
「個人的にはホームセンターの乱立で今やホームセンターは戦国時代の様相のように思うよね。独自ブランドは早く手掛けたけど大規模資本なホームセンターに一気に飲み込まれつつ有るよね」
「ではこのままではみんなのABCが潰れてしまうかもってことですか!?」
「まぁ、みんなのABCは中京圏では確固たる地位があるから大丈夫だけど、首都圏など他の地域では相当苦戦を強いられてるのじゃないかな?個人向け配送サービスもネット通販などの台頭で減ったしね」
昨日社長が顔が浮かなかったのって経営の事なのか!?なんで経営の事!?と思うか分からないが直感的にそういう風に思ってしまう・・・。それにさすがバイトリーダーってだけある。バイトって雇用形態だけど洞察力半端ねぇわ。田中さん。
普通に走り、30分もしない内に家に到着する。
「へぇ~!一軒家なんだ?お父さんやお母さんは御在宅かな?」
「あ!いえ、ここに一人暮らししてるのですが今は同級生が泊まりに来てるのですが気にしないでください!ちなみに父親は居ません」
「武蔵君!!!僕はつまらない事を聞いてしまったようだね。ごめんね」
なんか父親が居ないと言ったら気を使わせてしまったみたいだ。オレもあまり気にはしないけど。
「あれ?武蔵?もうトイレの新設に来たの?あっ!!すいません。失礼しました。居候の者です。邪魔はしませんのでよろしくお願いします」
「みんなのABCのバイト"リーダー"の田中と申します。失礼するね」
いや田中さん・・・なんでバイトは小声でリーダーが大声になるんだよ!?別に肩書き言わなくてもいいじゃん!?
「漆原と申します。こちらは一ノ瀬と申します」
「チッ」
舌打ち!?今田中さん有沙さんを見て舌打ちしたよね!?
「武蔵君!女の子と遊んでばかりではいけないぞ!?」
「はい!?いやいやあの2人はカップルですよ!?」
「あっ!そうだったのか!ごめんごめん!てっきり武蔵君が女の子連れ込んでいるのかと思ったよ!いやぁ~!はやとちりだったようだ!」
なんだ!?田中さんも拗らせているのか!?
まずはどこにトイレを新設するかだが、今のトイレを見ておきたいとの事だったが、田中さんは自分で『バレンタインデーは山程貰った』とか『彼女を切らしたことがない』や『女にこの歳にもなって言い寄られて困ってるんだよ』とか言ってはいたが、確信が持てないため例の場所は見せないようにしようとしている。
「古いトイレとはまったく違うところにお願いしたいのです!」
「え!?けど、排水管なんかを元のトイレから繋げないと、床を切って作業するから1日ではとても無理だよ!?それにお金もかなり掛かってしまうよ!?」
「構いません!」
とにかく今のトイレに見せたくないが為に新しく場所を見つけてもらう。だが、床を切っての作業とは正直想定していなかった。
さすがにそんな工事をすると母ちゃんの許可を得ないといけないため、不恰好ではあるが外に箱を作ってもらいそこに新設してもらうことにした。
そもそもボットン便所だからやりかえるなら総入れ替えしないといけないと途中で気付き、外に工事用トイレみたいにはなってしまうがその方が早くて助かる。
外にトイレを作るとなれば話しが早い。田中さんは何で外に作るのかや今のトイレを取り外して付け直すだけの方がいいとか言っていたがだめなもんはだめだ。
というか、何でトイレだけ古いままなのか気になる。風呂もキッチンも今風で家には浄化槽なんかも設置してあるのにトイレだけ汲み取り式なんだろうか。
トレイの部屋横にある外にトイレを置くという意味の分からない事をお願いしているわけだが、トイレの柱なんかも初めてまじまじと見たがこの家で1番大きい柱が入っている事に気付く。
婆ちゃん、爺ちゃんの写真を見ると婆ちゃんは心なしか困った顔してるように見える。爺ちゃんは対照的にニヤニヤしてるように見える。
「武蔵君!ごめん!今日で終わらせるつもりだったが側もないし何もできそうにない。側を購入できるなら夕方にでもできるけどどうしようか?」
「どこで購入すればいいですか?」
「そりゃもちろんみんなのABCで売ってあるよ!見た事ないかな?まあまあいい値段はしてしまうけど」
聞けば70万も出せばかなりおしゃれなトイレがあるらしい。仮説トイレと見えないようなトイレだそうだ。お金はある。里志君も有沙さんもボットンでは不便だろう。
オレは購入する事を決めて一度店に戻り精算を済ませて店長にリフト運んでもらい、車に乗せる。
意外にも組み立て式らしく一つ一つの荷物の重さは大した事はない。お店では組み立て売られていたけどてっきりオレは小さなプレハブなのかと思っていた。本当にトイレとは思えない側だ。
そこからまたまた道中田中さんにお金持ってるねぇ~!とか何でそんなに拘るの?とか聞かれたが適当に濁す。
取り付けは簡単だ。田中さんに教えてもらいながら組み立て、便器を設置するにも穴に入れるだけの構造なので教えてもらう予定だったが正直1人ででもできそうな構造だった。
給水に関しては外の井戸水から引いてくる事にした。オーバーフロー管やフロート弁の事なんかの説明をして実際に自分で取り付けながらの作業だ。
後は給水タンクの固定させるところで田中さんから聞きたくない事を聞かされた。
「武蔵君!ごめん!トイレ借りたいんだけど!ずっと我慢してたけどもう無理だ・・・」
「え!?この新しいトイレでは!?」
「無理に決まってるじゃないか!?まだ仕上がってないし、なにより1番を僕が使うわけにはいかないよ!古い方のトイレ貸してほしい!」
さすがに、ここで他所のコンビニのトイレとか言えないし・・・あぁ!!もうどうにでもなれ!田中さんは魔法使いじゃないって言ってたし大丈夫だろ!!?
あたふたしていると里志君と有沙さんが手を繋いで帰ってきた。凄くニコニコ顔だ。
「あら?まだ作業してたんだ?そろそろ終わりそう?例の物売って来たんだ!」
例の物って金か!?いくらだったんだ!?いやいやそんな事は後からでもいい!今は田中さんだ!
オレは恐る恐る田中さんをボットン便所に案内した。一瞬、爺ちゃんに肩を叩かれたような気がして後ろを振り向き、前に目をやると・・・
「「「消えた・・・・」」」
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