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時代を越える2.4GHz

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 「もしもし!?まさか繋がってる!?」

 『やっぱ思った通りだ!』

 「え!?思った通り!?オレはまったく意味分からないんだけど!?これが繋がるなら何で最初は携帯が圏外だったの!?」

 『それに関しては仮説ではあるけど俺の考えはーー」

 そこから電話越しではあるが里志君が語り出した。

 電磁波の一種で空間を伝わる電気エネルギーの波と里志君は言った。なんとなくはオレも分かる。この波の事を電波では周波数と呼ぶらしい。ここもなんとなく分かる。そして、次に言われた事から最早チンプンカンプンだ。

 『スマートフォン・携帯電話では、700MHz/ 800MHz/ 900MHz/ 1.5GHz/ 1.7GHz/ 2GHz/ 2.5GHz/ 3.4~3.7GHz/ 4.5GHz/帯が使われているんだ』

 「メガヘルツやギガヘルツは分かるけど・・・」

 『電波が伝わるしくみとは、理論を基に簡単に説明すると、導体に電流が流れると周囲に磁場をつくり、今度はその磁場が周囲に電場をつくり、それが無限に繰り返されながら空間を伝わっていく波が電波ということなんだ』

 『ちょっと!里志!そんなんじゃ分かりにくいよ!私が変わるから!』

 電話越しに聞こえる有沙さんの声・・・続いて里志君に代わり有沙さんが説明を始めた。

 『携帯の電波は木材やコンクリートなんかは通しにくいと言われているんだけど、この通り道に何も遮る物なんてないでしょ?強いて言うなら時代を跨いでいるけど』

 いやいやそこが重要だろ!?時代跨いで携帯が使えるって!?

 「分からないんだけど・・・」

 『何かしらの力でトイレが戦国時代に繋がった。何故かは分からないけど隔てる物はなく繋がった。つまり電波はそれを通す。けどこのように・・・」

 プー プー

 有沙さんがそう言うと電話が切れた。だがすぐに掛け直してきた。

 『やっぱりね!トイレの戸を閉めたの。けど今はまた開きっぱなしにすればとりあえず2.4GHz帯と5GHz帯は届くって事よ!』

 「そんな簡単な事なの!?」

 『もっと詳しく言うとね……………』

 うん。嫌な予感はしてたんだ。オレの横では竹中さんは訝しみながら見ているだけだがオレは相槌を打つしかできない。喋り出したら止められないとは有沙さんの事だろう。軽く15分は電波とは何か、電磁波とはとか語られた。

 『合田君は使えるって思ってくれればいいよ!』

 行き着くとこはそこだ。理論を聞いても分からん!とりあえず使える物は使う!ただそれだけだ。

 「とりあえずありがとう!一度切るね!」

 「はて・・・その箱のような物は何ですかな?それが噂に聞くテレフォーンという物ですかな?」

 「はい!?竹中様は誰からそんな事聞いたのです!?ちなみにテレフォンです!日本語名で電話!ちなみにこれは携帯できる電話だか携帯電話と呼びます!」

 「ほうほう。携帯電話とな?遠く離れた場所からでも話ができるアレですかな?」

 は!?何でそんな詳しく知ってんの!?

 思わず怪しんだ目を向けてしまう。

 「ほほほ!すまんすまん!合田殿が留守の間暇なもので未来のお勉強をさせていただいていたのですよ。あやめ殿や伊織殿、太郎殿に文字を聞き覚えて、この未来書物をーー」

 「あぁぁぁぁぁ!!!?それは!?」

 竹中さんが懐から出した本は例のオレがお世話になっていた本だ。

 「ほほほ。これは誠、見事な書物・・・男子(おのこ)なら皆、この書物の虜になるものよのう?合田殿?ほほほ!」

 「いやまぁ見るのはいいですが携帯の事書いてました!?」

 「いやほら・・・この裏に少し書かれている事を引用しただけですよ」

 グラビア雑誌の裏にスマホの新機種の説明がある1ページがある。それを竹中さんは見たみたいで形が似てる事から今の事を推測して言ったらしい。

 頭がキレるとはこの事なのか!?と思う。

 「それだけで分かるのって凄すぎでしょ!?」

 「ほほほ。大した事ではありませんよ。トランシーバーなる物にて戦略が大幅に変わるとお館様は言われている。私はこちらの方が脅威だと思いますがね?トランシーバーは距離が限られているのでしょう?」

 「はい。そんなに遠くは無理かと。多分、電話もトランシーバーも原理は似ていると思います」

 「ほほほ。私の考えは間違いではなかったようですね。これと同じ物も4つ用意願えませんか?」

 「いやオレと同じ物は値段が高いので昔の物なら家に2つはありますけど・・・」

 「ほほほ。ではそれを所望致します。これをお納めくださいますよう・・・ほほほ」

 竹中さんが差し出した物は10センチくらいの金だった。

 「はい!?これ本物ですか!?こんな金とか初めて見たんすけど!?」

 「ほほほ。これはとある伝手で・・・これで足りますかな?」

 「いやお釣りが出るくらいですよ!?いいのですか!?」

 「構いませんよ。では私は楽しみにしておきますよ?ほほほ」

 この粘っこい話し方は明智さんに通じる感じがする。ただこの人も演技のような気がしないわけでもない。何に使うかは分からないけど伝令の事だろう。電話だけでこんな金の塊をくれるとは・・・驚きだな。

 今日は平日の夜という事もあり長居はできない。強いて言うならばあやめさんにちゃんと挨拶をするつもりだ。

 部屋に出向くと伊織さんとプリンを食べていた。

 「あっ!申し訳ございません!」

 「あぁ~!伊織さん!ごめんごめん!そんな気にしなくていいよ!今日はすぐに戻るから!」

 伊織さんが退出しようとしていたがそれを手で制し居るように促す。

 「とりあえず、あやめさん?例の手紙の事ありがとうございます!休みまでゆっくりはできないですけどこれからよろしくお願いします!!」

 「は、はい!こちらこそよろしくお願い申し上げます」

 「え!?え!?2人は!?夫婦(めおと)!?ですか!?」

 伊織さんがテンパりながら聞いてきたが恥ずかしい。

 「後はあやめさんに聞いてください!後、オレの部屋にまた荷物いっぱい持って来ているからーー」

 「俺が片付けておきましょう。燃える水は例のドラム缶に入れておいたのでいいですね?」

 さすが太郎君だ。

 「うん。太郎君ありがとう。いつも通りで!売り物は空いてる部屋に置いておいて!」

 「御意」

 
 この日はこれで帰る事にした。帰り際に竹中さんも秀吉さんに呼ばれるかもとの事で、暫く留守にするかもしれないが電話はくれぐれも早目にとお願いされた。

 ポケットWi-Fiもないと使えないから契約しないといけないよな・・・。

 帰った後、事情を里志君、有沙さんに言えば1人に電話を渡せばみんなみんなと言われると注意され、竹中半兵衛はしょうがないが、2台でとりあえず辞めておこうと言われた。

 その代わり金塊に2人はびっくりしている。

 「この金塊の換金を里志君に任せていいかな?」

 「いやいや構わないけどこれこそかなりのお金になると思うよ!?」

 「まあお金は何円あってもいい事じゃん!まだまだ必要な物あるんでしょ?」

 「それなんだよ!実は俺も遠慮しない事にしたんだ!まぁ来週くらいには見せる事ができるから楽しみにしててよ!」

 里志君の遠慮しないって・・・まあそれは来週には分かる事か。

 その後、明日には試しにカメラ撮影してきてほしいとの事でカメラの説明を受けて2人はラボに帰っていった。

 オレは明日トイレの新設で仕事先の先輩と来るから変な事言わないようにと伝えると二人揃って・・・

  「「言うわけないじゃん!!」」

 と返答され、ここまで以心伝心なのか!?と思い1日が終わった。
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