14 / 132
有頂天
しおりを挟む
「あら?合田君?昨日のプレゼントはどうだった?」
「あっ!葛城さん!おはようございます!一応渡しました!喜んでくれたかは分かりませんが・・・」
「まぁプレゼントのセンスは田中君だから安心できないけど。けどプレゼントされると女の人は喜ぶものよ?だから自信持ちなさい?今度連れておいで?私が見てあげる!」
「え!?い、いや勘弁してください!」
「おぉー!武蔵君!どうだったんだい!?'女友達'は喜んでくれたかい!?」
チッ。なんでわざわざ女友達と強調してくるんだよ!?
「その節はありがとうございました。無事渡せました!」
「そうか。そうか。また困ったことあれば何でも聞いておいで!」
「はい!」
けど田中さんが居なければプレゼント決まらなかったよな。そこに関しては感謝だ。
一方的ではあるが、あやめさんに人生初の女性へのプレゼントを渡しオレは有頂天になっていた。いつも下向き加減で歩き、愛想も悪いオレだったがこの日は自然と笑みが溢れる。
《2番通路2番通路お客様が木材加工をお待ちです》
「武蔵君!悪い!今、手が離せないんだ!教えた通りやればできるからお客さんのほうお願い!」
「え!?マジすか!?!?」
「大丈夫!長さを聞いて手に気をつけて切るんだぞ!」
オレはこの日初めてお客さんの相手をした。ただ長さを聞いてサンダーで切るだけだが緊張だ。だがこの日は違った。いつもなら吃ったりしてしまうがこの日は舌が回る。そして笑顔だ。
作業自体は問題なくできた。忙しいと言いつつ田中さんが見にきてくれてたのもあるが良かった。
「あら?田中さんのお弟子さんかしら?」
「いやいやそんな事ないですよ。いつものガーデニングですか?」
「そうなのよ!いつも田中さんにお願いしてたけど、この子は初めて見たけど感じの良い子ね?田中さんの教えが良いのかしら?」
「ははは!一応今私が教えています!合田武蔵と言います!今後もガーデニング用品が必要ならこの合田君にも聞いてあげてください!合田君?挨拶しなさい。常連さんだよ」
「はい!いつもありがとうございます!合田武蔵と申します!今頑張って覚えていますのでよろしくお願いします!」
「ふふふ。若いって元気でいいわね?またお願いね?」
と初めてのお客さんにも戸惑わず対応できたのだ。
この日の帰り前に店長に声を掛けられた。
「おや?合田君頑張っているね?池田さんが褒めていたよ?」
「え?池田さん?誰ですか?」
「木材加工を頼んだ女性だよ。このお店の常連さんなんだよ。しかもあの池田さんって戦国時代で有名な池田恒興って武将の子孫らしいよ」
「え!?嘘!?あの池田さんの!?」
「うん?合田君は戦国時代に詳しいの?意外だね?今度話してみるといいよ?あの人自分のルーツに誇りを持ってるみたいだから」
意外な繋がりだ。あの嫉妬深そうで食べ物が好きにしか見えないドス黒いオーラを出す池田さんの子孫があのマダムか・・・。似てないな。あのマダムはかなり優しそうだ!
そして仕事が終わりに自分の店でレトルトカレーを買い、お菓子も少し買い、コンビニで料理本も買って家に帰った。そしてその後、母ちゃんに電話をした。
ウィンナーの作り方を聞いただけだが何を勘違いしたのか・・・
『武蔵!?ウィンナーはちゃんと焼いて食べるのよ?それにしてもちゃんと自炊してるのね!?グスン・・・』
「え!?何で泣いてるの!?ってかオレはウィンナーを作りたいんだけど・・・」
『だからフライパンで焼くだけよ?』
こりゃダメだ。と思い、他愛のない事を話して電話を切った。すかさずオレは携帯でウィンナーの作り方を調べた。
「へぇ~!挽き肉でいいんだ?塩漬け羊腸ね・・・これは普通のスーパーでも見た事ないな。ネットで購入しようかな?意外に安いんだな。ポチッとな」
よし。買う物も買ったし今日も行こうかな?
「ばあちゃん!ちょっくら行ってくるよ!薬喜んでたよ!」
うん。いつもと変わらない笑顔のように思う。
「お邪魔しまーー」
「おぉ!!!待っておったぞ!」
「池田様こんばんわ!」
「うむ。首尾は?」
「はい!これです!昨日と同じでここを開けて出します!その前に鍋に入れて温めて米にかけて食べるのです!それとこれはチョコレートです!甘い菓子ですよ!」
「うむ!恩に着る!!誰ぞある!至急米とこれを湯で温めよ!内密にだぞ!」
「は、はっ!!」
すかさず池田さんの小姓?らしき人が現れ消えていった。
とりあえずオレは自分の部屋に行く。すると部屋に入り戸を閉めるとあやめさんが現れた。
「うを!?ビックリした!本当に凄いですね?音もなく現れるのは心臓に悪い」
「申し訳ありません。お伝えしたい事がございまして・・・」
オレは湯呑みを割ってしまった事とを聞いた。ショックではあるけど何万円もするものじゃないし別にまた同じ物でもいいしもっとお洒落なコップ?とか渡せばいいかなとも思う。
「大丈夫ですよ!手とか怪我しませんでしたか?」
「・・・・・・・」
「あやめさん?」
「あっ、いえ!大丈夫です!本当に申し訳ありません」
「いいって!包丁はどうでした?なんとなく刃物はこの時代の方が優れているような気はするけどあの包丁も値段の割には評価が高いんですよ!」
「・・・・まだ使っていません。また感想言いますね」
どことなく寂しそうに返答された。実は嬉しくなかったのか!?いや普通に考えて女性へのプレゼントに包丁って有り得ないよな!?田中さん!?謀ったな!?オレが女の人と仲良くするのが許せなかったのか!?
「分かりました。今日は織田様は?」
「本日は体調が優れないようでお休みになられています」
「うん?風邪かな?」
「風邪とは?」
「ごめんごめん!咳病とかですか?」
「城の医者によれば疲れが溜まっているだけとの事で少しの間休めば良くなるとの事です」
「そっか。なら明日は栄養ドリンク的な物でも持ってこようかな?ってか悪いんだけど外に行ってみたいんだけどいいのかな?」
「え?何故許可を取られるのですか?」
「いやだってなんか外に出るな!って雰囲気だったから・・・ひょっとして出てもいい系!?」
「はぁ~。別に夜ですので浮浪者は多少居るでしょうが大殿の領は非常に安全です。ですがやはりたまに怪しい者も居りますので私が護衛致します」
「ありがとうございます。じゃあ案内お願いします!」
やっと、念願の外だ!どんな感じか見たかったんだよな!茶屋とか飯屋とかあれば入ってみようかな!!!
「あやめさん?真っ暗すぎじゃない!?」
「え!?どこでもこんなものですよ!?」
「マジか・・・。こりゃ夜道は危ないな。店の一つでも営業してたら行ってみたかったけど開いてなさそうだな・・・」
「そうですね・・・なにぶん、本日は遅いですから・・・」
正直残念だ。もう少し華があるかと思ったが、家はかなりあるけどthe戦国時代!って感じだ。そりゃ戦国時代だから当たり前だけど。
それにしても普通に城下に降りてきたけど改めて思うのは城でけぇ~!何かの拍子でここが落とされ、池田さんの部屋を制圧されればオレってば帰れなくなるのか!?
「あっ!あそこ明かりが見える!しかも暖簾的な物も見える!飯屋か!?あやめさん!あそこ行ってもいいですか!?」
「あっ!あそこはやめましょう!もう遅いですし城に戻った方がーー」
「壺のお金も持って来たし奢るから行きましょう!先に入るよ!こんばんわ!やってますか!?」
「いらっしゃい!おや?見慣れない人だね?そのお召しは南蛮の物かい?」
「え?これ?あっ!そうです!南蛮の物です!ここは飯屋ですか!?」
「そうだよ!ここは夜も遅くに開いている岐阜城下で唯一織田の殿様に許された店さね!座っておーー」
「うん?どうしました?」
「・・・・いや何でもない。座っておくれ」
「ありがとうございます。あやめさん!あやめさんもここに!何でも奢りますよ!」
ふぅ~ん。あやめが来るって事はこの男が対象の男かい。身は高いが、幸の薄い顔ね。ただ、手に持っている袋はパンパンね。やはり銭は持っているようね。
「よしの様?」
「あぁ~。あんたらは休んでいていい。あれはこの地の者じゃないけど怪しい者ではない。ただ・・・少し儲けようと思う。料理だけ手伝え」
「御意」
よりによって、間者や怪しい者達から情報を得る、夜中までやっている甲賀出身の者だけで回す店に来てしまうとは・・・。
「あっ!葛城さん!おはようございます!一応渡しました!喜んでくれたかは分かりませんが・・・」
「まぁプレゼントのセンスは田中君だから安心できないけど。けどプレゼントされると女の人は喜ぶものよ?だから自信持ちなさい?今度連れておいで?私が見てあげる!」
「え!?い、いや勘弁してください!」
「おぉー!武蔵君!どうだったんだい!?'女友達'は喜んでくれたかい!?」
チッ。なんでわざわざ女友達と強調してくるんだよ!?
「その節はありがとうございました。無事渡せました!」
「そうか。そうか。また困ったことあれば何でも聞いておいで!」
「はい!」
けど田中さんが居なければプレゼント決まらなかったよな。そこに関しては感謝だ。
一方的ではあるが、あやめさんに人生初の女性へのプレゼントを渡しオレは有頂天になっていた。いつも下向き加減で歩き、愛想も悪いオレだったがこの日は自然と笑みが溢れる。
《2番通路2番通路お客様が木材加工をお待ちです》
「武蔵君!悪い!今、手が離せないんだ!教えた通りやればできるからお客さんのほうお願い!」
「え!?マジすか!?!?」
「大丈夫!長さを聞いて手に気をつけて切るんだぞ!」
オレはこの日初めてお客さんの相手をした。ただ長さを聞いてサンダーで切るだけだが緊張だ。だがこの日は違った。いつもなら吃ったりしてしまうがこの日は舌が回る。そして笑顔だ。
作業自体は問題なくできた。忙しいと言いつつ田中さんが見にきてくれてたのもあるが良かった。
「あら?田中さんのお弟子さんかしら?」
「いやいやそんな事ないですよ。いつものガーデニングですか?」
「そうなのよ!いつも田中さんにお願いしてたけど、この子は初めて見たけど感じの良い子ね?田中さんの教えが良いのかしら?」
「ははは!一応今私が教えています!合田武蔵と言います!今後もガーデニング用品が必要ならこの合田君にも聞いてあげてください!合田君?挨拶しなさい。常連さんだよ」
「はい!いつもありがとうございます!合田武蔵と申します!今頑張って覚えていますのでよろしくお願いします!」
「ふふふ。若いって元気でいいわね?またお願いね?」
と初めてのお客さんにも戸惑わず対応できたのだ。
この日の帰り前に店長に声を掛けられた。
「おや?合田君頑張っているね?池田さんが褒めていたよ?」
「え?池田さん?誰ですか?」
「木材加工を頼んだ女性だよ。このお店の常連さんなんだよ。しかもあの池田さんって戦国時代で有名な池田恒興って武将の子孫らしいよ」
「え!?嘘!?あの池田さんの!?」
「うん?合田君は戦国時代に詳しいの?意外だね?今度話してみるといいよ?あの人自分のルーツに誇りを持ってるみたいだから」
意外な繋がりだ。あの嫉妬深そうで食べ物が好きにしか見えないドス黒いオーラを出す池田さんの子孫があのマダムか・・・。似てないな。あのマダムはかなり優しそうだ!
そして仕事が終わりに自分の店でレトルトカレーを買い、お菓子も少し買い、コンビニで料理本も買って家に帰った。そしてその後、母ちゃんに電話をした。
ウィンナーの作り方を聞いただけだが何を勘違いしたのか・・・
『武蔵!?ウィンナーはちゃんと焼いて食べるのよ?それにしてもちゃんと自炊してるのね!?グスン・・・』
「え!?何で泣いてるの!?ってかオレはウィンナーを作りたいんだけど・・・」
『だからフライパンで焼くだけよ?』
こりゃダメだ。と思い、他愛のない事を話して電話を切った。すかさずオレは携帯でウィンナーの作り方を調べた。
「へぇ~!挽き肉でいいんだ?塩漬け羊腸ね・・・これは普通のスーパーでも見た事ないな。ネットで購入しようかな?意外に安いんだな。ポチッとな」
よし。買う物も買ったし今日も行こうかな?
「ばあちゃん!ちょっくら行ってくるよ!薬喜んでたよ!」
うん。いつもと変わらない笑顔のように思う。
「お邪魔しまーー」
「おぉ!!!待っておったぞ!」
「池田様こんばんわ!」
「うむ。首尾は?」
「はい!これです!昨日と同じでここを開けて出します!その前に鍋に入れて温めて米にかけて食べるのです!それとこれはチョコレートです!甘い菓子ですよ!」
「うむ!恩に着る!!誰ぞある!至急米とこれを湯で温めよ!内密にだぞ!」
「は、はっ!!」
すかさず池田さんの小姓?らしき人が現れ消えていった。
とりあえずオレは自分の部屋に行く。すると部屋に入り戸を閉めるとあやめさんが現れた。
「うを!?ビックリした!本当に凄いですね?音もなく現れるのは心臓に悪い」
「申し訳ありません。お伝えしたい事がございまして・・・」
オレは湯呑みを割ってしまった事とを聞いた。ショックではあるけど何万円もするものじゃないし別にまた同じ物でもいいしもっとお洒落なコップ?とか渡せばいいかなとも思う。
「大丈夫ですよ!手とか怪我しませんでしたか?」
「・・・・・・・」
「あやめさん?」
「あっ、いえ!大丈夫です!本当に申し訳ありません」
「いいって!包丁はどうでした?なんとなく刃物はこの時代の方が優れているような気はするけどあの包丁も値段の割には評価が高いんですよ!」
「・・・・まだ使っていません。また感想言いますね」
どことなく寂しそうに返答された。実は嬉しくなかったのか!?いや普通に考えて女性へのプレゼントに包丁って有り得ないよな!?田中さん!?謀ったな!?オレが女の人と仲良くするのが許せなかったのか!?
「分かりました。今日は織田様は?」
「本日は体調が優れないようでお休みになられています」
「うん?風邪かな?」
「風邪とは?」
「ごめんごめん!咳病とかですか?」
「城の医者によれば疲れが溜まっているだけとの事で少しの間休めば良くなるとの事です」
「そっか。なら明日は栄養ドリンク的な物でも持ってこようかな?ってか悪いんだけど外に行ってみたいんだけどいいのかな?」
「え?何故許可を取られるのですか?」
「いやだってなんか外に出るな!って雰囲気だったから・・・ひょっとして出てもいい系!?」
「はぁ~。別に夜ですので浮浪者は多少居るでしょうが大殿の領は非常に安全です。ですがやはりたまに怪しい者も居りますので私が護衛致します」
「ありがとうございます。じゃあ案内お願いします!」
やっと、念願の外だ!どんな感じか見たかったんだよな!茶屋とか飯屋とかあれば入ってみようかな!!!
「あやめさん?真っ暗すぎじゃない!?」
「え!?どこでもこんなものですよ!?」
「マジか・・・。こりゃ夜道は危ないな。店の一つでも営業してたら行ってみたかったけど開いてなさそうだな・・・」
「そうですね・・・なにぶん、本日は遅いですから・・・」
正直残念だ。もう少し華があるかと思ったが、家はかなりあるけどthe戦国時代!って感じだ。そりゃ戦国時代だから当たり前だけど。
それにしても普通に城下に降りてきたけど改めて思うのは城でけぇ~!何かの拍子でここが落とされ、池田さんの部屋を制圧されればオレってば帰れなくなるのか!?
「あっ!あそこ明かりが見える!しかも暖簾的な物も見える!飯屋か!?あやめさん!あそこ行ってもいいですか!?」
「あっ!あそこはやめましょう!もう遅いですし城に戻った方がーー」
「壺のお金も持って来たし奢るから行きましょう!先に入るよ!こんばんわ!やってますか!?」
「いらっしゃい!おや?見慣れない人だね?そのお召しは南蛮の物かい?」
「え?これ?あっ!そうです!南蛮の物です!ここは飯屋ですか!?」
「そうだよ!ここは夜も遅くに開いている岐阜城下で唯一織田の殿様に許された店さね!座っておーー」
「うん?どうしました?」
「・・・・いや何でもない。座っておくれ」
「ありがとうございます。あやめさん!あやめさんもここに!何でも奢りますよ!」
ふぅ~ん。あやめが来るって事はこの男が対象の男かい。身は高いが、幸の薄い顔ね。ただ、手に持っている袋はパンパンね。やはり銭は持っているようね。
「よしの様?」
「あぁ~。あんたらは休んでいていい。あれはこの地の者じゃないけど怪しい者ではない。ただ・・・少し儲けようと思う。料理だけ手伝え」
「御意」
よりによって、間者や怪しい者達から情報を得る、夜中までやっている甲賀出身の者だけで回す店に来てしまうとは・・・。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
86
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる