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この惑星で生き抜く

ミシェル中将が引けない理由

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 「ははは!これまた傑作だ!こんな綺麗な女が野宿する気だったとは!ははは!いや恐れ入った!」

 「ふん。どうせ私はこんな女だ!恩に着る!」

 「急だったから私達と同じ宿は取れなかったけど勝手に出歩いたりしないでね?本当に方向音痴と思わなかったから」

 「クッ・・・リリーまでそんな風に言うのか。大丈夫だ。替えの服も用意した。後は寝るだけだからな」

 「どうだかな?まあ明日また迎えに来るから待ってろよ?じゃあな!ちゅうじょう!ははは!」

 どいつもこいつも馬鹿にしやがって!オリビアが居るならば方向なんか間違わないのだが明日私も魔法を使い驚かせてやりたいからオリビアには解析にリソースを振り分けてやらないとな。

 
 え!?今の誰かからの言葉・・・間違いなく中将と言いましたね!?確かこちらから聞こえたような・・・。いや気のせいかしら。まさか中将が来るなら艦隊レベルで来るはず・・・こんな秘匿任務の如く救助が来るはずないわよね。

 
 "オリビア?どうだ?"

 "後少しお待ちください カリホルニウムの用意をお願い致します"

 "は!?オリビアは私を殺す気か!?"

 "至って真面目です 恐らくトレノ曹長のAIがアップデートしたであろうデータですが実に理にかなっております さすが私より2世代も新しいAIだなと関心しております"

 "さすがの私もカリホルニウムは怖いぞ!?"

 "私はロズベルグ元帥のAIにすら負けない自信があります 私を信用してください"

 "分かった。用意したぞ"

 "そのカプセルから中身を取り出し中身をお飲みください"

 "チッ。被曝症になれば許さんぞ!"

 "私の演算でも大丈夫です 明日には大賢者とやらになっております"

 さすがの私でもカリホルニウムはビビってしまうが、オリビアが言うならそうなのだろう。大賢者とはそもそもなんだ?クッ・・・私はこの手の事は知らなさすぎるな。

 "おっ、おい!?急に眠気が・・・"

 "安心してください 予定通りです 私が眠気を誘発させています そのままアップデートも行います 中将 本日は補佐できなく申し訳ありませんでした オギゴの方も見つけれなく申し訳ありません ですが私はエクセルシオ艦隊士AIの中で1番中将の事を思っております"

 "なん・・・だ・・急にそんな・・・臭い言葉を・・・"

 "私はお姉様のビクトリア大将よりミシェル中将の方が素敵だと思っております そしてこの惑星に来訪して知識の泉のアップデートをしてから感情というのが何か分かってきた気がします 護衛ドローンを配置しております 私も大型アップデートに入ります 共に・・・"

 最後の方は何を言ってるのか訳が分からなかった。感情が分かったかどうかを言ってたとおもうが・・・AIは人間のような感情までは分からないと論文にあったはずたがどういう事だ!?トレノはAIに何か手を加えたのか!?

 この日私は夢を見た。草原に私1人が立っていた。だが前後左右どこからか分からないが気配がした。

 「誰だ!?」

 「ふふふ。さすが違う世界の人間ね?ご機嫌よう?」

 「貴様・・・どれだけ修練を積んだ者だ!!」

 それなりに・・・いや艦隊士の中で上から数える方が早いほど私は数々の戦場に赴いて来たから分かる。こいつはヤバイ。自然と後退りしてしまっている。こんなの初めてだ。まるで勝てる気がしない。

 「ふふふ。別に危害を加えるつもりはないわよ?それにむしろ御礼を言わないといけないかしらね?あなたはトレノとルクスと同じ世界から来た子よね?私はアシュタルト。この世界の神よ?」

 「は!?神!?薬でもやっているのか!?」

 「ふふふ。あの者とはプロセスが違うからね?疑問に思う事も多いでしょう。それにあなたはどうみても身体で覚えるタイプに見えるわね?'ミシェル・ロアーク中将'」

 「クッ・・・名前を知るとは貴様何者だッッ!!!」

 ビシュン シュッシュッシュッシュッシュッ

 「ふふふ。本当にあなた達の世界の人間は凄いわね?私の子達が身体ブーストをかけた時より何倍も凄いわよ?」

 「・・・・・・・・」

 シュッシュッシュッシュッシュッシュッ

 私は何をやっているのだろうか。夢と認識できる夢は初めてだ。しかもこいつは必ず倒しておかないといけない気がする。だが攻撃が当たる気がしない。全て3手4手見透かされているようだ。

 「ふふふ。そろそろ疲れて来た頃かしら?私の後に同じ言葉を復唱しなさい?私からレッスンを受けられるのは人間では初めてじゃないかしら?あなたの頭に居る子、オリビアって子に感謝するのよ?私の理をこうも簡単に貫いてくるなんて神域に踏み入ってるようなものよ?」

 「アクセルブースト!」

 「・・・・・・・」

 「何してるの?早く言いなさい?時間は無限じゃないの」

 「誰が言うものか!神だろうが何だろうが貴様はここで決着を付けねばならない!これ程怒りを覚えた事はない!全身全霊を以て相手を致す!例え、毛程しか動かなくとも最後の最後まで抗ってやる!」

 「アシュタルト様!?少し強すぎたのでは!?」

 「確かに少々強すぎたやも・・・ノルン?どうしましょう?」

 「この人間は真に無垢な心をしているという事。違う理の世界から来た者なれど本来は優しい心の持ち主です。邪の心を弱めてください。このままなら人格が変わります」

 「そう?見てみなさい?必死に純粋に私を悪と見立て、私を倒そうとしていますよ?私はこのままでも良いと思います」

 「・・・・御心のままに」

 ブォン ブォン シュッ シュッ シュッ

 「ミシェル?今は私が地上に居るから攻撃が届くけど、届かない場所に居ればどうやって攻撃するのかしら?」

 「貴様は頭おかしいのか?スラスターなどなく飛べるなんか・・・・」

 「おや?私は飛べますよ?創造神ですから・・・ね?さてどうやって攻撃するのかしら?今一度考えなさい?」

 「うん!?」 「もらったぁぁぁぁぁ!!!!」

 「アシュタルト様!?」

 「まさか!?己れの肉体一つでここまで飛べるとは・・・あなたの世界の人間はなんなのかしら?少し焦りましたよ?」

 「チッ。確実に入ったと思ったのだがな」

 「ノルン?どうしましょう?」

 「人間よ?我は運命神 ノルン。少し力を弱める。少し話しを聞いてくれないか」

 ポワン

 「ハァ~ ハァ~」

 「これで敵意は少なくなったかしら?」

 「お前達はなんなのだ!?」

 「え?言ったでしょう?私は創造神アシュタルト。こっちは運命神ノルンよ?」

 私は化かされているのだろうか。それとも薬物乱用者の夢なのだろうか。

 「ノルン?やはりプロセスを間違えるのは良く無いと思うの?そう思わなくて?」

 「・・・・マナがこうしろと言いましたので・・・」

 「そう。あなたはマナのせいにするのね?」

 「い、いや当初はアシュタルト様が考えた事だったと思いますが?」

 「え?私?なら私のせいなのね?謝るわ。ゴホンッ。えぇ~と・・・とりあえずあなたに魔法を覚えてもらう!それとあなたの思い人は私の星で生きてるし、なんなら私も会ったの。そしてあなたの頭の中に居る子の身体も用意してあげる!あなたにとって良い事だらけでしょう?」

 「ふん。生憎私は自分で努力して力を付けてこそ実になると信じてここまで生きてきた。例え神だろうが魔法は自力で覚えるッ!!!」

 「お、おい!女!アシュタルト様本人が魔法を教える事なんかないのだぞ!?星が生まれて初めてに近い事なのだぞ!?」

 「断る!人の夢に出て来て偉そうに能書き垂れて私は創造神だ!運命神だ!なんて、ちゃんちゃらおかしいと思わないか!?馬鹿にしているのか?」

 「ノルン?やりすぎちゃった・・・かしら?もう後に戻せないかしら?」

 「アシュタルト様?人間にこのように言われたのは初めてでございまして少し戸惑っております・・・」

 「まあ全体的に私達が悪かったわね。謝るわ。邪を掛けるの辞めるから襲ってこないでね?次は反撃するわよ?」

 「ハァ~ ハァ~」

 「どうかしら?少しは冴えてきた?」

 「なんだ!?どうなっている!?おい!お前!何をした!?」

 ビシュン シュッ シュッシュッシュッシュッシュッ

 「チッ。めんどくさい人間の女ね?アシュタルト様ーー」

 「お黙りなさい!私がなぜ創造神か教えてあげましょう。このような人間は真に心を折る方が良いでしょう」

 私は最後は虚勢であると自分で分かっていた。しかもこの2人が神であるというのも薄々だが納得していた。だが私には引く事が許されない。昔から姉貴の方が優秀でいつもいつも姉貴の背中を追いかけて育ち、軍に入ってからもそうだ。

 追いかけて追いかけて気付けば下に居る奴等の方が多くもなった。だが姉貴を追い越す事はかなわない。

 何かある度に姉貴と比べられる。私には姉貴のような素質はない。だがそこは努力と鍛錬で克服してきた。将になり更に部下が増え、私が引けば部下がやられてしまう事も多々あった。一度でも引くと今までの努力が水の泡となる。

 だから私は引かない。引くにしても最大限土産を残して引いてやる。今は悔しいが創造神が言った【アクセルブースト】と言えば何か魔法が使えるらしい。一撃でいい。掠る程度でいい。せめて一矢報いて散る!

 シュッシュッシュッシュッ

 「そろそろ反撃するわよ?」

 「アクセルブーストッッッ!!!!」

 ドォォォォーーーーンッ!!!

 パンッ

 「チッ。やはりダメだったか・・・」

 「惜しかったわね?私は運命神。運命が見えるの」

 「そして私はノルンと元々は一つ。久方ぶりに・・・いや人間に驚いたのは初めてかしら?あなたは中々の逸材ね?少しは信じてくれたと思っていいかしら?」

 「ふん。完敗だ!もう何もしない!私は本来卑怯な手は嫌いなのだ!その卑怯な手を使い負けた!神に抗い負けたと言えばロアーク家も怒らないだろう!」

 「あなた何言ってるかしら?ああ確かにあなたの世界では軍人一家なのね。そりゃ逸材になるはずね」

 「クスッ!良かったわ!ノルン?覗き見はやめなさい!さて・・・だいぶ時間使ってしまったから・・・リターン!はい!これでさっきの時間を戻したわ!本当は人間に使う事は良くないことなんだけど今回は特別よ?疲れたでしょう?ノルン!アポーの実とエリクサー用意してあげて!私のもよ!それとトレノに教わったあの菓子・・・そうそう地球のおはぎも用意して!」

 私は何をしているのだろうか。この女は神と言うのはなんとなく分かるが若い女学生のようなノリはなんなのだ!?
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