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この惑星で生き抜く

束の間の休息

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 「あぁぁぁ~~!よく寝たな」

 「曹長おはようございます!!だいぶお疲れのようでしたね」

 「あぁおはよう。今は・・・」

 「ちょうど時間通りの昼ご飯時です」

 「そうか。今日は何もするつもりないからルクスも自由に過ごしていいぞ?」

 「はい。では私は例の酒を見てきます。そらそろ第一号ができる頃かと」

 「おっ!もうできるのか!なら今日の夜はその酒でパーッとしよう!」

 「クスッ!はい!楽しみにしててください!」

 こんなにゆっくりとした時間は久しぶりだ。軍籍に身を置いていつ時間外招集が掛けられてもいいように常に気を張ってはいたが今はそれはもうない。

 ミラやシルビアを食べさせてやらないといけないからお金は必要だがその心配もなくなった。もう何もしなくても俺の寿命まで普通に暮らしていける程は稼いだだろう。

 だがここで止まるわけにはいかない。この国の意識改革をし、ソンブレロに対抗できるように早くに国を一つにしないといけない。

 コン コン 

 「トレノ?起きてる?」

 「あぁ起きてるぞ。入っていいぞ」

 「あっ!ごめん!!」

 「うん?どうした?」

 「え?いやその寝る服のままっぽいから・・・そんな姿初めて見たから・・・」

 「トレノ様?ミラはそこで異国の果物をーーすいません!失礼しました!」

 「いやいや2人とも気にしなくていいぞ?まあ他の人にはこんな姿で会えないけど別に構わない。言った通り今日はゆっくりしたいんだ」

 この惑星では男のパジャマ姿は御法度なのだろうか。別に普通のパジャマだと思うが・・・なんならオギゴの露天で買った寝やすそうな古着なんだがな。今後は気をつけよう。

 ルクスは酒を貰いに行き、俺はミラが買って来てくれた見た事ない、とても口に入れれる物とは思えない紫色をした果物を食べる事にした。

 「はい!トレノどうぞ?」

 「シルビアありがとうな。うん・・・これは・・・」

 「すいません!口に合わなかったですか!?」

 「いやどちらかと言えば甘いし美味いんだが・・・食感が俺は苦手かも・・・ミラ?悪い・・・」

 「はぅ・・・・すいません」

 俺は馬鹿か!?明らかにミラは俺のために買って来てくれた物だろう!?それを苦手と言っていいのか!?そんな空気読めない男だったか!?

 「ミラ!今は寝起きで歯磨きもしてないからな!?口が変な感じなんだ!切って置いておいてくれないか?全部俺が食べるよ!」

 「本当ですか!?やったぁ!実はミラこれが大好きで木箱で買って来たのですよ!食べましょう!」

 俺は選択をミスったかもしれない。嫌いな物は嫌いとこれからはちゃんと伝えよう。

 

 「トンゴ氏?居るかしら?」

 「おぉ~!ルクスか!どうした!?酒か!?残念だな!あまりに美味すぎて売る前に飲んでしまってな・・・」

 「面白い冗談言うのね?あの隠し扉の中にあるガラス瓶は何かしら?」

 「チッ・・・バレたか。まあいい。持ってきな!この魔道具を教えてくれた礼だ!」

 「あら?私はそんな鈍感に見えるの?あなたがもっと賢いドワーフならもっと美味しいお酒を教えれるのだけど?」

 「いやぁ~!近頃は若い者と触れ合う事もなくなったからな!?今のはドワーフ流の冗談なのだ!こっちも持って行ってくれ!がははは!」

 「やるわね?床下にも隠し扉があるなんて知らなかったわよ?まあ少しは私達もゆっくりしたいからまずはこの私の国の酒をそれなりの値段で特定の人にだけ売りなさい?そして巷(ちまた)に浸透しだせば折を見てこの作り方と魔道具を売りなさい?その次に新しい作り方を教えましょう」

 「おう!楽しみにしてるからな!酒職人ドワーフ、トンゴの旗上げだ!がははは!」



 
 「ははは!いつ来てもここの飯は美味い!ミシェル!好きなだけ食べてくれ!ははは!いや何回思い出しても傑作だ!」

 「そんなに笑うな!女に対して失礼だぞ?」

 「それにしてもオギゴを知らないなんて思わなかったの。ふふふ」

 「サーシャまで酷いな」

 「ふん。戦う女、強い女、それに一際綺麗な女に方向が分からないという弱点があるとはな?俺も久しぶりに笑わせてもらった」

 「ジョンまで普段は物静かだというのに笑うか!?」

 「みんなもういいじゃん!また少しの間だけどミシェルさんと旅ができるのだから!」

 「あぁ!それは嬉しい事だ!もう一度乾杯しよう!」

 「ふん。この感じ・・・私の部下達を思い出す。嫌いじゃない」

 「その話し後で詳しく聞かせてもらうぞ?では・・・我らの出会いに!」

 「「「「我らの出会いに!!」」」」

 カンッ カンッ カンッ カンッ

 やはり世界は違っても人間種は同じなのだな。衣食住は違えど、泣き笑い、そして酒の席では親交を深められる。そしてこの冒険者と呼ばれる者達の裏表のない性格は分かりやすく嫌いじゃない。

 若い部下を私のスペシャルメニューにて鍛錬した折は必ずベソかきながら『またよろしくお願いします!』と言いつつ、ペーターやノーマッドやらに泣きついて転属願いを出してるのだからな。

 そういえばペーターもノーマッドも大将になったのだったよな?何か土産の一つでも買って帰ってやろう。この惑星の金を持って帰れば横領罪になるからな。

 それにしても食事に関してはエクセルシオに負けていないな。何の肉か分からないが、ただ焼いているだけに見えても意外にも味がしっかりしてある。脂が凄い肉だが付け合わせの野菜が中和し、最高の肉だ。

 確かエクセルシオ加盟国の惑星ビブスにも似た料理があったがあそこの肉は脂の塊だったな。私は食えずにトレノに食わせてやったのだったな。ふふふ。懐かしい。

 「あら?また1人でニヤニヤして何か考えてるの?」

 「いやすまん。昔を思い出してな?」

 「えぇ~?なんの事?教えてよぉ~!」

 「しょうがない!酔っぱらう前に簡単に私の事を言おう。私は分かってはいると思うが軍籍に身を置く者だ。そして自慢ではないが階級は中将」

 「それは分かっていたが・・・ちゅうじょう?真ん中の将って事か?」

 「端的に言えばな?私の国では将は4人だ。上から大将、中将、少将、准将。その下に大佐、中佐、少佐とあり、まだまだ下は居るのだが所々に別の階級の者や特別任務を携わった者などが混ざったりと一概には言えないのだ」

 「へぇ~!変わった国ね?では逆に上はいるの?」

 「当たり前だ!大将の上は元帥が居る。元帥の上は国防府だ。もうそこらへんは私には分からない。私は現場が好きで自ら戦場により身分を下にしたりしている」

 「自らが身分を下にか!?なぜだ!?みんな上を目指すもんじゃないのか?」

 「ジョン?さっきも言っただろう?私は現場が好きだ。私が育てた兵と共に戦場に赴き、駆け、敵を倒す。私の背中を預けられる者は私の部下と姉貴だけだ」

 「お姉ちゃん?」

 「あぁ。これも自慢ではないが私の一家は代々軍人なのだ。曾祖父の代から男は皆、大将まで上り詰めている。女も曾祖母の代から大佐までは就いているが、姉貴が大将になったのだ」

 「わぁお!!軍人一家じゃん!!」

 「おい!大将った言やぁ~・・・上からの方が早いじゃねーか!?」

 「あぁ。自慢の姉貴だ。軍に身を置いてから姉貴には散々迷惑を掛けている。いつか恩返ししたいところだが、中々な?」

 「やはり家族が大将に居たら忖度はあるのか?」

 「ない!と言いたい所だがやはり多少はある。私は生まれた時から⁂※∠∋Ⅳ☆≫@♭¶¥⊿√*の軍事教育を受けて育ったのだ。だから他の者よりは有利だったが、軍に入ってからは実力で中将にまで上ったと自負している。うん?どうした?」

 「いやなんか途中分からない言葉が出たから・・・」

 「そうそう。⁂※∠∋Ⅳ☆≫@♭¶だったかな?覚えれないや」

 「あぁすまん。実は言葉も覚えて間も無いのだ。要は軍隊養成所みたいな教育を受けたという事だ。そんな私の事より聞きたい事があるのだが、耳の長い人間って居るのか?」

 「うん?エルフの事?」

 「ほう?エルフと言う種族か!いや名前か?」

 「種族だけどエルフがどうしたの?」

 「いや気になってな?よければ友達になりたいのだが知り合いとか居ないか?」

 「ブッ・・・エルフに知り合いなんているわけないだろ!?エルフは魔女だ!高い魔力を有し軍隊や私兵として高く売られているのだ!帝国がエルフ狩りを推奨してるくらいだからエルフは人間の町には誰かお偉いさんの手垢が付いた者しか居ないぞ?」

 「エルフ狩りだと?」

 「シッ!それ以上は言っちゃダメ!本音は分かってるけどここではダメ!」

 うむ。やはり本音ではこの4人も奴隷はダメだと分かっているのだな。良かった。思わずこのテーブルを破壊するところだった。

 という事は憲兵みたいな者が居るのだな。1人取っ捕まえ半殺しにしても良いがそれをすれば軍法会議にかけられる以前の問題になるな。

 加盟国でもない国に内政干渉はどんな事であれ許されざる行為だからな。う~ん。困った。是非あの耳を触ってみたかったのだが・・・。明日トレノと合流した後、手っ取り早く1人助けてやろうか。喜んで奴隷になってる奴は居ないだろう。

 そうだな・・・あのモニターで見た裸で歩かされ、指を斬られかけていた子を助けてやろう。治療もしてやり服と金を渡せば耳くらい触らせてくれるだろう。もし断られれば映像にだけ撮影させてもらいたい。アマンダが確かこういうファンタジーな世界の物語の映画が好きだったよな?

 ふふ。自慢してやろう。エクセルシオで映画になるような世界は実在したぞってな!私は断然、血湧き肉躍る、バチバチ殺し合う映画の方が好きだし滾ってくるのだがな。

 
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