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惑星に降り立つ

サクソンの街の石垣

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 ソフィーの訓練が終わり戻って来たらあの初老のバルさんは壊れた馬車から荷物を選別していた。

 「あぁ、バル殿手伝いますよ」

 「あぁトレノ殿申し訳ない。それとどうかワシの事はバルと呼び捨てで構わない」

 「そんな目上の人に呼び捨てはできませんよ。それなら俺の方こそトレノと呼び捨てでかまいませんよ?殿とか呼ばれるの初めてでむず痒いです」

 「そうですか・・・ならワシの事はせめてバルさんにしてくれれば・・・それとトレノ殿の事もさんにするようにしよう。恩人を呼び捨てにはできん」

 「ならお互いそうしましょう。それで今回はサクソンに何か品を持って行ってたんですか?」

 「そうです。ここから東に30日程馬車で移動した所にあるとある村で良質な絹や珍しい酒を作り出してワシはそれを独占契約を結び各地に運んでおるのだよ。オギゴにも運んでるんだが・・・トレノさんにも飲んでもらいたいと思って酒樽を探してるんだがどうも樽が割れて中身が出てしまってるようだ。すまん」

 「いや確かに酒は好きですが普通に購入して飲みますよ!」

 それから俺達は残ってるまだ大丈夫そうな色付きの良質な絹や調味料、見た事ない保存食や何かの瓶詰めを俺のマジックバックに入れ休憩してるとユウコが起きてきた。

 「あっ、みなさんすいません寝過ぎてしまいました!」

 「あなたがワシを助けてくれた方ですな!?この度どうもありがとうございます!このお礼は必ず…」

 「いっいえ私はただ薬を塗っただけで・・・」

 「いや、シルビアのおかげだよ。俺達はこれからこのバルさんと、サクソンに向かうようにしたけどかまわないか?」

 「私は全然大丈夫です」

 「そうか。なら昨夜と同じだが朝飯食べたら出発しよう。俺の見立てでは後5日程でサクソンに着くと思う。みんな頑張ってくれ」

 "曹長 この絹は惑星レベルの割にかなり上質に見えます"

 "うん?ああ。確かにこれで服なんか仕立ててもらったらかなり良い服になるだろうな。それがどうかしたのか?"

 "気づきませんか マテリアのカプセルの原材料の7割は蚕の繭です"

 "あっ!忘れてた!カリホルニウムにしか意識が向いてなかった!ユウコすまん!"

 "いえ そこは大丈夫です できればこの絹を作ってる所を確認したいです もし我々と同じ製造方法ならこの惑星レベルでは相当高価な物です サハリン帝国に属してるか分かりませんが あのバルという男性が独占契約したくらいなので恐らく 帝国には属してないと思われます 早いうちに確保しておく事を提案致します"

 "分かった。久しぶりにユウコに命令するな。何か懐かしいな。ここから東にドローンをステルスモードで向かわせて目標地 仮称 蚕の村にサハリン帝国と思われる人物が近付きにくいように工作しろ。排除まではしなくて良い"

 "了解致しました 目標の村 仮称 蚕の村に向かい サハリン帝国らしき人物が近付いたらバレないように妨害行為を致します"


 そこから俺達は4日間いつものように行軍しサクソンに向かった。途中レッドボアが居たので俺が狩り、エルフのユウコに魔法で水を出したもらいながら捌いて部位ごとにし、最終日の夜飯は石焼きで焼き肉にした。最後という事もあり調味料は遠慮せずにふんだんに使った。

 「トレノ様!この行軍の最初の方にも食べましたがその時よりかなり美味しく感じます!!」

 「確かにあんたの料理食べて来たけど中々美味しい物作るのが上手なんだね」

 「そうなんだよ?トレノは私と二人の時もよく料理してくれて他にも美味しい物が一杯作れるんだよ」

 「あぁ~!シルビア様ズルい!!!!」

 「おいおい!そう言ってくれるのは嬉しいが俺は料理人じゃないぞ!?」

 「皆と同じだがレッドボアは、それなりに美味いがこんなに臭くない肉は初めてだ。何か手を加えておるのか?」

 「あぁ、これは解体する前に良く血抜きをして、臭みの元となる脂肪分をある程度除けてこの、黒いソースと少量の酒に漬ければ臭みが消えるんです。他にもこの丸い白い茎の根とかに臭み消しが入ってるのです。行軍最終日なので奮発しました」

 「これはサクソンで料理屋で食う肉より美味いぞ!」

 一通りみんなに褒められて最終日の夜は更けていった。

 次の日の午前中やっと俺達はサクソンの街に到着した

 「これは凄いな!オギゴより数倍でかいぞ!?」

 「私達の故郷よ!凄いでしょ!さっ入りましょう!」

 "曹長 素晴らしいの一言です この入り口の石垣はエクセルシオなら 歴史的文化価値に値します"

 "そ、そうか。なら知識の泉とやらにアップデートでもしたらいいんじゃないか?"

 "もちろんそうさせてもらいます"

 とりあえず宿だけ決めて、ソフィーの母親の元に行こうか。
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