12 / 122
惑星に降り立つ
生活の拠点
しおりを挟む 翌日、キースはキラを胸に抱き、イオと共にワイトデ自治区へと向かった。
『移動』してしまうので、時間はかからない。
イオの屋敷の敷地内に『移動』してきて辺りを見回した。
数日前までは灰色に染まっていた町も、色を取り戻していた。
イオに聞くと、町中の灰は、風を扱える者が集めて袋に入れ、町外れに回収しているらしい。
そこから必要な分だけもらっていって、水捌けの悪い土地の土に混ぜて作物を作ったり、土嚢として使うらしい。
過去にもそうやって灰を利用して来たそうだ。
屋敷の中には入ると、領主、イオの両親がいて、お礼を言われた。
ここへ来てくれたおかげで、長引かず住民達も早く家に帰れる事になって、喜んでいると。
そしてチハヤに服を着替えされされ、彼らに連れられて、近くの社に来ていた。
そこはワイトデ自治区のアリミネ火山を祀る社。
そして、多くの人が集まりザワザワとしていたが、キースがキラを連れて姿を現すと、辺りはシーンと静まり返る。
キラは驚いたのか、キースの服にしがみついて離そうとはしない。
そんなところも可愛い…などと思っていると、イオに社の前に立つように言われ、こっそりと耳打ちされる。
「炎の結晶石をここで作って見せれるか?」
「…う~ん。どうだろう…」
キースは抱えていたキラを地面に降ろし、隣に座り込む。
「キラ、ギュウッて、熱を集めれる?」
キースが聞くとキラはじっとキースを見て、空を見上げた。
風が吹き始め、キラの頭上に集まり始める。
…始まった。
「イオ。炎の結晶石を冷やす場所はある?」
「社の池を使うと良い」
そう言って、イオは隣に有る池を視線で示す。
「お湯が涌き出ている池だから、冷たくはないが…」
無いよりはましだろう。
そんな会話をしているうちに、キラの頭上に炎の結晶石が赤くキラキラと輝いていた。
回りにいるもの達は、その美しさに見惚れている。
風が収まり、落ちてくる炎の結晶石をキースは風で包み込み、落下する場所をイオが言った池へと誘導する。
ポトンと音がして、水蒸気が舞い上がった。
辺り一面、真っ白な水蒸気に包まれ、しばらくすると次第に収まり、視界がもとに戻っていく。
イオが池に入り、炎の結晶石を拾ってきて、キラのもとへ持って来た。
そしてキラの前に膝を付いて、炎の結晶石を掲げた。
「キラ様。我らワイトデ自治区は、キラ様をアリミネ火山の守護竜としてお慕いいたします。どうぞ、お守りください」
イオがそう言うと、回りにいた人々も膝を付いて座り込み、頭を下げた。
ギュウッ!
キラがそう鳴くと、イオは微笑みキラの頭を撫でる。
「よろしく。キラ様」
キラは撫でられて気持ち良さそうに目を細める。
そして、社で宴会が始まった。
キラの前にいろんな食べ物が運ばれてきて、キラは興味深々に覗き込み、キースが食べるとキラも口を開けて催促する。
キースは少量づつ手のひらに乗せて、キラに食べさせていた。
…何でも食べるんだ。
そこへチハヤが近づいてくる。
「キラちゃん。美味しい?」
ギュウッ!
チハヤはニコニコ微笑んで、手のひらに果物を乗せてキラに食べさせてあげる。
「…お祭り騒ぎになっちゃったね」
ぽそりとチハヤが言ってくる。
「キラが認めてもらえれば良いよ。…でもこれが、後三回続くと思うと、そっちの方が気が重い…」
キースが苦笑いすると、その言葉にチハヤは笑った。
キラが炎の結晶石を作れるのは一日一個までだ。
その日の気温と、お腹の減り具合にもよる。
初めて炎の結晶石を作ったときは、お腹が減りすぎて貪るように作って食べていたらしい。
魔力の制御をするようになって、人族と同じ食べ物を食べるようになって、身体と魔力のバランスが取れるようになってきたようだ。
明日は熊族の町に行く。
賑やかな宴が終わり、イオの屋敷の客室でキラと一緒の部屋で眠った。
夜中に重くて目が覚めると、キースが眠るベッドの掛け布団の上に丸くなって、キラが眠っていた。
…キラは良い子だ。
キースは微笑みを浮かべて再び眠りについた。
『移動』してしまうので、時間はかからない。
イオの屋敷の敷地内に『移動』してきて辺りを見回した。
数日前までは灰色に染まっていた町も、色を取り戻していた。
イオに聞くと、町中の灰は、風を扱える者が集めて袋に入れ、町外れに回収しているらしい。
そこから必要な分だけもらっていって、水捌けの悪い土地の土に混ぜて作物を作ったり、土嚢として使うらしい。
過去にもそうやって灰を利用して来たそうだ。
屋敷の中には入ると、領主、イオの両親がいて、お礼を言われた。
ここへ来てくれたおかげで、長引かず住民達も早く家に帰れる事になって、喜んでいると。
そしてチハヤに服を着替えされされ、彼らに連れられて、近くの社に来ていた。
そこはワイトデ自治区のアリミネ火山を祀る社。
そして、多くの人が集まりザワザワとしていたが、キースがキラを連れて姿を現すと、辺りはシーンと静まり返る。
キラは驚いたのか、キースの服にしがみついて離そうとはしない。
そんなところも可愛い…などと思っていると、イオに社の前に立つように言われ、こっそりと耳打ちされる。
「炎の結晶石をここで作って見せれるか?」
「…う~ん。どうだろう…」
キースは抱えていたキラを地面に降ろし、隣に座り込む。
「キラ、ギュウッて、熱を集めれる?」
キースが聞くとキラはじっとキースを見て、空を見上げた。
風が吹き始め、キラの頭上に集まり始める。
…始まった。
「イオ。炎の結晶石を冷やす場所はある?」
「社の池を使うと良い」
そう言って、イオは隣に有る池を視線で示す。
「お湯が涌き出ている池だから、冷たくはないが…」
無いよりはましだろう。
そんな会話をしているうちに、キラの頭上に炎の結晶石が赤くキラキラと輝いていた。
回りにいるもの達は、その美しさに見惚れている。
風が収まり、落ちてくる炎の結晶石をキースは風で包み込み、落下する場所をイオが言った池へと誘導する。
ポトンと音がして、水蒸気が舞い上がった。
辺り一面、真っ白な水蒸気に包まれ、しばらくすると次第に収まり、視界がもとに戻っていく。
イオが池に入り、炎の結晶石を拾ってきて、キラのもとへ持って来た。
そしてキラの前に膝を付いて、炎の結晶石を掲げた。
「キラ様。我らワイトデ自治区は、キラ様をアリミネ火山の守護竜としてお慕いいたします。どうぞ、お守りください」
イオがそう言うと、回りにいた人々も膝を付いて座り込み、頭を下げた。
ギュウッ!
キラがそう鳴くと、イオは微笑みキラの頭を撫でる。
「よろしく。キラ様」
キラは撫でられて気持ち良さそうに目を細める。
そして、社で宴会が始まった。
キラの前にいろんな食べ物が運ばれてきて、キラは興味深々に覗き込み、キースが食べるとキラも口を開けて催促する。
キースは少量づつ手のひらに乗せて、キラに食べさせていた。
…何でも食べるんだ。
そこへチハヤが近づいてくる。
「キラちゃん。美味しい?」
ギュウッ!
チハヤはニコニコ微笑んで、手のひらに果物を乗せてキラに食べさせてあげる。
「…お祭り騒ぎになっちゃったね」
ぽそりとチハヤが言ってくる。
「キラが認めてもらえれば良いよ。…でもこれが、後三回続くと思うと、そっちの方が気が重い…」
キースが苦笑いすると、その言葉にチハヤは笑った。
キラが炎の結晶石を作れるのは一日一個までだ。
その日の気温と、お腹の減り具合にもよる。
初めて炎の結晶石を作ったときは、お腹が減りすぎて貪るように作って食べていたらしい。
魔力の制御をするようになって、人族と同じ食べ物を食べるようになって、身体と魔力のバランスが取れるようになってきたようだ。
明日は熊族の町に行く。
賑やかな宴が終わり、イオの屋敷の客室でキラと一緒の部屋で眠った。
夜中に重くて目が覚めると、キースが眠るベッドの掛け布団の上に丸くなって、キラが眠っていた。
…キラは良い子だ。
キースは微笑みを浮かべて再び眠りについた。
0
お気に入りに追加
205
あなたにおすすめの小説

異世界転移したけど補填で与えられたスキルがピーキー過ぎる!〜スキル魔法属性強制変更は相手によっては万能です〜
syami1000
ファンタジー
昼休みも終わりに近づき教室に生徒は戻る。
家久 高志は1番遅れて教室へ入りドアを跨ぐとその瞬間視界が光に包まれ、気付くと雲の上に佇んでいた。
そこに居た女神を名乗る女性から「補填です」と言われスキル魔法属性強制変更を授けられ、その後アゼー王国に召喚される。
王国で家久の基礎能力値を測ると、平均値すらも下回る水準だという事が判明し追放されてしまう。
その後王国からの刺客に命を狙われるが神国のスパイだと名乗る者に助けられ、家久のスキルが規格外のチート能力だという事が判明して……
ピーキーなスキルを駆使して、基礎能力値が低いのをカバーしながら別方面から勇者パーティー(クラスメイト達)より先に魔王討伐を目指すストーリーです。
この作品はなろうで連載しているものを、ストーリーをある程度改めて投稿しています
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
最狂公爵閣下のお気に入り
白乃いちじく
ファンタジー
「お姉さんなんだから、我慢しなさい」
そんな母親の一言で、楽しかった誕生会が一転、暗雲に包まれる。
今日15才になる伯爵令嬢のセレスティナには、一つ年下の妹がいる。妹のジーナはとてもかわいい。蜂蜜色の髪に愛らしい顔立ち。何より甘え上手で、両親だけでなく皆から可愛がられる。
どうして自分だけ? セレスティナの心からそんな鬱屈した思いが吹き出した。
どうしていつもいつも、自分だけが我慢しなさいって、そう言われるのか……。お姉さんなんだから……それはまるで呪いの言葉のよう。私と妹のどこが違うの? 年なんか一つしか違わない。私だってジーナと同じお父様とお母様の子供なのに……。叱られるのはいつも自分だけ。お決まりの言葉は「お姉さんなんだから……」
お姉さんなんて、なりたくてなったわけじゃない!
そんな叫びに応えてくれたのは、銀髪の紳士、オルモード公爵様だった。
***登場人物初期設定年齢変更のお知らせ***
セレスティナ 12才(変更前)→15才(変更後) シャーロット 13才(変更前)→16才(変更後)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる