惑星創造記 俺が神様!?

デンデンムシ

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新しい門出

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 オレは申し訳なさいっぱいで部長の前に居る。別に人間関係やなんかで辞めるわけではない。寧ろ、こんなに良い上司はいないだろう。しかも先日、部長の奢りで連れ出してもらったくらいだ。その部長を裏切る形となってしまうわけだ。

 「う~ん・・・何か不満があるのかね?」

 「いえ・・・どんな言葉並べようとただ、私自身の決意と申しますか・・・自分で商売してみたいと考えている次第でございます」

 「そうか・・・。私は行く行くは沖田君を是非私の後釜にと考えていたのだが・・・考え直してはくれんかね?」

 「すいません。部長みたいに人に恵まれ、過分な配慮もしていただいた会社を辞めるのは心苦しい限りです。ですが、自分のやりたい事に挑戦してみたいと思い・・・」

 「そうか・・・。なら、部下の門出だ。喧嘩別れするのではないのだから、これからも何かあるなら連絡してきなさい。沖田君の顧客の引き継ぎは三宅さんにお願いしなさい」

 「本当にすみません。後・・・頼まれていた果物です。社長にもお渡しください」

 「うむ。ありがとう。渡しておこう。それと・・・自分で商売とは何を考えているのだね?」

 「はい。ただ漠然とではありますが、この果物もですが日本に中々ないような食べ物を販売できればと思っています」

 本当は正規に手続きしてやりたいがそれは無理だ。恐らくルリの実に関しては地球にないものだからだ。それに、病原菌やなんかもいるかもしれないが、これは魔法のキュアをかければどうとでもなる。

 こっちは必要最低限の生活ができるようにして、今後はアマテラスで生活ができるようになればと思っている。ただ、あちらで生活するにしてもあちらの貨幣がいるはずだ。神の力で病人や怪我人を治し、その都度報酬を貰うといういかにも、ファンタジーな方法を取ってもいい気はするが・・・これは後々に考えよう。

 「沖田君はその仕入れる伝手があるのかね。確かにこの果物はみんなお気に入りだからね。色々決まれば教えてほしい。私もお客の1人になるよ」

 「ありがとうございます。色々決まりましたらご連絡致しますので」

 

 「と、いう事で僕の販路を三宅さんに託しますのでよろしくお願いします」

 「え!?どういう事ですか!?出張とかそんな話ではなかったのですか!?」

 三宅さんに説明するのは大変だった。辞めるのはもったいないとか、考え直してとかかなり言われたからだ。だが、オレの決意は変わらない。

 それから2週間程はアマテラスにも殆ど向かわず、仕事関係の引き継ぎに忙殺された。三宅さんを連れて、お得意様の挨拶回り、同僚からの送別会などかなり盛大にしてくれた。

 蛍は例の活性の実を食べてもらったのだが一瞬発光しただけで何も変わりはない。アマテラスで本領発揮できると聞いたが忙殺されているため、まだその変化は見ていない。なんなら、蛍も精霊界でやる事があると言って居ない事もある。

 精霊界とはどんなところなのかとか気にはなるが今は自分のことで精一杯だ。

 更に1週間が過ぎて、ようやっと会社の事も落ち着き、みんなへの挨拶や粗品も渡して、有休消化で休みに入った。ただ、嬉しい事があった。退職金があったのだ。320万ほど振り込まれていた。

 このお金は暫くの活動資金だ。大切に使わなくてはいけない。

 そして明日から出社しなくてよくなったこの日の夜・・・

 「ただいま~・・・真っ暗?蛍?今日も居ないのか」

 カチッ

 部屋の電気を点けると・・・

 「八太郎様!!おかえりなのです~♪お仕事お疲れ様なのですぅ♪」

 「え!?蛍!?居たの!?ってかその荷物類はなんだ!?」

 「えっへん!私はもう精霊界に帰らないのです!だから荷物全部持ってきたです!」

 「いやおま・・・荷物って言ったって・・・そのフラスコみたいな物とかなんなんだ!?服とか箪笥とかなら分かるけどよ!?」

 「八太郎様には錬金術が使えるです♪これからアマテラスで八太郎様と暮らすです!」

 「おっ、おう・・・そうか。また後で教えてくれ」

 「はいです!それじゃあ・・・」

 パンッ!!!!

 「八太郎様!お疲れ様でした!!これからもよろしくお願いしますです!」

 蛍はオレにクラッカーを鳴らした後、テーブルに移動した。テーブルの上にはオレの大好物のご飯がズラリと並んでいた。

 「おい!蛍!?この豚の角煮は!?すき焼きは!?ペペロンチーノは!?」

 「八太郎様に喜んでもらうため作ったです!!」

 「ありがとう!お腹すいたからすぐに食べるよ!いっただきまーす!」

 「あっ!八太郎様ダメです!外から帰ったら手洗ってうがいをするです!!」

 うん。やはり蛍はオレのオカンみたいな感じだ。



 「さて・・・蛍さんや?今日から本格的に我が星を探索できるわけだが・・・例のエルフさんにも後で来ると言ってまったく顔も見せていないわけだ。ここは今一度顕現しようと思うのだがどうだね?」

 「キャハッ♪八太郎様の話し方変です!」

 昨夜は蛍が作ったご飯を食べて、腹が張り裂けそうになっていた。わんこ蕎麦ですか!?というように皿に物がなくなれば補充してくるのだ。いったいどのくらい作ったのだろうか。

 そんな事はさておき・・・とにかくオレが作った世界を探索してみたいと思う。

 「蛍!とりあえず行こう!手土産は・・・クッキーにお菓子、ジュース、酒と・・・これだよ!これ!ファンタジーな世界なら石鹸やシャンプーなんかも高価なはずだろ!とりあえず巷の人にこれを売って、活動資金を得よう!」

 「キャハッ♪八太郎様は頭いいのです♪」

 いや、これくらいなら誰でも思い浮かぶと思うぞ!?ラノベでは当たり前な展開だと思うんだが!?

 それからすぐにオレは例の雲に乗り、タブレットに映る惑星を拡大しながら見る。

 「う~ん。蛍?ここがルールーラーの街だよね?」

 「はいです♪」

 「こうやって見ると意外にもいっぱい街ぽいところはあるんだな。それでも殆どが森やら砂漠やらばかりだけど。うん?この崖ってなんなの?」

 「はい!この間攻撃した王様はハインリッヒ・ルールーラーという人間でした!だからあそこは正確にはルールーラー帝国というところなのです!ここら辺は全てあの王国の領土なのです!この崖は大地震でできた崖なのです!」

 いやいや、あの攻撃して捨てゼリフ吐いて逃げた国王がハインリッヒ・ルールーラーだと!?ルールーラーって変な名字のくせに名前だけハインリッヒとカッコいい名前なのか!?

 「そっか。とりあえずルールーラー帝国だっけ?王様が帰って来てるかは分からないけど行こう!」

 「了解なのです♪」
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