完結•一目惚れから始まる無自覚な恋~見た目の良い二人の一方が恋心を自覚するまで~

文字の大きさ
上 下
10 / 12

そして、冒頭の再会へ

しおりを挟む
 それからライオネルは多忙なスケジュールをこなして帰国。
 その間に雪斗と会うことはなかった。

「何が、またすぐに会える、だ!? やっぱり口だけじゃないか」

 ぶつぶつと不満を口にしつつも、心にぽっかりと穴があいたような、物寂しさが身を包む。
 だが、時間は容赦なく過ぎていき。

「まあ、颯真の曲については連絡がきたけどさ」

 あれから颯真に某有名企業からネットにあげている曲について打診がきた。当初は半信半疑だったが、少しづつ話は進んでいるらしい。

「僕も負けていられないし!」

 奨学金が必要な雪斗はテストの順位を落とすわけにはいかない。モデルのバイトをしながら、気合いをいれて勉強する日々。

 その日も夜遅くまで勉強していたため、朝は惰眠をむさぼっていた。
 しかし、予定外の騒音に起こされ、苦情を言おうと外に出れば引っ越し荷物が運び込めずに右往左往している配達人。
 そして、引っ越し主は世界的モデルの……

「隣に引っ越してきた。よろしく」

 当然のように宣言するライオネル。

 どう考えても、いや、考えるまでもなく、場違いすぎる。

 雪斗は宇宙へ飛んでいた意識を戻して吠えた。

「隣って、何考えてるんだ!? こんなセキュリティーのセの字もないボロアパートにあなたが住んだら……」

 久しぶりに会えた喜びもあるが、それよりもこれからのことへの不安が勝つ。こんな世界的モデルが隣にいて安穏とした生活が送れるわけない。
 しかし、原因であるライオネルは肩をすくめて悪気のない様子で言った。

「いや、君の事務所に移籍しようとしたら無理だと言われてな。だから、拠点を日本にすることにしたんだ」
「ちょっと、待ってください! いろいろおかしいでしょ! それで、なんでここに引っ越すことになるんですか!?」

 ここで雪斗のスマホが鳴る。
 ライオネルに背をむけて電話に出ると、大音量の野太い泣き声に鼓膜を殴られた。

『雪斗くぅぅぅんんん!! すぐに引っ越してぇぇぇぇ!!!! 引っ越し代も家賃も事務所で持つからぁぁぁあ!!!!!!!』
「へ? はぁぁぁぁ!?」

 おねぇ社長の泣きが入った懇願とともにセキュリティが万全なマンションへ引っ越すことになった雪斗。
 隣はもちろん世界的モデルのこいつ。

 本当になんで、こうなった!?


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

勘違いラブレター

ぽぽ
BL
穏やかな先輩×シスコン後輩 重度のシスコンである創は妹の想い人を知ってしまった。おまけに相手は部活の先輩。二人を引き離そうとしたが、何故か自分が先輩と付き合うことに? ━━━━━━━━━━━━━ 主人公ちょいヤバです。妹の事しか頭に無いですが、先輩も創の事しか頭に無いです。

太陽に恋する花は口から出すには大きすぎる

きよひ
BL
片想い拗らせDK×親友を救おうと必死のDK 高校三年生の蒼井(あおい)は花吐き病を患っている。 花吐き病とは、片想いを拗らせると発症するという奇病だ。 親友の日向(ひゅうが)は蒼井の片想いの相手が自分だと知って、恋人ごっこを提案した。 両思いになるのを諦めている蒼井と、なんとしても両思いになりたい日向の行末は……。

まさか「好き」とは思うまい

和泉臨音
BL
仕事に忙殺され思考を停止した俺の心は何故かコンビニ店員の悪態に癒やされてしまった。彼が接客してくれる一時のおかげで激務を乗り切ることもできて、なんだかんだと気づけばお付き合いすることになり…… 態度の悪いコンビニ店員大学生(ツンギレ)×お人好しのリーマン(マイペース)の牛歩な恋の物語 *2023/11/01 本編(全44話)完結しました。以降は番外編を投稿予定です。

キミの次に愛してる

Motoki
BL
社会人×高校生。 たった1人の家族である姉の由美を亡くした浩次は、姉の結婚相手、裕文と同居を続けている。 裕文の世話になり続ける事に遠慮する浩次は、大学受験を諦めて就職しようとするが……。 姉への愛と義兄への想いに悩む、ちょっぴり切ないほのぼのBL。

幸せのカタチ

杏西モジコ
BL
幼馴染の須藤祥太に想いを寄せていた唐木幸介。ある日、祥太に呼び出されると結婚の報告をされ、その長年の想いは告げる前に玉砕する。ショックのあまり、その足でやけ酒に溺れた幸介が翌朝目覚めると、そこは見知らぬ青年、福島律也の自宅だった……。 拗れた片想いになかなか決着をつけられないサラリーマンが、新しい幸せに向かうお話。

【完結】はじめてできた友だちは、好きな人でした

月音真琴
BL
完結しました。ピュアな高校の同級生同士。友達以上恋人未満な関係。 人付き合いが苦手な仲谷皇祐(なかたにこうすけ)は、誰かといるよりも一人でいる方が楽だった。 高校に入学後もそれは同じだったが、購買部の限定パンを巡ってクラスメートの一人小此木敦貴(おこのぎあつき)に懐かれてしまう。 一人でいたいのに、強引に誘われて敦貴と共に過ごすようになっていく。 はじめての友だちと過ごす日々は楽しいもので、だけどつまらない自分が敦貴を独占していることに申し訳なくて。それでも敦貴は友だちとして一緒にいてくれることを選んでくれた。 次第に皇祐は嬉しい気持ちとは別に違う感情が生まれていき…。 ――僕は、敦貴が好きなんだ。 自分の気持ちに気づいた皇祐が選んだ道とは。 エブリスタ様にも掲載しています(完結済) エブリスタ様にてトレンドランキング BLジャンル・日間90位 ◆「第12回BL小説大賞」に参加しています。 応援していただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。 ピュアな二人が大人になってからのお話も連載はじめました。よかったらこちらもどうぞ。 『迷いと絆~友情か恋愛か、親友との揺れる恋物語~』 https://www.alphapolis.co.jp/novel/416124410/923802748

華麗に素敵な俺様最高!

モカ
BL
俺は天才だ。 これは驕りでも、自惚れでもなく、紛れも無い事実だ。決してナルシストなどではない! そんな俺に、成し遂げられないことなど、ないと思っていた。 ……けれど、 「好きだよ、史彦」 何で、よりよってあんたがそんなこと言うんだ…!

鈴木さんちの家政夫

ユキヤナギ
BL
「もし家事全般を請け負ってくれるなら、家賃はいらないよ」そう言われて住み込み家政夫になった智樹は、雇い主の彩葉に心惹かれていく。だが彼には、一途に想い続けている相手がいた。彩葉の恋を見守るうちに、智樹は心に芽生えた大切な気持ちに気付いていく。

処理中です...