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反乱から捕らわれの身に

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「陛下! 反乱です!」

 顔を青くした臣下と侍女を連れた少女が執務室に駆け込んできた。
 宮殿に怒号と爆音が響き、焼ける臭いと黒煙が迫る。

 私は背後にあった本棚へ飛びつき素早く本を動かした。兄の日記にあった皇族だけが知る隠し通路が現れる。

「逃げろ」
「陛下は!?」

 叫ぶ少女に私は首を横に振った。

「ここに残る」

 この国を治める皇帝として。そして、少女が安全な場所へ逃げるまでの、時間稼ぎのため。

「でしたら、私も!」

 頑として動きそうにない少女。私は控えている侍女に命令した。

「連れていけ」
「はい」
「陛下!」

 侍女が少女を持ち上げて通路へ飛び込む。白い指が私を求めて伸びたが、私は触れることができなかった。

 それから私は逃げた少女と臣下の身の安全と引き換えに拘束され、牢へ入れられた。
 罪人と同じ服を着せられ、魔力封じの枷を手首に嵌められる。

「国の金で好き勝手に散財しやがって」

 そう殴られ、ツバを吐かれたが、私には思い当たることがなかった。

「いや。一つだけある、か」

 少女が可愛くあるため金に糸目をつけなかった。だが、散財というほどではない。それより、使途不明で消えている金の方が多く、年々膨れ上がっている。
 そして、父と兄はその金の流れを探っている途中で亡くなったことが兄の日記から分かった。

「……反乱、か」

 私が薄暗い牢から出されたのは、二日後だった。


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