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混乱とクリスの答え
それは、クリスなりの整理とルドの決断でした
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昼食後、クリスは一人でカフェに来ていた。
女性だけでも訪れることが出来る店とはいえ、一人で、しかも異国の服を着ている姿は浮いている。いや、浮いている原因はそれだけではない。
店員や客からの囁き声と視線が集まる。だが、クリスは気にすることなく紅茶を飲む。
そこに、店先から黄色い声が上がった。見惚れるようなため息と感嘆がさざ波のように広がる。
店内の視線を一身に浴びた美丈夫が一直線にこちらへ来る。しかし、クリスのテーブルの前で動きが止まった。一瞬、息を呑んだような間の後、椅子に腰を下ろした。
「待たせたか?」
浅黒い肌に白のケリーマ王国の伝統的な衣装がよく映える。艶やかな黒髪が風になびき、深緑の瞳が微笑む。
嫌味なほど男前のオグウェノにクリスが淡々と答えた。
「いや、急に呼び出して悪かったな」
「月姫の呼び出しなら世界の裏側でも喜んでいくぞ」
クリスがカップを置いて微笑む。オグウェノが店員に紅茶とケーキを注文した。
「おまえは私に甘いな。イディはどうした?」
「店の外で待っている。二人で話したいことがあるのだろう?」
「あぁ。だが、イディに悪いことをしたな」
「それが仕事だ、気にするな。ところで、今日は髪の色を変えないのか?」
クリスが金色の髪を隠すことなく背中に流している。深緑の瞳も隠していない。
「カリストが、神からの関与がなくなり“神に棄てられた一族”への嫌悪感は前より軽くなっている。と、言うからな。本当かどうか実験してみた」
「それで髪を隠さずカフェに来たのか? だが、なにかあったら……」
「その時はカリストが責任を持ってなんとかするだろう。それに“黒の一族”がいる施設からも嫌悪感を軽くする細工をしたそうだ」
「それで、この程度の反応で済んでいるのか。オレは認識阻害があるから実感できないが、効果はあるように見えるな」
オグウェノが軽く店内を見回す。
人々がこちらを見ながらヒソヒソ話をしているが、あからさまな侮蔑や嫌悪はない。
以前なら“神に棄てられた一族”を見ただけで人々は逃げ出し、戸口を閉めた。店に入るなんて考えられない。
オグウェノが実感していると、クリスが視線を外して恥ずかしそうに言った。
「あと、犬が自分以外の魔力が私の髪に付くのは嫌だ、と言うのでな」
「赤狼に嫉妬が過ぎると嫌われるぞ、と忠告しておかないといけないな」
「しっかり言い聞かせてくれ」
「だが、そんな犬の言うことを守る月姫も大概だな。惚れた弱みか?」
オグウェノはからかうつもりで軽く言ったが返事がない。
不思議に思っているオグウェノの前でクリスは赤面して頷いた。
「そ、それは……その、あぁ」
「んぅ!?」
認めたクリスにオグウェノが吹き出しそうになった。
「つ、月姫!? どうした!? なにか悪いものでも食べたか!?」
「なぜ、そうなる!?」
クリスがバンとテーブルを叩く。ただでさえ注目を浴びていたのに、ほとんどの客と店員の全員がこちらを向いた。クリスが慌てて姿勢を正す。軽く咳払いをして、すました顔を作った。
「と、とにかく、私はなにも変な物は食べていない」
「そうか。なら、ついに観念したか」
オグウェノがどこか寂しそうに笑う。クリスが深緑の瞳をまっすぐオグウェノに向けた。
「おまえには、いろいろ助けてもらった。おまえがいなかったら、今の私はなかっただろう。ありがとう」
「もしかして、礼を言うために呼んだのか?」
「そうだが……いけなかったか?」
クリスがきょとんとした顔で首を傾げる。オグウェノは苦笑いを浮かべた。
「ヘタなごめんなさいよりキツい気がするな」
「どういうことだ?」
オグウェノがクリスの頬に手を伸ばす。
「諦めきれなくなってしまう」
「諦める?」
クリスの頬をオグウェノの指が撫でた。
「赤狼となにかあったら、すぐに言え」
「なぜだ?」
「オレが月姫を迎えに行く」
「なら、おまえにだけは言えないな」
「ひどいな」
二人が笑い合う。そこに店員が紅茶とケーキを運んできた。シンプルなスポンジケーキに生クリームとフルーツがトッピングされている。
オグウェノがフォークを突き刺し、豪快に口に入れる。
「この国のケーキは上品な甘さだな」
「素直に甘さが足りないと言え」
「ま、この国はケリーマ王国ほど暑くなることもないからな。これぐらいの甘さで丁度いいんだろう」
「だが、物足りない?」
「まあな」
オグウェノが頷く。クリスが店員に声をかける。一礼した店員はすぐに小さな瓶を持って来た。
「これで、どうだ?」
クリスがオグウェノのケーキの上に小瓶を傾ける。中から黄金色のドロリとした液体が出てきた。
「ハチミツか?」
「そうだ」
蜂蜜がたっぷりかかったケーキをオグウェノが食べる。程よい甘さに花の香り。
「うまいな」
「たまには素直になることも必要だぞ」
「まさか月姫に素直になれ、と言われる日が来るとは」
オグウェノがクククッと喉の奥で笑う。その顔にクリスが頬を膨らます。
「どういうことだ?」
「言葉の通りだ」
反論できないクリスがオグウェノを睨む。
「まったく。月姫は見ていて飽きないな」
「失礼なヤツだな」
「それこそ、いまさらだろ」
「それも、そうか」
二人が穏やかに談笑をする。その光景を遠くから見ている目があった。
※
翌日。
クリスが朝食をとっていると、白い魔法騎士団の騎士服姿のルドが現れた。腰には白い鞘に金で装飾が施された剣を下げている。
「おはようございます」
「お、おはよう」
クリスが慌てて視線を外す。なんとなく癪だが、やはり魔法騎士団の騎士服がルドには一番似合っており、見惚れてしまう。
沈黙に耐えられなくなったクリスが訊ねる。
「おまえが剣を下げるなんて珍しいな」
「いままでは、神の加護で手から剣が出せていました。ですが、これからは出せませんので」
「そ、そうだな」
クリスは納得しかけて顔をあげた。
「晩餐会は夕方からだろ? 正装をするには早くないか?」
「少し用事がありまして。先に帝城へ行きますが、師匠は時間になったら来てください」
「あ、あぁ」
なにかひっかかるものを感じながら頷く。ルドがクリスに手を伸ばしかけて下ろした。
「では、また後で」
「あぁ……」
クリスは首をかしげてルドを見送った。
※※
帝城に到着したルドは案内を申し出た若い執事を無視して、一直線に客人が宿泊する離れへ向かった。
国外からの要人を迎える離れは絢爛ながらも華美すぎず、品格が漂う。汚れ一つない白壁と紺色の屋根が特徴的な城。
魔法騎士団の騎士服のおかげで、城内を自由に闊歩していく。離れの入り口を護衛している兵にも止められることなく建物に入った。
ルドが歩いていると、正面からイディを連れたオグウェノがやってきた。
「お、ちょうど良かった。いまから、おまえの所に行こうとしていたんだ」
「何用ですか? 穏やかに話をする……という格好ではなさそうですが」
「そうだな」
オグウェノがニヤリと口角を上げる。
ゆったりとしたケリーマ王国の伝統衣装を着ていることが多いオグウェノが今日は違う服を着ていた。
筋肉質な上半身をさらけ出し、腰に太い布を巻いている。下半身はゆったりとしたズボンを履いているのだが、腰回りと脛に鉄の鎧を装着している。あと両腕に布を巻き、籠手を付けていた。
「いい加減、ケリをつけようと思ってな」
「奇遇ですね。自分もそう思って来ました」
「よし、来い。鍛錬場の使用許可は第三皇子から得ている」
「準備がいいですね」
オグウェノは答えずにルドの隣を通り過ぎた。イディがルドを睨む。その気配を感じ取ったオグウェノが忠告する。
「イディ」
「ハッ」
それだけで忠臣が敵意を消す。ルドは少し距離を開け、後ろを歩いた。
女性だけでも訪れることが出来る店とはいえ、一人で、しかも異国の服を着ている姿は浮いている。いや、浮いている原因はそれだけではない。
店員や客からの囁き声と視線が集まる。だが、クリスは気にすることなく紅茶を飲む。
そこに、店先から黄色い声が上がった。見惚れるようなため息と感嘆がさざ波のように広がる。
店内の視線を一身に浴びた美丈夫が一直線にこちらへ来る。しかし、クリスのテーブルの前で動きが止まった。一瞬、息を呑んだような間の後、椅子に腰を下ろした。
「待たせたか?」
浅黒い肌に白のケリーマ王国の伝統的な衣装がよく映える。艶やかな黒髪が風になびき、深緑の瞳が微笑む。
嫌味なほど男前のオグウェノにクリスが淡々と答えた。
「いや、急に呼び出して悪かったな」
「月姫の呼び出しなら世界の裏側でも喜んでいくぞ」
クリスがカップを置いて微笑む。オグウェノが店員に紅茶とケーキを注文した。
「おまえは私に甘いな。イディはどうした?」
「店の外で待っている。二人で話したいことがあるのだろう?」
「あぁ。だが、イディに悪いことをしたな」
「それが仕事だ、気にするな。ところで、今日は髪の色を変えないのか?」
クリスが金色の髪を隠すことなく背中に流している。深緑の瞳も隠していない。
「カリストが、神からの関与がなくなり“神に棄てられた一族”への嫌悪感は前より軽くなっている。と、言うからな。本当かどうか実験してみた」
「それで髪を隠さずカフェに来たのか? だが、なにかあったら……」
「その時はカリストが責任を持ってなんとかするだろう。それに“黒の一族”がいる施設からも嫌悪感を軽くする細工をしたそうだ」
「それで、この程度の反応で済んでいるのか。オレは認識阻害があるから実感できないが、効果はあるように見えるな」
オグウェノが軽く店内を見回す。
人々がこちらを見ながらヒソヒソ話をしているが、あからさまな侮蔑や嫌悪はない。
以前なら“神に棄てられた一族”を見ただけで人々は逃げ出し、戸口を閉めた。店に入るなんて考えられない。
オグウェノが実感していると、クリスが視線を外して恥ずかしそうに言った。
「あと、犬が自分以外の魔力が私の髪に付くのは嫌だ、と言うのでな」
「赤狼に嫉妬が過ぎると嫌われるぞ、と忠告しておかないといけないな」
「しっかり言い聞かせてくれ」
「だが、そんな犬の言うことを守る月姫も大概だな。惚れた弱みか?」
オグウェノはからかうつもりで軽く言ったが返事がない。
不思議に思っているオグウェノの前でクリスは赤面して頷いた。
「そ、それは……その、あぁ」
「んぅ!?」
認めたクリスにオグウェノが吹き出しそうになった。
「つ、月姫!? どうした!? なにか悪いものでも食べたか!?」
「なぜ、そうなる!?」
クリスがバンとテーブルを叩く。ただでさえ注目を浴びていたのに、ほとんどの客と店員の全員がこちらを向いた。クリスが慌てて姿勢を正す。軽く咳払いをして、すました顔を作った。
「と、とにかく、私はなにも変な物は食べていない」
「そうか。なら、ついに観念したか」
オグウェノがどこか寂しそうに笑う。クリスが深緑の瞳をまっすぐオグウェノに向けた。
「おまえには、いろいろ助けてもらった。おまえがいなかったら、今の私はなかっただろう。ありがとう」
「もしかして、礼を言うために呼んだのか?」
「そうだが……いけなかったか?」
クリスがきょとんとした顔で首を傾げる。オグウェノは苦笑いを浮かべた。
「ヘタなごめんなさいよりキツい気がするな」
「どういうことだ?」
オグウェノがクリスの頬に手を伸ばす。
「諦めきれなくなってしまう」
「諦める?」
クリスの頬をオグウェノの指が撫でた。
「赤狼となにかあったら、すぐに言え」
「なぜだ?」
「オレが月姫を迎えに行く」
「なら、おまえにだけは言えないな」
「ひどいな」
二人が笑い合う。そこに店員が紅茶とケーキを運んできた。シンプルなスポンジケーキに生クリームとフルーツがトッピングされている。
オグウェノがフォークを突き刺し、豪快に口に入れる。
「この国のケーキは上品な甘さだな」
「素直に甘さが足りないと言え」
「ま、この国はケリーマ王国ほど暑くなることもないからな。これぐらいの甘さで丁度いいんだろう」
「だが、物足りない?」
「まあな」
オグウェノが頷く。クリスが店員に声をかける。一礼した店員はすぐに小さな瓶を持って来た。
「これで、どうだ?」
クリスがオグウェノのケーキの上に小瓶を傾ける。中から黄金色のドロリとした液体が出てきた。
「ハチミツか?」
「そうだ」
蜂蜜がたっぷりかかったケーキをオグウェノが食べる。程よい甘さに花の香り。
「うまいな」
「たまには素直になることも必要だぞ」
「まさか月姫に素直になれ、と言われる日が来るとは」
オグウェノがクククッと喉の奥で笑う。その顔にクリスが頬を膨らます。
「どういうことだ?」
「言葉の通りだ」
反論できないクリスがオグウェノを睨む。
「まったく。月姫は見ていて飽きないな」
「失礼なヤツだな」
「それこそ、いまさらだろ」
「それも、そうか」
二人が穏やかに談笑をする。その光景を遠くから見ている目があった。
※
翌日。
クリスが朝食をとっていると、白い魔法騎士団の騎士服姿のルドが現れた。腰には白い鞘に金で装飾が施された剣を下げている。
「おはようございます」
「お、おはよう」
クリスが慌てて視線を外す。なんとなく癪だが、やはり魔法騎士団の騎士服がルドには一番似合っており、見惚れてしまう。
沈黙に耐えられなくなったクリスが訊ねる。
「おまえが剣を下げるなんて珍しいな」
「いままでは、神の加護で手から剣が出せていました。ですが、これからは出せませんので」
「そ、そうだな」
クリスは納得しかけて顔をあげた。
「晩餐会は夕方からだろ? 正装をするには早くないか?」
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「あ、あぁ」
なにかひっかかるものを感じながら頷く。ルドがクリスに手を伸ばしかけて下ろした。
「では、また後で」
「あぁ……」
クリスは首をかしげてルドを見送った。
※※
帝城に到着したルドは案内を申し出た若い執事を無視して、一直線に客人が宿泊する離れへ向かった。
国外からの要人を迎える離れは絢爛ながらも華美すぎず、品格が漂う。汚れ一つない白壁と紺色の屋根が特徴的な城。
魔法騎士団の騎士服のおかげで、城内を自由に闊歩していく。離れの入り口を護衛している兵にも止められることなく建物に入った。
ルドが歩いていると、正面からイディを連れたオグウェノがやってきた。
「お、ちょうど良かった。いまから、おまえの所に行こうとしていたんだ」
「何用ですか? 穏やかに話をする……という格好ではなさそうですが」
「そうだな」
オグウェノがニヤリと口角を上げる。
ゆったりとしたケリーマ王国の伝統衣装を着ていることが多いオグウェノが今日は違う服を着ていた。
筋肉質な上半身をさらけ出し、腰に太い布を巻いている。下半身はゆったりとしたズボンを履いているのだが、腰回りと脛に鉄の鎧を装着している。あと両腕に布を巻き、籠手を付けていた。
「いい加減、ケリをつけようと思ってな」
「奇遇ですね。自分もそう思って来ました」
「よし、来い。鍛錬場の使用許可は第三皇子から得ている」
「準備がいいですね」
オグウェノは答えずにルドの隣を通り過ぎた。イディがルドを睨む。その気配を感じ取ったオグウェノが忠告する。
「イディ」
「ハッ」
それだけで忠臣が敵意を消す。ルドは少し距離を開け、後ろを歩いた。
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