51 / 243
二人の意識の変化
孫による祖父への深刻なダメージ
しおりを挟む
ルドがそんな決意をしてるなど思いもしないクリスは話題を戻した。
「そういえば私が強盗剣士に剣を突きつけられた時、すぐに来たな。何かあったのか?」
「あの時は師匠の魔力が溶けるような感じがしたので、師匠の身に何か起きたのかと駆けつけました」
「あぁ、先に動いていたのか」
確かに魔力補給する時は自分でも溶けるような感覚になる。湖に浸かっている時に動き出していたのなら、あの早さで到着したのも頷ける。
ルドが説明を続けた。
「魔力が乱れたら魔宝石を通して分かります。あと自分の名前を呼んだら、すぐに駆けつけますから」
「それも魔宝石を通してか?」
「はい!」
それでは普通の会話の中で名前を出したら来るのでは? と、クリスは思ったが、会話の中でルドの名が出ることがなかった。大抵は犬で通じる。
「なら、問題ないな」
「何が問題ないのですか?」
「いや、こちらのことだ」
「なんとなく気になるのですか?」
ルドが下からクリスを覗き込む。クリスは胸の前で腕を組んで顔を背けた。
「おまえが気にすることでもない」
「本当ですか?」
「本当だ」
そうこうしている内に馬車が屋敷に到着した。いつもの笑顔のカリストが出迎える。
「お疲れ様でした」
「あぁ」
馬車から降りたクリスは屋敷へと歩く。ルドも馬車から降りたが、そのまま立ち止まってカリストを見た。
「どうかされましたか?」
カリストが綺麗な笑顔で微笑む。
「今度、影を使った移動魔法について教えて下さい」
「そんなにクルマでの移動がお気に召しませんでしたか?」
「できれば二度と乗りたくないです」
「慣れればクルマも快適で楽しいですよ」
「慣れるほど乗りたくないです」
「そうですか」
カリストが微笑みを崩してニヤリと笑う。そこへクリスの声が響いた。
「今日は遅くなったからな、これで終わりだ。明日からは治療に使っている魔法について説明をする」
「本当ですか!?」
ルドがカリストへの不満を忘れて満面の笑顔になる。
「あぁ。だから明日は万全の体調で来い」
「はい! 失礼します!」
ルドが笑顔で帰る。その後ろ姿を見送りながらカリストがクリスに言った。
「本格的に指導していくのですね」
「一応、教育係だからな。ところで今日の夕食はなんだ?」
「シェットランド領の郷土料理にしました」
「そうか。たまにはいいな」
久しぶりに食べる故郷の料理を楽しみにしながらクリスは屋敷に入った。
※※※※ルドの祖父、ガスパル視点※※※※
ガスパルは夕食会のため出かけるところだった。早く引退したいと口にはするが、なにかと呼び出される。
できればキャンセルしたかったが、こういう人付き合いも大事で。
玄関を出たところでガスパルはルドと鉢合わせた。目が合うと同時にルドが反射的に背筋を伸ばし頭を下げる。
「ただいまかえりました!」
「変わりなさそうだな。治療魔法の勉強はどうだ? 使えるようになりそうか?」
「あ、いや、いろいろありまして……まだ基礎を勉強している途中です」
「そうか。最近は悪魔騒ぎの影響で治療院研究所も休んでいるし、仕方ないな。私はこれから少し出かけてくるが……そういえば、最近セルシティ第三皇子から何か言われなかったか?」
「え?」
ルドが顔を上げて首を傾げる。髪が揺れて左耳が現れたが、そこにあるはずの魔宝石のピアスがない。
セルシティの動きも気になるが、今はピアスの行方のほうが重要だ。
ガスパルは平然としたまま軽く咳払いをした。
「何もないならいい。ところで、左耳のピアスはどうした?」
「渡したいと思える方が見つかりましたので渡しました!」
まっすぐ断言したルドの姿にガスパルは目の奥がにじんだ。
過去の出来事で女性恐怖症となり、身内からも、恋愛も見合いも結婚も諦められていたルドが! 自らピアスを渡した! 相手は不明だが大躍進である!
(明日の夕食は祝い膳にするように執事頭に指示をしよう。あと、このことを王都に住む娘夫婦にも伝えなければ)
ガスパルは今後の予定を考えながら、込み上げてくる笑みを押さえるため、神妙に頷いた。
「ピアスを渡せる相手が見つかったのは良いことだ」
「はい! 跡継ぎの期待には応えられませんが、やっと見つけることが出来ました!」
ルドの言葉に脳内がお祭り騒ぎになりかけていたガスパルの思考が止まる。
「ん? どういうことだ?」
「相手は同性なので」
(そうきたか!)
ガスパルは木槌で頭を殴られたような衝撃に耐えながら、ルドが同性でピアスを渡しそうな人物を予想した……が、まったく思いつかない。
仕方なくガスパルは単刀直入に訊ねた。
「……誰にピアスを渡したのだ?」
「今、治療魔法を学んでいる師匠です」
予想外の相手に思わず再確認する。
「……それは私の腰痛を治したクリスティアヌスという治療師のことか?」
「そうです!」
ルドが嬉しそうに肯定した。
家族との私的な会話でも、ルドが感情を出して話すことは珍しい。それだけ、あの治療師に懐いているのか……
ガスパルは微かに眉間にシワを寄せた。
(ルドはあの一族の呪いを知っているのだろうか? 金髪、緑瞳以外にも必ず持って生まれる呪いがあることを)
ガスパルはルドを覗き見するが笑顔のまま。
(この様子だと知らない可能性が高い。もし知った時、どのような反応をするか……後々のことを考えると、ここで教えておいたほうがいいか……)
ガスパルは無言で悩んだ。だが、幸か不幸か軍で鍛えられた鉄仮面によって表情どころか、瞬き一つない。
そのため、ルドが平然と話を進めた。
「そういえば今日、カイという御仁にお会いして伝言を預かってまいりました」
思わぬ名前にガスパルは悩んでいたことが全て吹っ飛んだ。それこそ馬の鞍で全身を殴られ、吹っ飛ばされた衝撃が襲う。
「なっ!? なんだと!?」
「どうかされました?」
素が出てしまったガスパルは慌てて表面を繕い、いつもの様子で訊ねた。
「いや、なんでもない。カイとは、どこで会った?」
「北方の領地へ向かう山の途中にある小屋です」
「そ、そうか。で、なんと言っていた?」
「顔を見せに来い、と言われました」
平凡な内容に拍子抜けする。
「……それだけか?」
「はい。それからすぐに帰られました」
「そうか」
これでルドの師匠がカイの孫であることは、ほぼ確定した。カイと親戚になる可能性がある事実……
(いや! まだ、そうなると決まったわけではない! まだ、撤回できる今のうちにピアスを回収するように言うか……いや、ルドはこういうことは一度決めたら何があっても変えない)
ガスパルは全身の血の気が引くのを感じた。どんな戦場でも、どんなに戦況が不利でも、ここまで全身の血が引いたことはない。
目の前が真っ暗になったガスパルは回れ右をして歩き出した。そこに後ろで控えていた執事が声をかける。
「会食のお時間が迫っておりますが……」
「私は欠席すると伝えてくれ。今日はもう休む」
ガスパルは腹に手を当て、フラフラと自室に戻った。
「そういえば私が強盗剣士に剣を突きつけられた時、すぐに来たな。何かあったのか?」
「あの時は師匠の魔力が溶けるような感じがしたので、師匠の身に何か起きたのかと駆けつけました」
「あぁ、先に動いていたのか」
確かに魔力補給する時は自分でも溶けるような感覚になる。湖に浸かっている時に動き出していたのなら、あの早さで到着したのも頷ける。
ルドが説明を続けた。
「魔力が乱れたら魔宝石を通して分かります。あと自分の名前を呼んだら、すぐに駆けつけますから」
「それも魔宝石を通してか?」
「はい!」
それでは普通の会話の中で名前を出したら来るのでは? と、クリスは思ったが、会話の中でルドの名が出ることがなかった。大抵は犬で通じる。
「なら、問題ないな」
「何が問題ないのですか?」
「いや、こちらのことだ」
「なんとなく気になるのですか?」
ルドが下からクリスを覗き込む。クリスは胸の前で腕を組んで顔を背けた。
「おまえが気にすることでもない」
「本当ですか?」
「本当だ」
そうこうしている内に馬車が屋敷に到着した。いつもの笑顔のカリストが出迎える。
「お疲れ様でした」
「あぁ」
馬車から降りたクリスは屋敷へと歩く。ルドも馬車から降りたが、そのまま立ち止まってカリストを見た。
「どうかされましたか?」
カリストが綺麗な笑顔で微笑む。
「今度、影を使った移動魔法について教えて下さい」
「そんなにクルマでの移動がお気に召しませんでしたか?」
「できれば二度と乗りたくないです」
「慣れればクルマも快適で楽しいですよ」
「慣れるほど乗りたくないです」
「そうですか」
カリストが微笑みを崩してニヤリと笑う。そこへクリスの声が響いた。
「今日は遅くなったからな、これで終わりだ。明日からは治療に使っている魔法について説明をする」
「本当ですか!?」
ルドがカリストへの不満を忘れて満面の笑顔になる。
「あぁ。だから明日は万全の体調で来い」
「はい! 失礼します!」
ルドが笑顔で帰る。その後ろ姿を見送りながらカリストがクリスに言った。
「本格的に指導していくのですね」
「一応、教育係だからな。ところで今日の夕食はなんだ?」
「シェットランド領の郷土料理にしました」
「そうか。たまにはいいな」
久しぶりに食べる故郷の料理を楽しみにしながらクリスは屋敷に入った。
※※※※ルドの祖父、ガスパル視点※※※※
ガスパルは夕食会のため出かけるところだった。早く引退したいと口にはするが、なにかと呼び出される。
できればキャンセルしたかったが、こういう人付き合いも大事で。
玄関を出たところでガスパルはルドと鉢合わせた。目が合うと同時にルドが反射的に背筋を伸ばし頭を下げる。
「ただいまかえりました!」
「変わりなさそうだな。治療魔法の勉強はどうだ? 使えるようになりそうか?」
「あ、いや、いろいろありまして……まだ基礎を勉強している途中です」
「そうか。最近は悪魔騒ぎの影響で治療院研究所も休んでいるし、仕方ないな。私はこれから少し出かけてくるが……そういえば、最近セルシティ第三皇子から何か言われなかったか?」
「え?」
ルドが顔を上げて首を傾げる。髪が揺れて左耳が現れたが、そこにあるはずの魔宝石のピアスがない。
セルシティの動きも気になるが、今はピアスの行方のほうが重要だ。
ガスパルは平然としたまま軽く咳払いをした。
「何もないならいい。ところで、左耳のピアスはどうした?」
「渡したいと思える方が見つかりましたので渡しました!」
まっすぐ断言したルドの姿にガスパルは目の奥がにじんだ。
過去の出来事で女性恐怖症となり、身内からも、恋愛も見合いも結婚も諦められていたルドが! 自らピアスを渡した! 相手は不明だが大躍進である!
(明日の夕食は祝い膳にするように執事頭に指示をしよう。あと、このことを王都に住む娘夫婦にも伝えなければ)
ガスパルは今後の予定を考えながら、込み上げてくる笑みを押さえるため、神妙に頷いた。
「ピアスを渡せる相手が見つかったのは良いことだ」
「はい! 跡継ぎの期待には応えられませんが、やっと見つけることが出来ました!」
ルドの言葉に脳内がお祭り騒ぎになりかけていたガスパルの思考が止まる。
「ん? どういうことだ?」
「相手は同性なので」
(そうきたか!)
ガスパルは木槌で頭を殴られたような衝撃に耐えながら、ルドが同性でピアスを渡しそうな人物を予想した……が、まったく思いつかない。
仕方なくガスパルは単刀直入に訊ねた。
「……誰にピアスを渡したのだ?」
「今、治療魔法を学んでいる師匠です」
予想外の相手に思わず再確認する。
「……それは私の腰痛を治したクリスティアヌスという治療師のことか?」
「そうです!」
ルドが嬉しそうに肯定した。
家族との私的な会話でも、ルドが感情を出して話すことは珍しい。それだけ、あの治療師に懐いているのか……
ガスパルは微かに眉間にシワを寄せた。
(ルドはあの一族の呪いを知っているのだろうか? 金髪、緑瞳以外にも必ず持って生まれる呪いがあることを)
ガスパルはルドを覗き見するが笑顔のまま。
(この様子だと知らない可能性が高い。もし知った時、どのような反応をするか……後々のことを考えると、ここで教えておいたほうがいいか……)
ガスパルは無言で悩んだ。だが、幸か不幸か軍で鍛えられた鉄仮面によって表情どころか、瞬き一つない。
そのため、ルドが平然と話を進めた。
「そういえば今日、カイという御仁にお会いして伝言を預かってまいりました」
思わぬ名前にガスパルは悩んでいたことが全て吹っ飛んだ。それこそ馬の鞍で全身を殴られ、吹っ飛ばされた衝撃が襲う。
「なっ!? なんだと!?」
「どうかされました?」
素が出てしまったガスパルは慌てて表面を繕い、いつもの様子で訊ねた。
「いや、なんでもない。カイとは、どこで会った?」
「北方の領地へ向かう山の途中にある小屋です」
「そ、そうか。で、なんと言っていた?」
「顔を見せに来い、と言われました」
平凡な内容に拍子抜けする。
「……それだけか?」
「はい。それからすぐに帰られました」
「そうか」
これでルドの師匠がカイの孫であることは、ほぼ確定した。カイと親戚になる可能性がある事実……
(いや! まだ、そうなると決まったわけではない! まだ、撤回できる今のうちにピアスを回収するように言うか……いや、ルドはこういうことは一度決めたら何があっても変えない)
ガスパルは全身の血の気が引くのを感じた。どんな戦場でも、どんなに戦況が不利でも、ここまで全身の血が引いたことはない。
目の前が真っ暗になったガスパルは回れ右をして歩き出した。そこに後ろで控えていた執事が声をかける。
「会食のお時間が迫っておりますが……」
「私は欠席すると伝えてくれ。今日はもう休む」
ガスパルは腹に手を当て、フラフラと自室に戻った。
5
お気に入りに追加
350
あなたにおすすめの小説
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
女嫌いな辺境伯と歴史狂いの子爵令嬢の、どうしようもなくマイペースな婚姻
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「友好と借金の形に、辺境伯家に嫁いでくれ」
行き遅れの私・マリーリーフに、突然婚約話が持ち上がった。
相手は女嫌いに社交嫌いな若き辺境伯。子爵令嬢の私にはまたとない好条件ではあるけど、相手の人柄が心配……と普通は思うでしょう。
でも私はそんな事より、嫁げば他に時間を取られて大好きな歴史研究に没頭できない事の方が問題!
それでも互いの領地の友好と借金の形として仕方がなく嫁いだ先で、「家の事には何も手出し・口出しするな」と言われて……。
え、「何もしなくていい」?!
じゃあ私、今まで通り、歴史研究してていいの?!
こうして始まる結婚(ただの同居)生活が、普通なわけはなく……?
どうやらプライベートな時間はずっと剣を振っていたい旦那様と、ずっと歴史に浸っていたい私。
二人が歩み寄る日は、来るのか。
得意分野が文と武でかけ離れている二人だけど、マイペース過ぎるところは、どこか似ている?
意外とお似合いなのかもしれません。笑
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
婚約者が私のことをゴリラと言っていたので、距離を置くことにしました
相馬香子
恋愛
ある日、クローネは婚約者であるレアルと彼の友人たちの会話を盗み聞きしてしまう。
――男らしい? ゴリラ?
クローネに対するレアルの言葉にショックを受けた彼女は、レアルに絶交を突きつけるのだった。
デリカシーゼロ男と男装女子の織り成す、勘違い系ラブコメディです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる