課長と行く異世界の旅〜異世界転移に巻き込まれた課長がチートを発揮している件について。

真辺わ人

文字の大きさ
上 下
1 / 68

(1)避難訓練中の課長

しおりを挟む
 ……

 時は流れ……俺は幸村さんの支援によって、遂に念願の、学童保育指導員の仕事に就ける事が決まる。それも新規採用で有る!
 場所は勿論、稀子実家が有る市町村で有るが、稀子の住んでいる地区には小学校が既に無い為、稀子の地区から言えば、下の集落に有る小学校に併設されている学童保育所と成る。

 学童保育所への通勤に関してはコミュニティバスが有るが、自家用車が有れば非常に便利で有る。
 自家用車に関しても、俺は幸村さんのコネで格安かつ、程度の良い自家用車を現在探して貰っている。

 理想としては、稀子の大学卒業まで待つのが理想で有ったが、俺がほぼ一発で保育士試験に合格出来た為予定は早まり、稀子が大学三年生と成る年。俺と稀子は稀子実家が有る地域へ移り住む。
 学童保育所での勤務開始日は4月1日からで有るが、それまでに引っ越しや住民票異動なども、済ませて置かなければ成らない。

 そして、今日は羽津音市はずねしに有る山本さんの家から、稀子実家が有る地域への引っ越し日で有る。
 昨夜は山本さんの家でお別れパーティが開かれ、別れを惜しみつつ宴を楽しむ。
 稀子が悲しむ事は特に無く、鈴音さん達と楽しんでいた。

 ……
 …
 ・

『ブロロ~~♪』

 俺と稀子の荷物積み込みも、順調良く終わる。
 荷物を積んだ引っ越しトラックが一足早く、稀子実家が有る地域へ向かって行く。

 引っ越し業者は勿論、山本さんの知り合いで有る。
 荷物の受け取りは今日では無く、明日の午前中と成る。

 そして、明日から稀子との同棲生活が始まる。
 住処に関しては、稀子実家の近くに空き家が有るので、其処が俺と稀子の愛の巣と成る!

 白物家電に関しては、幸村さんが用意してくれた。
 幸村さんも俺が金を無い事を知っているし、娘で有る稀子に不便な生活をさせたく無かったのだろう?

 その為。この引っ越しでの出費と言えば、引っ越し代と俺の使っていた白物家電の廃棄処分費ぐらいで有る。
 このお金に関しては、俺のお金で処理した。

 後は、俺と稀子が移動するので有るが、今回は幸村さん達が迎えに来てくれる!
 稀子は山本さんの家を下宿にしていたので、そのお礼の言葉を言うためと迎えも兼ねて来る。

 俺と稀子は山本さんの家リビングで、最後の談笑をお茶を飲みながら“みんな”としていると、幸村さん達が家に到着する。
 いよいよ、最後の別れ時間がやって来た。

 幸村さん達は、山本さんのおばさんや山本たかあきさんと話をしている中、稀子は鈴音さんと別れの挨拶をしている。

「稀子さん!」
「あちらに行かれても、比叡さんと楽しい生活をしてくださいね♪」

「ありがとう。りんちゃん!」
「これで、鈴ちゃんとは大学以外では会いにくく成るけど、私は比叡君と幸せに成るよ!」
「でも、今でも十分に幸せだけどね!♪」

 稀子と鈴音さんは笑顔で、別れの挨拶をしている。
 稀子の事だから、きっと“わんわん”泣く者だと感じていたが全く違った。

 鈴音さんの方も、稀子とは離れるから寂しく成るかも知れないが、稀子に振り回される事は減るので、却って気楽かもしれない?
 幸村さん達との会話を終えた山本さんが、俺の方に近付き、穏やかな表情で話し始める。

「…比叡君!」
「向こうに行っても、元気でやってくれよ!」

『ポン!』

 山本さんは言葉の後。俺の右肩を叩く。
 俺も穏やかな表情で、山本さんに話し始める。

「山本さん…!」
「長い間。本当にお世話に成りました!」

『ぺこり』

 俺は言葉の後。山本さんに頭を下げる。
 山本さんはそれを見ながら、俺に陽気な口調で話し始める。

「お世話は確かにしたが、比叡君が無事に成長してくれて僕も嬉しいよ!」
「比叡君と稀子ちゃんとの結婚式。楽しみにしているよ!!」

 ……

 別れの挨拶も終わり、俺と稀子は幸村さんの車に乗り込む。
 鈴音さん。山本さん親子は外まで出て来てくれて、最後の見送りをしてくれる。

 稀子は後部座席の窓を開けて、そこから顔を少し出しながら、笑顔で鈴音さん達向けて話し始める。

「みんな~~。見送りありがとう~~!」
「私は、比叡君と幸せに成るよ~~♪」

「~~~♪」

 稀子の言葉を、車内で嬉しそうな表情で聞いている楓さん。
 楓さんも自分が嫁いだ時の事を、思い出しているのだろうか?

 稀子の言葉の後。俺達を乗せた車は、幸村さんの運転で山本さんの家から離れ、稀子実家へ向かって行った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

処理中です...