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第2話 やっぱり王子を泣かせたい!
(14)思考とは斜め上から袈裟斬りするもの
しおりを挟む*アレクサンドラの脳内妄想ですが、BLという言葉とそれっぽい妄言が複数回出てきますのでご注意を。
──────────
どうしよう。大変なことになってしまった!
ジェラルドがリオルドのことを好きだったなんて全然気づかなかったわ。
だって、ここは乙女ゲームの世界なんだもの。
ヒロインがヒーローを攻略してなんぼでしょう?
それなのに、BL展開なんてあっていいはずがないじゃない!
私は、動揺しまくっていた。
ジェラルドはヒロインちゃんのものなのに。
当のジェラルドは、本当はリオルドが好きだったなんて……まさかの三角関係だわ。
そこに気持ち程度お邪魔虫してる婚約者の私を含めると、更に四角関係になってしまう。
──いえ。いい加減認めないといけないわ、アレクサンドラ。
この世界は乙女ゲームの世界ではなく。現実だということを。
でも、それを認めてしまったら、私の免罪符がなくなってしまう。
乙女ゲームでは大丈夫だったから、死亡フラグはないだろうと自分に言い聞かせてきたというのに。
もしここが乙女ゲームの世界でないことを認めてしまえば、断罪後の市井落ちと国外追放が怪しくなってくるんだもの。
断罪されて、処刑なんて……されたくないわ。
まぁ、私の将来の安否はひとまず置いておいて。話を元に戻しましょう。
ここが乙女ゲームの世界でないとするならば、ジェラルドとリオルドのBL展開に否やはないわ。
恋する気持ちに性別や年齢は関係なくてよ。あ、これ私の持論だけど。
でも、ジェラルドが自分に恋をしていることを、果たしてリオルド本人は知っているのかしらね?
よく軽口を叩きあって随分仲がいい従兄弟なんだなぁとは、思っていたけれど……。
片方が片思いしていたのだと知ってから、その場面を思い出してみると……やだ、切ないわ!
私がリオルドといる場所に、やたらとジェラルドが出没するなぁとは思っていたんだけど。
なるほど。きっと、私に対するジェラルドからの牽制だったのね。リオルドに近づくなっていうね……くっ!
こうなりゃシナリオなんか知ったこっちゃないわ。
ヒロインちゃんには悪いけれど、ジェラルドの恋を全力で応援するわよ!
思いが通じあって、互いに手に手を取って涙を流す二人の映像が、私の脳内を駆け巡る。
──いい。すごくいい絵面だわ!
思いが通じあって二人も幸せ、金髪銀髪の見目麗しい♂♂カップルの美麗なスチルを拝めて私も幸せ!
そうと決まったら、私が二人の恋のキューピットになるわ!
と、ガッツポーズを決めたところで。
やっぱりリオルドの気持ちがどうなのかが気になるところよね。
ジェラルドの恋を応援したいのは山々だけれど、本人同士の気持ちも大切だもの。
同人誌やBLゲームならともかく、リアルでは無理やりダメ絶対!
同性からの告白を受け止めることができるかどうか、今度リオルドに会ったら聞いてみなくちゃね!
私の恋愛の対象は異性だけれど、同性を好きになる気持ちも少しだけならわかる気もする。
だって前世でも、学生時代はかっこいい女の先輩に憧れたもの。バレンタインにチョコを贈ったり、先輩の卒業式にはブレザーのタイピンをもらったりしたわ。
この世界でも、男性の同性愛者御用達の『カシペラ』みたいな店はあるものの、やっぱり男同士の恋愛は理解されづらい。
前世も今世も女の私に、彼らの気持ちがわかるとは思えないわ。
応援する前にそういうのもきちっと予習しとかなくちゃ!
──それに、実は話を聞いた時から一度『カシペラ』に行ってみたいと思ってたのよね。
ま、そういうわけで、近々こっそりお忍びで『カシペラ』へ足を運ぶことに決定!
護衛兼店のお姉さま(♂)方への供物として、うちの若くて可愛い庭師見習いディモンを連れていくつもり。
もちろんしっかり買収済みよ!
あの子は私が作ったおもちワッフルに目がないの。特にバニラアイスとみたらしダレの組み合わせのヤツがね。
本当はマリーも、行きたがってたから連れて行きたかったんだけど、間の悪いことに今彼女は休暇中なのよね。
そうと決まれば色々と準備しなくちゃね!
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