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第一部

地下室1

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 三人は顔を見合わせた。
 開いたはいいが、中から冷ややかな空気が流れだしており、どうしようと思ったのだ。
 しかし探求心に抗えず、三人は中へと足を踏み入れた。

 室内は濃い闇が広がっている。
 ランタンの小さな灯りだけでは、隅々までは照らすことはできない。
 
 見回してみるものの、何もないようだ。

「帰ろうか」

 イザークが残念そうに言い、先程の通路に戻ろうとしたとき、パウルが奥を見て呟いた。

「――階段がある」
「え……」

 イザークは立ち止まり方向転換する。奥へと進み、こちらを振り返った。

「本当だ。降りる階段があるぞ」

 こくっとリアは喉を鳴らした。

「ど、どうするの?」
「ここまで来たんだし、降りてみよう」

 イザークが言い、パウルは吐息をついた。

「まあ、気になるね」

 リアは少し恐くも感じた。

(けれど、私も気になるわ……)

「君のことは僕が守るよ、リア」

 こちらを見つめてそう言ったパウルに、リアは頬が熱くなる。

「うん」

 ぎゅっと二人は手を握り合った。

「行こう」

 イザークが階段を降りていく。二人もそれに続いた。
 下に行くにつれ空気はさらに冷える。
 
 長い階段を降りた先に、ひとつの扉がみえた。
 さっきのものと似た模様。

「ここにも魔法陣だね」

 パウルが呟き、イザークは扉を手で押す。

「やっぱり開かない。厳重に閉じられてるな」

 三人、手を置き、魔力を解放すると扉は色を変え、音を立ててゆらりと開いた。
 小さな部屋だ。
 室内に入ると、壁際に台座があった。両手で掴めるほどの大きさの四角い箱が置かれている。それにも魔法陣が描かれていた。

「何だろう?」

 イザークが箱を手に取ろうとした瞬間、白い箱は突如かたかたと、自ら動いたのだ。

(え――)

 中に生き物がいるのだろうか?

 驚き、身構える三人の前で、不思議な箱は床におちた。
 パウルがそれを取ると、蓋が開き、拳大の漆黒のストーンが転がり出る。

「ストーン?」
 
 拾おうとしたイザークの手をパウルが掴んで止めた。

「駄目だ、イザーク。建物全体に漂う気配は、それだ」

 しかし、パウルの手の甲にストーンが触れ、パウルは低く呻いた。

「……っ!」
「うっ……!」
「パウル、イザーク……!?」

 リアが二人に触れた瞬間、びりっとした痺れを感じた。

(――!)
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