上 下
7 / 19

誹謗中傷はつらいよ(´∀`*)ウフフ

しおりを挟む
(それにしても……)
 ツバサは、ルイのたくらみの真意がどうしても理解できなかった。産む産まないの関係とは、一体どういうことだろう。

 ……その日、
『放課後にもう一度話し合いましょうか』
と、校長は口調で告げてきたのだが、その前にルイに会って直接ただすほかはないと考えた。ルイは、どうしてそんな大嘘をつくのか、つかなければならないのだろうか。
 自分に関する噂を垂れ流すことは、彼女自身をもおとしめることになることにルイは気づいているのだろうか……。
 ツバサの胸のなかでは、そんなルイに対する疑念と不信が渦巻いていた。

(あいつ……クラスどこだったかなあ)

 はたとツバサは迷った、動揺した。同学年とはいえ、相手のクラスも知らないほどの仲なのだ。

(いや、仲……というのは、ちがう。ただの、同じ高校に通うヒト……だろ、ったく)

 グチは出るが、防衛策はいつまで経っても出ない。昼時間になって、ツバサは、運動場から山手側の植栽園まで小走りで急いだ。なんのあてもなかったけれど、あまり群れたがらない女子たちがぽつんぽつんと休憩している姿を何度も見かけたことがある。
(た、ぶ、ん……)
と、翼は考えた。
 あのルイはいつもひとりで行動、いや、ほんの二人、三人とだけ連立っていたはずである。それほど記憶には残ってはいなかったが、そのイメージだけをたよりにツバサはキョロキョロと植栽園の石段沿いを歩いた。
「あ……!」
 ツバサは見た。オレンジ色のマリーゴールドのあたりのベンチに二人の女子が腰掛けていた。名前までは知らないが、数少ないルイの仲間のはずである。
 そのまま近づいていくと、
「きゃーっ!」
と、ふたりが立ち上がって、鋭い目でツバサを睨みつけてきた。
「あ……探しているんだけど」
 かろうじて翼がいった。
「誰を……?」
 意地悪い答だけが返ってくる。
「ええと……ひ、日向さんを」
「学校に来てないわ」
 背が高いほうの女子が言った。いや、怒りを含んだ声を鳴らした。
 そのあとで、声のトーンを落として続けた。

「……ルイ……とっても苦しんでいるの……いま入院してる……」
「は……? にゅ、入院……?」
「あら、白々しい!」

 こんどは背の低いほうの女子が吐き捨てるように叫んだ。
「しらじら……」と、言葉に詰まったツバサに追討ちをかけるように、ふたりの女子が同時に叫んだ。
「ゆるさない……わたしたち、あなたを、絶対に赦さないわ……!」

 その語気の強さにツバサは抗弁するまもなく、その場に立ちすくんだ……。
 

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【声劇台本】バレンタインデーの放課後

茶屋
ライト文芸
バレンタインデーに盛り上がってる男子二人と幼馴染のやり取り。 もっとも重要な所に気付かない鈍感男子ズ。

真夏の温泉物語

矢木羽研
青春
山奥の温泉にのんびり浸かっていた俺の前に現れた謎の少女は何者……?ちょっとエッチ(R15)で切ない、真夏の白昼夢。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

小さなパン屋の恋物語

あさの紅茶
ライト文芸
住宅地にひっそりと佇む小さなパン屋さん。 毎日美味しいパンを心を込めて焼いている。 一人でお店を切り盛りしてがむしゃらに働いている、そんな毎日に何の疑問も感じていなかった。 いつもの日常。 いつものルーチンワーク。 ◆小さなパン屋minamiのオーナー◆ 南部琴葉(ナンブコトハ) 25 早瀬設計事務所の御曹司にして若き副社長。 自分の仕事に誇りを持ち、建築士としてもバリバリ働く。 この先もずっと仕事人間なんだろう。 別にそれで構わない。 そんな風に思っていた。 ◆早瀬設計事務所 副社長◆ 早瀬雄大(ハヤセユウダイ) 27 二人の出会いはたったひとつのパンだった。 ********** 作中に出てきます三浦杏奈のスピンオフ【そんな恋もありかなって。】もどうぞよろしくお願い致します。 ********** この作品は、他のサイトにも掲載しています。

蝉の声

吉泉
ライト文芸
京太は1人京都の祖父母の家にいく。そこで出会ったのは……。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

王太子さま、側室さまがご懐妊です

家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。 愛する彼女を妃としたい王太子。 本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。 そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。 あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。

処理中です...