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誹謗中傷はつらいよ(´∀`*)ウフフ
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(それにしても……)
ツバサは、ルイの企みの真意がどうしても理解できなかった。産む産まないの関係とは、一体どういうことだろう。
……その日、
『放課後にもう一度話し合いましょうか』
と、校長はおだやかな口調で告げてきたのだが、その前にルイに会って直接糺すほかはないと考えた。ルイは、どうしてそんな大嘘をつくのか、つかなければならないのだろうか。
自分に関する噂を垂れ流すことは、彼女自身をも貶めることになることにルイは気づいているのだろうか……。
ツバサの胸の内では、そんなルイに対する疑念と不信が渦巻いていた。
(あいつ……クラスどこだったかなあ)
はたとツバサは迷った、動揺した。同学年とはいえ、相手のクラスも知らないほどの仲なのだ。
(いや、仲……というのは、ちがう。ただの、同じ高校に通うヒト……だろ、ったく)
グチは出るが、防衛策はいつまで経っても出ない。昼時間になって、ツバサは、運動場から山手側の植栽園まで小走りで急いだ。なんのあてもなかったけれど、あまり群れたがらない女子たちがぽつんぽつんと休憩している姿を何度も見かけたことがある。
(た、ぶ、ん……)
と、翼は考えた。
あのルイはいつもひとりで行動、いや、ほんの二人、三人とだけ連立っていたはずである。それほど記憶には残ってはいなかったが、そのイメージだけをたよりにツバサはキョロキョロと植栽園の石段沿いを歩いた。
「あ……!」
ツバサは見た。オレンジ色のマリーゴールドのあたりのベンチに二人の女子が腰掛けていた。名前までは知らないが、数少ないルイの仲間のはずである。
そのまま近づいていくと、
「きゃーっ!」
と、ふたりが立ち上がって、鋭い目でツバサを睨みつけてきた。
「あ……探しているんだけど」
かろうじて翼がいった。
「誰を……?」
意地悪い答だけが返ってくる。
「ええと……ひ、日向さんを」
「学校に来てないわ」
背が高いほうの女子が言った。いや、怒りを含んだ声を鳴らした。
そのあとで、声のトーンを落として続けた。
「……ルイ……とっても苦しんでいるの……いま入院してる……」
「は……? にゅ、入院……?」
「あら、白々しい!」
こんどは背の低いほうの女子が吐き捨てるように叫んだ。
「しらじら……」と、言葉に詰まったツバサに追討ちをかけるように、ふたりの女子が同時に叫んだ。
「ゆるさない……わたしたち、あなたを、絶対に赦さないわ……!」
その語気の強さにツバサは抗弁するまもなく、その場に立ち竦んだ……。
ツバサは、ルイの企みの真意がどうしても理解できなかった。産む産まないの関係とは、一体どういうことだろう。
……その日、
『放課後にもう一度話し合いましょうか』
と、校長はおだやかな口調で告げてきたのだが、その前にルイに会って直接糺すほかはないと考えた。ルイは、どうしてそんな大嘘をつくのか、つかなければならないのだろうか。
自分に関する噂を垂れ流すことは、彼女自身をも貶めることになることにルイは気づいているのだろうか……。
ツバサの胸の内では、そんなルイに対する疑念と不信が渦巻いていた。
(あいつ……クラスどこだったかなあ)
はたとツバサは迷った、動揺した。同学年とはいえ、相手のクラスも知らないほどの仲なのだ。
(いや、仲……というのは、ちがう。ただの、同じ高校に通うヒト……だろ、ったく)
グチは出るが、防衛策はいつまで経っても出ない。昼時間になって、ツバサは、運動場から山手側の植栽園まで小走りで急いだ。なんのあてもなかったけれど、あまり群れたがらない女子たちがぽつんぽつんと休憩している姿を何度も見かけたことがある。
(た、ぶ、ん……)
と、翼は考えた。
あのルイはいつもひとりで行動、いや、ほんの二人、三人とだけ連立っていたはずである。それほど記憶には残ってはいなかったが、そのイメージだけをたよりにツバサはキョロキョロと植栽園の石段沿いを歩いた。
「あ……!」
ツバサは見た。オレンジ色のマリーゴールドのあたりのベンチに二人の女子が腰掛けていた。名前までは知らないが、数少ないルイの仲間のはずである。
そのまま近づいていくと、
「きゃーっ!」
と、ふたりが立ち上がって、鋭い目でツバサを睨みつけてきた。
「あ……探しているんだけど」
かろうじて翼がいった。
「誰を……?」
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「ええと……ひ、日向さんを」
「学校に来てないわ」
背が高いほうの女子が言った。いや、怒りを含んだ声を鳴らした。
そのあとで、声のトーンを落として続けた。
「……ルイ……とっても苦しんでいるの……いま入院してる……」
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「あら、白々しい!」
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「しらじら……」と、言葉に詰まったツバサに追討ちをかけるように、ふたりの女子が同時に叫んだ。
「ゆるさない……わたしたち、あなたを、絶対に赦さないわ……!」
その語気の強さにツバサは抗弁するまもなく、その場に立ち竦んだ……。
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