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どうも、教国です
どうも、目論見です
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「これは…邪神様のための生贄を…?」
魔王としてのプレッシャーに気圧されて何も言えなかったザガンが、ようやくアゲハの足下を見て口を開いた。
ザガンはアゲハの復活の光景があまりに禍々しく神々しかったため、言葉を失っていたのだ。
「贄の上に立ってこそ魔王であろう?」
有機物と無機物が混じり合う光景。瓦礫の中から鱗の生えた腕が伸び、魚のような頭が覗いている。すべての命は、本来なら邪神の復活にと人間が捧げたものである。魔王への供物となる予定ではなかった。
「そもそも邪神の復活など、人間風情にはできん。できるのは、魔界に魔力を送り、多少は力のある者を召喚する程度だ。この規模であれば……下僕を召喚できれば良いほうだろうな」
アゲハは不吉に微笑むのをやめ、つまらなそうにそばに落ちていた肉片を蹴飛ばしながら説明してやった。
そして、普段は尻尾ふりふりおやつを食べているだけの下僕を召喚するためだけでも、一国の生命体すべてを賭さなければならない衝撃の事実。
「それでは…これはただの召喚陣だと?」
「遥か古のものゆえ、全帝にはわからんだろうがな」
全帝のほうがアゲハよりも年上に見えるのに、アゲハのほうが長生きな不思議。それも当然、アゲハが魔王だからである。
肉体が戻り機嫌のいいアゲハは、さらに説明してやった。
「元は魔界へ魔力を送る召喚陣。ならばそれを、我が身に魔力を集める召喚陣に変えてやったのだ。人間の身に耐えかねる魔力を浴びれば、魂の記憶から我が肉体は以前の形を取る。お前たちが魔素の高い地域へゆけと言うのと同じ理屈だ」
かといって魔力を浴びるのと魔素を浴びるのでは、大砲に打たれるか食事をするかくらいの違いがある……と、ザガンは呆気に取られながら聞いていた。我が主はやはり破天荒だ。
「この命、いつまでも魔王様とともに」
ザガンは改めて跪き、胸に手を当てて頭を垂れた。
「わかっておる。もう戻れ。うるさいのが来る」
ローブを翻しながらアゲハが言い、ザガンが感涙しながら立ち上がった瞬間。
「助手ー!!!」
目にも耳にもうるさい男、炎帝が飛び込んできた。
「ん? 黒帝と合流して本陣を叩いてたのか。え、なんだこれ。キモ」
元人間のキメラたちと狂信者の人間たちは、炎帝の火で雑に荼毘に伏された。
焼き払われた教会には、煤けた瓦礫だけが残った。視界もクリアだ。壁がなくなったから。
「いる? いない。いない。いない。いなーい…。獲物がいなーい…」
触れたくないほど落ち込んでテンションの下がった闇帝も到着した。
「給料分は働け」
「私たちはいつも全帝の分まで働いてるんですけど?」
「俺も潜入捜査の傍ら依頼こなしてるのに…」
全帝、水帝、雷帝も口喧嘩しながら到着。全帝が「働け」と言っている違和感。
「これで帰れる?」
「娘が待ってるんだ!」
「君の娘さん、寮だよね」
ルイスと風帝もなんだかんだ到着した。皆担当区域は一掃できたようだ。やはり戦力過多だった。
「…土帝と光帝は?」
ため息をついてから尋ねた全帝は、答えがわかっているのだろう。
「んー…なんか、変な魔法陣の気配がするんだよなー」
ザガンは助手として会話に参加する。少しでも忘れられないようにするためだ。
「創造と空間と光の属性神がいるようだ」
「光帝の使い魔だね。キメラの合成を解こうとしているのかも」
「アホかあいつは…。合成を解いたらべちょべちょになって死ぬだけだろうが…。やっぱ土帝では制御できんか…」
アゲハが感知し、ルイスが類推し、全帝が呆れた。
「総員、土帝の保護と、光帝の捕縛、残りの教国民の殲滅に移れ」
「了解」
返事は揃っていたが、大半はめんどくさそうな声だった。
唯一、まだ獲物が残っていると知った闇帝だけは嬉々として飛び出していった。
そんな闇帝を見ていると……。
「悪いな。殲滅は終わった。土帝と光帝は気絶させてるから勝手に回収してくれ。俺はもう帰る」
「終わったって、え? うわ、ほんとに生命反応ねえし…」
「う…そ……。いない……」
鬱陶しい闇帝に意地悪したくなったアゲハは、さっそく己の力を試してみた。やはり教国レベルは簡単に落とせる。土帝と光帝も瞬殺しそうで危なかったが、そこも気絶に留めるコントロールができた。
驚く全帝と、崩れ落ちる闇帝。
しかしアゲハは、肉体を取り戻すという目的を達した今、もう教国なんぞに興味はないのだ。
「さすが黒帝。じゃあ帰ろうか」
帝どもが呆気に取られている間に、闇ギルド組は帰ることにした。
「ああ、使い魔も殺ってしまったかもしれん」
アゲハは寮の部屋で、光帝の使い魔も殲滅対象に入れてしまったことを思い出した。
「冥王に…いや、まあいいか。他力本願な勇者は面白くないしな」
魂を現世に戻す取引をしようかとも思ったが、やめておくことにした。
魔王としてのプレッシャーに気圧されて何も言えなかったザガンが、ようやくアゲハの足下を見て口を開いた。
ザガンはアゲハの復活の光景があまりに禍々しく神々しかったため、言葉を失っていたのだ。
「贄の上に立ってこそ魔王であろう?」
有機物と無機物が混じり合う光景。瓦礫の中から鱗の生えた腕が伸び、魚のような頭が覗いている。すべての命は、本来なら邪神の復活にと人間が捧げたものである。魔王への供物となる予定ではなかった。
「そもそも邪神の復活など、人間風情にはできん。できるのは、魔界に魔力を送り、多少は力のある者を召喚する程度だ。この規模であれば……下僕を召喚できれば良いほうだろうな」
アゲハは不吉に微笑むのをやめ、つまらなそうにそばに落ちていた肉片を蹴飛ばしながら説明してやった。
そして、普段は尻尾ふりふりおやつを食べているだけの下僕を召喚するためだけでも、一国の生命体すべてを賭さなければならない衝撃の事実。
「それでは…これはただの召喚陣だと?」
「遥か古のものゆえ、全帝にはわからんだろうがな」
全帝のほうがアゲハよりも年上に見えるのに、アゲハのほうが長生きな不思議。それも当然、アゲハが魔王だからである。
肉体が戻り機嫌のいいアゲハは、さらに説明してやった。
「元は魔界へ魔力を送る召喚陣。ならばそれを、我が身に魔力を集める召喚陣に変えてやったのだ。人間の身に耐えかねる魔力を浴びれば、魂の記憶から我が肉体は以前の形を取る。お前たちが魔素の高い地域へゆけと言うのと同じ理屈だ」
かといって魔力を浴びるのと魔素を浴びるのでは、大砲に打たれるか食事をするかくらいの違いがある……と、ザガンは呆気に取られながら聞いていた。我が主はやはり破天荒だ。
「この命、いつまでも魔王様とともに」
ザガンは改めて跪き、胸に手を当てて頭を垂れた。
「わかっておる。もう戻れ。うるさいのが来る」
ローブを翻しながらアゲハが言い、ザガンが感涙しながら立ち上がった瞬間。
「助手ー!!!」
目にも耳にもうるさい男、炎帝が飛び込んできた。
「ん? 黒帝と合流して本陣を叩いてたのか。え、なんだこれ。キモ」
元人間のキメラたちと狂信者の人間たちは、炎帝の火で雑に荼毘に伏された。
焼き払われた教会には、煤けた瓦礫だけが残った。視界もクリアだ。壁がなくなったから。
「いる? いない。いない。いない。いなーい…。獲物がいなーい…」
触れたくないほど落ち込んでテンションの下がった闇帝も到着した。
「給料分は働け」
「私たちはいつも全帝の分まで働いてるんですけど?」
「俺も潜入捜査の傍ら依頼こなしてるのに…」
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「これで帰れる?」
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「…土帝と光帝は?」
ため息をついてから尋ねた全帝は、答えがわかっているのだろう。
「んー…なんか、変な魔法陣の気配がするんだよなー」
ザガンは助手として会話に参加する。少しでも忘れられないようにするためだ。
「創造と空間と光の属性神がいるようだ」
「光帝の使い魔だね。キメラの合成を解こうとしているのかも」
「アホかあいつは…。合成を解いたらべちょべちょになって死ぬだけだろうが…。やっぱ土帝では制御できんか…」
アゲハが感知し、ルイスが類推し、全帝が呆れた。
「総員、土帝の保護と、光帝の捕縛、残りの教国民の殲滅に移れ」
「了解」
返事は揃っていたが、大半はめんどくさそうな声だった。
唯一、まだ獲物が残っていると知った闇帝だけは嬉々として飛び出していった。
そんな闇帝を見ていると……。
「悪いな。殲滅は終わった。土帝と光帝は気絶させてるから勝手に回収してくれ。俺はもう帰る」
「終わったって、え? うわ、ほんとに生命反応ねえし…」
「う…そ……。いない……」
鬱陶しい闇帝に意地悪したくなったアゲハは、さっそく己の力を試してみた。やはり教国レベルは簡単に落とせる。土帝と光帝も瞬殺しそうで危なかったが、そこも気絶に留めるコントロールができた。
驚く全帝と、崩れ落ちる闇帝。
しかしアゲハは、肉体を取り戻すという目的を達した今、もう教国なんぞに興味はないのだ。
「さすが黒帝。じゃあ帰ろうか」
帝どもが呆気に取られている間に、闇ギルド組は帰ることにした。
「ああ、使い魔も殺ってしまったかもしれん」
アゲハは寮の部屋で、光帝の使い魔も殲滅対象に入れてしまったことを思い出した。
「冥王に…いや、まあいいか。他力本願な勇者は面白くないしな」
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