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どうも、サバイバルです

どうも、チーム分けです

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 ルイスの言葉を理解する日はすぐに、それも唐突にやって来た。

「あー、めんどくせえんだが、3日後にサバイバルがある。チームメンバー決めたら職員室に報告に来いよー。つーことで、俺は寝る」

 しわくちゃのプリントをどこからともなく出し、教壇へ置いてシラは隅で寝始めた。体育座りで丸まって寝なくとも、職員室に帰ればいいのに…。
 アゲハが興味深くシラを眺めるなか、仕方なく学級委員長がプリントの残りを読み上げてゆく。

「1年生は、1年生7人と補助の3年生3人の混合、計10人で1チームとする。他学年も含めたチーム対抗戦で、場所は学園所有の無人島。2泊3日で行う。バッグなど手荷物は持ち込み不可。ダメージ吸収ペンダントを着用し、一定のダメージを受けると学園へ転移する。撃破数1位の生徒がいるチームが優勝。3日以内に全滅した場合は、最後まで無人島に残っていた生徒のいるチームを優勝とする。無傷とは限らないため、親の許可とサインが必要。なければ参加不可で単位なし…って、3日後までに親のサイン!?」

 王都在住の貴族らは安堵していたが、辺境伯の令息は特に怒り狂っていた。早くも脱落者の予感である。

「アゲハはオレらと組むだろ? クレア、ペタ、リズとして…あと2人か…」

 さすがは属性貴族。王都在住の彼らは、親のサインには困らないらしい。

 アゲハと勇はサイン免除だ。許可証ごときで世界を超えられるわけでもないし、勇者の実力を見ておきたい国の意向もある。つまり、強制参加。

 そんな事情は知らずとも、フレイたちはアゲハたちの参加を疑っていなかった。

「アゲハがいるなら、僕もいいかな」

 教室の反対側から、いつの間にか勇がやって来ていた。ぞろぞろと女子を連れているのが鬱陶しい。何より、その女子たちの反対する声とこちらを睨む視線が鬱陶しい。

「勇様! 私たちとチームを組みましょう!」
「そうですわ! いつも私たちと一緒ではありませんか!」
「私たちを置いてなんて…そんなことありませんわよね?」

 涙ぐむあざとい顔がわざとらしすぎて好きになれそうもないが、チョロい勇者略してチョロ勇は身振り手振りも大きく慌てて真剣に答えた。

「あの、君たちの気持ちは嬉しいんだけどね? ミレイさん…ギルドマスターから、チーム分けの行事は極力アゲハと同じチームで一緒に鍛えたほうがいいって言われてるんだ」

 絶対にミレイの策略である。勇を独り占めするために、他の女子生徒から引き剥がしたかっただけに違いない。
 そうでなければ、未だ魔力測定の続きに呼び出されもしていないアゲハと鍛えろなんて言うわけがない。普段はアゲハのことなど綺麗に忘れ去っているだろう。

 花畑女に覚えられているのも不快なので、それでいい。

「えーっと…」

 フレイたちは露骨に顔をしかめた。残念で変態な勇が加わるのも嫌だが、取り巻きたちから物凄い形相で憎悪を浴びせられているのだから、既に嫌になって当然である。

 とはいえ、魔王討伐に協力する属性貴族の立場上、勇者の申し出は断れない。

「…あと2人しか枠がないのに勇者様がこちらへ来れば、ご令嬢たちが泣くのでは?」

 クレアが頭を回した。クラスメイトをご令嬢などと呼ぶことはないが、勇の罪悪感を刺激できるものならこの際なんでもかまわない。とにかく勇を入れたくない。

「では勇様と私で決まりですわ!!」

 野生の王女が現れた。勝手に勇の腕を組んで近寄ってくる。

 後ろで他の取り巻きたちが反対の叫び声を上げていたが、ついにノイズキャンセリング機能を獲得したアゲハの素晴らしい耳は雑音を拾わなかった。

「王女様…」

 フレイはいつになく残念そうに呟いた。

 上位貴族だからこそ、王族には逆らえない。いくら王女が無能で権力を振りかざすだけの王女だとしても、その権力は偉大なのだ。

「いいけど、足を引っ張るなら置いていくぞ」

 というのは人間の都合で、アゲハには関係ない。

 フレイたちは勇と王女を置き去りにして別行動できる合法的な理由を作ってくれたアゲハを涙目で見つめた。

 まったく、慣れないことはやるものではない。
 背筋のむず痒くなったアゲハは、今度ザガンに八つ当たりすると決めた。
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