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6 吸い込まれるご飯
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ルディが俺のお腹の音が気に入ったみたいで、くぉー。と鳴く度にクツクツ笑ってお腹を撫でてくる。
「すぐに食わせてやるからな」
「お腹を撫でるのやめい」
ぺちっとお腹の手を叩く。
ただ今ピルスナーに乗って、ルディおすすめのお店へと向かう途中。
ルディの家の近くに美味しいご飯屋さんがあるみたい。
道中は建物や人々を眺めていた。RPGゲームの街並みに似た景色は、ちょっとした海外旅行気分。
着いたお店もアットホーム感のある可愛らしい外観で、外国の田舎のおばあちゃん家っぽい。自分で言っててよくわかってないけど。
ルディが先にドアを開けて中に入ると、元気の良い声で「いらっしゃい!あ、ジョルディじゃないか。今日もいつものか?」という本当に常連客らしい台詞が聞こえてきた。
「いや、今日は連れがいるんだ。紹介するよ」
そう言ってルディに背中を押されて前に出された。
爽やかな見た目の店員さん?が俺を見て驚いてる。
「えっどちら様!?この辺の人じゃないよな?」
「この子は移り人だ。今日から私の家で一緒に生活をする。これからも連れてくるから覚えておいてくれ」
「移り人!へぇー久々だなぁ。ジョルディと一緒に住むねぇ。良かったじゃないか!俺はパーテル、この店の店主だ。よろしくな!」
キラッと爽やかな笑顔で挨拶をしてくれた。凄い良い人感出てる~。
「俺は氷置 格です!よろしくお願いします」
「彼のことはヒオキと呼んでくれ」
ジョルディがイタルの肩を自身に引き寄せながら言う。
それを見たパーテルも苦笑しながら、
「わかったわかった。ヒオキでいいか?」
「うん。俺はパーテルさんで大丈夫?」
「もちろん!今日はヒオキとジョルディのお祝いだな!奢りだ!好きなもの頼めよ!」
凄く元気な人だなー。
お祝いってなんだろ?
イタルはジョルディに促されるまま席に着き、向かい合わせにジョルディが座るとメニュー表を広げて説明をしてくれた。
ステーキや煮込みが美味しいらしいので、煮込みを頼むと、ビーフシチューっぽい物とバゲットパンがゴロゴロ出てきた。
肉は牛じゃないからビーフじゃないけど。
ここの人達は体が大きいからシチューもどんぶりみたいな器でちょっと困った。
食べ盛りの俺でもギリギリかも…。
日本人としてはお残しは許されへんで~!と意気込んで、いただきますをしてからスプーンを突っ込み、パクリと口に含む。
「美味いっ」
煮込まれたお肉はホロホロとスプーンで崩れるくらいに柔らかく、ごろっと入っている野菜は素材からして美味しい。
夢中になってもぐもぐしていると、ルディの方に運ばれてきたステーキを細かくカットしているなーって思ったら、フォークに刺したお肉をこちらに向けてきた。
「はい、あーん」
「へ?あー?んぐ」
反射的に口を開けるとお肉を突っ込まれた。
もぐもぐすると肉汁がどわっと出てきたのに、この肉汁全然油っぽくない。
「んんー!ん!」
「美味いか?」
「んっ、ごくっ…すごい!こんな美味しいお肉初めて食べた!」
そうか、と言いながらカットされたお肉を俺がシチューを食べるあいまにタイミング良く口に入れてくる。
美味しいから食べるじゃん?そしたらまた口に新たなお肉が近づくんだよ。無限ループかな?
たまにパンをはさんで、シチューとステーキを食べていると俺の腹はぱんぱんに満たされた。
「はぁ~…もう食べられない…」
「ん?まだ残ってるけど、もういらないのか?」
シチューが3分の1とパンが2個残ってしまった。でももう無理。これ以上食べると吐いちゃう。
ぽんぽこになったお腹をさすってアピールすると、ルディも納得してくれて俺が残したシチューとパンをぺろりと平らげた。
そしてパーテルさんに挨拶をしてから店をあとにした俺たちはルディの家に到着した。
買い物は時間も時間だからと、明日に行くことにして。
ピルスナーを自宅横の厩舎に入れ、ピルスナー用のご飯と水を用意してから家の中の案内をするから少し待っててくれと言われたので、俺も手伝った。
水を桶に入れるという、子供のお手伝いっぽいものだけど。
森からここまで乗せてくれたピルスナーへのお礼を言うと、ピルスナーが俺の顔をベロンっと舐めてくれた。
おっ?と思ったらガサッと紙袋の音がして、俺はハッとする。
あれ…?俺、紙袋被ったままご飯食べてた…!!??
え?どういう原理???
またしても俺はスペースを背負った猫ちゃんになるのだった。
********
パーテル視点→ご飯がマスクに吸い込まれ……???
ルディ視点→たくさんお食べ。
ちなみに紙袋は装備だとみんな思ってます。
フルフェイスマスク的な。
「すぐに食わせてやるからな」
「お腹を撫でるのやめい」
ぺちっとお腹の手を叩く。
ただ今ピルスナーに乗って、ルディおすすめのお店へと向かう途中。
ルディの家の近くに美味しいご飯屋さんがあるみたい。
道中は建物や人々を眺めていた。RPGゲームの街並みに似た景色は、ちょっとした海外旅行気分。
着いたお店もアットホーム感のある可愛らしい外観で、外国の田舎のおばあちゃん家っぽい。自分で言っててよくわかってないけど。
ルディが先にドアを開けて中に入ると、元気の良い声で「いらっしゃい!あ、ジョルディじゃないか。今日もいつものか?」という本当に常連客らしい台詞が聞こえてきた。
「いや、今日は連れがいるんだ。紹介するよ」
そう言ってルディに背中を押されて前に出された。
爽やかな見た目の店員さん?が俺を見て驚いてる。
「えっどちら様!?この辺の人じゃないよな?」
「この子は移り人だ。今日から私の家で一緒に生活をする。これからも連れてくるから覚えておいてくれ」
「移り人!へぇー久々だなぁ。ジョルディと一緒に住むねぇ。良かったじゃないか!俺はパーテル、この店の店主だ。よろしくな!」
キラッと爽やかな笑顔で挨拶をしてくれた。凄い良い人感出てる~。
「俺は氷置 格です!よろしくお願いします」
「彼のことはヒオキと呼んでくれ」
ジョルディがイタルの肩を自身に引き寄せながら言う。
それを見たパーテルも苦笑しながら、
「わかったわかった。ヒオキでいいか?」
「うん。俺はパーテルさんで大丈夫?」
「もちろん!今日はヒオキとジョルディのお祝いだな!奢りだ!好きなもの頼めよ!」
凄く元気な人だなー。
お祝いってなんだろ?
イタルはジョルディに促されるまま席に着き、向かい合わせにジョルディが座るとメニュー表を広げて説明をしてくれた。
ステーキや煮込みが美味しいらしいので、煮込みを頼むと、ビーフシチューっぽい物とバゲットパンがゴロゴロ出てきた。
肉は牛じゃないからビーフじゃないけど。
ここの人達は体が大きいからシチューもどんぶりみたいな器でちょっと困った。
食べ盛りの俺でもギリギリかも…。
日本人としてはお残しは許されへんで~!と意気込んで、いただきますをしてからスプーンを突っ込み、パクリと口に含む。
「美味いっ」
煮込まれたお肉はホロホロとスプーンで崩れるくらいに柔らかく、ごろっと入っている野菜は素材からして美味しい。
夢中になってもぐもぐしていると、ルディの方に運ばれてきたステーキを細かくカットしているなーって思ったら、フォークに刺したお肉をこちらに向けてきた。
「はい、あーん」
「へ?あー?んぐ」
反射的に口を開けるとお肉を突っ込まれた。
もぐもぐすると肉汁がどわっと出てきたのに、この肉汁全然油っぽくない。
「んんー!ん!」
「美味いか?」
「んっ、ごくっ…すごい!こんな美味しいお肉初めて食べた!」
そうか、と言いながらカットされたお肉を俺がシチューを食べるあいまにタイミング良く口に入れてくる。
美味しいから食べるじゃん?そしたらまた口に新たなお肉が近づくんだよ。無限ループかな?
たまにパンをはさんで、シチューとステーキを食べていると俺の腹はぱんぱんに満たされた。
「はぁ~…もう食べられない…」
「ん?まだ残ってるけど、もういらないのか?」
シチューが3分の1とパンが2個残ってしまった。でももう無理。これ以上食べると吐いちゃう。
ぽんぽこになったお腹をさすってアピールすると、ルディも納得してくれて俺が残したシチューとパンをぺろりと平らげた。
そしてパーテルさんに挨拶をしてから店をあとにした俺たちはルディの家に到着した。
買い物は時間も時間だからと、明日に行くことにして。
ピルスナーを自宅横の厩舎に入れ、ピルスナー用のご飯と水を用意してから家の中の案内をするから少し待っててくれと言われたので、俺も手伝った。
水を桶に入れるという、子供のお手伝いっぽいものだけど。
森からここまで乗せてくれたピルスナーへのお礼を言うと、ピルスナーが俺の顔をベロンっと舐めてくれた。
おっ?と思ったらガサッと紙袋の音がして、俺はハッとする。
あれ…?俺、紙袋被ったままご飯食べてた…!!??
え?どういう原理???
またしても俺はスペースを背負った猫ちゃんになるのだった。
********
パーテル視点→ご飯がマスクに吸い込まれ……???
ルディ視点→たくさんお食べ。
ちなみに紙袋は装備だとみんな思ってます。
フルフェイスマスク的な。
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