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本編
25 秘密の暴露
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時間が時間なので、一度家に帰ることに。
おれが寝ている間にハクとたまは隠遁魔法?で見えないようにして空を飛んでいたらしく、直でポルタ家に着いた。
庭に降り立ってから魔法を解いてお家に入るとそろそろ夕食の時間になっていたので、2人も一緒に食べるか誘ってみると、二つ返事だった。
「食べ終わったらテンの部屋でね?」
「逃がさねーからな?」
「……ふぁい……」
いつもと違う様子の3人に、兄のミューロとワングが首を傾げる事になるまで、あと十数分後のことである。
夕食後、まったりする時間も惜しいとばかりに自室へと連れていかれたテンは、入った瞬間から防音魔法となにやら結界の様なものを部屋に張られた。
元々重厚な作りの部屋は魔法を使用しなくても外に声は漏れないし、内鍵をかけておけば誰も入ってこない。
だからこの念の入れようにヒヤリとする。
「えーーーと……話しするだけだよね?」
「一応ね」
「そうそう、一応だ」
怖いです。一応って何の一応でしょうか?一応聞かれないようにって意味だよね?ね?そうだと言ってください…。
監禁ダメ絶対!!!
自分家で監禁とか何それって思うけど、されても不思議じゃない雰囲気にそわそわしてしまう。
部屋には小さいながらも3人で座れるテーブルと椅子が備えられ、普段はお茶や軽い雑談をするために使用している。
そこに全員で座り、テンはビクビクしながら2人の顔を伺うように目を向けると、アイスブルーと翡翠色の強い視線がテンを促す。
無言で圧力をかけるのやめて…。
んぐぅ……と息を飲み込むと、テンは視線をうろうろとさ迷わせた後、はぁぁ…と深いため息をついてぽつりぽつりと話し始める。
「……………突拍子もない話だから、信じられないかもしれないんだけど…」
実は自分には前世の記憶があり、湯船や温泉はこの前世の知識だった。
前世の自分自身が何をやっていたのか、どんな人生を送っていたのかは覚えておらず、名前すら記憶にない状態で転生した。
ただ、日本という国での食べ物や生活様式は覚えているから、時々日本での経験がこの世界に無いものとは知らずに口に出したり行動に出ていたりすることもある事。
途中途中、詰まりながら、どもりながら、2人の反応をちらちら伺いながら、真顔で自分を見つめる2人に心が戦きながらテンは一生懸命説明をした。
アングローリアの弟のことはさすがに言わなかったが。
静かに聞いていたヴィジスタとディオーレンは、テンの説明に呆気にとられた。だって、想像とは違う方面からのぶっ込みだったから。
2人は何処のどいつに湯船や温泉の話を聞いたのかと問い詰める気満々だった。
テンの様子を見ていれば嘘とは思えないし、何ならそれを自分たちに隠していたのは嫌われたらどうしようとか、離れていったらどうしようとか…そういう風に思われてしまう程に愛が足りなかったのか?という方が問題だ。
「テン」
「…はい」
知らず知らずに下を向いていたテンは、ヴィジスタの呼びかけにおずおずと視線を上げる。
静寂の中に自身の心音が響くのではと思えるくらいにバクバクと鼓動が激しく脈打つ。
返事は少し震えていた。
怖くて、でも言ってしまったからにはどんな結果でも覚悟を決めなくちゃと…。
けれどテンの目の前に座っていた2人は穏やかに微笑んでいた。
「……え?」
「バカだね…そんな事で僕達がテンを嫌いになるわけないんだよ」
「むしろテンを取られないように今まで以上に束縛する未来しか見えないな」
「……はぇ?」
テンを安心させるように穏やかな微笑みを浮かべながら、2人は席を立ってテンの傍で片膝をつくと、左右の手を取って忠誠を誓う騎士のように恭しく手のひらに口付ける。
「俺たちの方こそテンに捨てられないか不安なんだ」
「そうだよ。僕達は絶対にテンを手放してなんかあげないからね」
「手のひらのキスは『懇願』。テンの全てを俺たちの物にしたくて堪らない」
「もう知ってるとは思うけど、僕達の愛は深くて重いよ?テンが潰れてしまう程ね…まあ…嫌だなんて言われてももう返品不可だけど」
「……ぁ…」
穏やかな微笑みから一転、ニヤリと笑う2人にテンは閉口する。
「お、怒ってないの…?」
「怒る?何故?」
「色々…秘密にしてたし…嘘ついてたから…」
「嘘ってほどのものでも無いな。それに誰にだって秘密はある」
「そうだね。僕も秘密の一つや二つあるよ」
「俺も。秘密なんて誰にでもある」
ホッと安堵したテンに、ヴィジスタとディオーレンは「「でも」」と声を揃えて、笑みを深めた。
「俺たちの気持ちを疑わなくて済むくらい、もっと愛してやらないとな」
「まだまだテンには伝わって無かったみたいだしねぇ」
「俺の秘密、一つだけ教えてやるよ」
「僕の秘密も一つだけ教えてあげる」
「え、いゃ…あの…」
スっと優雅に立たされ、流れるようにベッドへと座らされたテンは冷や汗が止まらない。
ちょっと…まさか…嘘だよね…?だって今日はもう無理だって…!
「「テンを閉じ込めて外に出したくないし誰にも見せたくない」」
「ひぇっ」
「ずうっと秘密にしておこうと思ったけど、テンが不安になるみたいだから」
「そうだな。俺たちがどれだけテンを愛しているか」
「ゃ…ぁ、ぇ…」
「将来的にはその方向でね」
「覚悟しておけよ?」
監・禁・予・告!!!
あばばばばっと意味不明な鳴き声を出しながら服をぽいぽい剥かれていくテンは、数分後の未来と数年先の未来に笑い泣きをした。
とりあえず、今言いたいことは。
「今日はもう無理だって!!」
「回復薬で回復できるから大丈夫」
全然大丈夫じゃない!!!!!
でも2人の愛の重さが妙に心地良いのは、テンの新たな秘密になった。
********
お久しぶりです(小声)
ででにーのヴィランズゲーム沼にハマってしまって更新途絶えてました…すみません…。
おれが寝ている間にハクとたまは隠遁魔法?で見えないようにして空を飛んでいたらしく、直でポルタ家に着いた。
庭に降り立ってから魔法を解いてお家に入るとそろそろ夕食の時間になっていたので、2人も一緒に食べるか誘ってみると、二つ返事だった。
「食べ終わったらテンの部屋でね?」
「逃がさねーからな?」
「……ふぁい……」
いつもと違う様子の3人に、兄のミューロとワングが首を傾げる事になるまで、あと十数分後のことである。
夕食後、まったりする時間も惜しいとばかりに自室へと連れていかれたテンは、入った瞬間から防音魔法となにやら結界の様なものを部屋に張られた。
元々重厚な作りの部屋は魔法を使用しなくても外に声は漏れないし、内鍵をかけておけば誰も入ってこない。
だからこの念の入れようにヒヤリとする。
「えーーーと……話しするだけだよね?」
「一応ね」
「そうそう、一応だ」
怖いです。一応って何の一応でしょうか?一応聞かれないようにって意味だよね?ね?そうだと言ってください…。
監禁ダメ絶対!!!
自分家で監禁とか何それって思うけど、されても不思議じゃない雰囲気にそわそわしてしまう。
部屋には小さいながらも3人で座れるテーブルと椅子が備えられ、普段はお茶や軽い雑談をするために使用している。
そこに全員で座り、テンはビクビクしながら2人の顔を伺うように目を向けると、アイスブルーと翡翠色の強い視線がテンを促す。
無言で圧力をかけるのやめて…。
んぐぅ……と息を飲み込むと、テンは視線をうろうろとさ迷わせた後、はぁぁ…と深いため息をついてぽつりぽつりと話し始める。
「……………突拍子もない話だから、信じられないかもしれないんだけど…」
実は自分には前世の記憶があり、湯船や温泉はこの前世の知識だった。
前世の自分自身が何をやっていたのか、どんな人生を送っていたのかは覚えておらず、名前すら記憶にない状態で転生した。
ただ、日本という国での食べ物や生活様式は覚えているから、時々日本での経験がこの世界に無いものとは知らずに口に出したり行動に出ていたりすることもある事。
途中途中、詰まりながら、どもりながら、2人の反応をちらちら伺いながら、真顔で自分を見つめる2人に心が戦きながらテンは一生懸命説明をした。
アングローリアの弟のことはさすがに言わなかったが。
静かに聞いていたヴィジスタとディオーレンは、テンの説明に呆気にとられた。だって、想像とは違う方面からのぶっ込みだったから。
2人は何処のどいつに湯船や温泉の話を聞いたのかと問い詰める気満々だった。
テンの様子を見ていれば嘘とは思えないし、何ならそれを自分たちに隠していたのは嫌われたらどうしようとか、離れていったらどうしようとか…そういう風に思われてしまう程に愛が足りなかったのか?という方が問題だ。
「テン」
「…はい」
知らず知らずに下を向いていたテンは、ヴィジスタの呼びかけにおずおずと視線を上げる。
静寂の中に自身の心音が響くのではと思えるくらいにバクバクと鼓動が激しく脈打つ。
返事は少し震えていた。
怖くて、でも言ってしまったからにはどんな結果でも覚悟を決めなくちゃと…。
けれどテンの目の前に座っていた2人は穏やかに微笑んでいた。
「……え?」
「バカだね…そんな事で僕達がテンを嫌いになるわけないんだよ」
「むしろテンを取られないように今まで以上に束縛する未来しか見えないな」
「……はぇ?」
テンを安心させるように穏やかな微笑みを浮かべながら、2人は席を立ってテンの傍で片膝をつくと、左右の手を取って忠誠を誓う騎士のように恭しく手のひらに口付ける。
「俺たちの方こそテンに捨てられないか不安なんだ」
「そうだよ。僕達は絶対にテンを手放してなんかあげないからね」
「手のひらのキスは『懇願』。テンの全てを俺たちの物にしたくて堪らない」
「もう知ってるとは思うけど、僕達の愛は深くて重いよ?テンが潰れてしまう程ね…まあ…嫌だなんて言われてももう返品不可だけど」
「……ぁ…」
穏やかな微笑みから一転、ニヤリと笑う2人にテンは閉口する。
「お、怒ってないの…?」
「怒る?何故?」
「色々…秘密にしてたし…嘘ついてたから…」
「嘘ってほどのものでも無いな。それに誰にだって秘密はある」
「そうだね。僕も秘密の一つや二つあるよ」
「俺も。秘密なんて誰にでもある」
ホッと安堵したテンに、ヴィジスタとディオーレンは「「でも」」と声を揃えて、笑みを深めた。
「俺たちの気持ちを疑わなくて済むくらい、もっと愛してやらないとな」
「まだまだテンには伝わって無かったみたいだしねぇ」
「俺の秘密、一つだけ教えてやるよ」
「僕の秘密も一つだけ教えてあげる」
「え、いゃ…あの…」
スっと優雅に立たされ、流れるようにベッドへと座らされたテンは冷や汗が止まらない。
ちょっと…まさか…嘘だよね…?だって今日はもう無理だって…!
「「テンを閉じ込めて外に出したくないし誰にも見せたくない」」
「ひぇっ」
「ずうっと秘密にしておこうと思ったけど、テンが不安になるみたいだから」
「そうだな。俺たちがどれだけテンを愛しているか」
「ゃ…ぁ、ぇ…」
「将来的にはその方向でね」
「覚悟しておけよ?」
監・禁・予・告!!!
あばばばばっと意味不明な鳴き声を出しながら服をぽいぽい剥かれていくテンは、数分後の未来と数年先の未来に笑い泣きをした。
とりあえず、今言いたいことは。
「今日はもう無理だって!!」
「回復薬で回復できるから大丈夫」
全然大丈夫じゃない!!!!!
でも2人の愛の重さが妙に心地良いのは、テンの新たな秘密になった。
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お久しぶりです(小声)
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