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本編
14 ピザパンさいこー……
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この世界のパンは少し硬い。
日本みたいな柔らかい食パンを見たことないのがちょっと残念。
でもバゲットくらいの硬さだからピザパンなら最高に合うだろう。
「ね、ヴィー。あそこのパン買ってからにしよ。いいもの食べさせてあげる」
「いいもの?」
不思議そうにしていたヴィジスタだが、テンの要望通りにパンを1本買ってからまた店の前に戻って来た。
ついでにパンはスライスして貰ったので、そのままのせるだけで完成!……になるけどもう少しトッピングが欲しいな。
あ、あっちに肉そぼろっぽいのがある。麺の上にトッピングするやつみたいだけど、あれだけ買えないかな?
「ごめんヴィー、あっちのお肉も買っていい?」
「うん。大丈夫だよ」
何度もすんません。
でも絶対に美味しいから!トッピング用の肉そぼろも買えましたー。
「よし、準備万端だよ!」
買ってきたバゲットの断面に肉そぼろをのせる。
「すみませーん。このトマトとチーズのやつくださいなー」
「はーい。毎度ありー」
「あ、皿じゃなくてこの上にのせてください」
「へ?」
店員さんが皿にのせようとしたのを止め、そぼろののったバゲットを差し出す。
ぱちぱちと瞬いて、「この上って…パンの上かい?」と不思議そうに首を傾げる。
「うん。出来れば熱々でお願いします」
「まあ、いいけど…はいよ」
とろりと蕩けるチーズに厚切りトマト。その下の肉そぼろにまでチーズが垂れて美味しそうだ。
「はい、ヴィー。出来たよ。これ絶対に美味しいから!」
「へぇ……これはいいね」
ヴィジスタは少し間をあけて、食べるのかと思いきやサッと鞄にしまうフリしてインベントリにしまった。
「ん?ヴィー食べないの?」
「うーん、少し離れようか。ここだと目立つからね」
え?と周りを見てみると店員さんがガン見していた。怖い。
「ここで目立っちゃったら変化してる意味無くなるから」
「わ、わかった…?」
とにかくその場を速やかに離れ、路地の方に隠れた。
人の気配が無いことを確認し、ヴィジスタはテンから渡されたパンを取り出す。
「びっくりしたー。どうしたの?こんな所に入って」
路地が珍しいのかテンはキョロキョロと周りを眺める。人目が無いからか浮いていたたまもテンの腕の中に戻ってきた。
「そういえば店員さん、凄い見てきたね。何でだろ?」
「はぁー、テンが何気なくやって見せたこのパンだけど」
「あっ食べて食べて!」
「…うん。じゃあまずは頂くね」
まだチーズが冷めていないので、とろりと溢れそうになった場所をヴィジスタはパクリと頬張る。
口に広がるのは肉そぼろの甘辛い味付けが瑞々しいトマトの酸味でさっぱりとし、濃厚なチーズでまろやかにパンとトマトと肉そぼろを一体化させていた。
「っ、おいしい…」
「でしょ!?おれもこのピザパンが大好きなんだ~」
「……ピザパン?」
あ。
「テンはどこでこの様なパンの食べ方を?ポルタ家ではパンをこんな形にして出していないよね?」
「あーー……うん。…………アングロさんが…ね」
「アングロさんとは、テンの家庭教師のアングローリア様の事だよね?」
「アングローリア様…?うん、そのアングロさんだけど…」
ごめーん!アングロさん!でもどうやって説明したらいいのかわかんなかったんだもん!
「1度内緒で食べさせてくれて…すごくおいしかったから……そしたら屋台に材料があって……ヴィーにも食べさせてあげたくなったんだ……」
どんな状況で食べさせて貰うんだっちゅーの!くっ、言い訳が苦しい…。
「ふぅん…」
ばっくんばっくんと心臓がうるさい。
ひぃえぇ~ごめんなさい~めっちゃ考え込んでるぅ。
前世の記憶があるなんて頭おかしい子だと思われるかもしれないし…。
まだ打ち明けるには勇気がいるからもう少し待ってください…。
心の中で何度も土下座した。
「ねえテン、アングローリア様は次にいつ来るの?」
「ふえ?」
「家庭教師の日程だよ。このピザパンは素晴らしいよ。出来れば直接聞きたいことがあるから。教えてくれるかな?」
「え、え、あ、5日後…来る…けど…」
「じゃあ5日後、ポルタ家に行けるよう予定を調整するね」
「えぅ、あ、うん…」
ど、どうしよう…!アングロさーーん!
蒼白になるおれの顔を、たまが慰めるようにぺろりと舐めた。
********
くっ、エロが…っ、エロが入れられないっ!
ってかずっと抱っこって凄いなこいつ。腕死ぬわー。
そしてたま様ごめんなさい。もふもふを生かしきれないぃ。
日本みたいな柔らかい食パンを見たことないのがちょっと残念。
でもバゲットくらいの硬さだからピザパンなら最高に合うだろう。
「ね、ヴィー。あそこのパン買ってからにしよ。いいもの食べさせてあげる」
「いいもの?」
不思議そうにしていたヴィジスタだが、テンの要望通りにパンを1本買ってからまた店の前に戻って来た。
ついでにパンはスライスして貰ったので、そのままのせるだけで完成!……になるけどもう少しトッピングが欲しいな。
あ、あっちに肉そぼろっぽいのがある。麺の上にトッピングするやつみたいだけど、あれだけ買えないかな?
「ごめんヴィー、あっちのお肉も買っていい?」
「うん。大丈夫だよ」
何度もすんません。
でも絶対に美味しいから!トッピング用の肉そぼろも買えましたー。
「よし、準備万端だよ!」
買ってきたバゲットの断面に肉そぼろをのせる。
「すみませーん。このトマトとチーズのやつくださいなー」
「はーい。毎度ありー」
「あ、皿じゃなくてこの上にのせてください」
「へ?」
店員さんが皿にのせようとしたのを止め、そぼろののったバゲットを差し出す。
ぱちぱちと瞬いて、「この上って…パンの上かい?」と不思議そうに首を傾げる。
「うん。出来れば熱々でお願いします」
「まあ、いいけど…はいよ」
とろりと蕩けるチーズに厚切りトマト。その下の肉そぼろにまでチーズが垂れて美味しそうだ。
「はい、ヴィー。出来たよ。これ絶対に美味しいから!」
「へぇ……これはいいね」
ヴィジスタは少し間をあけて、食べるのかと思いきやサッと鞄にしまうフリしてインベントリにしまった。
「ん?ヴィー食べないの?」
「うーん、少し離れようか。ここだと目立つからね」
え?と周りを見てみると店員さんがガン見していた。怖い。
「ここで目立っちゃったら変化してる意味無くなるから」
「わ、わかった…?」
とにかくその場を速やかに離れ、路地の方に隠れた。
人の気配が無いことを確認し、ヴィジスタはテンから渡されたパンを取り出す。
「びっくりしたー。どうしたの?こんな所に入って」
路地が珍しいのかテンはキョロキョロと周りを眺める。人目が無いからか浮いていたたまもテンの腕の中に戻ってきた。
「そういえば店員さん、凄い見てきたね。何でだろ?」
「はぁー、テンが何気なくやって見せたこのパンだけど」
「あっ食べて食べて!」
「…うん。じゃあまずは頂くね」
まだチーズが冷めていないので、とろりと溢れそうになった場所をヴィジスタはパクリと頬張る。
口に広がるのは肉そぼろの甘辛い味付けが瑞々しいトマトの酸味でさっぱりとし、濃厚なチーズでまろやかにパンとトマトと肉そぼろを一体化させていた。
「っ、おいしい…」
「でしょ!?おれもこのピザパンが大好きなんだ~」
「……ピザパン?」
あ。
「テンはどこでこの様なパンの食べ方を?ポルタ家ではパンをこんな形にして出していないよね?」
「あーー……うん。…………アングロさんが…ね」
「アングロさんとは、テンの家庭教師のアングローリア様の事だよね?」
「アングローリア様…?うん、そのアングロさんだけど…」
ごめーん!アングロさん!でもどうやって説明したらいいのかわかんなかったんだもん!
「1度内緒で食べさせてくれて…すごくおいしかったから……そしたら屋台に材料があって……ヴィーにも食べさせてあげたくなったんだ……」
どんな状況で食べさせて貰うんだっちゅーの!くっ、言い訳が苦しい…。
「ふぅん…」
ばっくんばっくんと心臓がうるさい。
ひぃえぇ~ごめんなさい~めっちゃ考え込んでるぅ。
前世の記憶があるなんて頭おかしい子だと思われるかもしれないし…。
まだ打ち明けるには勇気がいるからもう少し待ってください…。
心の中で何度も土下座した。
「ねえテン、アングローリア様は次にいつ来るの?」
「ふえ?」
「家庭教師の日程だよ。このピザパンは素晴らしいよ。出来れば直接聞きたいことがあるから。教えてくれるかな?」
「え、え、あ、5日後…来る…けど…」
「じゃあ5日後、ポルタ家に行けるよう予定を調整するね」
「えぅ、あ、うん…」
ど、どうしよう…!アングロさーーん!
蒼白になるおれの顔を、たまが慰めるようにぺろりと舐めた。
********
くっ、エロが…っ、エロが入れられないっ!
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