ズボラな私の異世界譚〜あれ?何も始まらない?〜

野鳥

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21 結界の条件変更……ちょっとだけ

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さて、何だか不穏な言葉を聞いたけれど、それも昔の話。数秒前だが。
気を取り直して、空の散歩と洒落こもうじゃないか!

…洒落込むって中々使わないから使ってみたかったんだー。

「ルー兄、結界の条件変えるのってすぐ出来るの?」
「うん、できるよ。一緒に行こうか」

手の平を差し出してニコリと微笑むカールに、どこに?とセラは首を傾げる。

「俺の部屋だよ」
「ルー兄の部屋?」

素直に手を握ると、家の中に向かって歩き出した。
さっきのやり取りはルー兄が学校から帰ってきたのを見た私が外で出迎え、喜び勇んで報告したのだ。

「俺の部屋に結界の魔石があるんだよ」
「魔石?」

おおっそれはかの有名な魔石ですね!?

「魔物の討伐をすると魔石が出てくるんだよ。それに魔法付与するんだ。セラならすぐに出来るようになるね」
「ふぉぉー楽しみぃ!」

ルー兄の部屋に着き、扉を開けると普段と変わらない様子に、セラはまたしても首を傾げる。

「あれ?魔石は?」
「ほら、あそこにあるよ」

そう言って指を指した先にあるのは何の変哲もない学習机。
ああ、机の中にあるのか。
勝手に大きな魔石を想像してたけど、引き出しに入る大きさもあるもんね。

「引き出しの中?開けていい?」

机の前でルー兄に聞いてみると、ふふっと嬉しそうに微笑んで「そっちじゃないよ」と言う。

んん?引き出しじゃない?じゃあどこに?

キョロキョロと辺りを見渡してみても魔石らしき物は何も見当たらない。

カールは、首をコテンと傾げてちょろちょろと机周りを探し回るセラを眺めてほっこりしていた。

「セラ、おいで。魔石はここだよ」

優しくセラを机の前に誘導し、カールが机の上の何も無い空間をちょんちょんと指で突っつくと、ゴロンと重たい音を鳴らして転がる青白い魔石が現れた。

「え!?なんで!?」

くすくすと笑いながら「不可視の魔法だよ」とタネ明かしをする。自身には見えているが、他者には見えないようにする魔法を作って、魔石の台座に魔法陣を刻んだらしい。
未だに台座は見えないので、不可視の魔法が成功している事がわかる。

「ルー兄は凄いねぇ…」

ほえ~と感心しながらルー兄を見上げると、嬉しそうに微笑んで額にちゅっとキスをされた。

「ありがとう。でもセラの方が断然凄いけどね」

ううむ。このキス魔めぇ。
1日最低10回以上はキスされてる気がする…。数えたことないけど。

「じゃあサクッと結界の条件を変えようか。セラが俺と一緒に結界の外に行く時だけ通報と警報を鳴らさないように」
「ん?いや、待ってルー兄。ルー兄がいない時もチョローっとお空の散歩に行きたいなぁ」
「…………今の魔石だと2キロ四方が限界なんだけどな……セラに渡すブレスレットが完成したら、また結界の条件を変えてあげるよ」

ニコッと微笑む顔に、何も言えなくなる。

「……じゃあ、その時でお願いします…」

あの顔は絶対に何がなんでも譲らないぞって顔だった。
うん。私大人だから子供に譲ってあげるんだ。決して迫力に負けたわけじゃないもんね。





××××××××



ルー兄さん動かしやすすぎてルイスが全然セラと絡ませられない…こんなハズでは(笑)

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