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12 お約束のやりとり
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「みんなにお話があります」
夕食時、全員が揃っているところでセラはスヌーの事を伝えた。
「飼っていいでしょ?ちゃんとお世話するから~」
「駄目だ。元いたところに返して来なさい」
「きちんとお散歩もするから!ご飯だってわたしがあげるから~!」
「そういう問題じゃないんだよ」
スヌーを抱えて涙目で訴えるセラに、仁王立ちで却下するのはカールだった。
捨て犬を拾った時のお約束はやっとかないとね。
「別にいいんじゃね?」
「お父さんはいいぞ~」
「お母さんもいいわよ~」
残りの3人は白くてほわほわもふもふのスヌーを触りたそうにこちらを見ている。
「俺はセラとの時間を取られるから却下なの。セラがその子犬に付きっきりになったら、どうやって俺との時間を捻出するんだ?」
「ルー兄…そこなんだ」
却下理由がまさかのそれ。
シスコンとしては正しいのか?
「はっ!そう言われたらそうだな。セラ、返してこいよ」
「スー兄まで…」
「どうせセラは部屋で一緒に寝るとか言い出すからね。おはようからお休みまで四六時中一緒とか羨ましすぎて無理。俺は昼間学校に行かなくちゃいけないのに、この犬はずっと一緒だと?この犬を目の前から消したくなるね」
「ルー兄…ごめんなさい。でももう契約しちゃったから結局は家で飼わないといけないんだよね」
てへぺろ。
セラの渾身のてへぺろはスルーされ、【契約】の言葉にカールとルイスが固まった。
「セラ……?」
「契約って……」
「「それは魔物なのか!?」」
「違うよ~!!」
「きゃん!(そんなのといっしょにするな!)」
大人しくセラに抱えられていたスヌーが、2人に魔物と間違われて激しく抗議し始めた。
「きゃうんきゃうん!」
「……」
「うるる!」
「……」
「ぐるぅー!」
「「何言ってるか分かんないよ」」
必死に訴えているのは分かるが、契約者にしか聞こえない声は2人には届かなかった。
通訳のセラちゃんが必要なようですね。
では、コホン。
「えー、スヌーはフェンリルという種族で、神獣だと言ってます」
「きゃん!」
そうだそうだ!と言うように頷くスヌーに、2人も驚く。
「それじゃあセラが死ぬまで一緒だと!?うらやまけしからん!」
「神獣と手合わせ出来んのか!?クソッ悩む!!」
ルー兄の方がシスコン度が高いですねはい分かってました。
スー兄はさすが脳筋。
「ほら、番犬としての役割もあるから。スヌーが悪いやつを家に寄せ付けないよ!ね、ルー兄もその方が安心でしょ?」
「セラ……」
「昼間は私ひとりになっちゃう事もあるし!」
尚も言いつのるセラに、カールは少し眉を下げて困ったような表情を浮かべ、言った。
「実は、家の敷地内に俺が張った結界があるから悪いやつは近寄れないんだよ」
「は?」
「え?」
「ん?」
「………結界?」
ルー兄の言葉に家族全員首を傾げた。
いや、みんなも知らないんかい。
「え?え?いつの間にそんな事やってたんだ?」
「あらぁ全然気が付かなかったわ」
「マジでカール兄規格外だな」
「そういえばわたし、敷地内から出たことない」
記憶戻る前から出不精だった。もう魂が出不精だった。
敷地広いからなぁ…全然気にしてなかった…。
私の発言に、ルー兄以外が驚いてこちらを見る。
「え、セラはここから出たことないのか…?」
「そういえばセラって友達の話しねぇなーとは思ってたんだ…」
「セラちゃん…今度一緒にレミィさんのところに行くわよ!」
「え、めんど…いや、えーと…」
ぶっちゃけ面倒臭いです。ここから出なくても不自由感じてなかったんで。
「セラが結界を通ったら分かるようにしてたからね。セラが3歳の時に結界を張ったから、それからは確実に一度も出ていないよ」
「え、ルー兄それって8歳の頃には結界魔法使えたってことだよね…」
「まあね」
末恐ろしい子っっ!!
ピシャーン!!と1人でガ〇スの仮面ごっこをしていると、周りがヒートアップしていた。
セラをどこに連れていくか騒いでいる3人に、カールが声をかける。
「まあまあ皆落ち着いて。セラが世界を旅してみたいって言ってたでしょ。一生ここから出ないわけじゃないんだから、セラの好きにさせてあげないと」
「そうねぇ」
「まあ、それなら」
「セラ、オレと行きたいところ考えとけよ」
鶴の一声ならぬカールの一声で場は収まり、話は元に戻った。
すっかり忘れてたけど、スヌーを飼う飼わないの話だったよ。
「で、契約してしまったのはもう仕方ないとして、この犬は外で飼うんだろうね?」
とてつもなく神々しくニコリと微笑んだ顔が、今まで見たことないくらいに目が笑っていなかった。
本能的に1人と1匹は悟る。
これは逆らったらアカンやつ…!
「至急犬小屋を作りたいと思います!」
「きゅふぅ…(そとでいいですぅ…)」
セラとスヌーがカールの有無を言わさぬ笑顔に圧されて、結果、外飼ならOK出ました。
ベッドでもふもふと戯れるという夢が叶いませんでした…。
********
ルー兄さんが勝手に動いていく……!!
夕食時、全員が揃っているところでセラはスヌーの事を伝えた。
「飼っていいでしょ?ちゃんとお世話するから~」
「駄目だ。元いたところに返して来なさい」
「きちんとお散歩もするから!ご飯だってわたしがあげるから~!」
「そういう問題じゃないんだよ」
スヌーを抱えて涙目で訴えるセラに、仁王立ちで却下するのはカールだった。
捨て犬を拾った時のお約束はやっとかないとね。
「別にいいんじゃね?」
「お父さんはいいぞ~」
「お母さんもいいわよ~」
残りの3人は白くてほわほわもふもふのスヌーを触りたそうにこちらを見ている。
「俺はセラとの時間を取られるから却下なの。セラがその子犬に付きっきりになったら、どうやって俺との時間を捻出するんだ?」
「ルー兄…そこなんだ」
却下理由がまさかのそれ。
シスコンとしては正しいのか?
「はっ!そう言われたらそうだな。セラ、返してこいよ」
「スー兄まで…」
「どうせセラは部屋で一緒に寝るとか言い出すからね。おはようからお休みまで四六時中一緒とか羨ましすぎて無理。俺は昼間学校に行かなくちゃいけないのに、この犬はずっと一緒だと?この犬を目の前から消したくなるね」
「ルー兄…ごめんなさい。でももう契約しちゃったから結局は家で飼わないといけないんだよね」
てへぺろ。
セラの渾身のてへぺろはスルーされ、【契約】の言葉にカールとルイスが固まった。
「セラ……?」
「契約って……」
「「それは魔物なのか!?」」
「違うよ~!!」
「きゃん!(そんなのといっしょにするな!)」
大人しくセラに抱えられていたスヌーが、2人に魔物と間違われて激しく抗議し始めた。
「きゃうんきゃうん!」
「……」
「うるる!」
「……」
「ぐるぅー!」
「「何言ってるか分かんないよ」」
必死に訴えているのは分かるが、契約者にしか聞こえない声は2人には届かなかった。
通訳のセラちゃんが必要なようですね。
では、コホン。
「えー、スヌーはフェンリルという種族で、神獣だと言ってます」
「きゃん!」
そうだそうだ!と言うように頷くスヌーに、2人も驚く。
「それじゃあセラが死ぬまで一緒だと!?うらやまけしからん!」
「神獣と手合わせ出来んのか!?クソッ悩む!!」
ルー兄の方がシスコン度が高いですねはい分かってました。
スー兄はさすが脳筋。
「ほら、番犬としての役割もあるから。スヌーが悪いやつを家に寄せ付けないよ!ね、ルー兄もその方が安心でしょ?」
「セラ……」
「昼間は私ひとりになっちゃう事もあるし!」
尚も言いつのるセラに、カールは少し眉を下げて困ったような表情を浮かべ、言った。
「実は、家の敷地内に俺が張った結界があるから悪いやつは近寄れないんだよ」
「は?」
「え?」
「ん?」
「………結界?」
ルー兄の言葉に家族全員首を傾げた。
いや、みんなも知らないんかい。
「え?え?いつの間にそんな事やってたんだ?」
「あらぁ全然気が付かなかったわ」
「マジでカール兄規格外だな」
「そういえばわたし、敷地内から出たことない」
記憶戻る前から出不精だった。もう魂が出不精だった。
敷地広いからなぁ…全然気にしてなかった…。
私の発言に、ルー兄以外が驚いてこちらを見る。
「え、セラはここから出たことないのか…?」
「そういえばセラって友達の話しねぇなーとは思ってたんだ…」
「セラちゃん…今度一緒にレミィさんのところに行くわよ!」
「え、めんど…いや、えーと…」
ぶっちゃけ面倒臭いです。ここから出なくても不自由感じてなかったんで。
「セラが結界を通ったら分かるようにしてたからね。セラが3歳の時に結界を張ったから、それからは確実に一度も出ていないよ」
「え、ルー兄それって8歳の頃には結界魔法使えたってことだよね…」
「まあね」
末恐ろしい子っっ!!
ピシャーン!!と1人でガ〇スの仮面ごっこをしていると、周りがヒートアップしていた。
セラをどこに連れていくか騒いでいる3人に、カールが声をかける。
「まあまあ皆落ち着いて。セラが世界を旅してみたいって言ってたでしょ。一生ここから出ないわけじゃないんだから、セラの好きにさせてあげないと」
「そうねぇ」
「まあ、それなら」
「セラ、オレと行きたいところ考えとけよ」
鶴の一声ならぬカールの一声で場は収まり、話は元に戻った。
すっかり忘れてたけど、スヌーを飼う飼わないの話だったよ。
「で、契約してしまったのはもう仕方ないとして、この犬は外で飼うんだろうね?」
とてつもなく神々しくニコリと微笑んだ顔が、今まで見たことないくらいに目が笑っていなかった。
本能的に1人と1匹は悟る。
これは逆らったらアカンやつ…!
「至急犬小屋を作りたいと思います!」
「きゅふぅ…(そとでいいですぅ…)」
セラとスヌーがカールの有無を言わさぬ笑顔に圧されて、結果、外飼ならOK出ました。
ベッドでもふもふと戯れるという夢が叶いませんでした…。
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ルー兄さんが勝手に動いていく……!!
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