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第七話

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 つぎの日、昨日来た特命公安局に出勤し、なぜか大量にある書類仕事を任されていた時のことであった。

「なあ、反乱ってどうなってるんだ?」

 俺がエリカにそう聞く。すると、エリカは俺にこう言ったのだった。

「見に行ってみます?」
「いいのか?」
「どうせ暇なんです。視察くらい許されるでしょう」

 そう言って、エリカは支度をはじめてしまう。俺も急いで支度を整える。といっても、支給された公務員用の制服しかないから楽なんだけど。
 特命公安局のスペース、王国官庁庁舎を出て歩くこと十分。その現場についた。ってか、王宮から徒歩十分のところで反乱起きてるとかやばいなこの国。滅ぶんじゃないか?
 と、思ったら先を歩いていたエリカがおもむろにある建物に入っていく。

「ここが、前線基地です。上から様子が分かりますよ」

 そう言って、エリカは建物の中をずんずん進んでいき、階段を上る。俺もそれについて行く。
 螺旋階段を上ると、手すりのついた見晴らしのよい場所にたどり着く。

「監視塔です」

 エリカがそう言う。そこから遠くを見ると、警官らしき人間たちとぼろ布を来た人たちが乱闘をしている。まさにあそこが反乱の最前線なのだろう。

「エリカ。これは警官しかいないのか?」
「警官と言うのがなにかわかりませんが、いるのは首都庁の首都防衛官です」
「なるほど。その首都防衛官とやらのみがこの反乱鎮圧に動いているんだな」
「そうです。そう言う決まりになっていますから」

 要するに、縦割り行政ってことか。高1の時に現代社会の授業で教師がそんなことを言っていた気がする。
 しかし、それでは軍が動員できない。きっと、軍を動員出来たらささっとこの問題は解決されるだろう。

「エリカ。軍を動員すればすぐじゃないか」

 すると、エリカは俺にこういう。

「そんなの、とっくの昔に検討しました。でも、首都庁の強硬な反対で却下されました」
「縦割り行政……」

 まさにクソ行政である。自分らの職域を荒らされたくないがために、物事の解決につながることを拒む。ここの国の役所もまた腐っているようだった。

「じゃあさ、エリカ。まずはその首都庁を無視することから始めよう」
「……その考えはありませんでした」

 そう言って、エリカは俺の意見に賛同してくれる。俺らは急いで庁舎に帰ることにした。
 特命公安局に戻ると、一人の壮年の男が部屋にいた。誰だ。不法侵入者か。

「こんにちは。首都庁長官のトシです」
「どうも。昨日付でこちらで働かせてもらっている本郷渡です」
「本郷さん。よろしくお願いします」
「お願いします。……それで、用件は?」
「単刀直入に言いましょう。この案件に関わらないでいただきたい」
「は?」

 思わず長官に、は? って言っちゃったよ。だって、この人仕事するなって言うんだもん。

「この案件は、首都庁が責任をもって処理します。法務のよそ者とどこから来たのか分からない人間には任せられません。では」

 それだけ言って、トシ長官は部屋を去った。何だったんだあいつ。かませキャラか?

「……まあいいや。仕事にかかろう」
「……勝手にやっていいんですか? 仮にも長官命令ですよ」
「俺は執政官と国王陛下にここで仕事をしろと言われているんだ。長官ごときは敵じゃないね」

 そう言って、俺は自分用に朝運び込まれた机をエリカさんの机の隣に配置し、リサからもらった局長補佐のプレートを掲げる。よし。これで仕事の準備は整った。あとは軍を街中に入れるだけだ! それだけで仕事が終わる。楽勝だな。これ。

「エリカ。軍のところに行こう」
「わかりました。では、陸軍参謀本部へと向かいましょう」

 そう言って、エリカに陸軍の場所を案内するように言うと、参謀本部とやらに行くことになる。
 参謀本部は、また庁舎を出て歩くこと数分の王宮内に位置していた。入り口には、警備兵がいて、少し怖かった。なんでああいう警備兵って威圧感あるやつばっかなんだろうね。
 エリカが行くところについて行き、ある部屋にノックして入る。そこには、ひげを蓄えた屈強な男軍人が立っていた。

「首都庁特命公安局です」
「首都庁が何の用だ」
「反乱鎮圧に軍の力を貸してほしい」
「それは、誰の判断かね」
「首都庁特命公安局長の私です」
「そうか。それは無理だ。帰りたまえ」

 軍人は、冷徹にそう言うのだった。
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