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第五話
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さて、こうして国家公務員となった俺だが、何をしていいか、どこに行けばいいのか分からない。とりあえず、俺の先を上機嫌で歩いているリサにでも聞けばいいのだろうか。
「なあ、リサ」
「なにかしら」
「俺はどこに行けばいい。そして、何をすればいい」
「そうね。今向かっているのは王国政務庁舎。ワタルの新しい職場よ。それから、することはただ一つだけ。反乱の鎮圧よ」
リサはそう言うと、再び俺の先を歩き始めた。俺は頭をかき、リサの後をついて行く。そう簡単に言われたって、ねぇ?反乱鎮圧なんてできるわけないじゃないですか奥さん。
リサに連れられ歩くこと数分、ある立派な建物の前でリサが止まる。へぇ、異世界にもちゃんとした建物ってあるんだな。見た感じ、立派なビルだが、何の建物だろうか。
「ここが、ワタルの職場があるビルよ。入りなさい」
そう言ってリサは建物の扉を開けて中に入る。異世界にビル……。石造りだけど似合わねぇな。そう思いながら中に入る。まず中に入って目にまばゆい光が入ってくる。どこにこんな光を発する光源があるんだ。光のさしてくる上のほうを見ると、そこは大きな吹き抜けになっていた。
「ここが玄関ホール。それから、奥にわたしの部屋があるわ」
え、自室あるの?うらやましいな。俺も学校に自室とかあったらよかったのに。まあ、あったらあったでそこから出てこなくなると思うけど。
「私の部屋に案内するわ」
「ん。頼む」
そして、吹き抜けのある空間を抜け、長い廊下を歩く。つきあたりに部屋を見つける。あれかな?リサの部屋っていうのは。
予想通り、リサはつきあたりの部屋のドアを開ける。そこには、こぢんまりとした執務机があった。そこに、執政官と書かれたプレートが置いてある。どうやら、ここはリサの私室ではなくどうやら執政官の部屋のようだ。
「ここが、私の部屋」
「執政官室だろ」
俺がそう言うと、リサは頬を膨らまして俺のほうを見る。なんだよ。あざといからやめろ。美人だから中途半端に許せちゃうからやめろ。
「だから、私の部屋なの」
「いや、意味わからないぞ」
「私、執政官! ここ、執政官室! だから私の部屋!」
「はいはい、わかりました」
一生懸命自分の部屋だと主張するリサをなだめる。なんか、こいつただの駄々っ子な気がしてきたんだが……。
「まあ、いいわ。あなたの職場を案内しましょう」
「おお、頼む」
すると、リサは執政官室を出て、ふたたびあの吹き抜けのある玄関ホールへと戻っていく。玄関ホールの
近くにある階段に行き、階段を上る。当たり前だが、建物の二階にたどり着く。これで二階じゃなかったら怪談になっちゃうもんね。
「エリカ!」
リサが人の名前を呼んで手を振る。すると、部屋の奥から銀髪のショートヘアのクールそうな女の子が歩いてくる。クールそうだけど、なかなかかわいい。
「執政官。どうなさいました」
「エリカ! あなたの新しい部下を紹介するわ」
「は? 部下?」
エリカと呼ばれている女の子が、不思議そうな顔をする。おそらく、この人が俺の上司なんだろう。それにしても若そうだ。日本で言えば、女子高生くらいだろうか。異世界の役人はどうなっているんだ? 日本のキャリア官僚でもこんなに出世速くないぞ?
「ワタル。あなたの上司のエリカよ」
「エリカです。特別公安局局長です」
銀髪ショートの子がそう挨拶する。それに対し、俺も挨拶をする。
「局長補佐に任命されました。本郷渡です」
お互いのあいさつを、リサは満足そうに見る。なんでお前満足そうなんだよ。
「うん。じゃ、後は頼んだ! エリカ、よろしくね!」
そう言って、リサは去って行く。ちょっとー? 俺初対面の人と面と向かって話さないといけないのー?
「では、ホンゴウワタルさん」
「あ、ワタルで大丈夫です」
「では、ワタルさん。職場に案内します」
そう言って、エリカさんはフロアの奥へと歩き出す。そして、一つの区切られた空間へとたどり着く。部屋ではなく、空間と言ったのは、そこがドアのない開放的な空間だったからだ。
「ここが、特命公安局です」
「ありがとうございます」
そこには、簡素な執務机と簡単な応接セットがあった。……俺の席は? まさか、お前の席ねーから! みたいなやつなの? これ。
「ワタルさんのデスクは、明日届かせます」
「ああ……。分かりました」
よかった。いじめとかじゃなかった。まあ、そりゃそうか。考えてみれば今日転生されてきたんだ。それで机が用意されていたらびっくりする。そういうものだろう。
しかし、俺にはほかに気になる点がここにはあった。ここには、あるべきものがない気がする。
「なあ、リサ」
「なにかしら」
「俺はどこに行けばいい。そして、何をすればいい」
「そうね。今向かっているのは王国政務庁舎。ワタルの新しい職場よ。それから、することはただ一つだけ。反乱の鎮圧よ」
リサはそう言うと、再び俺の先を歩き始めた。俺は頭をかき、リサの後をついて行く。そう簡単に言われたって、ねぇ?反乱鎮圧なんてできるわけないじゃないですか奥さん。
リサに連れられ歩くこと数分、ある立派な建物の前でリサが止まる。へぇ、異世界にもちゃんとした建物ってあるんだな。見た感じ、立派なビルだが、何の建物だろうか。
「ここが、ワタルの職場があるビルよ。入りなさい」
そう言ってリサは建物の扉を開けて中に入る。異世界にビル……。石造りだけど似合わねぇな。そう思いながら中に入る。まず中に入って目にまばゆい光が入ってくる。どこにこんな光を発する光源があるんだ。光のさしてくる上のほうを見ると、そこは大きな吹き抜けになっていた。
「ここが玄関ホール。それから、奥にわたしの部屋があるわ」
え、自室あるの?うらやましいな。俺も学校に自室とかあったらよかったのに。まあ、あったらあったでそこから出てこなくなると思うけど。
「私の部屋に案内するわ」
「ん。頼む」
そして、吹き抜けのある空間を抜け、長い廊下を歩く。つきあたりに部屋を見つける。あれかな?リサの部屋っていうのは。
予想通り、リサはつきあたりの部屋のドアを開ける。そこには、こぢんまりとした執務机があった。そこに、執政官と書かれたプレートが置いてある。どうやら、ここはリサの私室ではなくどうやら執政官の部屋のようだ。
「ここが、私の部屋」
「執政官室だろ」
俺がそう言うと、リサは頬を膨らまして俺のほうを見る。なんだよ。あざといからやめろ。美人だから中途半端に許せちゃうからやめろ。
「だから、私の部屋なの」
「いや、意味わからないぞ」
「私、執政官! ここ、執政官室! だから私の部屋!」
「はいはい、わかりました」
一生懸命自分の部屋だと主張するリサをなだめる。なんか、こいつただの駄々っ子な気がしてきたんだが……。
「まあ、いいわ。あなたの職場を案内しましょう」
「おお、頼む」
すると、リサは執政官室を出て、ふたたびあの吹き抜けのある玄関ホールへと戻っていく。玄関ホールの
近くにある階段に行き、階段を上る。当たり前だが、建物の二階にたどり着く。これで二階じゃなかったら怪談になっちゃうもんね。
「エリカ!」
リサが人の名前を呼んで手を振る。すると、部屋の奥から銀髪のショートヘアのクールそうな女の子が歩いてくる。クールそうだけど、なかなかかわいい。
「執政官。どうなさいました」
「エリカ! あなたの新しい部下を紹介するわ」
「は? 部下?」
エリカと呼ばれている女の子が、不思議そうな顔をする。おそらく、この人が俺の上司なんだろう。それにしても若そうだ。日本で言えば、女子高生くらいだろうか。異世界の役人はどうなっているんだ? 日本のキャリア官僚でもこんなに出世速くないぞ?
「ワタル。あなたの上司のエリカよ」
「エリカです。特別公安局局長です」
銀髪ショートの子がそう挨拶する。それに対し、俺も挨拶をする。
「局長補佐に任命されました。本郷渡です」
お互いのあいさつを、リサは満足そうに見る。なんでお前満足そうなんだよ。
「うん。じゃ、後は頼んだ! エリカ、よろしくね!」
そう言って、リサは去って行く。ちょっとー? 俺初対面の人と面と向かって話さないといけないのー?
「では、ホンゴウワタルさん」
「あ、ワタルで大丈夫です」
「では、ワタルさん。職場に案内します」
そう言って、エリカさんはフロアの奥へと歩き出す。そして、一つの区切られた空間へとたどり着く。部屋ではなく、空間と言ったのは、そこがドアのない開放的な空間だったからだ。
「ここが、特命公安局です」
「ありがとうございます」
そこには、簡素な執務机と簡単な応接セットがあった。……俺の席は? まさか、お前の席ねーから! みたいなやつなの? これ。
「ワタルさんのデスクは、明日届かせます」
「ああ……。分かりました」
よかった。いじめとかじゃなかった。まあ、そりゃそうか。考えてみれば今日転生されてきたんだ。それで机が用意されていたらびっくりする。そういうものだろう。
しかし、俺にはほかに気になる点がここにはあった。ここには、あるべきものがない気がする。
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