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大会編
第15話 予選リーグ戦開始
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痛みと共に目が覚めた。
また俺は、ベッドから落ちたらしい。
朝は弱くないが、この眠く意識がハッキリとしない状態では動くことが億劫に感じてしまう。
しばらくベッドの横で、落ちた態勢のままじっとしていた。
だが、意識が覚醒すると昨日、シャワーすら浴びてないことに気づき風呂場に向かった。
浴槽には、もちろんお湯がなく沸かすのもめんどくさいので、シャワーで済ますことにした。
シャワーの温度を42℃に設定して、シャワーを流し、身体を洗う。
ところで、シャワーがどうして温度調整できるか気になったことはないだろうか。
仕組みは簡単だ。蛇口の中でお湯と水を混ぜて、設定した温度に調整してくれる。それだけだ。
幼いころ、これにシャワーがどうやって温度調整をしたか疑問に思い、師匠に聞いたもんだ。簡単な仕組みだけでよかったのに、師匠は仕組みから構造、どういった魔術回路を用いているのか、何から何まで小一時間かけて説明してくれた。簡単な仕組みだけでよかったというのに。
熱めのシャワーを浴びて、サッパリとした。
部屋のカーテンを開け、空から顔を出し始めた太陽の光を体に浴びる。
窓を開けると、部屋の温度より少し低い気持ちのいい風が吹いている。
小鳥はさえずり、木々はざわめく。
心地の良い、清々しい朝だ。
そういえば、今日からアンガレド大会の予選リーグ戦が始まるんだったな。
予選のリーグ戦は、本選のトーナメントに出場できる選手を決めるためにある。
なるべく、運の要素が大会の成績に影響されないようにするためだろう。
リーグ戦は、8人で1グループと数え、それが75グループある。グループは、どのグループもバランスが同じになり、実力者がトーナメントに出場できるように作られている。学園の教師陣が必死に考えたそうだ。
リーグ戦の総試合数は、とんでもない数になるだろう。これを2カ月かけて行う。授業の時間や放課後、全てがリーグ戦のために使われるようになる。
そして、グループの上位2名が夏に行われるトーナメントに出場できる。
俺は、この大会負けることが許されない。負ければ、待っているのは死だ。
だが、師匠のことだ。俺が絶対に負けることはないと思っているのだろう。あの人は、できないことはさせないからな。
Aクラスの教室に行くと、みんなざわついていた。
今日から予選リーグ戦が始まるという実感が湧いた。
こういった緊張感のある雰囲気は、人をわくわくさせる何かがあるな。
「おっす、ガレア。いよいよ予選が始まるな」
教室に入ってきたチクアが前の席に座る。
「あぁ、そうだな。チクアは、結構色々やってたっぽいけど、実力は伸ばせたか?」
「へへーん、まぁそれは、俺の試合を見れば分かるぜ。苦手だった剣術も中々上達したと思うし」
「じゃあ、しゃーなし応援しに行ってやるよ」
「……おはよう……ふわぁ」
ルナがやってきた。
あくびによって目からこぼれた涙を手でぬぐう。眠そうだ。
「ルナ、お前眠いのか?」
「うん、今日が楽しみであんまり眠れなかった」
お前は、遠足を楽しみにして眠れない子供か。
「分かるぜ、俺も緊張してあんまり眠れなかったわ」
「……緊張はしなかったけど」
「なんだろう、自分が惨めに感じる」
チクアは、ガクッと項垂れた。
予選リーグは、実力があれば負けることないから実力のある奴は緊張しない奴が多いんじゃないだろうか。まぁ、ルナは実力があろうがなかろうが緊張しなさそうだけど。
チクアも実力がない訳じゃない。コイツの場合は性格だろう。なんというか少しだけ小心者なのだ。
「皆さん、おはようございます!」
教室に入ってきたサクヤが元気そうにやってきた。
「おお、珍しくサクヤちゃんが元気そうだ」
「……うん、サクヤ元気そう」
「そう見えますか?実は昨日、拙者ついにムラサメを扱えるようになったでござるよ!」
ドヤ顔で誇らしげに胸を張るサクヤ。
俺にキャラ作りがバレてしまったサクヤだが、みんなの前では未だにキャラを作り続けている。俺と2人のときは、素の喋り方なのだが、みんなの前でもキャラを作らなくていいと思うんだよな。
「ついに、あの訓練を終えられたのか……。お疲れ様。そして、おめでとう!」
「……おめでとう」
「チクア殿、ルナ殿、労いの言葉、感謝するでござる」
サクヤがチクアとルナに向かって頭を下げる。
「それにしても、予選が始まるまえにムラサメが扱えるようになってよかったな」
「そうですね。予選では、拙者の真の実力をお見せ致しましょう!」
「楽しみ」
真の実力か。サクヤと昨日、戦ったがあれは本調子でないため、真の実力とは言えないだろう。それにサクヤとは魔法無しでしか戦ったことがない。
サクヤだけでなく、チクアもルナもアデクも魔法を使って戦う姿をまだ俺は見ていない。
予選でみんなの実力が垣間見れるのを少し楽しみに思う自分がいた。
そういえば、アデクが来ていないなと思い、周りを見ると、自分の席で座っているではないか。
真剣な表情をして、前の黒板をジッと眺めている。集中しているというのがよく伝わってくる。
グラン先生が教室に入ってくると、みんな自分の席に戻っていく。
「みんな分かっていると思うが、今日からアンガレド大会の予選リーグ戦が始まる。それに伴って、武術科の授業は、予選が終わるまで無しだ。じゃあ早速、対戦するグループメンバーが書かれた紙を渡すから一人ずつ前に来てくれ」
また俺は、ベッドから落ちたらしい。
朝は弱くないが、この眠く意識がハッキリとしない状態では動くことが億劫に感じてしまう。
しばらくベッドの横で、落ちた態勢のままじっとしていた。
だが、意識が覚醒すると昨日、シャワーすら浴びてないことに気づき風呂場に向かった。
浴槽には、もちろんお湯がなく沸かすのもめんどくさいので、シャワーで済ますことにした。
シャワーの温度を42℃に設定して、シャワーを流し、身体を洗う。
ところで、シャワーがどうして温度調整できるか気になったことはないだろうか。
仕組みは簡単だ。蛇口の中でお湯と水を混ぜて、設定した温度に調整してくれる。それだけだ。
幼いころ、これにシャワーがどうやって温度調整をしたか疑問に思い、師匠に聞いたもんだ。簡単な仕組みだけでよかったのに、師匠は仕組みから構造、どういった魔術回路を用いているのか、何から何まで小一時間かけて説明してくれた。簡単な仕組みだけでよかったというのに。
熱めのシャワーを浴びて、サッパリとした。
部屋のカーテンを開け、空から顔を出し始めた太陽の光を体に浴びる。
窓を開けると、部屋の温度より少し低い気持ちのいい風が吹いている。
小鳥はさえずり、木々はざわめく。
心地の良い、清々しい朝だ。
そういえば、今日からアンガレド大会の予選リーグ戦が始まるんだったな。
予選のリーグ戦は、本選のトーナメントに出場できる選手を決めるためにある。
なるべく、運の要素が大会の成績に影響されないようにするためだろう。
リーグ戦は、8人で1グループと数え、それが75グループある。グループは、どのグループもバランスが同じになり、実力者がトーナメントに出場できるように作られている。学園の教師陣が必死に考えたそうだ。
リーグ戦の総試合数は、とんでもない数になるだろう。これを2カ月かけて行う。授業の時間や放課後、全てがリーグ戦のために使われるようになる。
そして、グループの上位2名が夏に行われるトーナメントに出場できる。
俺は、この大会負けることが許されない。負ければ、待っているのは死だ。
だが、師匠のことだ。俺が絶対に負けることはないと思っているのだろう。あの人は、できないことはさせないからな。
Aクラスの教室に行くと、みんなざわついていた。
今日から予選リーグ戦が始まるという実感が湧いた。
こういった緊張感のある雰囲気は、人をわくわくさせる何かがあるな。
「おっす、ガレア。いよいよ予選が始まるな」
教室に入ってきたチクアが前の席に座る。
「あぁ、そうだな。チクアは、結構色々やってたっぽいけど、実力は伸ばせたか?」
「へへーん、まぁそれは、俺の試合を見れば分かるぜ。苦手だった剣術も中々上達したと思うし」
「じゃあ、しゃーなし応援しに行ってやるよ」
「……おはよう……ふわぁ」
ルナがやってきた。
あくびによって目からこぼれた涙を手でぬぐう。眠そうだ。
「ルナ、お前眠いのか?」
「うん、今日が楽しみであんまり眠れなかった」
お前は、遠足を楽しみにして眠れない子供か。
「分かるぜ、俺も緊張してあんまり眠れなかったわ」
「……緊張はしなかったけど」
「なんだろう、自分が惨めに感じる」
チクアは、ガクッと項垂れた。
予選リーグは、実力があれば負けることないから実力のある奴は緊張しない奴が多いんじゃないだろうか。まぁ、ルナは実力があろうがなかろうが緊張しなさそうだけど。
チクアも実力がない訳じゃない。コイツの場合は性格だろう。なんというか少しだけ小心者なのだ。
「皆さん、おはようございます!」
教室に入ってきたサクヤが元気そうにやってきた。
「おお、珍しくサクヤちゃんが元気そうだ」
「……うん、サクヤ元気そう」
「そう見えますか?実は昨日、拙者ついにムラサメを扱えるようになったでござるよ!」
ドヤ顔で誇らしげに胸を張るサクヤ。
俺にキャラ作りがバレてしまったサクヤだが、みんなの前では未だにキャラを作り続けている。俺と2人のときは、素の喋り方なのだが、みんなの前でもキャラを作らなくていいと思うんだよな。
「ついに、あの訓練を終えられたのか……。お疲れ様。そして、おめでとう!」
「……おめでとう」
「チクア殿、ルナ殿、労いの言葉、感謝するでござる」
サクヤがチクアとルナに向かって頭を下げる。
「それにしても、予選が始まるまえにムラサメが扱えるようになってよかったな」
「そうですね。予選では、拙者の真の実力をお見せ致しましょう!」
「楽しみ」
真の実力か。サクヤと昨日、戦ったがあれは本調子でないため、真の実力とは言えないだろう。それにサクヤとは魔法無しでしか戦ったことがない。
サクヤだけでなく、チクアもルナもアデクも魔法を使って戦う姿をまだ俺は見ていない。
予選でみんなの実力が垣間見れるのを少し楽しみに思う自分がいた。
そういえば、アデクが来ていないなと思い、周りを見ると、自分の席で座っているではないか。
真剣な表情をして、前の黒板をジッと眺めている。集中しているというのがよく伝わってくる。
グラン先生が教室に入ってくると、みんな自分の席に戻っていく。
「みんな分かっていると思うが、今日からアンガレド大会の予選リーグ戦が始まる。それに伴って、武術科の授業は、予選が終わるまで無しだ。じゃあ早速、対戦するグループメンバーが書かれた紙を渡すから一人ずつ前に来てくれ」
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