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第16話 初めての本音1
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…
「…ごめんね、きょう姉」
「気にしないの!私は大丈夫だから!」
…
多分、初めて人の前で泣いてしまった。
しかも号泣。。
幸いなことはお店に人が少なかったこと。
でも、泣いた時はそんな事も気にせずに涙が溢れていた。
とまらなかった。
…勝手に溢れ出ていて、鼻水も出ていたと思う。
男だからとか、長男だからとか、支える立場にいなきゃとか…
些細なプライドだったのかもしれない。
それでもこれまで何があっても人の前で泣く事をしなかった。
だけど…
問いかけてくれた言葉。仕草。話を聞いてくれていた表情。
きょう姉だったから我慢できなかったのかもしれない。
…
「ゆうまが受け止めていた事は1人じゃ誰だってキツイし、無理なことよ」
「昔から我慢しちゃうし、強がっちゃうし、人に相談とかもしないで平気な顔してたの知ってる」
「それは、ゆうまの良いところでもあるよ!」
「でも、悪いところもあるかな」
「…うん、、」
「そうだよね…」
「うん」
「はるかさんもゆうまに甘えすぎていたり、考えなさすぎていたと思ったよ」
「けど、ゆうまもはるかさんの事を子供とか、極端な言い方すると下に見ていたんじゃないかな?」
「…下??」
「うん、僕がいないと何も出来ない子とか、見ていないとダメな子とかね」
「…もちろん、これまで色々あって!ってのもあると思うけどさ」
「…うん」
「…同棲とか結婚とかってさ、きっと2人は同じ位置に居て役割とか会話とかが出来ているのが一番良いと思うんだー」
「あっでも、男性が支えないと!って思う事は大事だと思うよ!
「でも、それは女性を下に見るとかの意味じゃなくてね」
「…うん」
「って、離婚した私が言うのも変な話だけどね(笑)」
「まぁ離婚経験者からの意見ってことで!」
「あははっ」
「でも、きょう姉の言うとおりだと思った…」
「いつからか分からないけど、いつの間にかはるかの事、彼女とかパートナーとかって思わなくなってたと思うから」
「あっ!でもね」
「今私はゆうまの話しか一方的に聞いていないからってのもあるけど…」
「聞いた限りそれはそうなっちゃうよ…って思ったかな」
「…うん、、」
「だから、あまり自分のせいとかダメだったとか思いすぎなくていいと思ったよ」
「…うん、きょう姉ありがとね」
「私は何もしてないよー!」
「大事なゆうまが悲しくて辛いのを感じたから話を聞いただけ!(笑)」
「あははっ!さすがきょう姉だ!」
「ずっと憧れのお姉ちゃんです!」
「うふふ」
「って、もう外真っ暗だ!」
「帰ろうか!」
「あっ…だね(笑)」
「そうだ、ゆうまの連絡先教えてよ!」
「ずっと知らないままだし(笑)」
「ごめんね!これだよ!」
…
どれくらい話しただろうか。
辺りは真っ暗になっていて、お客さんも僕らしかいなくなっていた。
その日は人生で1番自分の気持ちや本音を話したと思う。
気持ちがスッキリした訳でも、モヤモヤがとれた訳でも、はるかとのことが解決した訳でもない。
だけど、少し前向きになれた気がした。
それから実家での暮らしが始まった。
仕事はリモートワークで出来たから問題なく仕事をしている。
はるかからはちょびちょび連絡が来ていて、僕の事を気にかけてくれているような内容だ。
また、僕がこれまで家の事をやっていた事を自分でやらないといけない事がたくさんあって大変そうなのをやり取りの端々に感じた。
その度に例えば洗濯機の使い方とかを教えてあげた。
だけど、昔にはるかとやり取りして楽しかったような感情とかは感じなかった。
一方で、きょう姉とやり取りをすることが増えた。
今日何を食べたとか、こんな上司で最悪だったとか、何気ないやり取り。
隣に住んでいるのにスマホでやり取りするなんておかしいね!なんてどうでもいいようなことも。
そんなやり取りが楽しくて。
1週間、2週間。
時間が経っても変わらないやりとりが嬉しいかった。
実家に来て3週間が経った金曜日の夜。
「ねぇゆうま」
「明日ちょっとお出かけしよ!」
きょう姉からの突然の連絡がきた。
------------------------
お読みくださいましてありがとうございます。
いかがでしたでしょうか?
ぜひお気に入り登録、評価などをしていただけたら今後の参考と活力にさせていただきます!
「…ごめんね、きょう姉」
「気にしないの!私は大丈夫だから!」
…
多分、初めて人の前で泣いてしまった。
しかも号泣。。
幸いなことはお店に人が少なかったこと。
でも、泣いた時はそんな事も気にせずに涙が溢れていた。
とまらなかった。
…勝手に溢れ出ていて、鼻水も出ていたと思う。
男だからとか、長男だからとか、支える立場にいなきゃとか…
些細なプライドだったのかもしれない。
それでもこれまで何があっても人の前で泣く事をしなかった。
だけど…
問いかけてくれた言葉。仕草。話を聞いてくれていた表情。
きょう姉だったから我慢できなかったのかもしれない。
…
「ゆうまが受け止めていた事は1人じゃ誰だってキツイし、無理なことよ」
「昔から我慢しちゃうし、強がっちゃうし、人に相談とかもしないで平気な顔してたの知ってる」
「それは、ゆうまの良いところでもあるよ!」
「でも、悪いところもあるかな」
「…うん、、」
「そうだよね…」
「うん」
「はるかさんもゆうまに甘えすぎていたり、考えなさすぎていたと思ったよ」
「けど、ゆうまもはるかさんの事を子供とか、極端な言い方すると下に見ていたんじゃないかな?」
「…下??」
「うん、僕がいないと何も出来ない子とか、見ていないとダメな子とかね」
「…もちろん、これまで色々あって!ってのもあると思うけどさ」
「…うん」
「…同棲とか結婚とかってさ、きっと2人は同じ位置に居て役割とか会話とかが出来ているのが一番良いと思うんだー」
「あっでも、男性が支えないと!って思う事は大事だと思うよ!
「でも、それは女性を下に見るとかの意味じゃなくてね」
「…うん」
「って、離婚した私が言うのも変な話だけどね(笑)」
「まぁ離婚経験者からの意見ってことで!」
「あははっ」
「でも、きょう姉の言うとおりだと思った…」
「いつからか分からないけど、いつの間にかはるかの事、彼女とかパートナーとかって思わなくなってたと思うから」
「あっ!でもね」
「今私はゆうまの話しか一方的に聞いていないからってのもあるけど…」
「聞いた限りそれはそうなっちゃうよ…って思ったかな」
「…うん、、」
「だから、あまり自分のせいとかダメだったとか思いすぎなくていいと思ったよ」
「…うん、きょう姉ありがとね」
「私は何もしてないよー!」
「大事なゆうまが悲しくて辛いのを感じたから話を聞いただけ!(笑)」
「あははっ!さすがきょう姉だ!」
「ずっと憧れのお姉ちゃんです!」
「うふふ」
「って、もう外真っ暗だ!」
「帰ろうか!」
「あっ…だね(笑)」
「そうだ、ゆうまの連絡先教えてよ!」
「ずっと知らないままだし(笑)」
「ごめんね!これだよ!」
…
どれくらい話しただろうか。
辺りは真っ暗になっていて、お客さんも僕らしかいなくなっていた。
その日は人生で1番自分の気持ちや本音を話したと思う。
気持ちがスッキリした訳でも、モヤモヤがとれた訳でも、はるかとのことが解決した訳でもない。
だけど、少し前向きになれた気がした。
それから実家での暮らしが始まった。
仕事はリモートワークで出来たから問題なく仕事をしている。
はるかからはちょびちょび連絡が来ていて、僕の事を気にかけてくれているような内容だ。
また、僕がこれまで家の事をやっていた事を自分でやらないといけない事がたくさんあって大変そうなのをやり取りの端々に感じた。
その度に例えば洗濯機の使い方とかを教えてあげた。
だけど、昔にはるかとやり取りして楽しかったような感情とかは感じなかった。
一方で、きょう姉とやり取りをすることが増えた。
今日何を食べたとか、こんな上司で最悪だったとか、何気ないやり取り。
隣に住んでいるのにスマホでやり取りするなんておかしいね!なんてどうでもいいようなことも。
そんなやり取りが楽しくて。
1週間、2週間。
時間が経っても変わらないやりとりが嬉しいかった。
実家に来て3週間が経った金曜日の夜。
「ねぇゆうま」
「明日ちょっとお出かけしよ!」
きょう姉からの突然の連絡がきた。
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