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第4話 あの時はあれでよかった…のかな

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人からもらったものは粗末にしたら悪い。これはなんでもそうですよね。
でも、そのもらったものがちょっと不気味とかなものだったらどうしますか…?
僕が捨て置いたものは、、それでよかったのかと今も考えるお話。

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当時14歳だった僕は俗に言う不登校。
原因は、新しく配属された国語の先生。

この先生、実はかなり前から知り合いで。
というのも、おばあちゃんが経営する居酒屋の常連さんということ。
ここまではなにも問題なさそうですが、その居酒屋で何度も顔を合わせていたが、ある時の出来事で僕がこの人のことを嫌いになり、不登校になったのです。

原因を簡単にいうと、夏に海やプールで日焼けをした僕は背中が真っ赤になりシャツを着ているのも辛い状態だった時があったの。
その時にいつものように居酒屋にご飯を食べに行くと、その先生がすでにいてお酒を飲んでいる。
と、時間が経ち家に帰る間際のやりとりで、酔ったその先生が

「背中みせて~」
と、いきなり。
まぁ、特に問題もないから。

「もう、めっちゃ痛いんですよ、、ほら」
と見せると。

バチンっ!
…激痛。。。
なにを思ったのかその先生が背中に張り手を。。
意味がわからない。。

すごい痛い。。

一瞬、キレて殴りそうになったが、酔っ払いの戯言と言い聞かせ。

「なにしてくれてんすか~」
と冷静に。

そんなことがあった後、数ヶ月後に僕の中学校に配属で来た。
といった経緯です。
なので、中学校は不登校。



そんなこともあり、学校に行かない日々の中で、ずっと家にいるのもよくないから夕方に散歩をすることをしていた。

今日も散歩。
いつものコースは家を出て20分くらい歩くと大きな川沿いに出る。
この川沿いをゆっくり歩いたり、川沿いから少し外れた道にある川の音が聞こえるくらいの土手とかで時間を過ごす。
さらに、時代もあってCDプレイヤーを持ち好きだったEvery Little Thingの曲を聴く。
これが日課。


今日も日課のため家を出てお散歩へ。
てくてく。

と、いつもの土手に到着。
地面に座り、CDプレイヤーを再生し空を見上げながらまったり、
「あ~いいなぁ~」

すると
僕がいる土手に向かって歩いてくる人影。

「あれ、めずらしいな」
通り道とかではないし、これまで人とすれ違ったこともない場所だったからびっくり。

すたすたすた

寝そべっている僕のほうにだんだんと近づいてくる。
目を凝らすと、60代くらいの女性だ。

「この先に家とかあるのかなぁ?」
まぁ一応道ではあるからしょうがないか、

ざっざっざっ

僕との距離があと5メートルほど。
「はやく通りすぎてくれ~」
目を閉じで曲に耳を傾ける。

すると。

ざっざっざっざ…



あきらかに足音がとまった。

「…ん??」
不思議におもい目を開ける。

「!!!!?」
おばあちゃんが僕の頭のところで立ち止まり、僕の顔を覗いている。

「…」
見た目や農作業をしている感じで、顔は優しい昔ながらの感じ。

戸惑いならがもずっと見てくるおばあちゃんに対し。
ゆっくり、イヤホンをはずし
「あっ、な、なんですか?」
と一言。

すると、おばあちゃんが
「こんにちわ」
「なにしてるの~?」

声も優しい感じ。
「…えっあっ、ちょっとまったりとしてたんです」
ふと、不登校で学校に行っていないことが頭をよぎったがそれは言わない。

「あっそうなんだ~」
「ここ気持ち良いもんね~」
僕の顔を見ながら話してくる。

「そっそうなんですよね」
立ち上がろうとすると

「あっいいのよ。もうちょっとここでのんびりしてなさい~」
「私はもう行くね~」

「あっ、はい」

「じゃあまたね」
と言い放ち、歩き始めるおばあちゃん。

ふぅ、よかった。と心で思った時。

「あっ」
再び僕に近づくおばあちゃん。

「これ、あげる」
「きっとあなたを守ってくれるわ」
僕の手をとりなにかを渡された。

「…じゃあ、行くね」
すたすたすた…

そう言い放ち歩いていくおばあちゃん。

「なっ、なんだったんだろう」
小さく口から出た。
と、思い出す手に何か渡されたもの。

ゆっくり手を持ち上げ、掌をひらく。
「…これは??」

見ると、長方形の小さな付箋サイズで白い紙。
その紙には、雷神様のようなものが書かれている。

「…お守り、、なのか?」
よく神社とかで買える感じのものだった。

だが、冷静に…
知らない人からいきなりこんなものを渡された。

「…これ、持って帰っちゃだめじゃない」
理由はない、直感でそう思った。

道を見るともうあのおばあちゃんはいない。


不気味になった僕は、

「雷神様ありがとうございます。でも持って帰れないので、あのおばあちゃんのところにお戻りください」
と3回繰り返す。
なんでそう言ったのか意味はわからない、けどそう口に出した。

「僕はもう行くので、よろしくお願いします。」
…なにしてるんだろう、と思いながらも立ち上がり。
渡されたその”もの”をその場所に置いた。

そして、その”もの”に会釈をして、そそくさに立ち去る僕。


今思うと、渡された”もの”をそんな感じで置いてきてしまったよかったのだろうかと考える。
そして。
あのおばあちゃんは、なんだったんだろう?
今も答えはでない。

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