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第2章
8.贈り物
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「それでは、世話になったな! またヒナミにも遊びに来てくれ」
「うん、そうさしてもらうわ。本物の運命の人、見つかるとええなぁ」
「う、うるさい! もうその話はするなと言っただろう!」
翌日、予定通りカイルはヒナミへと帰って行った。
ソウとともに城門で彼を見送ると、なんだかお祭りが終わったあとのような寂しさが残る。それはソウも同様らしく、豪奢な馬車が見えなくなるまで城門に佇んでいた。
「……行っちゃいましたね」
「うん。嵐みたいな奴やろ?」
「ふふ、そうかも」
とうとう馬車が見えなくなって、二人で城の中へ戻る。ソウはこれから会議だと言って、わたしを部屋まで送ってから会議室のある南棟へ行ってしまった。
その姿を見届けてから、わたしも急いで準備を始める。カイルが帰った頃を見計らって、リサが迎えに来てくれることになっているのだ。
準備が整った頃、部屋の扉がノックされて、リサの声が聞こえた。
「ユキ様、お迎えにあがりました! もう出発できますか?」
「うん、大丈夫! 今出るね!」
荷物を持って出ると、リサがなぜかうきうきした様子で待っていた。そして歩きながら説明をしてくれる。
「今日は、サウスにあるアンナさんのお店に行こうと思ってるんです!」
「アンナさんの……? ということは、服をプレゼントに?」
「うふふ、それは着いてのお楽しみということで! 昨日アンナさんに連絡したら、張り切って準備してくれるって言ってました! これだったら絶対に陛下も喜びますよ!」
外へ出ると、すでに馬車が待ち構えていた。リサと一緒にそれに乗って出発する。
そういえば、アンナとは少し前に一瞬顔を合わせただけである。しかも、あの手紙の件で勝手に勘違いをして、きちんと挨拶もせずに逃げてしまって以来だ。あの時の非礼を詫びなければならない。
「ねぇリサちゃん、アンナさんってどんな人? わたし、この前すごく失礼なことしちゃって……」
「アンナさんですか? ああ、その件なら全然気にしてませんでしたよ! それより、あの手紙でやきもち妬かせちゃったかしらーって、なんだか楽しそうでした」
「ええっ!? べ、別にあれはそういうわけじゃ……!」
「ユキ様に会いたいって前々からおっしゃってたみたいですし、今日はお店を貸切にしてくださるそうです。楽しみですね、ユキ様!」
なんだかわたしよりリサの方が張り切っているみたいだ。
そうこうしているうちに、どうやらアンナの店に着いたらしい。お洒落な外見のお店に似つかない、「本日臨時休業」とそっけなく書かれた看板が扉に吊り下げられている。
すると、ガラス張りのショーウインドウの向こう側でアンナが忙しなく動いている姿が見えた。リサが店の外で手を振ると、それに気付いたアンナが扉を開けてくれる。
「いらっしゃーい! さあ、早く入って! 今、いろいろ用意してたのよ!」
「あ、ありがとうございます! あの、アンナさん、この前は失礼なことをしてしまって申し訳ありませんでした」
「あらぁ、まだそんなこと言ってるの? 私の方こそごめんなさいね、紛らわしい手紙送っちゃって! それより、ソウとうまくいってるみたいでお姉さん嬉しいわぁ!」
つらつらと早口で捲し立てるアンナの勢いに付いていけないまま、お店の奥へと案内される。その後ろを、リサが楽しそうに付いてきた。
「アンナさん、急に連絡差し上げてしまって申し訳ありません。どうですか、いいのありますかね?」
「ほんとよお! もっと早く言ってくれたら、イチから仕立てたのに! まあ、既製品で合うのを選ぶしかないわね。でも素材がいいから、なんでも似合うと思うわ!」
「そうですよねー!」
リサとアンナの会話についていけずに困惑していると、あれよあれよと言う間に試着室に放り込まれた。
確か今日は、ソウの誕生日プレゼントを買いに来たはずである。それなのに、なぜわたしが試着室に入っているのだろう。
「あの、アンナさん? 今日はプレゼントを……!」
「まずはコレね! ほら王妃殿下、試してみて!」
「あ、ユキでいいです……じゃなくて、どうしてわたしが着るんですか!?」
「うーん、ちょっとサイズが大きすぎるかしら? ま、とりあえず着てみて!」
「だからそのっ……!」
反論する前に、シャッと音を立てて試着室のカーテンを閉められてしまった。外では、アンナとリサが何やらはしゃぎながらあれこれ話しているのが聞こえる。
仕方なく渡された服を着てみるかと手に取ると、なんだか見覚えのある衣装だ。頭の中では大量の「?」マークが浮かんだままだが、とりあえず着てみないと話も聞いてくれそうにない。
慣れない衣装を苦戦しながらどうにか着て、おずおずとカーテンを開けた。
「あ、あの……これって、どういうことですか……?」
「あらぁ、いいじゃなーい! やっぱり定番はメイド服よねー!」
「わあ、ユキ様かわいい!」
アンナに手渡されたのは、メイド用の黒地のワンピースに白いフリルエプロンが付いた衣装だった。カトライア城に仕えるメイドたちが着ているものより、スカートが短く切ってあるうえに胸元も大きく開いている。こんなに露出の多いメイド服があっていいのだろうか、と短いスカートを抑えながら思った。
「うーん、でもやっぱりありきたりかしら? ソウはメイド服なんて見慣れてるだろうしねぇ」
「そうですねー。ちょっと狙いすぎですかね?」
「うん、じゃあ次ね! ユキちゃん、次はこれ着てみてちょうだい!」
「ちょ、ちょっと待ってくださいっ!」
次の衣装を手渡されて、再び試着室に押し込まれそうになるところを踏みとどまった。リサとアンナはきょとんとした顔をしている。
「あの、今日はソウへのプレゼントを買いに来たんです! わたしの衣装ではなくてっ……!」
「だから、ソウへのプレゼントを選んでるのよ?」
「へっ?」
「あ、説明してませんでしたっけ? 陛下には普通に物をあげるより、可愛い格好をしたユキ様自身をプレゼントした方が絶対に喜ぶと思ったんです!」
「え……ええええっ!?」
楽しそうに話すリサとは対照的に、わたしは真っ赤な顔をして叫んでいた。アンナは、そんなわたしたちの様子をにこにこしながら眺めている。
「そんなの、プレゼントにならないんじゃ……!?」
「あら、私は名案だと思ったけど? ソウも一応国王だしねぇ、昔っからいろんなものを貰ってるから、ありきたりなものじゃつまらないじゃない。まあ、ユキちゃんに貰うなら何でも特別だとは思うけど、時間も予算も無いんだったら、ユキちゃんそのものをあげるのが一番喜ぶと思うわ!」
「で、でもっ……なんて言って渡せば!?」
「そんなの、『わたしがプレゼントよ』でいいじゃない!」
「むっ、無理ですっ! そんなこと言えません!」
「ユキ様、渡す手順等はまたあとで決めましょう! 今はとりあえず衣装から!」
「そ、そんなぁっ……!」
二人に言いくるめられて、再び試着室に押し込まれた。次の衣装は、スカートに大きなスリットの入った異国の民族衣装のようだ。
そのあとも、看護服や軍服、水着のような服まで様々な衣装を試着した。させられた、と言った方が合っているかもしれない。
そしてようやく、二人のお気に召す衣装が決まる頃には数時間が経っていた。
「や、やっぱりこんなの着れないですっ……!」
「大丈夫よぉ! どうせ最後には全部脱がされちゃうんだから、これくらい露出したっていいじゃない!」
「なっ、ななな、何てことを言うんですかっ!?」
「ユキ様、とってもお似合いですよ! これなら絶対に陛下も喜びます!」
リサはそう言って褒めてくれるが、こんな衣装をソウの前で着ろというのか。昨日、リサが「やる気と勇気があれば!」と言っていた理由がようやく分かった。
やる気はある。しかし、これをソウの前で着る勇気が出るだろうか。
「これは、私とリサからのプレゼントでもあるのよ? ユキちゃんが着てくれなかったら、私たちの気持ちも伝わらないわ!」
「そ……そんなの、ずるいですよ……」
そんなことを言われてしまったら、着ざるを得ないではないか。アンナもそれを分かっていて、わざとこんな意地悪な言い方をしたに違いない。
赤い顔をしたまま俯いてしまったわたしに、リサが慌ててフォローしてくれる。
「そうだ! ユキ様、この衣装にケープとスカートを付けたらいかがですか? それなら、あまり露出もないですし」
「そうね、それくらいだったら付けてもいいわ。どうせすぐ脱がされるんだろうけどー」
「あ、アンナさんっ!」
アンナが少し拗ねたように口を尖らせながら、店の奥から白いケープとスカートを持ってきてくれた。それを付けてもらうと、少しだけ恥ずかしさが和らいだ気がする。
「こ、これくらいなら、頑張れるかも……」
「そうよ、頑張ってもらわなくちゃ! あー、明日が楽しみだわぁ!」
「演出は私に任せてください! ふふっ、なんだかドキドキしますね!」
リサとアンナはきゃっきゃとはしゃいでいるが、わたしは今から緊張でそれどころではなかった。
「うん、そうさしてもらうわ。本物の運命の人、見つかるとええなぁ」
「う、うるさい! もうその話はするなと言っただろう!」
翌日、予定通りカイルはヒナミへと帰って行った。
ソウとともに城門で彼を見送ると、なんだかお祭りが終わったあとのような寂しさが残る。それはソウも同様らしく、豪奢な馬車が見えなくなるまで城門に佇んでいた。
「……行っちゃいましたね」
「うん。嵐みたいな奴やろ?」
「ふふ、そうかも」
とうとう馬車が見えなくなって、二人で城の中へ戻る。ソウはこれから会議だと言って、わたしを部屋まで送ってから会議室のある南棟へ行ってしまった。
その姿を見届けてから、わたしも急いで準備を始める。カイルが帰った頃を見計らって、リサが迎えに来てくれることになっているのだ。
準備が整った頃、部屋の扉がノックされて、リサの声が聞こえた。
「ユキ様、お迎えにあがりました! もう出発できますか?」
「うん、大丈夫! 今出るね!」
荷物を持って出ると、リサがなぜかうきうきした様子で待っていた。そして歩きながら説明をしてくれる。
「今日は、サウスにあるアンナさんのお店に行こうと思ってるんです!」
「アンナさんの……? ということは、服をプレゼントに?」
「うふふ、それは着いてのお楽しみということで! 昨日アンナさんに連絡したら、張り切って準備してくれるって言ってました! これだったら絶対に陛下も喜びますよ!」
外へ出ると、すでに馬車が待ち構えていた。リサと一緒にそれに乗って出発する。
そういえば、アンナとは少し前に一瞬顔を合わせただけである。しかも、あの手紙の件で勝手に勘違いをして、きちんと挨拶もせずに逃げてしまって以来だ。あの時の非礼を詫びなければならない。
「ねぇリサちゃん、アンナさんってどんな人? わたし、この前すごく失礼なことしちゃって……」
「アンナさんですか? ああ、その件なら全然気にしてませんでしたよ! それより、あの手紙でやきもち妬かせちゃったかしらーって、なんだか楽しそうでした」
「ええっ!? べ、別にあれはそういうわけじゃ……!」
「ユキ様に会いたいって前々からおっしゃってたみたいですし、今日はお店を貸切にしてくださるそうです。楽しみですね、ユキ様!」
なんだかわたしよりリサの方が張り切っているみたいだ。
そうこうしているうちに、どうやらアンナの店に着いたらしい。お洒落な外見のお店に似つかない、「本日臨時休業」とそっけなく書かれた看板が扉に吊り下げられている。
すると、ガラス張りのショーウインドウの向こう側でアンナが忙しなく動いている姿が見えた。リサが店の外で手を振ると、それに気付いたアンナが扉を開けてくれる。
「いらっしゃーい! さあ、早く入って! 今、いろいろ用意してたのよ!」
「あ、ありがとうございます! あの、アンナさん、この前は失礼なことをしてしまって申し訳ありませんでした」
「あらぁ、まだそんなこと言ってるの? 私の方こそごめんなさいね、紛らわしい手紙送っちゃって! それより、ソウとうまくいってるみたいでお姉さん嬉しいわぁ!」
つらつらと早口で捲し立てるアンナの勢いに付いていけないまま、お店の奥へと案内される。その後ろを、リサが楽しそうに付いてきた。
「アンナさん、急に連絡差し上げてしまって申し訳ありません。どうですか、いいのありますかね?」
「ほんとよお! もっと早く言ってくれたら、イチから仕立てたのに! まあ、既製品で合うのを選ぶしかないわね。でも素材がいいから、なんでも似合うと思うわ!」
「そうですよねー!」
リサとアンナの会話についていけずに困惑していると、あれよあれよと言う間に試着室に放り込まれた。
確か今日は、ソウの誕生日プレゼントを買いに来たはずである。それなのに、なぜわたしが試着室に入っているのだろう。
「あの、アンナさん? 今日はプレゼントを……!」
「まずはコレね! ほら王妃殿下、試してみて!」
「あ、ユキでいいです……じゃなくて、どうしてわたしが着るんですか!?」
「うーん、ちょっとサイズが大きすぎるかしら? ま、とりあえず着てみて!」
「だからそのっ……!」
反論する前に、シャッと音を立てて試着室のカーテンを閉められてしまった。外では、アンナとリサが何やらはしゃぎながらあれこれ話しているのが聞こえる。
仕方なく渡された服を着てみるかと手に取ると、なんだか見覚えのある衣装だ。頭の中では大量の「?」マークが浮かんだままだが、とりあえず着てみないと話も聞いてくれそうにない。
慣れない衣装を苦戦しながらどうにか着て、おずおずとカーテンを開けた。
「あ、あの……これって、どういうことですか……?」
「あらぁ、いいじゃなーい! やっぱり定番はメイド服よねー!」
「わあ、ユキ様かわいい!」
アンナに手渡されたのは、メイド用の黒地のワンピースに白いフリルエプロンが付いた衣装だった。カトライア城に仕えるメイドたちが着ているものより、スカートが短く切ってあるうえに胸元も大きく開いている。こんなに露出の多いメイド服があっていいのだろうか、と短いスカートを抑えながら思った。
「うーん、でもやっぱりありきたりかしら? ソウはメイド服なんて見慣れてるだろうしねぇ」
「そうですねー。ちょっと狙いすぎですかね?」
「うん、じゃあ次ね! ユキちゃん、次はこれ着てみてちょうだい!」
「ちょ、ちょっと待ってくださいっ!」
次の衣装を手渡されて、再び試着室に押し込まれそうになるところを踏みとどまった。リサとアンナはきょとんとした顔をしている。
「あの、今日はソウへのプレゼントを買いに来たんです! わたしの衣装ではなくてっ……!」
「だから、ソウへのプレゼントを選んでるのよ?」
「へっ?」
「あ、説明してませんでしたっけ? 陛下には普通に物をあげるより、可愛い格好をしたユキ様自身をプレゼントした方が絶対に喜ぶと思ったんです!」
「え……ええええっ!?」
楽しそうに話すリサとは対照的に、わたしは真っ赤な顔をして叫んでいた。アンナは、そんなわたしたちの様子をにこにこしながら眺めている。
「そんなの、プレゼントにならないんじゃ……!?」
「あら、私は名案だと思ったけど? ソウも一応国王だしねぇ、昔っからいろんなものを貰ってるから、ありきたりなものじゃつまらないじゃない。まあ、ユキちゃんに貰うなら何でも特別だとは思うけど、時間も予算も無いんだったら、ユキちゃんそのものをあげるのが一番喜ぶと思うわ!」
「で、でもっ……なんて言って渡せば!?」
「そんなの、『わたしがプレゼントよ』でいいじゃない!」
「むっ、無理ですっ! そんなこと言えません!」
「ユキ様、渡す手順等はまたあとで決めましょう! 今はとりあえず衣装から!」
「そ、そんなぁっ……!」
二人に言いくるめられて、再び試着室に押し込まれた。次の衣装は、スカートに大きなスリットの入った異国の民族衣装のようだ。
そのあとも、看護服や軍服、水着のような服まで様々な衣装を試着した。させられた、と言った方が合っているかもしれない。
そしてようやく、二人のお気に召す衣装が決まる頃には数時間が経っていた。
「や、やっぱりこんなの着れないですっ……!」
「大丈夫よぉ! どうせ最後には全部脱がされちゃうんだから、これくらい露出したっていいじゃない!」
「なっ、ななな、何てことを言うんですかっ!?」
「ユキ様、とってもお似合いですよ! これなら絶対に陛下も喜びます!」
リサはそう言って褒めてくれるが、こんな衣装をソウの前で着ろというのか。昨日、リサが「やる気と勇気があれば!」と言っていた理由がようやく分かった。
やる気はある。しかし、これをソウの前で着る勇気が出るだろうか。
「これは、私とリサからのプレゼントでもあるのよ? ユキちゃんが着てくれなかったら、私たちの気持ちも伝わらないわ!」
「そ……そんなの、ずるいですよ……」
そんなことを言われてしまったら、着ざるを得ないではないか。アンナもそれを分かっていて、わざとこんな意地悪な言い方をしたに違いない。
赤い顔をしたまま俯いてしまったわたしに、リサが慌ててフォローしてくれる。
「そうだ! ユキ様、この衣装にケープとスカートを付けたらいかがですか? それなら、あまり露出もないですし」
「そうね、それくらいだったら付けてもいいわ。どうせすぐ脱がされるんだろうけどー」
「あ、アンナさんっ!」
アンナが少し拗ねたように口を尖らせながら、店の奥から白いケープとスカートを持ってきてくれた。それを付けてもらうと、少しだけ恥ずかしさが和らいだ気がする。
「こ、これくらいなら、頑張れるかも……」
「そうよ、頑張ってもらわなくちゃ! あー、明日が楽しみだわぁ!」
「演出は私に任せてください! ふふっ、なんだかドキドキしますね!」
リサとアンナはきゃっきゃとはしゃいでいるが、わたしは今から緊張でそれどころではなかった。
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