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第2章
7.光の日々
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次の日の朝、ソウと一緒に食堂へ向かうと、すでにカイルが席に着いていた。慌てて挨拶をすると、カイルもまた慌てたように椅子から立ち上がる。
「お、おはよう、ユキさん! 今日も良い天気だな!」
「……ボクには? カイル」
「む……貴様、昨夜散々僕をからかった挙句、酔い潰して放置したのを忘れたのか?」
「あ、そやったなぁ。久々やったから、ついはしゃいでもうてん」
堪忍な、とソウがカイルの肩を叩く。それを鬱陶しげに振り払うカイルだが、なんだか二人とも楽しそうだ。
うらやましげに二人を見ていたわたしに気付いてか、傍に控えていたリサがそっと席に案内してくれる。ふざけあっていた二人も椅子に座って、ようやく朝食のスタートだ。
「カイル、明日の朝帰るんやろ? 今日一日何するん?」
「何って……僕は来賓だぞ!? お前が考えろ、お前が」
「えー、めんどくさいなぁ。何もせんでええか」
「めんどくさいとは何だ! たとえ思ったとしても口にするな!」
ソウの軽口に、いちいち真面目に突っ込むのはきっとカイルくらいだろう。
サウスに来た最初のうちは、わたしやトーヤもソウに反論したり嫌味を言ったりしていたものだが、慣れてくるとそれも疲れてしなくなった。
留学していた頃から仲がいいと言っていたが、カイルはずっとこんな調子だったのだろうか。ソウはきっと、めげずに反発してくるカイルが面白くて仕方ないのだろう。
そんなやり取りをしているうちに朝食も食べ終わり、食後のコーヒーが運ばれてくる。それを飲みながら、ふとカイルが思い出したように声を上げた。
「そうだ、お前に渡すものがあるんだった。爺、あれを持ってきてくれないか」
「かしこまりました」
傍に控えていた年配の従者に声をかけると、カイルは誇らしげに顎を上げた。
「ソウ、もうすぐ誕生日だろう。いつもお前には迷惑しかかけられていないが、心の広い僕は細かいことは気にしないんだ。お前に、プレゼントを持ってきた」
カイルの言葉に一番驚いたのは、ソウではなくわたしだった。
誕生日。
頭の中で昔の記憶を取り出して、それから今日の日付を思い出す。
そうだった。
明後日は、ソウの誕生日だ。
「へえ、嬉しいなぁ。昔の恥ずかしい写真とかは堪忍な」
「そんなものを寄越すのはお前かイツキくらいだっ!」
従者が慎重に運んできた小さな包みを受け取ると、カイルはそれをソウに手渡した。おおきに、とソウが手のひらに収まるくらいのその箱を受け取る。
「何やろ。あとで開けるわ」
「今開けろ、今! 貴様はいちいち面倒だな!」
はいはい、と苦笑しながらソウが包みを開く。
中に入っていたのは、いかにも高級そうな外見の万年筆だった。ソウも思わず感嘆のため息を漏らしている。
「さっすが、ヒナミ国王やなぁ。こないええもん、ボクが貰うてええの? 運命の人に貢いだ方がええんちゃう?」
「だ、黙れ! いらないなら返せ!」
「冗談やって。ほんまに、おおきにな。大事にするわ」
ソウはいつもと変わらず軽口を叩いているが、その表情はいつもより穏やかで、何より嬉しそうだ。カイルも、大事そうに万年筆を箱に仕舞い直すソウを見て笑みを深めた。
そのやり取りは何とも微笑ましいのだが、わたしは内心とてつもなく焦っていた。
ソウの誕生日を、忘れていた。しかも、その誕生日は明後日にまで迫っている。
カイルが素敵なプレゼントをソウに渡しているのを目の当たりにして、その焦りはさらに強くなる。
何を渡せばいいだろう。というより、あと二日で用意できるものは何だろう。ソウは、何をあげたら喜んでくれるだろう。
ソウとカイルが楽しそうに会話する声が聞こえる。時折わたしにも話を振ってくれたが、曖昧に相槌を打つくらいしかできなかった。
*
「りっ、リサちゃん! どうしよう!?」
「わっ! ど、どうしたんですか?」
自室に戻るなり、わたしはリサに泣きついていた。
ソウの誕生日を忘れていたこと、何をあげれば良いか見当もつかないこと。全て話すと、リサは少し考え込んでから、思いついたように言った。
「ユキ様、昔は陛下に何をプレゼントされたんですか? 昔と同じものをあげたら思い出話もできますし、陛下なら喜びそうですけど」
「え、えーっと……」
幼い頃、ソウに誕生日を教えてもらったことを思い出す。それから、早くプレゼントをあげたくてソウの誕生日を待ちわびていたことも。
ソウの誕生日は何度か巡ってきて、そのたびにわたしはソウの誕生日を楽しみにしていた。でも。
「お花とか、紙で作った動物とか、拾った石とか……そんなのしかあげてないよ」
「いいじゃないですか! ユキ様からのプレゼントなら、何でも喜ぶと思いますよ?」
「で、でも! もう大人なんだし、ちゃんとしたプレゼントを渡したいの」
「ちゃんとしたプレゼント……うーん、何がいいんでしょう……?」
二人でうんうん唸りながら、何かいい案はないかと考える。
父には何をあげたか思い返してみても、ソウにあげたことのあるものと似たり寄ったりだ。
そもそも、わたしが自由に使えるお金は限られているし、時間もない。その条件で、カイルのように立派なプレゼントをあげたいというのが無理な話かもしれない。
時間があれば、手作りでも何かソウが喜びそうなものを作れたかもしれないが、もしもの話をしても時間は戻らない。わたしが後悔で落ち込んでいると、リサがぱちんと手を叩いた。
「そうだ! 私、いいこと思いつきました! ユキ様、街に行きませんか!?」
「え、街って……もしかしてお店に? でも、あんまり高価なものは……」
「大丈夫です! ユキ様のやる気と勇気があれば!」
「ど、どういうこと?」
「まあまあ、とりあえず行ってみましょうよ! 今日これから……は、ヒナミ国王がいらしてますから駄目ですよね。ユキ様、明日のご予定は?」
「明日は、特に何もないけど……」
「じゃあ決まりです! あ、私明日のために下準備しますから、これで失礼しますね!」
「えっ!? ちょ、ちょっとリサちゃん!」
何が何だか分からないうちに、リサは颯爽と去って行ってしまった。名案を思いついたらしいが、一体どういうことだろう。
しかし、自分の頭ではとても良い案が思いつかない。ここはリサに甘えて、明日を待つことにしよう。
「でも……わたしも一応、何か考えた方がいいよね」
ソウとカイルは、男だけで話がしたいとかで今は二人で応接間にいるはずだ。午後からは、わたしも一緒にカトライア国内を回る予定である。
それまでの間、ソウの誕生日に向けてできることはないかと一人で考えていた。
*
「ほんま、カイルといると飽きひんわぁ。なぁ、ユキちゃん?」
「…………」
「……ユキちゃん?」
お昼を食べ終わってから、予定通りソウとカイルとカトライア国内を巡った。その間、相変わらずソウはカイルをからかうようなことばかりして、カイルもそれに律儀に応戦していた。そのやり取りに笑いながらも、わたしの頭の中はソウの誕生日のことでいっぱいだった。
ソウの呼びかけにも気づかずにいると、むにっと頬をつねられる。
「いへっ!? な、なにっ!?」
「……ユキちゃん、なんやぼーっとしてるなぁ。何考えてたん?」
「あ、ご、ごめんなさい! なんでもないの!」
「大丈夫か? ソウの相手で疲れたのだろう、もう城に戻ろうか」
「いえっ、大丈夫です! お気になさらないでください!」
「ま、もうすぐ日も暮れるやろし、戻ろか。ボクもカイルの相手で疲れたわぁ」
「それはこっちの台詞だっ!」
それから三人で城へ戻ると、ちょうど夕餉の時刻になった。出迎えに来てくれた侍女たちの中にはリサもいて、わたしの姿を見つけるとそっと傍に寄ってきて耳打ちをする。
「ユキ様、明日の手配はばっちりです! ヒナミ国王がお帰りになられてから、お迎えに参りますね!」
「あ……ありがとう! ねぇリサちゃん、その、明日って……」
「詳しいことは明日お話しますね! 今話してると、陛下にバレちゃいそうなので」
「え? う、うん、分かった」
リサは楽しそうにウインクしてから、さっと引き下がってしまった。明日の手配はばっちりとのことだが、一体何を手配してくれたのだろう。
ちらりとソウの顔を窺い見ると、目が合ってしまった。目を逸らすのも怪しまれると思って、わたしは無理に笑う。
「あ、あはは……どうかした?」
「いーや、別にぃ? 楽しみにとっておくわ」
「え……?」
そう言ってにやりと笑ったかと思うと、先を歩いていたカイルのもとへ行ってしまった。
もしかしてバレてしまったのだろうか。いや、当のわたしが何をするのかさえ分かっていないのだから、バレるも何もないのだが、ソウには何でも見透かされている気がしてならないのだ。
しかし、今のところ追求する気はないらしい。それに安堵して、わたしも二人の背を追って中へ入った。
「お、おはよう、ユキさん! 今日も良い天気だな!」
「……ボクには? カイル」
「む……貴様、昨夜散々僕をからかった挙句、酔い潰して放置したのを忘れたのか?」
「あ、そやったなぁ。久々やったから、ついはしゃいでもうてん」
堪忍な、とソウがカイルの肩を叩く。それを鬱陶しげに振り払うカイルだが、なんだか二人とも楽しそうだ。
うらやましげに二人を見ていたわたしに気付いてか、傍に控えていたリサがそっと席に案内してくれる。ふざけあっていた二人も椅子に座って、ようやく朝食のスタートだ。
「カイル、明日の朝帰るんやろ? 今日一日何するん?」
「何って……僕は来賓だぞ!? お前が考えろ、お前が」
「えー、めんどくさいなぁ。何もせんでええか」
「めんどくさいとは何だ! たとえ思ったとしても口にするな!」
ソウの軽口に、いちいち真面目に突っ込むのはきっとカイルくらいだろう。
サウスに来た最初のうちは、わたしやトーヤもソウに反論したり嫌味を言ったりしていたものだが、慣れてくるとそれも疲れてしなくなった。
留学していた頃から仲がいいと言っていたが、カイルはずっとこんな調子だったのだろうか。ソウはきっと、めげずに反発してくるカイルが面白くて仕方ないのだろう。
そんなやり取りをしているうちに朝食も食べ終わり、食後のコーヒーが運ばれてくる。それを飲みながら、ふとカイルが思い出したように声を上げた。
「そうだ、お前に渡すものがあるんだった。爺、あれを持ってきてくれないか」
「かしこまりました」
傍に控えていた年配の従者に声をかけると、カイルは誇らしげに顎を上げた。
「ソウ、もうすぐ誕生日だろう。いつもお前には迷惑しかかけられていないが、心の広い僕は細かいことは気にしないんだ。お前に、プレゼントを持ってきた」
カイルの言葉に一番驚いたのは、ソウではなくわたしだった。
誕生日。
頭の中で昔の記憶を取り出して、それから今日の日付を思い出す。
そうだった。
明後日は、ソウの誕生日だ。
「へえ、嬉しいなぁ。昔の恥ずかしい写真とかは堪忍な」
「そんなものを寄越すのはお前かイツキくらいだっ!」
従者が慎重に運んできた小さな包みを受け取ると、カイルはそれをソウに手渡した。おおきに、とソウが手のひらに収まるくらいのその箱を受け取る。
「何やろ。あとで開けるわ」
「今開けろ、今! 貴様はいちいち面倒だな!」
はいはい、と苦笑しながらソウが包みを開く。
中に入っていたのは、いかにも高級そうな外見の万年筆だった。ソウも思わず感嘆のため息を漏らしている。
「さっすが、ヒナミ国王やなぁ。こないええもん、ボクが貰うてええの? 運命の人に貢いだ方がええんちゃう?」
「だ、黙れ! いらないなら返せ!」
「冗談やって。ほんまに、おおきにな。大事にするわ」
ソウはいつもと変わらず軽口を叩いているが、その表情はいつもより穏やかで、何より嬉しそうだ。カイルも、大事そうに万年筆を箱に仕舞い直すソウを見て笑みを深めた。
そのやり取りは何とも微笑ましいのだが、わたしは内心とてつもなく焦っていた。
ソウの誕生日を、忘れていた。しかも、その誕生日は明後日にまで迫っている。
カイルが素敵なプレゼントをソウに渡しているのを目の当たりにして、その焦りはさらに強くなる。
何を渡せばいいだろう。というより、あと二日で用意できるものは何だろう。ソウは、何をあげたら喜んでくれるだろう。
ソウとカイルが楽しそうに会話する声が聞こえる。時折わたしにも話を振ってくれたが、曖昧に相槌を打つくらいしかできなかった。
*
「りっ、リサちゃん! どうしよう!?」
「わっ! ど、どうしたんですか?」
自室に戻るなり、わたしはリサに泣きついていた。
ソウの誕生日を忘れていたこと、何をあげれば良いか見当もつかないこと。全て話すと、リサは少し考え込んでから、思いついたように言った。
「ユキ様、昔は陛下に何をプレゼントされたんですか? 昔と同じものをあげたら思い出話もできますし、陛下なら喜びそうですけど」
「え、えーっと……」
幼い頃、ソウに誕生日を教えてもらったことを思い出す。それから、早くプレゼントをあげたくてソウの誕生日を待ちわびていたことも。
ソウの誕生日は何度か巡ってきて、そのたびにわたしはソウの誕生日を楽しみにしていた。でも。
「お花とか、紙で作った動物とか、拾った石とか……そんなのしかあげてないよ」
「いいじゃないですか! ユキ様からのプレゼントなら、何でも喜ぶと思いますよ?」
「で、でも! もう大人なんだし、ちゃんとしたプレゼントを渡したいの」
「ちゃんとしたプレゼント……うーん、何がいいんでしょう……?」
二人でうんうん唸りながら、何かいい案はないかと考える。
父には何をあげたか思い返してみても、ソウにあげたことのあるものと似たり寄ったりだ。
そもそも、わたしが自由に使えるお金は限られているし、時間もない。その条件で、カイルのように立派なプレゼントをあげたいというのが無理な話かもしれない。
時間があれば、手作りでも何かソウが喜びそうなものを作れたかもしれないが、もしもの話をしても時間は戻らない。わたしが後悔で落ち込んでいると、リサがぱちんと手を叩いた。
「そうだ! 私、いいこと思いつきました! ユキ様、街に行きませんか!?」
「え、街って……もしかしてお店に? でも、あんまり高価なものは……」
「大丈夫です! ユキ様のやる気と勇気があれば!」
「ど、どういうこと?」
「まあまあ、とりあえず行ってみましょうよ! 今日これから……は、ヒナミ国王がいらしてますから駄目ですよね。ユキ様、明日のご予定は?」
「明日は、特に何もないけど……」
「じゃあ決まりです! あ、私明日のために下準備しますから、これで失礼しますね!」
「えっ!? ちょ、ちょっとリサちゃん!」
何が何だか分からないうちに、リサは颯爽と去って行ってしまった。名案を思いついたらしいが、一体どういうことだろう。
しかし、自分の頭ではとても良い案が思いつかない。ここはリサに甘えて、明日を待つことにしよう。
「でも……わたしも一応、何か考えた方がいいよね」
ソウとカイルは、男だけで話がしたいとかで今は二人で応接間にいるはずだ。午後からは、わたしも一緒にカトライア国内を回る予定である。
それまでの間、ソウの誕生日に向けてできることはないかと一人で考えていた。
*
「ほんま、カイルといると飽きひんわぁ。なぁ、ユキちゃん?」
「…………」
「……ユキちゃん?」
お昼を食べ終わってから、予定通りソウとカイルとカトライア国内を巡った。その間、相変わらずソウはカイルをからかうようなことばかりして、カイルもそれに律儀に応戦していた。そのやり取りに笑いながらも、わたしの頭の中はソウの誕生日のことでいっぱいだった。
ソウの呼びかけにも気づかずにいると、むにっと頬をつねられる。
「いへっ!? な、なにっ!?」
「……ユキちゃん、なんやぼーっとしてるなぁ。何考えてたん?」
「あ、ご、ごめんなさい! なんでもないの!」
「大丈夫か? ソウの相手で疲れたのだろう、もう城に戻ろうか」
「いえっ、大丈夫です! お気になさらないでください!」
「ま、もうすぐ日も暮れるやろし、戻ろか。ボクもカイルの相手で疲れたわぁ」
「それはこっちの台詞だっ!」
それから三人で城へ戻ると、ちょうど夕餉の時刻になった。出迎えに来てくれた侍女たちの中にはリサもいて、わたしの姿を見つけるとそっと傍に寄ってきて耳打ちをする。
「ユキ様、明日の手配はばっちりです! ヒナミ国王がお帰りになられてから、お迎えに参りますね!」
「あ……ありがとう! ねぇリサちゃん、その、明日って……」
「詳しいことは明日お話しますね! 今話してると、陛下にバレちゃいそうなので」
「え? う、うん、分かった」
リサは楽しそうにウインクしてから、さっと引き下がってしまった。明日の手配はばっちりとのことだが、一体何を手配してくれたのだろう。
ちらりとソウの顔を窺い見ると、目が合ってしまった。目を逸らすのも怪しまれると思って、わたしは無理に笑う。
「あ、あはは……どうかした?」
「いーや、別にぃ? 楽しみにとっておくわ」
「え……?」
そう言ってにやりと笑ったかと思うと、先を歩いていたカイルのもとへ行ってしまった。
もしかしてバレてしまったのだろうか。いや、当のわたしが何をするのかさえ分かっていないのだから、バレるも何もないのだが、ソウには何でも見透かされている気がしてならないのだ。
しかし、今のところ追求する気はないらしい。それに安堵して、わたしも二人の背を追って中へ入った。
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