sakanariaのショートショート

11.おれおれ詐欺

    僕は15歳の科学者を夢見る高校生だ。1人っ子で母と2人で暮らしている。

    ある日のこと。母が買い物で出かけていたときに電話がかかってきた。僕は受話器を取った。

    「はい」

    「もしもし。俺だけど...」

    (はぁ？なんだこいつ。いまどきおれおれ詐欺かよ)

    僕は呆れたが一応聞いてみた。

    「どうしたんですか？」

    「よし、成功だ」

    「失敗だろ」

    僕はすぐに電話を切った。しばらくして母が帰ってきてこのことを伝えると2人で笑いあった。


    俺は30歳になった。夢だった科学者になることができ、ついに世界に衝撃を与える発明をした。それは過去に電話をかけることができる電話機だ。

    理論上はこれでできるはずなのだが、まだ試していないからわからない。みじかな人に試してみてもいいが迷惑だろう。

    よし、自分自身にかけてみよう。俺はそう思い、今から15年前にダイアルを回して、電話をかけた。ガチャっと受話器を取ることが聞こえ俺の声が帰ってきた。確かに15年前の俺の声だ。だがまだ会話ができるかわからない。

    だが俺は興奮しており15年前の俺に俺だけどと言ってしまった。しかし声はきちんと帰ってきたので俺は舞い上がった。そして一言つぶやいた。

    「よし、成功だ」