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嵐の終わり
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ピクトが光の球を空に投げると、それがまるで台風の中心のように 黒い雲が集まってくる
ポツ…ポツ…
大粒の雨粒がライアンに、マリアに そしてピクトに降ってくる
次第に雨脚は強まり、滝のような雨になる。
雷鳴が轟き、風も竜巻のように吹き荒れる
稲妻の光が一瞬 ピクトの顔をうつしだす
紫の瞳は 涙に濡れ、そしてライアン一点を見つめていた
「…マリア…というのか…俺の番は…」
ライアンは その様子に怯えながらも 頷く
「マリア…俺は お前を…ずっと…ずっと…さがしていたんだ‼︎」
ピクトが片手で ライアンの首をギリギリ締め上げ、ライアンの巨体が地面から 離される
「愛しい…番が出会う前に死んでいる…この…言いようのない悲しみが…お前には分かるか?ライアン…」
ライアンを締め上げるピクトの顔は怒りを通り越して 微かに微笑んでいるように見える
小さい稲妻がライアンの手に落ちる
チリっとした痛みが走り 抱きかかえていたマリアをはなしてしまう
「マリアは…私のものだ…」
地面に落ちる直前にピクトが魔力でマリアを浮かせる
「これで…マリアを傷つけずに…お前を殺すことができる…」
首にこめる力がますます強くなる
ライアンは魔力を使ってはじそうとするが 使う前に稲妻を落とされ 痛みで中々魔力が集まらない
「お前は楽には逝かせない…
わかるだろ?ライアン…」
ピクトがニヤッと笑う
「そこまでだ‼︎」
辺りが青の光に覆われ、嵐が一瞬に消し去る
ライアンの首を絞める手を青い光が突き刺さり、ピクトは痛みで 一瞬手を首から離す
ドサッとライアンが地面に落ち、ごほごほと苦しそうな咳をする
「お前たちは…神獣同士の喧嘩で 国を一つ壊すつもりか…‼︎」
そこには 憤怒の表情をしたアッシュが立っていた
「アッシュ…俺の邪魔をしないでくれるか…」
ピクトは手から紫の光をアッシュに向けるが アッシュは青い光を纏い それを弾き飛ばす
「原因は…そこの番か…」
アッシュは マリアの亡骸を指指す
「その…獅子が…ライアンが俺の…俺の番を…死なせたんだ…」
ピクトは両手で地面を叩いて、泣き喚く…
「ライアン…本当か…?」
ライアンは胸の苦しさを手で抑えながら、頷く
「バカなことを…」
呆れたようにアッシュはため息をつく
「だから 俺はこいつを殺すんだ‼︎止めるな アッシュ‼︎」
再びライアンの首を絞めようとするピクトをアッシュは魔力で跳ね飛ばす
「たかが 一人の番が死んだぐらいで神獣を殺すのか…お前は‼︎」
跳ね飛ばされ 倒れたピクトはその言葉に反応する
「たかが 一人の番…?」
「あぁ、たかがだ…」
ピクトは よれよれ立ち上がる
「アッシュも…ライアン…と一緒だね…」
ハハっとピクトは空に向かって笑う
「番の価値は…神獣にしか…分からないんだよ…
まだ、産まれてもいない…出会ってもいない…神獣になんか分かるわけないか…」
ピクトは横たわっているマリアの亡骸をそっと抱きかかえる
「可哀想に…マリアは傷だらけだね…」
そっと触れるとマリアの体に魔力を流し込む
マリアの体の傷は塞がり、代わりに黒い薔薇の模様が胸元に浮かび上がる
「君達…黒い薔薇の花言葉を、知っているか?」
突然の質問にアッシュは少し驚くが小さく首を横にふる
「永遠の愛…滅ぶことの愛…っていう花言葉なんだけどね…でもね…死ぬまで恨むっていういう意味もあるらしいよ…怖いよね…」
ピクトは微笑むと マリアの胸元のバラにキスをし、紫の光と共に消えていった
ポツ…ポツ…
大粒の雨粒がライアンに、マリアに そしてピクトに降ってくる
次第に雨脚は強まり、滝のような雨になる。
雷鳴が轟き、風も竜巻のように吹き荒れる
稲妻の光が一瞬 ピクトの顔をうつしだす
紫の瞳は 涙に濡れ、そしてライアン一点を見つめていた
「…マリア…というのか…俺の番は…」
ライアンは その様子に怯えながらも 頷く
「マリア…俺は お前を…ずっと…ずっと…さがしていたんだ‼︎」
ピクトが片手で ライアンの首をギリギリ締め上げ、ライアンの巨体が地面から 離される
「愛しい…番が出会う前に死んでいる…この…言いようのない悲しみが…お前には分かるか?ライアン…」
ライアンを締め上げるピクトの顔は怒りを通り越して 微かに微笑んでいるように見える
小さい稲妻がライアンの手に落ちる
チリっとした痛みが走り 抱きかかえていたマリアをはなしてしまう
「マリアは…私のものだ…」
地面に落ちる直前にピクトが魔力でマリアを浮かせる
「これで…マリアを傷つけずに…お前を殺すことができる…」
首にこめる力がますます強くなる
ライアンは魔力を使ってはじそうとするが 使う前に稲妻を落とされ 痛みで中々魔力が集まらない
「お前は楽には逝かせない…
わかるだろ?ライアン…」
ピクトがニヤッと笑う
「そこまでだ‼︎」
辺りが青の光に覆われ、嵐が一瞬に消し去る
ライアンの首を絞める手を青い光が突き刺さり、ピクトは痛みで 一瞬手を首から離す
ドサッとライアンが地面に落ち、ごほごほと苦しそうな咳をする
「お前たちは…神獣同士の喧嘩で 国を一つ壊すつもりか…‼︎」
そこには 憤怒の表情をしたアッシュが立っていた
「アッシュ…俺の邪魔をしないでくれるか…」
ピクトは手から紫の光をアッシュに向けるが アッシュは青い光を纏い それを弾き飛ばす
「原因は…そこの番か…」
アッシュは マリアの亡骸を指指す
「その…獅子が…ライアンが俺の…俺の番を…死なせたんだ…」
ピクトは両手で地面を叩いて、泣き喚く…
「ライアン…本当か…?」
ライアンは胸の苦しさを手で抑えながら、頷く
「バカなことを…」
呆れたようにアッシュはため息をつく
「だから 俺はこいつを殺すんだ‼︎止めるな アッシュ‼︎」
再びライアンの首を絞めようとするピクトをアッシュは魔力で跳ね飛ばす
「たかが 一人の番が死んだぐらいで神獣を殺すのか…お前は‼︎」
跳ね飛ばされ 倒れたピクトはその言葉に反応する
「たかが 一人の番…?」
「あぁ、たかがだ…」
ピクトは よれよれ立ち上がる
「アッシュも…ライアン…と一緒だね…」
ハハっとピクトは空に向かって笑う
「番の価値は…神獣にしか…分からないんだよ…
まだ、産まれてもいない…出会ってもいない…神獣になんか分かるわけないか…」
ピクトは横たわっているマリアの亡骸をそっと抱きかかえる
「可哀想に…マリアは傷だらけだね…」
そっと触れるとマリアの体に魔力を流し込む
マリアの体の傷は塞がり、代わりに黒い薔薇の模様が胸元に浮かび上がる
「君達…黒い薔薇の花言葉を、知っているか?」
突然の質問にアッシュは少し驚くが小さく首を横にふる
「永遠の愛…滅ぶことの愛…っていう花言葉なんだけどね…でもね…死ぬまで恨むっていういう意味もあるらしいよ…怖いよね…」
ピクトは微笑むと マリアの胸元のバラにキスをし、紫の光と共に消えていった
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