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二人の提案
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あれから風呂には二人で三十分ほど浸かっていた。
水を足して温度を調整したりはしていたが、最後の方には既にのぼせ掛けていて、ぐったりとした調子になっていた。
風呂から上がり、バスタオルを使って二人して身体を拭く。
頭をゴシゴシ拭きながら、牧本さんが口を開く。
「ちょっとクラクラしますね……。またジュース飲みますか」
「そうですね。冷たい物で喉を潤したい……」
身体の水滴を拭き終わり、僕は自分の服を着ようとした。
そこに牧本さんが、突然タンマを掛けて来た。
「待って……ねえ、このまま全裸で私の部屋でアレ、やりませんか?」
「……このまま?」
「ちょっと興奮しません? 家の中で服を着ないで、生まれたままの姿で歩き回るの」
露出狂の素質があるなと思う。
自分の家の中だから、犯罪にはならないが。
「こんなこと頼む人間、私だけですよ? ジュース飲んだら、裸で私の部屋に行きましょうよ。もしも宅配便とか誰かが来たら、居留守を使うってことで」
「……まあ、いいですよ」
才色兼備、品行方正。運動も出来る。育ちも良い。そんな一見非の打ち所の無い彼女が淫乱気質で変態的な好奇心を持っているなんて、想像付く人はそう多くないだろう。
そんな彼女の内面を知っている自分は幸運なのか、そうでないのか、少し分からなかった。
***
ジュースを飲み終えると、彼女の部屋に案内された。全裸で他人の家の中を徘徊するというのはなんだか妙な気分で、そして禁忌を犯しているとしか思えなくて、どうにも落ち着かない。
牧本さんの自室は二階にあって、それなりの広さを持っていた。
「なんとなく、思っていた通りの部屋だね」
「あれ、そうですか」
牧本さんの部屋は、優等生の部屋と言われて想像する部屋そのままの印象だった。
一人用のベッドが部屋の片隅に置かれ、その向かい側には勉強机がある。
机の上は綺麗に整頓されており、しおりが挟まれた読みかけの本と、英語の辞書が載せられている。
部屋のとある一面には大きな本棚があり、参考書やら英語の小説が仕舞われていた。
しかし完全にお堅い部屋という訳では無く、少数ながら漫画本やら、クマのぬいぐるみも存在していた。
「荻野さんは、女の子の部屋に入ったことありますか?」
「いや、無いな。中学の頃に付き合ってた子の家にも、誘われたことないし」
「なるほど。実は私の部屋に家族以外の人間を入れるの、これが初めてなんです」
「そりゃ光栄ですね」
「今回は私、ゴム用意してきたんです。ちょっと高価な奴」
牧本さんはそう言って、勉強机に備え付けられている引き出しを開ける。
取り出したのは、薬局で見かける極薄タイプのコンドームだった。
感度を損なわないとの触れ込みで、僕がいつも用意している物より数百円ほど値段の高いタイプのゴムだ。
「生もしてみたいけど、流石にデキちゃうのは怖いから、少しでも荻野さんと密着出来るようにこれを買ったんです。使ってみませんか? ……穴なんて開けてませんよ?」
今朝見た夢。夢で、あくまでも想像の中とは言え、生の『感触』は本当に気持ちがよかった。
今までの性行為も十分悦楽はあったが、どうにもゴムが引っかかるような感覚があったのだ。
少し背伸びした、高価なコンドームなら、更に彼女の中の甘い刺激を味わえるかもしれない。
元々こんな裸体で彼女と二人でいる以上、セックスしないという選択肢は降りて来なかった。
「それ、使いましょう。薄すぎて破れないか不安だけど」
「やったっ。大丈夫なはずですよ。信頼出来るメーカーの品だし」
牧本さんはそう言うと、包装を破って中身を取り出した。
本当に薄い。
「私がつけてあげますね。爪、ちゃんと切ってるし」
「お願いします」
説明書を見ながら、牧本さんは僕の性器にゴムを装着してくれる。
きめ細かい手の感触を敏感に肉棒が感じ取る。この手で手コキをしたら気持ちいいだろうな。さっき身体を洗ってもらっている時は思わず射精してしまったが、今回は我慢できた。
してる最中に外れたら大変なことになるのは目に見えているので、何度も確認しながら彼女は僕に嵌めていく。
「……よしっ。これで大丈夫ですね」
「ありがとうございます」
しっかりと付けられたと納得できた様で、牧本さんは軽く微笑みながら僕の顔を見る。相変わらず、美人だな。
体位はどうします? と、彼女に訊かれたので暫し考えた。
「……騎乗位、やってみませんか? 対面騎乗位」
「騎乗位、ですか」
ネットで体位のことを調べた時、この体位がお勧めされていたことを思い出したのだ。
跨った女性のクリトリスが男の股間部に強く擦り付けられる上、膣内のGスポットにペニスがしっかりと当たるという。
男性側も、裏筋を的確に刺激して貰えるために強い快楽を得られるのだとか。
個人差はあるらしいが。
そのことを教えると「いいですね。やってみましょう」と彼女は返してきた。
嬉しそうな表情だ。
善は急げとばかりに、僕らは早速準備に取り掛かる。
彼女の普段眠るベッドに仰向けで寝そべり、その上に彼女が立膝になる。
牧本さんは僕のペニスの根元を持って、垂直になるようにして自分の膣口に宛がった。
「何度やっても、やっぱり挿入する瞬間が二番目くらいに気持ちいいんですよね。一番はイく時」
牧本さんははにかみながらそう言う。
僕も同じだよと返しておいた。
彼女はゆっくりと、腰を落としていく。陰茎が彼女の膣内に侵入していく感触を、暫し味わった。
「全部入ったぁ♡」
彼女が歓喜の声を上げる。僕と彼女の性器がしっかりと接合しているのが、顎を動かし彼女の下半身を見てみると分かった。
「……」
僕に跨る牧本さん。奇しくもその光景には見覚えがあった。
今朝見た夢。あの夢でも、僕らは騎乗位だったな。
でも、監禁なんてされていない。自分の意思で、彼女の部屋にいる。自分の意思で、彼女と繋がっている。
「荻野さんっ、動いてもいいですか? 私、もう我慢できなくて」
「……ええ。いいですよ。早く気持ちよくなりましょう」
僕がそう答えると、彼女が腰を動かし始めた。
重力に従って彼女の体重が僕に掛かる。性器が強く密着している。
「うっ……」
良質なゴムと、この体位のお陰だろうか。普段する何倍も快楽が襲ってくる。
極めて薄い避妊具は、彼女の中の濡れた感触すらはっきりと伝わってくるようだった。
裏筋に断続的に刺激が送られ、射精意欲を煽ってくる。
「どうですか荻野さんっ。気持ちいいですかっ?」
「うん。凄く、いい感じです」
牧本さんは心底嬉しそうな表情を見せる。目を細め、口を軽く歪ませて。
彼女の底にまで到達している。圧迫感。子宮口が男性器を歓迎して、きゅんきゅんとヒクついている感覚。
繋がっているという実感。
この体位で正解だったなと思った。お互いを強く感じられる、そんなやり方。
彼女が自分の指を、僕の指に絡ませてくる。
僕もそれに応えるように、彼女の手を握る。
「荻野さんっ♡荻野さんっ♡荻野さんっ♡」
「牧本さんっ」
互いに息は乱れる。冷静になる余地などどこにも無い。
陰毛と陰毛が擦れあう感触。視界に映る結合部と、ピストンで震える彼女の乳房。
極めて均整の取れた身体つきの娘が、僕の上で積極的に腰を振っている。気持ちよくなろうと、なってもらおうと頑張って動いている。
僕も下から彼女を押しあげる。
お互いに汗をじっとりかいていた。彼女の前髪が、汗で濡れて貼りついている。僕も同じだった。
「あっ♡すごいっ♡んぁっ♡」
牧本さんが身体を倒し、僕と彼女自身の身体を密着させる。互いの顔同士が至近距離まで密接して、荒い呼吸が混ざり合う。
「荻野さんが提案してくれたこの体位、凄いですっ♡もう、イっちゃいそう♡荻野さんはっ?♡」
「ぼ、僕もそろそろ限界……! このゴム、凄いですね。感触を直に味わえるみたいだ」
「ねぇっ、お願いがあるんです。……イく時、私の身体をぎゅっと抱きしめて、キスしてくれませんかっ♡」
「いいですよ。しましょうか」
彼女のピストンが更に艶かしさを増していく。なんだかどんどん彼女のテクニックが巧くなっている気がする。
初めの頃は拙さもあったが、僕のどこが弱いのか、頭で把握し始めているようだった。
僕自身も、回数を重ねて彼女の弱点をある程度見抜いて来ている。その場所を重点的に擦った。
「んっ♡ひゃっ♡も、もう限界っ♡さっきの約束、お願いしますねっ♡」
「うっ、出るっ……!」
その声を合図に、互いに強く抱きしめ合う。僅かな隙間すら、僅かな距離すら許さぬほどに。痛いくらいに。
熱い接合を奥に突き入れる。
僕の肉棒が、どくんと脈動する。その刹那、彼女の中にこってりとした精液が勢いよく流し込まれた。
熱い口付けを交わす。入り込んできた彼女の舌が、狭い口内で僕の舌と入り混じる。
どこまでが僕の肉体で、どこまでが彼女のものなのか、既に識別できなくなっていた。
快楽が堰を切り、視界が暗転する。もう、何も考えられなかった。
***
意識が飛んだのは一瞬だった。緩やかに取り戻していく現実感。
繋がったまま、抱きしめあったまま。上手く身体に力を込めることが出来なかった。
それは牧本さんも同じようで、掴まっているというよりかは覆いかぶさっていると表現した方が的確だが、その手は僕の手をしっかり握って離していなかった。
「よく頑張りました」
「そちらこそ」
互いに軽く笑いあう。僕は握っていた手の片方を外し、彼女の頭を軽く撫でてやった。
身体中がすっかり汚れている。またお風呂に入らないとねと、僕は優しい声音で言う。
「……まだ元気あります? 二回戦、やりませんか?」
「ま、まだするんですか」
「私が買ったゴムと、荻野さんが提案してくれた体位。これ、はまっちゃいそうなんです。ね?」
「……分かりました。でも、ちょっと休憩してからにさせてください。男は精液を出すとどうにも気だるくなって」
いつまでも待ちますよ。
牧本さんはそう言って、楽しみだというように微笑んだ。
水を足して温度を調整したりはしていたが、最後の方には既にのぼせ掛けていて、ぐったりとした調子になっていた。
風呂から上がり、バスタオルを使って二人して身体を拭く。
頭をゴシゴシ拭きながら、牧本さんが口を開く。
「ちょっとクラクラしますね……。またジュース飲みますか」
「そうですね。冷たい物で喉を潤したい……」
身体の水滴を拭き終わり、僕は自分の服を着ようとした。
そこに牧本さんが、突然タンマを掛けて来た。
「待って……ねえ、このまま全裸で私の部屋でアレ、やりませんか?」
「……このまま?」
「ちょっと興奮しません? 家の中で服を着ないで、生まれたままの姿で歩き回るの」
露出狂の素質があるなと思う。
自分の家の中だから、犯罪にはならないが。
「こんなこと頼む人間、私だけですよ? ジュース飲んだら、裸で私の部屋に行きましょうよ。もしも宅配便とか誰かが来たら、居留守を使うってことで」
「……まあ、いいですよ」
才色兼備、品行方正。運動も出来る。育ちも良い。そんな一見非の打ち所の無い彼女が淫乱気質で変態的な好奇心を持っているなんて、想像付く人はそう多くないだろう。
そんな彼女の内面を知っている自分は幸運なのか、そうでないのか、少し分からなかった。
***
ジュースを飲み終えると、彼女の部屋に案内された。全裸で他人の家の中を徘徊するというのはなんだか妙な気分で、そして禁忌を犯しているとしか思えなくて、どうにも落ち着かない。
牧本さんの自室は二階にあって、それなりの広さを持っていた。
「なんとなく、思っていた通りの部屋だね」
「あれ、そうですか」
牧本さんの部屋は、優等生の部屋と言われて想像する部屋そのままの印象だった。
一人用のベッドが部屋の片隅に置かれ、その向かい側には勉強机がある。
机の上は綺麗に整頓されており、しおりが挟まれた読みかけの本と、英語の辞書が載せられている。
部屋のとある一面には大きな本棚があり、参考書やら英語の小説が仕舞われていた。
しかし完全にお堅い部屋という訳では無く、少数ながら漫画本やら、クマのぬいぐるみも存在していた。
「荻野さんは、女の子の部屋に入ったことありますか?」
「いや、無いな。中学の頃に付き合ってた子の家にも、誘われたことないし」
「なるほど。実は私の部屋に家族以外の人間を入れるの、これが初めてなんです」
「そりゃ光栄ですね」
「今回は私、ゴム用意してきたんです。ちょっと高価な奴」
牧本さんはそう言って、勉強机に備え付けられている引き出しを開ける。
取り出したのは、薬局で見かける極薄タイプのコンドームだった。
感度を損なわないとの触れ込みで、僕がいつも用意している物より数百円ほど値段の高いタイプのゴムだ。
「生もしてみたいけど、流石にデキちゃうのは怖いから、少しでも荻野さんと密着出来るようにこれを買ったんです。使ってみませんか? ……穴なんて開けてませんよ?」
今朝見た夢。夢で、あくまでも想像の中とは言え、生の『感触』は本当に気持ちがよかった。
今までの性行為も十分悦楽はあったが、どうにもゴムが引っかかるような感覚があったのだ。
少し背伸びした、高価なコンドームなら、更に彼女の中の甘い刺激を味わえるかもしれない。
元々こんな裸体で彼女と二人でいる以上、セックスしないという選択肢は降りて来なかった。
「それ、使いましょう。薄すぎて破れないか不安だけど」
「やったっ。大丈夫なはずですよ。信頼出来るメーカーの品だし」
牧本さんはそう言うと、包装を破って中身を取り出した。
本当に薄い。
「私がつけてあげますね。爪、ちゃんと切ってるし」
「お願いします」
説明書を見ながら、牧本さんは僕の性器にゴムを装着してくれる。
きめ細かい手の感触を敏感に肉棒が感じ取る。この手で手コキをしたら気持ちいいだろうな。さっき身体を洗ってもらっている時は思わず射精してしまったが、今回は我慢できた。
してる最中に外れたら大変なことになるのは目に見えているので、何度も確認しながら彼女は僕に嵌めていく。
「……よしっ。これで大丈夫ですね」
「ありがとうございます」
しっかりと付けられたと納得できた様で、牧本さんは軽く微笑みながら僕の顔を見る。相変わらず、美人だな。
体位はどうします? と、彼女に訊かれたので暫し考えた。
「……騎乗位、やってみませんか? 対面騎乗位」
「騎乗位、ですか」
ネットで体位のことを調べた時、この体位がお勧めされていたことを思い出したのだ。
跨った女性のクリトリスが男の股間部に強く擦り付けられる上、膣内のGスポットにペニスがしっかりと当たるという。
男性側も、裏筋を的確に刺激して貰えるために強い快楽を得られるのだとか。
個人差はあるらしいが。
そのことを教えると「いいですね。やってみましょう」と彼女は返してきた。
嬉しそうな表情だ。
善は急げとばかりに、僕らは早速準備に取り掛かる。
彼女の普段眠るベッドに仰向けで寝そべり、その上に彼女が立膝になる。
牧本さんは僕のペニスの根元を持って、垂直になるようにして自分の膣口に宛がった。
「何度やっても、やっぱり挿入する瞬間が二番目くらいに気持ちいいんですよね。一番はイく時」
牧本さんははにかみながらそう言う。
僕も同じだよと返しておいた。
彼女はゆっくりと、腰を落としていく。陰茎が彼女の膣内に侵入していく感触を、暫し味わった。
「全部入ったぁ♡」
彼女が歓喜の声を上げる。僕と彼女の性器がしっかりと接合しているのが、顎を動かし彼女の下半身を見てみると分かった。
「……」
僕に跨る牧本さん。奇しくもその光景には見覚えがあった。
今朝見た夢。あの夢でも、僕らは騎乗位だったな。
でも、監禁なんてされていない。自分の意思で、彼女の部屋にいる。自分の意思で、彼女と繋がっている。
「荻野さんっ、動いてもいいですか? 私、もう我慢できなくて」
「……ええ。いいですよ。早く気持ちよくなりましょう」
僕がそう答えると、彼女が腰を動かし始めた。
重力に従って彼女の体重が僕に掛かる。性器が強く密着している。
「うっ……」
良質なゴムと、この体位のお陰だろうか。普段する何倍も快楽が襲ってくる。
極めて薄い避妊具は、彼女の中の濡れた感触すらはっきりと伝わってくるようだった。
裏筋に断続的に刺激が送られ、射精意欲を煽ってくる。
「どうですか荻野さんっ。気持ちいいですかっ?」
「うん。凄く、いい感じです」
牧本さんは心底嬉しそうな表情を見せる。目を細め、口を軽く歪ませて。
彼女の底にまで到達している。圧迫感。子宮口が男性器を歓迎して、きゅんきゅんとヒクついている感覚。
繋がっているという実感。
この体位で正解だったなと思った。お互いを強く感じられる、そんなやり方。
彼女が自分の指を、僕の指に絡ませてくる。
僕もそれに応えるように、彼女の手を握る。
「荻野さんっ♡荻野さんっ♡荻野さんっ♡」
「牧本さんっ」
互いに息は乱れる。冷静になる余地などどこにも無い。
陰毛と陰毛が擦れあう感触。視界に映る結合部と、ピストンで震える彼女の乳房。
極めて均整の取れた身体つきの娘が、僕の上で積極的に腰を振っている。気持ちよくなろうと、なってもらおうと頑張って動いている。
僕も下から彼女を押しあげる。
お互いに汗をじっとりかいていた。彼女の前髪が、汗で濡れて貼りついている。僕も同じだった。
「あっ♡すごいっ♡んぁっ♡」
牧本さんが身体を倒し、僕と彼女自身の身体を密着させる。互いの顔同士が至近距離まで密接して、荒い呼吸が混ざり合う。
「荻野さんが提案してくれたこの体位、凄いですっ♡もう、イっちゃいそう♡荻野さんはっ?♡」
「ぼ、僕もそろそろ限界……! このゴム、凄いですね。感触を直に味わえるみたいだ」
「ねぇっ、お願いがあるんです。……イく時、私の身体をぎゅっと抱きしめて、キスしてくれませんかっ♡」
「いいですよ。しましょうか」
彼女のピストンが更に艶かしさを増していく。なんだかどんどん彼女のテクニックが巧くなっている気がする。
初めの頃は拙さもあったが、僕のどこが弱いのか、頭で把握し始めているようだった。
僕自身も、回数を重ねて彼女の弱点をある程度見抜いて来ている。その場所を重点的に擦った。
「んっ♡ひゃっ♡も、もう限界っ♡さっきの約束、お願いしますねっ♡」
「うっ、出るっ……!」
その声を合図に、互いに強く抱きしめ合う。僅かな隙間すら、僅かな距離すら許さぬほどに。痛いくらいに。
熱い接合を奥に突き入れる。
僕の肉棒が、どくんと脈動する。その刹那、彼女の中にこってりとした精液が勢いよく流し込まれた。
熱い口付けを交わす。入り込んできた彼女の舌が、狭い口内で僕の舌と入り混じる。
どこまでが僕の肉体で、どこまでが彼女のものなのか、既に識別できなくなっていた。
快楽が堰を切り、視界が暗転する。もう、何も考えられなかった。
***
意識が飛んだのは一瞬だった。緩やかに取り戻していく現実感。
繋がったまま、抱きしめあったまま。上手く身体に力を込めることが出来なかった。
それは牧本さんも同じようで、掴まっているというよりかは覆いかぶさっていると表現した方が的確だが、その手は僕の手をしっかり握って離していなかった。
「よく頑張りました」
「そちらこそ」
互いに軽く笑いあう。僕は握っていた手の片方を外し、彼女の頭を軽く撫でてやった。
身体中がすっかり汚れている。またお風呂に入らないとねと、僕は優しい声音で言う。
「……まだ元気あります? 二回戦、やりませんか?」
「ま、まだするんですか」
「私が買ったゴムと、荻野さんが提案してくれた体位。これ、はまっちゃいそうなんです。ね?」
「……分かりました。でも、ちょっと休憩してからにさせてください。男は精液を出すとどうにも気だるくなって」
いつまでも待ちますよ。
牧本さんはそう言って、楽しみだというように微笑んだ。
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