私とエッチしませんか?

徒花

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初めてのセックス

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 あれから三日が経った。
 八月の上旬故に、季節は相変わらず暑さが色濃かった。
 テレビでは全国で熱中症が多発していると報道されている。僕も気をつけないとなと、冷蔵庫から取り出した麦茶を喉に流し込んだ。
 外が暑いから。いや、暑いからこそ行くべきなのだろうが、僕は昨日と一昨日プールには行かなかった。
 行けば気持ちいいのは間違いないのだが、そこに辿り着くまでが億劫で、どうにも行動に移せなかったのだ。
 しかし、いつかは行くべきなのだろうなと腹の内で蟠る性欲がそう告げていた。
 僕は牧本さんの裸体で一度抜いた。あの性交渉の体験が脳に焼きついて、男子高校生の劣情を激しく催していたのだ。
 妄想の中で、僕は牧本さんに娼婦の如き振る舞いをさせた。艶かしく腰を動かし、どこまでも淫乱で、あなたにもっとめちゃくちゃにされてもいいと懇願する牧本瑠璃葉。
 自慰の最中はそれを愉しんだ。終わってみると後には虚無感が残り、自分は最低な男だなと自虐するのだが。
 彼女はどこまで性に興味があるのだろうな。
 本番は受け入れてくれるのか。するとしたらどんな体位が好きなのか。僕の方から触るのはOKなのか……。
 こんなことを考えること自体がどうしようも無いほどに牧本さんを辱めていることに気がつく。

「ああああ。もう……」

 夏の暑さのせいだなと思いながら頭を軽く掻き毟ると、僕はあのプールに出かけることにした。

***

 プールまでの道のりはやはり蒸し暑さで大変だったが、三日前の突き刺す陽気に比べると幾分か楽で、比較的体力を消耗せず辿り着けた。
 駐輪所に自転車を停め、受付で料金を支払い更衣室で着替える一連の流れをする。
 プールサイドに出てみると、相変わらず人で混み合っていた。全員が入れば水かさが五センチは増すのではないかと思うほど、利用者は多かった。
 無意識に牧本さんの姿を探す。この人ごみでは探すのが大変だ。
 泳いでいるのか、どこかで休憩しているのか、そもそも今日は来ていないか、既に帰った後なのかが分からない。
 あくまでも「勉強の合間を縫って」だから、それほど頻度は高くないかもなぁ……。
 受験生ならインターンシップにも出かけるだろうし。
 プールに来たんだし、とりあえず泳ごう。そう思った僕は、水に身体を沈めて、人にぶつからない程度に水泳を始めた。
 プールは50メートル程度だ。様々な年代の人間の頭部がそのスペースに浮かんでいて、結構利用者が多いことを体感させられる。
 女性も多かったが、牧本さんの姿は今の所見当たらなかった。
 それから十分程度泳ぎ、少し休憩しようかなと思ってすぐ近くにあるプールサイドの方を向く。その時だった。

「あっ……」
「あれ……」

 プールサイドに立ち、今まさに水にそのしなやかな脚を沈めようとしていた女性。そこにいたのは予想通り牧本瑠璃葉だった。
 相変わらず均整の取れた引き締まったボディーが艶かしい。
 彼女は少し驚いたような表情をしていたが、にへらと僕に向けて小悪魔的な笑みを向ける。

「今日、来てくれたんだ。私も丁度今日暇が出来たから来たんです」
「こんにちは……。また会えてよかったです」

 彼女は嬉しそうににやにやと笑いながら水の中へと入ってきた。
 水を掻き分け僕の方へと歩いてくると、ふふふと軽く微笑む。
 今日も暑いですねと牧本さんは話を振ってきた。

「ええ。だからこのプールに来ることにしました」

 半分嘘だった。暑かったからという理由は正確ではなく、牧本さんにまた会えるかもしれない。性的なことを出来るかも知れないという下心のせいだった。
 ふーんと彼女は言う。艶やかな唇が軽く歪んでいる。これは本当の理由を見抜かれていそうだなと、僕は少し恥ずかしくなった。

「一緒に泳ぎましょうか! 私、泳ぐのそんなに得意じゃないですけど」
「僕もそんなに得意じゃないですよ。一緒に練習しましょう」

 微笑を浮かべながら、牧本さんは頷いた。
 よく笑う人だなと思いながら、僕はその整った笑顔に少し見惚れた。

 一時間後。
 僕はぜえぜえと息を切らしていた。運動はあまり得意でないのに、慣れないことはするもんじゃない。
 水中だから分からないが、きっと大量の汗を流しているだろうなと自己分析する。
 横にいる牧本さんはまだまだ余裕そうだった。
 さすが運動部所属。

「疲れちゃいましたか? そろそろ休憩しましょうか」

 男としては強がりたいところだが、あまりその気力が湧いてこないので素直にその提案に賛同する。
 二人してプールから上がり、あの屋根のある休憩スペースに僕らは座り込んだ。

「いい汗かきましたね。夜はよく眠れそう」
「そうですね。牧本さん、泳ぐの苦手って言ってましたけど、かなり上手でしたよ。フォルムも綺麗だったし、滑るような動きだったし」
「そうですか? 水泳ってあんまりやったことないんだけどな」

 恵まれた肉体のお陰なのだろう。地力が高いから、あまり経験のない運動でもそれなりにこなしてしまう。
 その上勉強も出来るのだから、羨ましいかぎりだった。

「荻野さんと一緒にいると、楽しいです」

 少し驚いて、牧本さんの顔を見つめてしまう。その目は真っ直ぐで、言葉に嘘偽りやお世辞はなさそうだった。

「同世代の男の子とこうして一緒に何かしたこと、あんまり無くて。……凄く青春してるなって気分になるんです」
「そうなんだ」

 平静を装っているが、心の中ではガッツポーズを取っていた。少し好意を寄せられた程度で傾く自分のちょろさに呆れるばかりである。
 ……フェラは少しの好意どころではない気がするが。

「どうします? もう少し休憩したら、また泳ぎますか?」
「……僕は休憩してます」

 それでもいいですよと彼女ははにかむと、少し待っててくださいと言って泳ぎに行ってしまった。
 水上から見る彼女の遊泳は見事なもので、その力泳に僕は魅了された。
 三十分ほどすると彼女は水から上がってこちらに帰ってきた。

「気持ちよかったぁ。やっぱり身体を動かすのって、最高ですね」
「運動神経がいいって羨ましいですね」
「どうします? もう帰りますか? 私はそろそろ帰るつもりですけど」

 僕もそろそろ帰るつもりだった。けれど……このまま帰れば不完全燃焼で終わりそうだ。
 つまりはそれは、彼女と何か性的なことをしたいということ。
 実はというと、ここに来るまでにゴムを買っていた。使う機会はたぶん無いだろうなと思いながらも、その王道的な避妊具に手を伸ばしていた。
 どうする。まだそんなことするのは早いんじゃないか? 少しラインを超える出来事はあったが、友達から始めていったほうがいいのではないか?
 逡巡していると、彼女の方が口を開いた。

「もし完全に疲れているなら止めますけど、よければこの前の続き、しませんか?」

 なんだって。
 彼女の側からそう提案してくるとは予想しておらず、少し面食らう。
 親が厳しいと聞いたから、性的なことには基本的には奥手なのかなと勝手に思っていたが、親の前ではいい顔をしているだけで、本当は淫乱気質なのだろうか。

「い、いいですけど……何でまた……」
「この前も言いましたけど、高校卒業までに今までやったこと無いことを体験しておきたいんです。……駄目、ですか?」

 良いに決まっていた。
 彼女の方が望んでいるのなら、断らなくてもいいよな。そう自分に理由を付けて、心の中でほくそ笑む。
 僕が許諾すると、牧本さんは嬉しそうな表情を見せる。
 そうと決まれば早速行きましょうか。
 そう言った彼女は立ち上がり、この前と同じように僕に向かって手を伸ばした。

***

 二人してプール施設から出ると、歩いて五十メートル程度の場所にある公園に向かった。
 前回の戦場である、あのトイレを使わなかったのは、今回は直接的な性行為をするためゴムが必要で、それをロッカーまで取りに行って戻ってくるのが少々面倒だったからだ。
 公園に着くまで、僕らの間に会話は無かった。二人で並んで歩いていたが、これから起こることに少し緊張していて、談話する心の余裕があまり生まれなかったのだ。
 僕の心臓はバクバクと鳴り渡っていた。
 童貞を捨てられる。こんな美少女と肉体関係を結べるのだという現実に、身体の火照りは増すばかりだった。
 暑いからか、公園の敷地内には誰もいなかった。僕らは男子トイレの個室に二人で入る。
 前回のトイレの個室よりかは多少広かったが、やはり年頃の男女二人で入るには少々手狭で、窮屈だねと二人で軽く笑う。
 持っていた荷物が汚れないように、洋式の便器のタンクの部分に僕らは自分の荷物を置いた。

「服、脱ぎましょうか」

 牧本さんはスカートの下に穿いているパンツを下ろし始めた。僕もズボンのベルトを外し、下半身を露出させる。
 彼女のパンツはやや色気のある黒色だった。皆が知らない牧本さんの趣向を覗けた気がして、少し僕は嬉しくなる。
 僕らは互いに下半身を露出させる形になった。
 僕の下半身はともかくとして、彼女の秘密の部位に、僕の中の血流が鳴り渡る。
 陽に焼けてない色白の股間部分はなだらかな丘を成していて、性器の上部には彼女の艶っぽい髪と同じ色の陰毛が控えめに生え揃い、なんとも艶かしい。
 両の腿の継ぎ目の辺りに存在する、まだ男を受け入れたことの無いらしい性器はぷっくりと膨らんで、程よい赤みが差したそれは淫靡で健康的に見えた。
 エロい。小学生レベルの感想が頭の中に浮かぶ。

「へへへ……なんだか恥ずかしいですね……」

 高温多湿の真夏の密室に二人でいると、とにかく暑くてたまらない。倒れる前にやろうかと、僕らは早速行為に移ることにした。
 説明書を読みながら、僕はコンドームを装着した。
 爪は予め切っていたし、丁寧に説明されていたので初めてにも関わらずすんなりとそれは完了した。
 牧本さんはその様子を興味深そうに見つめていた。頬が高潮しているのは、茹だる熱気のためなのか、目の前の男性器のためなのか。

 彼女は処女なので、まず最初に身体を慣らすところから始めることにした。
 僕は向かい合った彼女の前でしゃがみ込み、その無防備な下半身に顔を近づける。
 汗やらプールの塩素が混ざり合った臭いにくらくらする。
 ネットの知識だけど、こうすればいいはずだ。
 僕は彼女の肉壺の入り口の上部。クリトリスの辺りを摩り始める。
 神経が集中したその部位。そこを親指の腹で、円を描くようにして撫で回す。
 クリトリスの形の良し悪しは分からなかったが、その淫靡な突起の尖った感触が僕の皮膚を刺激して、それがなんだかくすぐったい。

「どう? 気持ちいいですか?」
「ちょっと変な感じです……でも、嫌じゃない……」

 時々軽くその秘豆を爪と爪の間に挟みこんでやると、牧本さんは喘ぐような声を上げる。
 いつしか彼女の目は蕩けていた。少し息が荒い。心なしか、彼女の性器は蜜を濡らしている。

「こんなもんでいいのかな?」
「凄いですね……なんだか、空に浮かんでいるみたい。

 彼女の調子はふわふわとしていた。
 これなら挿入しても良いかもしれない。
 本番に移っていいかと牧本さんに訊くと、許諾してくれた。

「えっと、こうすれば良いですか?」

 彼女は壁に手を突いて、恵まれた湾曲を持つ尻をこちらに突き出す。彼女の蜜壺がはっきりと目に焼きついた。
 バックの姿勢だ。動物的な体位で行うことに、些か獣じみた興奮を覚える。
 我慢汁がゴムの先端に溢れ出ているのを感じた。

「ちょっと目が怖いよ……」

 後ろを振り返った牧本さんはそう言う。
 いかんいかん。と、少し我に返る。

「挿れるよ……」
「うん、挿れてください……」

 僕の怒張したペニスを彼女の膣口に宛がう。僕の肉棒は準備万端だった。

「痛かったら言ってね……」
「はい……」

 手探りで膣に侵入させていく。奥に進んでいくたびに、みっちりとした感覚が性器を包み込んだ。
 膣内が狭い。陸上部で鍛えているためだろうか。締まりのある肉が、きゅうきゅうとペニスを圧迫する。

「ちょ、ちょっと痛いです。もうちょっとゆっくり……」

 我慢できそうにない。心の中で謝りながら、同じペースで奥に進んでいく。

「ふぁ♡、あっ♡」

 ぐちゅ、ぐちゅ、と音を立てながら、僕の生殖器は彼女に埋め込まれていった。

「ちょっと♡、大きいっ。駄目これ駄目。おかしくなりそう♡」
「駄目ってどういうことです?」
「き、気持ちよすぎるんです……」
「自慰とかしたことあります?」
「隠れてちょっと。でも、それよりも気持ちいい……」

 慎重に沈み込ませていく。時間は掛かったが、僕のペニスは根元まで、彼女の中にしっかりと沈み込んだ。
 窮屈な膣に締め付けられて、完全に嵌り込んで簡単には抜けそうにない。
 正直な所既に射精しそうだったが、下半身に力を込めてそれを堪えた。

「動きますよ……」
「う、うん」

 ピストンを開始する。
 男の欲望に任せて、彼女の最奥をひたすら突いた。
 身体越しに僅かに輪郭が見える、彼女の豊かな胸がふるふると震える。
 牧本瑠璃葉という娘をめちゃくちゃにしたい。性的に屈服させたいという獣のような意欲で腰を振る。

「あっ♡、ひゃん! 駄目、あんっ♡、ちょっとこれ、タンマ♡」

 止められる訳が無かった。膣内をぐちゃぐちゃに掻きまわす。
 初体験で加減が分からず、少々乱暴なセックスになってしまっていたが、それでも牧本さんはしっかりと感じているようだった。
 彼女の瑞々しい張りのある肌には汗が玉のように出来ていた。
 僕も同じだった。

「ねえ! 荻野さんっ」
「? どうしたんですか」

 こちらを軽く振り向いた牧本さんの表情に、僕はドキリとする。牝の顔をしている。
 甘く蕩けるような、小悪魔的な表情を僕に向けている。

「私のでもちゃんと感じられてます?」
「はい……気持ち良いですよ」
「よかった」

 牧本さんの膣は名器と言えた。柔らかい内部に点在する幾つもの襞が、侵入する男の交接具を敏感に刺激して、それがたまらない快楽を生み出す。
 程よく狭い膣内もそれを手助けしていた。
 陸上部の女子は皆こんな身体なのだろうか。それを彼女に訊いてみるつもりは毛頭無いが。

「ねえ♡そろそろ私、きちゃうかも……イクっ……良いですかっ?」
「無理しないでいいですよ」
「荻野さんと一緒にイキたい♡。一番奥に出して欲しいですっ。ゴム付けてるから、ね?」

 嬉しいことを言ってくれるなと思った。僕自身はいつでも出せる状態だ。

「分かりました。僕の精子、受け止めてください……!」
「来て! 来て! 一番濃いの出してっ! ああああああああぁぁっ」

 搾精しようとミミズのように絡み付いてくる膣に僕の性器は搾り取られる。彼女の最奥。子壺付近にありったけの精液を吐き出した。
 どろどろのそれがゴム内部をみるみるうちに満たし、蜜壺内部を軽く押し広げる。

「はああああっ♡ああぁ……♡」

 うっとりとした甘い声を牧本さんは出す。初めての交尾による快楽に惚けているようすだった。僕も同じだった。
 射精が終わった後もしばらくこうして繋がったままでいたかったが、正直腰が抜けてずっとこの体勢はきつい。
 幾分か縮んで小さくなった自分の性器を、彼女から引き抜いた。

「かなり出たんだな……」

 コンドームの中に吐き出された精液を見て僕は呟く。
 牧本さんもその白濁を見て、少々驚いた様子だった。

「凄い……この前のより濃密な気がする……出されたら絶対妊娠しそう」
「妊娠したくない?」

 ちょっと意地悪な好奇心をぶつけてみると、彼女は軽く頭を平手で叩いてきた。
 二回戦をしたい気分だったが、水泳の後にこんな荒い交尾をして、流石に体力の消耗が激しかった。
 それは彼女も同じようで、今日のところはこれで解散することにした。
 足元にあるゴミ箱に、使用したゴムを捨てる。汚れた性器をお互いトイレットペーパーで拭き取り、下半身に服を着て、殆ど元通りになった。

「さてと……帰りますか」
「そうですね」

 僕らは個室から出る。幸いなことに、トイレにも公園にも僕らのほかには誰も利用者がいなかったので、二人で個室から出てきたことを咎める者は誰もいなかった。
 背筋を伸ばし、窮屈な空間にいて凝り固まった身体を解す。
 暑いねと僕らは顔を見合わせて笑った。頭上から蝉の声が降り注ぐ。
 いつの間にか、ラインを交換する話になっていた。

「登録完了。と」

 じゃあ、ここでお別れしますかと牧本さんが言う。僕も賛成した。

「それじゃ」
「うん。熱中症に気をつけて」

 駐輪所から自分の自転車に乗った僕は、暑さに喘ぎながら帰路に着く。
 途中で赤信号に止められ、手で日差しを作って信号が変わるのを待っていると、スマホのバイブが鳴った。
 ポケットから目的の物を取り出し、画面を確認する。
 ラインの通知。牧本瑠璃葉という名前。
 そこには一言、こう書いてあった。

『また、やりましょうね!』

 楽しみが増えたなと、信号が青に変わるのにも気がつかず、僕はそのメッセージを見つめていた。
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