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9,プールの帰り
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プールが終わって、僕らは帰路に付く。
施設を出て、電車に乗って。
何駅か進んだ所で座席が空いたので、僕らはそこに座って一息ついた。
「楽しかったね」
白石さんは隣にいる僕にそう言った。
口元に優しい微笑を見せて、可愛らしい顔をしている。
「うん。また行きたいね」
「だね。でも倉部くん。勉強もしないと駄目だからね」
「はい……」
そんなやり取りをしつつ、電車に揺られる。
車窓から見る夏の夕空は薄らと透き通った青色で、暑さも日差しもその向こうに溶けて行きそうだった。
「……ねえ。倉部くん」
「ん? 何?」
「……やっぱりやめた」
「え、そこでやめるのは無しでしょ」
「電車の中で言う内容じゃないから」
「気になるな」
後で教えると白石さんに言われたので、それ以上の追及は止めておく。
「そろそろ着くね。忘れ物しないでね? 倉部くん」
「大丈夫。しっかり荷物は手に持ってるから」
僕らの降りる駅名がアナウンスで読み上げられた後、電車がゆっくりとホームへと入っていく。
僕らは立ち上がり、開かれた自動ドアから他の乗客らと同じく外へと出た。
***
駅を出た時、時刻は午後四時だった。
帰るにはまだ早い気がしたけど、白石さんが疲れているのではないかと思い、そろそろお開きにすることにした。
「今日は楽しかった。白石さんも、お元気で」
「……うん」
白石さんは、どこか寂しげな表情で俯いていた。
気になって、「どうしたの?」と訊ねるが、「なんでもない」と返された。
「……じゃあ、さよならかな。また今度」
「うん。じゃあね。倉部くん」
そう言って僕は背を向けその場から立ち去ろうとする。
その時だった。
「待って……!」
呼び止める声。
思わず体がピタリと止まる。
そちらを振り返ると、白石さんが何かを求めるような、どこか必死な表情で僕の方を向いていた。
「白石さん……?」
「……ごめん。ちょっとだけ、行きたい場所があるの……君と一緒に……」
「行きたい場所?」
「ついてきて欲しい」
白石さんが僕の手を握る。
そのきめ細かくて滑々とした肌は、ほんのりと気持ちよくて柔らかかった。
***
僕は白石さんに連れられて街路を歩く。
どこに向かうのかは白石さんは何も言わなかったし、僕の側も訊かなかった。
お互い会話も無く、気まずいような、ぼんやりとした空気が漂っていた。
白石さんはなぜ僕を引きとめたのか、僕はいろいろ考えた。
けれども答えは見えてこない。
十分ほど二人で歩くと、彼女はとある公園へと入っていく。
その後を僕は追う。
誰もいない公園だった。まだ暑いのもあるだろうけど、近年の遊具撤去の影響で子供の利用も少ない公園だった。
人の姿は僕ら以外には無く、声といえば頭上から注ぐ蝉の音だけだった。
樹木の枝が影を落とし、無人の滑り台が寂しげに佇んでいた。
ここが白石さんが連れてきたかった場所なのだろうか。
「こんな所に連れてきてどうしたの?」
僕は気になって訊いてみる。
白石さんは僕の方に向き直ると、口を開いた。
頭上に天蓋を成した木々の葉から漏れ出る光が、彼女に斑の模様を投げかけている。
「……倉部くんはさ。……もしも女の子を自分の自由に出来るとしたら、どうしたい?」
「どうって……」
「答えて」
質問の意図が見えてこない。
けれど彼女の表情はどこか真剣な熱を帯びていて、茶化したり出来る空気では無いことは察することが出来た。
少し考えた後、僕はこう答える。
「……デートとか、勉強を教えてもらったり、一緒に手を繋いで笑いあったり……」
「それだけ? 女の子を自分の好きに出来るんだよ」
「……じゃあ、キスしたり、裸で抱き合ったり……」
「倉部くんはいい彼氏だね。女の子の幸せも願ってるのが伝わってくる」
「何が言いたいのか、教えて欲しいな」
「……電車で言いかけたことの続き。私を好きにしてみないか……って言いたいの」
「どういうこと?」
「……君のものになりたいんだ。……風紀委員としては、問題ある発言だけど」
「僕のものに……」
「倉部くんに、ちゃんと抱いて欲しい。『白石碧は倉部祐樹のものだ』ってことを、心に刻み付けて欲しい。だから、抱いて」
情欲的な、何かを訴える眼差しが、僕の思考を麻痺させる。
彼女の手が僕の服の裾を控えめに握る。甘えるように。
「……ここでするの?」
「トイレでやる。やらせて。お願い」
白石さんは握った僕の服を引っ張り、いずれかの方角へと目を向けた。
そこには寂びれた小さな公衆トイレがあって、僕ら二人の侵入を待っているかのように佇んでいた。
***
「結構ギリギリだね」
女子トイレに白石さんと一緒に入るなり出た感想がそれだった。
利用者が少ないためだからだろう。公園のトイレにしては個室は綺麗だったけど、人二人が入るには少々狭かった。
洋式便器の蓋を閉めて荷物をその上に置くと、僕らは向かい合う。
薄暗い中での白石さんの顔の輪郭は朧に見えて、でも美しくて。
「下、脱いで」
その声も、狭く静かな空間によく通った。
言われた通りにする。
ベルトを外し、ズボンを脱ぎ、パンツも下ろす。
そうすることで、僕の下半身は彼女の目に晒された。
「……咥えてもいい?」
汚くないかと訊いてみると、「倉部くんのならいい」と白石さんは答えた。
彼女は僕の下半身の前で屈みこむと、前髪を手で掻き分けて退かす。
そうして彼女は、硬直した愚息に顔を近づけた。
亀頭が彼女の唇の奥に飲み込まれる。彼女の口内の生温かい感触に包み込まれて、ぬめぬめしていて妙な気分。
白石さんはちらりと僕の顔に目を向けてくる。「どう? 嫌じゃない?」とでも言うかのように。
「っ……いい感じだよ」
僕の言葉に、白石さんはちょっと笑った気がした。
そうして行為を開始する。
彼女の舌が陰茎の裏筋へと這う。先端やら側面をちろちろと細かい舌の動きで舐めていく。
時々唇で甘噛みしてきて、その動きも正直よかった。
奉仕されているのに主導権を握られているこの行為。
絶え間なく与えられる刺激に、僕は切ない表情を浮かべていたと思う。
彼女は左手の指で僕の竿を軽く握り、擦る。その動きで、僕の陰茎には精が少しづつ集まっていく感覚がした。
気力で耐えようとするけど、精神的快楽が予想以上に大きくて、既に限界が近かった。
「くっ……白石さんっ、で、出るっ」
「ん……らひて……」
僕の警告に、白石さんは咥えたまま答えた。
雁首の先端を唇で押さえ、舌で切っ先を刺激する。
それで僕は達してしまう。
彼女の中で弾けた陰茎が、びくっ、びくっと脈打ちながら、精液を吐き出していく。
「っ……ううっ……」
やがて射精が終わる。僕の性器は白石さんの口内と、自分で出したもので生温かい感触に覆われていた。
それを引き抜くと、半勃ちの性器が彼女の唇から抜け落ちた。
白石さんは、口腔に溜まった僕の精液を飲みこむ。
けど流石にキツかったらしい。
咳と共に「スンッ」と鼻を鳴らす音が聞こえた。ちょっと涙目になっている彼女を想像する。
「げほっ、げほっ……」
「ごめん。ありがとう。飲んでくれて……」
「すっごく濃い味……青臭くて、若いって感じがする」
彼女は頬を染めながら、僕から絞った精の味の感想を言う。
白石さんは荷物からプールで買った麦茶を手に取ると、口をつけて口内に残った白濁を飲み下した。
「……倉部くんがしてくれる番だね。お願い」
白石さんはそう言うと、スカートの下に身に付けていたショーツを手で降ろす。
彼女がスカートを捲くると、柔らかい太股の間には、桃の筋を思わせる性器が線を引いていた。
***
彼女の割れ目に指を這わせ、その上を掠めるようにして刺激を与える。
今度は僕の方が白石さんの下半身の前で屈みこんで、愛撫を与える番だった。
人差し指の腹でそろりと筋をなぞる。彼女の肌は汗ばんでいて、その湿り気が僕の皮膚に蟠る。
こうして顔を近づけていると、プールの塩素と彼女の体臭が混ざった匂いが僕の鼻腔をくすぐった。
女子高生は皆そうなのだろうか。彼女から漂う芳香は不快さはまるで無く、もぎたてのフルーツと花蜜を合わせたような甘さを醸し出している。
雪白の柔肌は香油を薄らと塗ったような汗の輝きが浮かんでいた。
白石さんの体は指で軽く押すと程よい硬さの弾力が押し返してきて、それがとても心地良かった。
「んっ……倉部……くんっ……」
僕の与える刺激に、白石さんはむず痒さに似た反応を返してくる。
彼女の中の官能を花開かせるように、じわじわと身体のそこから何かを引き上げてやるかのように、僕は愛撫を繰り返す。
その内彼女の秘裂からは、汗とは違ったぬめりが滲んできた。
顔を少し上げて彼女の表情を窺うと、昂然とも我慢とも付かぬ何とも言えぬ色が浮かんでいた。
けれど瞳には恍惚の光が見て取れて、彼女の肉体の反応と共に「ちゃんと感じてくれているんだな」と僕は思った。
「指、入れてもいいかな」
流石に不味いかなと思いつつ、僕は尋ねてみる。
「……特別だからね?」
許可を貰った僕は、土手を突いて筋を押し広げて、彼女の内側の桃色の肉に直接触れる。
浅く潜った指を弧を描くようにして入り口付近をかき回してみると、白石さんは甘い喘ぎを漏らした。
「ひうっ……そ、それやめっ」
「止めた方がいい?」
「いやっ、違っ……」
本気で拒否していないことを理解すると、僕はそのまま続ける。
そうしている内に、彼女の中が段々解れてきたのが分かった。
試しに指を三分の一程度まで沈み込ませてみると、膣肉がきゅうっと指をくわえ込む。
「あっ……んぁっ……はぅっ……」
白石さんの快美を帯びた声が、個室に響く。
肉穴の形を探るようにして、僕は指を動かす。
狭くて男を締め付ける形。
奥に進むほど縮こまる形。
「倉部くんっ、ホント君、意地悪だよねっ……」
指と割れ目の接合部からはねとついた液が染み出てきて、その源流のぬかるみは熱かった。
ぐちゅぐちゅと粘り気のある音が控えめに響く。
そんな蜜に溢れた時間も、そろそろ終わりのようだった。
「あ、んっ、はひゃっ……! だ、駄目っ」
絹を裂いたような声の後、白石さんの身体がびくっと震える。
強烈な快感が走りぬけたらしく、背にしたトイレの壁に彼女はもたれ掛かって肩で息をする。
絶頂に達したのだと思った。
「はぁ……はぁ……っ。あ、ぐっ……」
「ごめん。調子に乗りすぎた」
「酷いよねっ……倉部くんっ……」
怒ってみせるが、怖くない。
「罰として責任取ってよね……っ? 最後までちゃんとやること」
「言われなくても最後まで……あ……」
思い出した。
そうだ。肝心なことを忘れていた。
「ごめん。今日ゴム持って来てない。そういうつもりじゃなかったから……」
彼女とした約束。「絶対避妊すること」を思い出し、僕はそう告げる。
ここで止めるのは消化不良だったけど、仕方ない。また今度にしよう。
「……いいよ」
白石さんの言葉が、何に対しての「いい」なのか分からなかった。
また今度にしようと言おうとしていた僕の言葉を先取りしたのだと思ったけど、違っていた。
「外に出すなら、いいよ」
「え、でも……」
「お願い。今日、大丈夫な日だから……」
誘惑に僕は傾きかける。いや、駄目だろという理性。やっちゃってもいいだろうという欲望。
「……風紀委員なら、風紀の乱れを自分で知っておく必要がある……じゃ、駄目かな」
「なんですかその理由」
「今考えた。お願い。やらせて」
「……」
白石さんの目は、漫画ならハートでも浮かんでいそうなほどにトロンとしていた。
その蟲惑的な表情に、僕の理性が紙くずのように吹き飛ぶ。
「……やりますか」
「ありがと」
白石さんは儚げに微笑んだ。
施設を出て、電車に乗って。
何駅か進んだ所で座席が空いたので、僕らはそこに座って一息ついた。
「楽しかったね」
白石さんは隣にいる僕にそう言った。
口元に優しい微笑を見せて、可愛らしい顔をしている。
「うん。また行きたいね」
「だね。でも倉部くん。勉強もしないと駄目だからね」
「はい……」
そんなやり取りをしつつ、電車に揺られる。
車窓から見る夏の夕空は薄らと透き通った青色で、暑さも日差しもその向こうに溶けて行きそうだった。
「……ねえ。倉部くん」
「ん? 何?」
「……やっぱりやめた」
「え、そこでやめるのは無しでしょ」
「電車の中で言う内容じゃないから」
「気になるな」
後で教えると白石さんに言われたので、それ以上の追及は止めておく。
「そろそろ着くね。忘れ物しないでね? 倉部くん」
「大丈夫。しっかり荷物は手に持ってるから」
僕らの降りる駅名がアナウンスで読み上げられた後、電車がゆっくりとホームへと入っていく。
僕らは立ち上がり、開かれた自動ドアから他の乗客らと同じく外へと出た。
***
駅を出た時、時刻は午後四時だった。
帰るにはまだ早い気がしたけど、白石さんが疲れているのではないかと思い、そろそろお開きにすることにした。
「今日は楽しかった。白石さんも、お元気で」
「……うん」
白石さんは、どこか寂しげな表情で俯いていた。
気になって、「どうしたの?」と訊ねるが、「なんでもない」と返された。
「……じゃあ、さよならかな。また今度」
「うん。じゃあね。倉部くん」
そう言って僕は背を向けその場から立ち去ろうとする。
その時だった。
「待って……!」
呼び止める声。
思わず体がピタリと止まる。
そちらを振り返ると、白石さんが何かを求めるような、どこか必死な表情で僕の方を向いていた。
「白石さん……?」
「……ごめん。ちょっとだけ、行きたい場所があるの……君と一緒に……」
「行きたい場所?」
「ついてきて欲しい」
白石さんが僕の手を握る。
そのきめ細かくて滑々とした肌は、ほんのりと気持ちよくて柔らかかった。
***
僕は白石さんに連れられて街路を歩く。
どこに向かうのかは白石さんは何も言わなかったし、僕の側も訊かなかった。
お互い会話も無く、気まずいような、ぼんやりとした空気が漂っていた。
白石さんはなぜ僕を引きとめたのか、僕はいろいろ考えた。
けれども答えは見えてこない。
十分ほど二人で歩くと、彼女はとある公園へと入っていく。
その後を僕は追う。
誰もいない公園だった。まだ暑いのもあるだろうけど、近年の遊具撤去の影響で子供の利用も少ない公園だった。
人の姿は僕ら以外には無く、声といえば頭上から注ぐ蝉の音だけだった。
樹木の枝が影を落とし、無人の滑り台が寂しげに佇んでいた。
ここが白石さんが連れてきたかった場所なのだろうか。
「こんな所に連れてきてどうしたの?」
僕は気になって訊いてみる。
白石さんは僕の方に向き直ると、口を開いた。
頭上に天蓋を成した木々の葉から漏れ出る光が、彼女に斑の模様を投げかけている。
「……倉部くんはさ。……もしも女の子を自分の自由に出来るとしたら、どうしたい?」
「どうって……」
「答えて」
質問の意図が見えてこない。
けれど彼女の表情はどこか真剣な熱を帯びていて、茶化したり出来る空気では無いことは察することが出来た。
少し考えた後、僕はこう答える。
「……デートとか、勉強を教えてもらったり、一緒に手を繋いで笑いあったり……」
「それだけ? 女の子を自分の好きに出来るんだよ」
「……じゃあ、キスしたり、裸で抱き合ったり……」
「倉部くんはいい彼氏だね。女の子の幸せも願ってるのが伝わってくる」
「何が言いたいのか、教えて欲しいな」
「……電車で言いかけたことの続き。私を好きにしてみないか……って言いたいの」
「どういうこと?」
「……君のものになりたいんだ。……風紀委員としては、問題ある発言だけど」
「僕のものに……」
「倉部くんに、ちゃんと抱いて欲しい。『白石碧は倉部祐樹のものだ』ってことを、心に刻み付けて欲しい。だから、抱いて」
情欲的な、何かを訴える眼差しが、僕の思考を麻痺させる。
彼女の手が僕の服の裾を控えめに握る。甘えるように。
「……ここでするの?」
「トイレでやる。やらせて。お願い」
白石さんは握った僕の服を引っ張り、いずれかの方角へと目を向けた。
そこには寂びれた小さな公衆トイレがあって、僕ら二人の侵入を待っているかのように佇んでいた。
***
「結構ギリギリだね」
女子トイレに白石さんと一緒に入るなり出た感想がそれだった。
利用者が少ないためだからだろう。公園のトイレにしては個室は綺麗だったけど、人二人が入るには少々狭かった。
洋式便器の蓋を閉めて荷物をその上に置くと、僕らは向かい合う。
薄暗い中での白石さんの顔の輪郭は朧に見えて、でも美しくて。
「下、脱いで」
その声も、狭く静かな空間によく通った。
言われた通りにする。
ベルトを外し、ズボンを脱ぎ、パンツも下ろす。
そうすることで、僕の下半身は彼女の目に晒された。
「……咥えてもいい?」
汚くないかと訊いてみると、「倉部くんのならいい」と白石さんは答えた。
彼女は僕の下半身の前で屈みこむと、前髪を手で掻き分けて退かす。
そうして彼女は、硬直した愚息に顔を近づけた。
亀頭が彼女の唇の奥に飲み込まれる。彼女の口内の生温かい感触に包み込まれて、ぬめぬめしていて妙な気分。
白石さんはちらりと僕の顔に目を向けてくる。「どう? 嫌じゃない?」とでも言うかのように。
「っ……いい感じだよ」
僕の言葉に、白石さんはちょっと笑った気がした。
そうして行為を開始する。
彼女の舌が陰茎の裏筋へと這う。先端やら側面をちろちろと細かい舌の動きで舐めていく。
時々唇で甘噛みしてきて、その動きも正直よかった。
奉仕されているのに主導権を握られているこの行為。
絶え間なく与えられる刺激に、僕は切ない表情を浮かべていたと思う。
彼女は左手の指で僕の竿を軽く握り、擦る。その動きで、僕の陰茎には精が少しづつ集まっていく感覚がした。
気力で耐えようとするけど、精神的快楽が予想以上に大きくて、既に限界が近かった。
「くっ……白石さんっ、で、出るっ」
「ん……らひて……」
僕の警告に、白石さんは咥えたまま答えた。
雁首の先端を唇で押さえ、舌で切っ先を刺激する。
それで僕は達してしまう。
彼女の中で弾けた陰茎が、びくっ、びくっと脈打ちながら、精液を吐き出していく。
「っ……ううっ……」
やがて射精が終わる。僕の性器は白石さんの口内と、自分で出したもので生温かい感触に覆われていた。
それを引き抜くと、半勃ちの性器が彼女の唇から抜け落ちた。
白石さんは、口腔に溜まった僕の精液を飲みこむ。
けど流石にキツかったらしい。
咳と共に「スンッ」と鼻を鳴らす音が聞こえた。ちょっと涙目になっている彼女を想像する。
「げほっ、げほっ……」
「ごめん。ありがとう。飲んでくれて……」
「すっごく濃い味……青臭くて、若いって感じがする」
彼女は頬を染めながら、僕から絞った精の味の感想を言う。
白石さんは荷物からプールで買った麦茶を手に取ると、口をつけて口内に残った白濁を飲み下した。
「……倉部くんがしてくれる番だね。お願い」
白石さんはそう言うと、スカートの下に身に付けていたショーツを手で降ろす。
彼女がスカートを捲くると、柔らかい太股の間には、桃の筋を思わせる性器が線を引いていた。
***
彼女の割れ目に指を這わせ、その上を掠めるようにして刺激を与える。
今度は僕の方が白石さんの下半身の前で屈みこんで、愛撫を与える番だった。
人差し指の腹でそろりと筋をなぞる。彼女の肌は汗ばんでいて、その湿り気が僕の皮膚に蟠る。
こうして顔を近づけていると、プールの塩素と彼女の体臭が混ざった匂いが僕の鼻腔をくすぐった。
女子高生は皆そうなのだろうか。彼女から漂う芳香は不快さはまるで無く、もぎたてのフルーツと花蜜を合わせたような甘さを醸し出している。
雪白の柔肌は香油を薄らと塗ったような汗の輝きが浮かんでいた。
白石さんの体は指で軽く押すと程よい硬さの弾力が押し返してきて、それがとても心地良かった。
「んっ……倉部……くんっ……」
僕の与える刺激に、白石さんはむず痒さに似た反応を返してくる。
彼女の中の官能を花開かせるように、じわじわと身体のそこから何かを引き上げてやるかのように、僕は愛撫を繰り返す。
その内彼女の秘裂からは、汗とは違ったぬめりが滲んできた。
顔を少し上げて彼女の表情を窺うと、昂然とも我慢とも付かぬ何とも言えぬ色が浮かんでいた。
けれど瞳には恍惚の光が見て取れて、彼女の肉体の反応と共に「ちゃんと感じてくれているんだな」と僕は思った。
「指、入れてもいいかな」
流石に不味いかなと思いつつ、僕は尋ねてみる。
「……特別だからね?」
許可を貰った僕は、土手を突いて筋を押し広げて、彼女の内側の桃色の肉に直接触れる。
浅く潜った指を弧を描くようにして入り口付近をかき回してみると、白石さんは甘い喘ぎを漏らした。
「ひうっ……そ、それやめっ」
「止めた方がいい?」
「いやっ、違っ……」
本気で拒否していないことを理解すると、僕はそのまま続ける。
そうしている内に、彼女の中が段々解れてきたのが分かった。
試しに指を三分の一程度まで沈み込ませてみると、膣肉がきゅうっと指をくわえ込む。
「あっ……んぁっ……はぅっ……」
白石さんの快美を帯びた声が、個室に響く。
肉穴の形を探るようにして、僕は指を動かす。
狭くて男を締め付ける形。
奥に進むほど縮こまる形。
「倉部くんっ、ホント君、意地悪だよねっ……」
指と割れ目の接合部からはねとついた液が染み出てきて、その源流のぬかるみは熱かった。
ぐちゅぐちゅと粘り気のある音が控えめに響く。
そんな蜜に溢れた時間も、そろそろ終わりのようだった。
「あ、んっ、はひゃっ……! だ、駄目っ」
絹を裂いたような声の後、白石さんの身体がびくっと震える。
強烈な快感が走りぬけたらしく、背にしたトイレの壁に彼女はもたれ掛かって肩で息をする。
絶頂に達したのだと思った。
「はぁ……はぁ……っ。あ、ぐっ……」
「ごめん。調子に乗りすぎた」
「酷いよねっ……倉部くんっ……」
怒ってみせるが、怖くない。
「罰として責任取ってよね……っ? 最後までちゃんとやること」
「言われなくても最後まで……あ……」
思い出した。
そうだ。肝心なことを忘れていた。
「ごめん。今日ゴム持って来てない。そういうつもりじゃなかったから……」
彼女とした約束。「絶対避妊すること」を思い出し、僕はそう告げる。
ここで止めるのは消化不良だったけど、仕方ない。また今度にしよう。
「……いいよ」
白石さんの言葉が、何に対しての「いい」なのか分からなかった。
また今度にしようと言おうとしていた僕の言葉を先取りしたのだと思ったけど、違っていた。
「外に出すなら、いいよ」
「え、でも……」
「お願い。今日、大丈夫な日だから……」
誘惑に僕は傾きかける。いや、駄目だろという理性。やっちゃってもいいだろうという欲望。
「……風紀委員なら、風紀の乱れを自分で知っておく必要がある……じゃ、駄目かな」
「なんですかその理由」
「今考えた。お願い。やらせて」
「……」
白石さんの目は、漫画ならハートでも浮かんでいそうなほどにトロンとしていた。
その蟲惑的な表情に、僕の理性が紙くずのように吹き飛ぶ。
「……やりますか」
「ありがと」
白石さんは儚げに微笑んだ。
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