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ホーリーカードは通行手形
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木喰観音のようなレジ担当の富弦さんは、にっこりと微笑むと「お待たせ致しました。」と一言、言い、おもむろに鈴を持ち上げ、ピッと鈴に付けられたバーコードをスキャンする。
ちらり、と僕を見ると「四百九十八円でございます。」と言う。その、ちらり、と僕を見た何ともいえない色気のある眼差しに、一瞬、どきっ、とする。僕は少し慌てて、財布の中の小銭に指を伸ばす。
木喰観音のようなレジ担当の富弦さんは「ホーリーカードはお持ちですか。」と聞いてくる。
僕は、「持っていません。」と答える。木喰観音のようなレジ担当の富弦さんは「宜しかったら、ホーリーカードをお作りになりませんか、今なら、入会金無料でございます。一度、お作りになると、お出入り自由でございます。如何致しますか」と言う。
僕は、「お出入り自由」という言葉に引っかかりを感じたが、その言葉を深く追求しなかった。
ここに、これ以上、長い居をするのは、面倒だったし、何とも相性が悪そうなこの店に、二度と買い物に来る必要も無いと思い返事をした。
「めったに来ないので、必要ないです。」と答え、財布の中にあった、五百円玉を、ひょいっ、と指先でつまみあげ、お金を入れるトレイの中にそっと置いた。
木喰観音のような富弦さんはトレイの中の五百円を、そっと拾い上げ、レジの上に乗せ「五百円、お預かり致します。」と言い、レジに五百と打ち込み、合計キーを押した。レジはガチャという音と共に開き、木喰観音のような富弦さんは開いたレジから二円拾い出し、ちらりっと僕を見て、レシートと一緒に僕の手の中に「二円のお釣りでございます。」と二円とレシート握らせた。
僕は手にした二円を落とさないように強く握りなおし、レシートと一緒に受け取り、お財布の中に突っ込む。木喰観音のような富弦さんは、鈴を持ち上げ袋に入れようとする。
僕は、「袋は入らないです。」と言う。すると富弦さんは「では、シールを貼らせて下さい」と言い、鈴についている値札の部分に店のオリジナルシールをペタッと貼った。
僕はそれを、その場で鞄にしまい、レジを後にする。ようやく、買い物は終わった。後は、時計を受け取り帰るだけだ。
ちらり、と僕を見ると「四百九十八円でございます。」と言う。その、ちらり、と僕を見た何ともいえない色気のある眼差しに、一瞬、どきっ、とする。僕は少し慌てて、財布の中の小銭に指を伸ばす。
木喰観音のようなレジ担当の富弦さんは「ホーリーカードはお持ちですか。」と聞いてくる。
僕は、「持っていません。」と答える。木喰観音のようなレジ担当の富弦さんは「宜しかったら、ホーリーカードをお作りになりませんか、今なら、入会金無料でございます。一度、お作りになると、お出入り自由でございます。如何致しますか」と言う。
僕は、「お出入り自由」という言葉に引っかかりを感じたが、その言葉を深く追求しなかった。
ここに、これ以上、長い居をするのは、面倒だったし、何とも相性が悪そうなこの店に、二度と買い物に来る必要も無いと思い返事をした。
「めったに来ないので、必要ないです。」と答え、財布の中にあった、五百円玉を、ひょいっ、と指先でつまみあげ、お金を入れるトレイの中にそっと置いた。
木喰観音のような富弦さんはトレイの中の五百円を、そっと拾い上げ、レジの上に乗せ「五百円、お預かり致します。」と言い、レジに五百と打ち込み、合計キーを押した。レジはガチャという音と共に開き、木喰観音のような富弦さんは開いたレジから二円拾い出し、ちらりっと僕を見て、レシートと一緒に僕の手の中に「二円のお釣りでございます。」と二円とレシート握らせた。
僕は手にした二円を落とさないように強く握りなおし、レシートと一緒に受け取り、お財布の中に突っ込む。木喰観音のような富弦さんは、鈴を持ち上げ袋に入れようとする。
僕は、「袋は入らないです。」と言う。すると富弦さんは「では、シールを貼らせて下さい」と言い、鈴についている値札の部分に店のオリジナルシールをペタッと貼った。
僕はそれを、その場で鞄にしまい、レジを後にする。ようやく、買い物は終わった。後は、時計を受け取り帰るだけだ。
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